鬼滅
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⚠️現パロ キメ学時代 最初のみ大正時代
⚠️原作読破済みの方向け
⚠️何でも許せる方のみ
⚠️我妻善逸落ち
物心ついた時から不思議な夢を見ていた。夢の場面は様々だが、ある一定の規則性が存在する。それは必ず同じ人物が出てくることと、夢の終わりはいつも同じ光景。
〝君の音はどんなに時が経とうとも、優しくて心地いいんだよね……あー……ずっと聞いていたいな〟
布団に伏せているその人は、お爺さんなのに所々白髪の中に煌めく黄色の髪が見えた。これもいつもの光景……でも起きた時には忘れてしまう。今だけの光景だ。
お爺さんの傍で〝私〟が手を握りながら答えている。今迄の夢の光景と、お爺さんの口振りからして、この手を握っている〝私〟はお爺さんと夫婦なのだろう。仲睦まじい夫婦だったに違いない……だってお爺さんの琥珀色の瞳がとても柔らかいものだったから。
そんなお爺さんの手を握っている〝私〟も、このお爺さんをとても大切にしていることが伝わってきた。
〝私〟の声は聞こえないけれど、布団に黒い染みを作っている。下を見たらポタポタ透明の雫が布団の上に落ちていた。
〝そうだね、もうすぐ俺は君を置いて旅立ってしまう……。心配だな〜……憐ちゃんは俺と同じくらい泣き虫で寂しがり屋だから〟
〝何言ってるんだよ……君が俺の涙を拭った分と同じくらい、俺も君の涙を拭ってるからね!〟
お爺さんの問答はもうすぐこの世から旅立つような物言いだ。そんなお爺さんの泣きながら手を握って答えている〝私〟……不思議だ。本当の私じゃないのに、悲しくて悲しくて現実だったら涙が溢れていただろう。
〝俺、憐に出逢えて本当に良かった……孤児だった俺と家族になってくれてありがとう……君のおかげで、子どもや孫に恵まれて、俺の周りには、ずっとあたたかく幸せな音が溢れていたよ〟
もうすぐ彼の灯火が消えようとしている。〝私〟もそれが分かるから、素直に頷いている。
〝次の人生でも俺は君の傍にいたい。例え生まれ変わっても、どんなに離れていても、どれだけ時間がかかっても、俺は必ず憐を見つける。例え君が覚えていなくとも、俺の事を思い出して貰えるよう頑張るし、勿論思い出して貰えなくても、また何度だって君に求婚するからね。……嘘じゃないから!
鬼が怖くて散々泣いたり、文句言ったり逃げてたり皆を困らせてきたけど、結局最後までやりきるのが俺だからね。諦めないから……それで君を見つけた時はきっと……あの頃の俺みたいに泣きじゃくってると思うから、次逢えたら俺の涙を拭ってね〟
……本当に彼は最期の最期迄、〝私〟の心を掴んで離さなかった。〝私〟は同じような言葉を彼に返したんだろう。だってその時の彼の顔は、泣きながら嬉しそうに笑っていたのだから。
そして不思議なことに、夢だからなのか最初のお爺さんの姿からいつの間にか変化して、若い男の子に変わっている。白髪混じりの髪は綺麗な蒲公英のような髪に変わるけど、変わらず琥珀色の瞳が存在する。お爺さんと男の子の笑顔がそっくりだから……きっとこのお爺さんは、男の子の未来の姿だったんだと予想が着いた。
夕焼けを閉じ込めたような琥珀色の瞳が静かに閉じられる。
〝またね……憐ちゃん〟
────── 皆に愛された雷は、この日静かに落ちて消えていった……。
目が覚めた時にはいつも頬が濡れている……。何か大切な夢を見ていたと分かるのに、内容を覚えていないのだ。現実に持ち帰られる記憶は声の記憶のみ……。
〝憐ちゃんっ!!〟
〝憐っ!!〟
明るくていつも元気をくれる声……夢で見るシーンは様々だから、その時の関係性によって呼称に差は出ていたけれど、その声がとても優しくて、呼ばれる度に嬉しくなってずっと呼んでほしいと思ってしまう。
あまりにも頻度が多いから、私は父と母、妹に相談した。人は皆、毎日同じ夢を見るものなのかと……父も母も妹でさえ私の疑問に否の答えを示した。まずもって頻回に夢を見ることは、深い睡眠が取れていないのではないかと大袈裟に心配された。
(もうずっと繰り返し見るこの夢……多分この夢を終わらせる為には、あの声の主を探さなければいけない……夢の中では分かるのに現実になると記憶にモヤがかかったみたいで、結局顔は分からないし、名前も忘れてしまう……唯一分かっているのがあの声だけだから。
でもこの広い世界の中で、声だけで人を見つけるなんて……出来るのかな)
雀の声が聞こえる朝に、私は家を出てゆったりと歩いていた。今日から新しい高校に通うことになっており、その道を歩いていたのだ。別の土地から最近引っ越したこともあり、新しい環境、新しい出会いや楽しい出来事があるのかもしれないと期待に胸を弾ませていいはずなのに、私は思い悩んだ顔をしている。あまり元気になれないのはいつも見る夢が頭に離れないからだ。もう慣れてきたとはいえ、いい加減この夢の出処をはっきりさせたい。
────── 何故私は同じ夢を毎日見るの……?
────── 必ず夢の中に出てくるあの人は一体誰なの……?
