6月21日
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─── 夢とおとぎの島
トロピカルランドの入場ゲートをくぐり抜けた先。まず二人が考えたこと……それは彼女達の居場所だ。蘭から送られてきた写真を元に考える必要があると新一は思い、キャストから貰ったトロピカルランドの地図を即座に開く。
快「……で?名探偵は憐と彼女の居場所、分かってんのか?」
新「まぁな……蘭が送ってきた写真から見て推理できる」
快「流石名探偵……探偵らしく推理で探し当てるって寸法か〜」
新「オメーはどうすんだよ……」
地図を広げながら、新一は問いかけた。逆にどうやって当てようとしているのか……疑問を出した新一に、快斗は得意気にスマホを取りだして見せた。先程憐のスマホは電源が着いていることが確認できた。何故そんなことが分かったかと言えば、このアプリが起動していることが確認できたからだ。
新「おまっ!……GPSのアプリかよ」
快「こういう時に便利だよな〜……さてさて何処にいんのかな〜……おっ!ここか……」
快斗のスマホ画面には、地図が表示されており目的地の部分はトロピカルランドの右端部分を指し示していた。GPSによれば、憐と蘭は、怪奇と幻想の島のエリアにいるようだった。早速目的地へと向かいながら話す二人。
新「……それ、神崎に許可取ったんだよな?」
快「……憐のスマホを拝借してちょちょいとな!アイツのホーム画面には出てねぇし、アプリ一覧の真ん中にあるから、細かく見ないアイツに気づかれる心配もない」
新「要するに無許可で勝手に入れて、しかも気づいていないってことか……」
快「しかも聞こえてきた音からして……なるほどな。憐達は今ランチを食べる為に店に入ったところだ」
新「おまけに盗聴器か……普通自分の彼女にGPSと盗聴器なんか仕込まねぇよ!神崎のやつ、可哀想にな」
この男……彼女の事になると社会のルールを平気で逸脱する節がある。彼女に黙ってスマホを奪い、位置情報共有アプリを入れて、自分のスマホに転送されるようにし、それだけでは飽き足らず盗聴器まで仕込んでいる……些かやりすぎではないのかと新一は呆れと共に憐に同情した。
快「しょうがねーだろー!何せアイツはお前と関わると事件に巻き込まれることが多かったから、危険な状況になってもすぐ助け出せるよう先に入れておいたんだよ!」
自分だけが責められるような物言いに納得がいかない。
快「それにな!オメーだって発信機とか盗聴器を仕掛けては、ターゲットを追跡したり、話を盗み聞きしてただろ!」
新「流石に蘭には付けてねぇぜ……しかも、俺の場合、何か事件が起きた時に関係者につけることしかしてねぇよ!常日頃やってるお前と一緒にすんな!」
快「俺だって常日頃やってる訳じゃねぇよ!憐に何かあった時だけ使ってるに決まってるだろ!」
怪盗と探偵、互いに相容れぬ存在だった二人が、こうして年相応に仲良く(?)喧嘩している所を外から見ている人間には微笑ましく見えていた……顔の似ている二人組、双子の兄弟喧嘩が始まっていると……
内容が内容だけに微笑ましくはないのだが、言い合いしながら、彼らは彼女達がいる目的地の店へと辿り着いた。昼食時とあって店の中は人で溢れており、ここからアイツを見つけるのは骨が折れそうだと快斗と新一はそれぞれため息を着いた時、少し離れた場所で下劣な男の声が二人の耳に届いた。
「ねぇ彼女達〜!どっちもなかなか可愛いね!どう?俺達とこのまま遊ばない?」
聞こえた声の方向に目を向けると、全身日に焼けたような肌をした男二人組が、パラソルの下で椅子に腰掛けている人物に声をかけているようだ。内容的に、複数人……恐らく二人組の女性に声をかけているようだが、男達の隙間から見えた人物に快斗と新一は目を見開いた。そして二人同時に顔を歪め、怒気を纏いながら背後から男達に静かに近づいていた。
─── 怪奇と幻想の島
憐、蘭は十分にアトラクションを楽しんだ後、空腹を満たす為にランチが食べられる店に赴いていた。店の中は人集りで、座れる椅子はないと判断し、外の四角いテーブルと椅子を使い、4人掛けの所に互いに向き合うように座っていた。
