CH1

微かな寝息が聞こえる暗い室内。
視線の先には無防備な寝顔。
吐息が頬に掛かる程の距離に顔を寄せても、瞼が開く気配は無い。
「…このまま」
その唇を塞いで、自分の中に蟠るモノを口移しで流し込んだら、彼女も自分と同じモノに染まってくれるだろうか。
何処までも色鮮やかで、何処までも無垢な彼女は。


初出・2019年5月23日(キスの日)
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