第四楽章
仲間の皆は今頃何をしているだろうか。そろそろ僕の居場所は掴めてたりするのかな、なんてぼんやりと思考をしていると程なくして彼女は再び金糸を揺らしながら降りてきた。
なんだか先ほどよりもきりりとした面持ちだ。
「…質問を再開するわ」
「はいはい、何かな」
彼女の先ほどとは違う表情から真意を伺いつつ適当な返事をする。なんだろ、カステラでも食べてきたのかな。
「今の時点でお互いに和解して終戦させる気…とかは、あるのかしら」
これは話し合いで解決~ってやつかな。
「さっきも言ったけど僕には、指揮官は基本的な考えとしては平和主義に見えるんだ。ただ、仮に彼だけが円満な平和を望んだところで周りが好戦的だから…まあつまりはそういうことって訳だよね」
僕自身やれ戦争だの平和だのといったことに大して興味はないから、あとはもう他の皆次第って感じはある。まあ仮に皆が平和を望んで和解を求めたところで、今度はアルフィーネ肯定派の国民が納得しないでさらなる暴動を始めるだろうし。結局始まってしまった争いなのだから無理やり作った終焉に納得する人間なんてもういない。
金糸の彼女は小さくため息をつきながらメモを取り、そのあとで顔をあげ口を開く。
「そう。…じゃあ次に、いくわ。あなたたち、…アルフィーネ勢力はこの国にあるすべての教会やその類の建物を破壊するつもり、なの?」
ほう、そうきたか。あーこれ、なんて答えればいいんだろ。答えこそ決まり切っているものの、そのまんま素直に答えてやるべきなのか。…いやまあ、でも。
「そうだよ!」
いつものように表情を作って答える。きっとこの質問は向こうの指揮官が考えたものだろう。だとしたら、奴は答えをわかっていながら訊いているはずだ。思えば先ほどの質問だってそうだ。どこか、不自然だ。真意が見えにくいなあ、困ったや。
なんて僕がそんなことに気を取られているとふいに爆破音のようなものが聞こえた。…気がした。
「な、なに…!?」
おそらくその音に驚いたのか、カステラちゃんはその場にかがみ込む。
「………あーー、これは…」
お姉ちゃん、いくらなんでも敵組織拠点をぶち壊すのはやりすぎじゃあないかな。