貴「まだ来ないね〜……もう何やってるんだか……。快斗はともかく工藤くんは得意の推理で、私達の居場所なんてすぐ分かると思ってたのに……」
蘭「仕方ないよ〜。もしかしたらまだ事件終わってないかもしれないし……」
貴「蘭ってばもう〜……まぁそんな蘭だから安心して、工藤くんは事件に向き合えるんだろうけど……なんか納得いかない……」
憐は不機嫌な顔つきで買ってきた限定品のホットサンドを頬張っていた。蘭も憐と同じメニューを頼み、少しずつ口に頬張りながらも微笑みながら憐を見ていた。
蘭「ありがとう憐……まぁまぁ気長に待ってよ?そのうち来るから!」
貴「何だか楽しそうね……今更だけど良かったの?工藤くんを待ってなくて……」
蘭「別にいいわよ。だって憐が誘ってくれなきゃ今も一人で待ってなきゃいけなかったし……それに憐を一人にしておけないわよ」
貴「それは一体どういう意味……?」
憐は訝しげに蘭を見つめた。蘭はその視線をものともせず、真っ直ぐと憐へと言葉を繋ぐ。
蘭「だって憐、一人でいたら絶対他の男の人に狙われて、大変なことになるよ……!黒羽くんが目を離せない理由が分かるもの」
貴「はぁっ?!ちょ、ちょっとどういう意味?!」
憐は蘭に対し、さっきの発言の真意を問いかける。蘭としては至って不思議なことは言っていない。何たって今日の憐は、珍しくショートパンツを穿いて、普段隠している色白の脚が見え隠れしていた。黒いパンツに黒いニーハイ、ブラウンのロングブーツ、上は薄い青のカーディガン、白いブラウス、手首には赤いミサンガと白いムーンストーンをつけて、普段の彼女と雰囲気を変えて、それでいていつもと変わらぬ愛らしさを兼ね備えている彼女がいた。
同性の蘭から見ても、魅力的な憐は自分の事に鈍感で自身の魅力に彼女が一番気づいていない。ある意味無防備で、どこか抜けていて、純粋で庇護欲を抱かせる彼女を一人にしておいたら、どこぞの乱暴者に無体を働かれない。色んな意味で目が離せない友人が、今もこうして素直に笑っていられるのも、幼馴染であり恋人の彼が小さい頃から彼女を守ってきたのだろうと蘭は密かに思った。
蘭の優しげな眼差しに、視線を向けられた憐は訳が分からず、首をかしげる。その様子に蘭はクスクス笑いながら、買ってきたホットサンドに手をつけ始める。
二人が丁度食事を始めようとした瞬間、自分達の頭上に影が重なり誰かが来たことが分かった。ついに自分達の待ち人が現れたのかと思っていたら、聞こえてきたのは似ても似つかぬ声だった。
「ねぇ彼女達〜!どっちもなかなか可愛いね!どう?俺達とこのまま遊ばない?」
その声に倣って顔を上げると、予想していた人物達ではなかった。その様子に肩を竦める憐と蘭。あからさまに落ち込まれた反応を見せられた男達は、少し意地になって再度聞き直す。
「ねぇねぇ可愛い君達!これから一緒に俺達とトロピカルランドを巡らない?」
「俺達ここに詳しくてさ!人に知られていない穴場とか、ここよりもっと美味しいレストランとか知ってるよ?どうかな?」
ナンパとは、断られるまで立ち向かうもの、それかまたきっぱり断られても、押して押して押しまくれば、相手が根負けして最終的に成功するという、彼ら独自の成功論を掲げて、男達は諦めずに押しまくろうと動いた。
貴「すみません、私たち実は連れがいまして……」
蘭「そうなんです!今も実は丁度ご飯を買いに行ってて……だからすみません」
二人組の男の強引な態度に憐は引きつった笑顔で対応し、蘭は申し訳なさそうにしながらも、きっぱり断っていた。しかし、彼らは予想通りの反応だと言わんばかりに、怯まず攻めの姿勢を見せる。具体的に言うと、一人一人が、憐と蘭のそれぞれ空いている隣の席に座り始めた。
貴/蘭「「!?」」
「別に良いだろ〜?こんな可愛い君達を放っておいて飯なんか買いに行く奴ら放っておけって!なぁ?」
「そうとも!俺らの知ってる良いところに連れて行ってやるから、ほら行こうぜ!」
憐の隣に座っている男は彼女の許可無く腕を掴み、引っ張って立ち上がった。
貴「い、嫌っ!!離して……」
蘭「ちょっと……!」
「アンタはこっちだよ〜……」
向かい合って座ったが故に起きた事故。蘭は自分の判断を誤ったと後悔し、慌てて憐に手を伸ばそうとするも、自分も掴まれてしまい、反対方向に引っ張られる。
ブンッ!
