CH1

一輪挿しの赤いスイートピーを見詰めながら、缶ビールを一口。
この花を見る度に、思い出せない夢が胸を締め付ける様になったのはいつからだろう。
「…あの時、くれた答えは」
アルコールの所為か熱がのぼった頬に、そっと掌を添えて目を伏せる。
黒く閉ざされた視界の向こう、夢の欠片を追い掛ける為に。


初出・2019年5月1日
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