第五楽章
「ま、またですか!?」
目の前の幼気な指揮官はなんともいえない形相でこちらに向き直る。
「いやいや、『また』だなんて言わないでほしいんだけど…いやね、これは不可抗力だった~っていうか……」
「その癖してカステラにつぎ込む料金は未だ資金から引っ張り出されているようですけど?」
うっ。痛いところを突かれてしまったものだ、困ったな。
「まあそれは、ほら…。あれだ、戦意喪失とかにならないための!エンジンみたいなものだから!」
「戦意ぃ~~?戦意なんてさっさと喪失してください!内乱なんて平和じゃないし!私たちは一刻も早く収束してもらいたいんですよ?」
「は、はい…」
俺は今、ドミナントのアリアに特別資金の要請をしにきていた。あれだ、直談判ってやつだ。普段は知らず知らずのうちにカステラ費として使われて減っている資金をアリアの慈悲によって特別資金を増やしてもらったりしていたんだけども、まあ毎回毎回同じような理由で資金の申請をしているものだから今回こそ断られそうだ。逆に今までもらえてたのが奇跡っちゃ奇跡か。アリアの寛大な心に感謝だな。
「いやでも!今回はアルフィーネによる拠点の破壊が原因でさ……だからほら、少しでいいんだ、特別資金いただけませんかねアリアさん…?」
目の前の彼女は大きくため息を吐いた後で告げた。
「仕方ないですね…」
「よっしゃ!」
「ただし!!…ひとつ交換条件を提示させていただいてもよろしいですか?」
18歳とは思えない強い気迫に頷かざるを得なかった。
「……なんですかね」
目の前の可憐な少女の指揮官は、まるで悪だくみをする子どものように笑う。
「シヴォルタ、アルフィーネで指揮官会議を開きましょう!」