蘭「触らないで……!」
「ふげっ?!?!」
蘭は掴まれた腕とは逆の腕で、男の腹に思いっきり拳を入れた。クリーンヒットした男は無防備に蘭の拳を受けた為、腹を抱え蹲る。そこへ自分へ駆け寄ってきた人物がいた。新たな仲間かと思い拳を構えたが、その人物を見上げた蘭はようやく構えた拳を下ろした。
蘭「新一!」
新「悪ぃな蘭……怪我は無いか?」
蘭「私は大丈夫!それより憐が……」
憐の身を心配している蘭に、新一は「そこは大丈夫だ。ほらあれ……」と顔を上げる。新一にならって顔を上げる蘭。するとそこには……
バシッ!
快「汚い手でコイツに触れんなよ……!」
快斗が憐の腕を掴んでいる男の腕を掴み、怒りに燃え、刺すような視線を送っていた。
貴「快斗……!」
「はぁ?誰だテメーって……痛てて!!痛てぇよ!!分かった!!離すから……!」
掴まれた男の腕はミシミシと音を立てている。男は信じられないような目で快斗を見た。この男、細身ながら何処にそんな力があるのかと思う程に強い力で掴まれていた。このままいくと腕を折られそうな勢いだった為、掴んでいた憐の腕を離した男。
快「大丈夫か憐……?!」
貴「……大丈夫な訳ないじゃない!来るのが遅いのよ!」
快「はぁ?!助けてやったのに何なんだよその態度は……!」
男の背後から現れ、自分を助けてくれた快斗に嬉しくなるも、元々の原因を考えると素直に喜べなかった憐は、快斗の傍へ行き怒りを爆発させた。快斗もせっかく助けたのに、彼女から出た言葉はお礼ではなく、文句だった為負けじと言い返した。
貴「元はと言えば、快斗がちゃんと来てくれればこんな事にはならなかったでしょ!」
快「うるせーなー!これには事情があんだよ!」
貴「どんな事情よ!」
こうして憐と快斗は、周囲の事など気にせず喧嘩を始めてしまった。互いに言い合う二人を見て、蘭は苦笑し、新一は呆れて何も言えなかった。
関係性が変わったとしても、そこはいつまで経っても変わらない……少なくとも二人を幼い頃から見ている玲於や青子はそう答えるだろう……。
新「で、お前はどうすんだ?俺としては、今のうちにそのお仲間を連れて逃げる事をオススメするぜ」
新一は完全に忘れられているナンパ男に話しかける。蘭が拳を入れた男は気絶しており、起きているのは憐の腕を掴んだ男だけ。その男にさっさとこの場から去ることをすすめた。
新「じゃねーとアイツ、お前らに何しでかすか分かんねぇよ?」
新一は憐と言い合いしている快斗の方を見た。自分達は高校からの付き合いで、そう長い付き合いではないが、分かっていることがある。
────── それは互いが互いの為に……
────── 命を懸けて護ろうとする所……
特に工藤新一と容貌がそっくりで、かつて怪盗キッドとして、得意のマジックであらゆる宝を盗み出し、名探偵である工藤新一をも出し抜いた黒羽快斗……ミステリアスで変幻自在、IQ400の大泥棒、そんな彼は例え自分の命が狙われていても、自分の正体がバレかけたとしても、神崎憐の為ならどんな危険な状況でも、彼女の笑顔を護る為に彼は……何にでもなれるのだ。
「……チッ!やめだやめ!ったく……お前らみたいなバカップルなんか二度とごめんだ!!」
ここまでコケにされて、いつまでも拘る理由はない。ナンパ男は倒れてる仲間を起こして、負け犬の遠吠えのように不満を垂らして逃げ去った。
しかし、それにも気づかず言い合いを続けている二人に、蘭と新一は言い争いを辞めるよう声をかけ、遅くなってしまった昼食を再開するのだった。
────────────────────────
蘭「じゃあね二人とも……素敵なデート、楽しんできてね!」
昼食を食べ終わった4人は、店を抜けそれぞれ自然と互いのパートナーの横に並び立ち向き合った。
貴「蘭もね」
快「名探偵!ちゃんと彼女をエスコートしろよ?」
新「お前に言われなくても分かってるぜ!黒羽も、神崎を怒らせんなよ……」
こうして4人はそれぞれのパートナーと遊園地を満喫するべく二手に別れたのだった。
貴「快斗何処行きたい?」
