第五楽章
「っはー!脱出成功!ペトラも無事帰還!任務達成だよ、やったね!」
「うん。よかった。…でもメロディア、腕の傷は大丈夫?止血は?」
「え?あー…止血はしてる。からまあ多分大丈夫だよ。…それより、今回脱出口の確保はおじいちゃんに頼んでたと思うんだけど。レヴィ、何かあった?」
僕は、腕の傷の方をさすりつつ目の前のスモーカー少女に訊ねた。
「いやーそれがっすねメロディア先輩。なんか指揮官急に用事が出来たらしくて、代わりに自分がここに向かうよう連絡があったんすよ!てなわけで、指揮官の代わりにやってきたんすよ」
ほう。指揮官が用事、と。まあなんだかんだいつも忙しそうだし、仕方ないか。
「ふーん、それでレヴィちゃんが来てたんだね。いくら貰ったの?」
「あ、そこ訊くっすか?ふふふ、そこのカフェの一番大きなパフェを五個は頼めるくらいっすかね…」
「えっそれめっちゃ金持ちじゃない?」
仲のよさげな談笑をよそに、僕は考え込んでいた。
あーあ、あいつあの感じだと今までは皆に僕とあいつとのことは黙ってたのかな。まったく、ずっとそのままでよかったのに。
面倒なことになったな、とため息を吐く。
「大丈夫、メロディア…?」
めずらしく会話に混ざらない僕が引っ掛かったのか、ふいにヴァンから声を掛けられて我に返る。
「え?あー、うん。ちょっと僕もお父さんに小遣い貰おうかなって。どうやったら貰えるのか考えてた!へへ、ごめんごめん」
「そっか」
そうして、僕らは汽車に乗った。