魔法科1

「お兄様、少し屈んで頂けますか?」
請われるまま傾けた体に繊手が差し伸べられる。
風で乱れた髪を梳いて整える指の感触に目を細めた。
「お兄様?」
「普段は撫でる側だから、ちょっと新鮮だと思ってね」
いつもは自分を見上げてくる瞳が、今は同じ高さにある。
はにかむ妹と視線を絡めて微笑みあった。


初出・2016年3月18日
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