蘭と工藤くんと別れ、ようやく快斗と合流した私は、歩きながら次の行き先を快斗に相談した。地図を広げて「はい、指で示して」と伝える。
快「別に俺は何処でも良い……お前の好きな所行こうぜ!」
貴「えっ?!……うーんでも私は、先に蘭と遊んでたし満足してるのよね……それなら快斗が行きたい場所に行きたいの!」
快「んなこと言われたって、特に俺が行きたい所なんてねぇし……第一トロピカルランドに行きたいって言い出したのお前だろ〜?……」
貴「うっ……(手強い……快斗の馬鹿!何で素直に従ってくれないのよ)」
私としては、先に蘭とトロピカルランドのアトラクションやフォトスポット等、大いに楽しんでいたのもあり、早く彼にも楽しんでもらいたいという純粋な気持ちで伝えている。 ……この日は目一杯快斗に楽しんでもらうという私の大きな目的がある。
私の計画が順調に進むためには、何とかして彼に怪しまれず、自然に要望を聞く必要がある。どうにかして、快斗に言わせないと……そういえば、さっき快斗は工藤くんに、〝ちゃんとエスコートしろよ〟って……
快「……憐??」
貴「快斗……アンタ言ったよね?工藤くんにちゃんとエスコートしろよって……」
快「あー……言ったけど……」
貴「工藤くんに言うんだから、勿論快斗もしてくれるよね……〝エスコート〟」
少し厳しい理由だけど、これでいくしかない。私は彼が何か言い出す前に立て続けに話す。
貴「私をエスコートしてくれるならお願い……私は快斗が楽しめる所に行きたいの!だから快斗の行きたい所、教えて……?」
彼の顔を真正面から見つめる。幼き頃から一緒にいる彼が幸せになってくれることが私の望みであり、誰よりも私が彼を幸せにしたい……そんな思いで彼との思い出を日々作っている。これもその一環なのだ。
伝わって欲しい……少しでもいいから……
快「…………分かったよ!じゃあこのミステリーコースター乗ろうぜ」
快斗はしょうがないとでも言いたげに、頭をガシガシかきながら、私の持っている地図に指をさす。
貴「うんっ!それじゃ行こう!」
いつも私を優先して自分の事は後回しな快斗に、やっと要望を言わせることが出来た私は嬉しくて、ミステリーコースターのある場所へと先導しようと彼の先を歩く。
快「待った!憐は方向音痴なんだから、先に歩いたら迷うだろ!だから……ほら……」
そう言って彼は私の横に並び、頭を軽く下げて私に手を差し出した。
快「お望み通り、俺がエスコートしてやるよ!
はぐれないようにお手をどうぞ……〝お姫様〟?」
快斗の顔には得意気な笑顔が浮かんでいる。
……どこかの怪盗の姿が脳裏にふと蘇る。普段は年相応なのに、ふとした時にキザな物言いや行動する彼に何年経っても慣れない私は、恥ずかしくて照れて素っ気ない対応ばかりしていた。でも、もう付き合ってるんだしそろそろ慣れなくちゃね……
貴「うん……よろしくね、〝王子様〟」
私もなるべく平然と手を取ってみせたけど、やっぱり恥ずかしくて顔を横に逸らす。我ながら似合わないセリフだな……快斗がやると似合うのは、やはり顔が整っているからだろうな。……というか何か言って欲しいんだけど、何故何も言わないのよ……
不思議に思って逸らしていた顔を再度戻すと、そこには頬を赤く染めた快斗が驚いた様子でこちらを見ていたのだ。
貴「何で驚いてんのよ!何とか言ってよね……!そりゃあ快斗に比べたら、私なんか似合わないかもしれないけど……」
卑屈なこと言っちゃうのは私の悪い所だけど、何も反応が無いとやっぱり怖い。しかし、そんなのを吹き飛ばす勢いで彼は大袈裟に答える。
快「違ぇよ!いつもの憐だったら軽く流すか怒るのに、予想外にのってくるし、その言い方と言い表情と言い……お前はか、可愛いんだから、頼むから危機感持てよ!絶対他の野郎にやんなよ……」
貴「う、うん!?……分かった、気をつけるね……」
私も彼の予想外の返答に困るしかなく更に頬が熱くなる。繋がれた手から伝わる体温も相まって心臓がとてつもなく煩かったけど、少し経てばいつもの私達に戻り、大いにこの日を楽しんだ。
