機甲都市伯林1

物陰から猫が飛び出す。
街灯に照らされた毛並みは黒。
見知った色では無かった事に、安堵の息を吐いて緊張を解いた。
「似合いそうだな、猫ヒゲ」
今度会ったらペンで頬に描いてやろう、と考えて顔をしかめる。
「…何を馬鹿な事を」
もう二度と会わないと、自分から突き放した筈なのに。何故。


初出・2018年8月25日
3/9ページ
スキ