機甲都市伯林1

眠る彼の顔を見上げる。
丸一日単車を駆り、疲労が溜まっているのは分かるのだが。
「…ちょっと警戒心が薄くないですか?」
猫に獣詞変した彼女の鳴き声にも目を覚まさない。むしろ温もりを求めて抱き込む有り様で。
「…それなら」
せめて今だけは良い眠りを、と囁き代わりに一つ鳴いて体を擦り寄せた。


初出・2018年9月1日
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