CH1
夜の喧騒を見下ろす屋上で、名を呼ぶ声に振り返る。
すかさず頬へ押し当てられた缶ビールの冷たさに、思わず呻いて仰け反った。
「…サンキュ」
受け取りながら視線を向ければ、赤味を帯びた癖っ毛を夜風に靡かせ、ぴんと背筋を伸ばして夜景を眺める彼女の姿がすぐ隣にある。
「もう一本飲みたいなら自分で持って来てよ?」
ネオンサインに照らされた横顔にひらめく、無邪気な微笑。
遠くへ視線を投げた彼女は、時折思い出した様に缶ビールを呷る。
無防備に晒された、その白い首筋から目が離せなくなりそうだったのは…きっと、絶対、気の迷いに決まっている。
初出・2019年4月14日-15日
すかさず頬へ押し当てられた缶ビールの冷たさに、思わず呻いて仰け反った。
「…サンキュ」
受け取りながら視線を向ければ、赤味を帯びた癖っ毛を夜風に靡かせ、ぴんと背筋を伸ばして夜景を眺める彼女の姿がすぐ隣にある。
「もう一本飲みたいなら自分で持って来てよ?」
ネオンサインに照らされた横顔にひらめく、無邪気な微笑。
遠くへ視線を投げた彼女は、時折思い出した様に缶ビールを呷る。
無防備に晒された、その白い首筋から目が離せなくなりそうだったのは…きっと、絶対、気の迷いに決まっている。
初出・2019年4月14日-15日