下を見ながら考え込んでいたから気づかなかったのだ。右の道から泣きながら走ってきた金髪の男の子に……
「猪突猛進ーーーーー!!!」
「あっこら!!駄目だ伊之助!!」
「ぎゃあああああっ!!追いかけてくるなよぉおおお!!炭治郎!!伊之助を止めてくれーーー!!」
ドンッ!
貴「痛っ!!!」/「あぎゃ?!?!」
体に痛みと共に衝撃が走る。すぐ下を見ると、足元に人が転がっていた。あぁ、私は人とぶつかったんだって冷静に判断できた……じゃない!ぶつかったなら、この人に怪我がないかすぐ見ないと!!
貴「す、すみません……!ちゃんと周り見て歩いていなくて……!大丈夫ですか……?!」
屈んで倒れてしまっている男の子に声をかける。
しかし、倒れた男の子は起きる気配がない。どうしよう……これはやらかしたかもしれない。
静かにパニックになっている私の元に、恐らく倒れている男の子の連れである男の子達がやってきた。一人は赤みがかった髪、額に痣があり見慣れない耳飾りをしている子で、もう一人は端正な顔つきをしている青みがかった髪の男の子。二人は倒れている男の子に目を向けず、私の方をじっと見て、静かに目を見開いていた。
(何?何故こっちをじっと見てくるの?)
青色の髪をした男の子が、私を見て指を指して大声をあげる。
「お前しっぽ女!?こんな所にいやがったのか?!」
「憐じゃないか!久しぶりだな〜!」
貴「…………えっ?」
久しぶり……?初めましての間違いでは?だって私達は今初めて出会ったのだから。何故そんな旧知の仲みたいに、声をかけるのだろうか。
でも何故だろう……初めて会った気がしない……?でもこんな目立つような人達と知り合いだったら絶対覚えているはず。
「此処で会ったが百年目!俺と勝負しろしっぽ女!!」
「やめろ伊之助!憐が驚いてしまうだろ!」
伊「炭治郎、お前何言ってやがんだ!!前から肝が座りまくってたコイツが今更ビビる訳ねぇだろ!!」
炭「うっ……確かに憐は堂々とした佇まいが多かったけど、いきなり大声出したらびっくりするだろう!」
二人は私を見ながら、よく分からない話をしている。ただ呼び名は分かった……青い髪の元気な人が〝いのすけ〟さんで、赤い髪の礼儀正しい人が〝たんじろう〟さんだ。……聞き覚えがあるとは言わないけれど、全く馴染みがないとは言い難い……何なのこの感覚は……
炭「でも変だな?憐から困惑している匂いがする……他に会った鬼殺隊の皆は、喜んでくれていたのに……何故なんだ?」
一人で悩み始める赤髪の子……そういえば彼みたいな赤みがかった髪と眼をした子は赫灼の子と言われていて、火仕事をする家に生まれることが多いって誰から聞いたような……彼の場合炭を売って生活していたと…………っ?!
何で……?この男の子が炭売りだって……
貴「っ……!」
伊「それよりいい加減寝ぼけ丸を起こさなくて良いのかよ」
炭「善逸だ!……いや確かに!おい善逸起きろ!」
ドクンッ……ドクンッ……
心臓が脈を打つ……自分でも鼓動が大きくなっていることが分かる。ど、どうしよう……私に何が起きているんだろうか。そ、それによく見たらこの倒れている男の子……髪色が黄色と橙色で、蒲公英みたい……いや空に轟く雷鳴…………っ!?
まただ!何で私はこの人を〝雷〟だって……
私が奇妙な感覚に戸惑って後ずさりしていた時、意識を取り戻したのだろう。倒れていた男の子が目をパチリと開ける。
善「ひぇえええ!!酷い目にあった!痛いよぉおお……」
炭「起きたのか善逸!良かった!」
善「良かった!……じゃねぇよ!!炭治郎!!お前何ですぐ伊之助を止めてくれなかったんだよ!!」
伊「うるせぇ紋逸!!お前がいつまでもビービー泣き喚くからだろうが!!」
善「はぁああああああ?!?!そりゃ泣くだろ!!やっと俺が大好きな音が聞こえてきたんだぞ?!ずっと探してたんだ!!!感極まって泣くに決まってんだろうが!!」
炭「落ち着け善逸、伊之助!!そんなに大声を出すな!!ご近所迷惑だ!!」
善「いやお前の声も十分でかいわ!!」
私を置いてギャーギャー騒ぎ始めた3人を見て、後ずさりしていた足を止める。何だか懐かしい感覚だ……私はこの人達の事を知らないはずなのに、この光景が凄く当たり前のように思えた。それにこの声……夢の中で聞いていた声に似ている。
すると金髪の男の子が突然背筋を伸ばしたのかと思ったら、私の方へと勢い良く振り返った。
善「っ……!!」
雷を纏ったような髪色と、夕陽を閉じ込めたような琥珀色の瞳。その瞳からは大粒の雫がとめどなく溢れ出ていた。
善「やっと……やっと逢えたっ!!ずっと探してたんだよ!!」
貴「!?!?」
善「ごめんねぇえええ!!見つけるのが遅くなって……!!!でもさでもさ!俺結構頑張ったんだよ!?3歳くらいの時にふと全部思い出して、よし憐を探しに行こう!って思ってたのに、体がちっさくて一人で動ける体じゃなかったから、自分の周囲に聞こえる音は全部拾って、憐を探してんだよ!君の音は優しくて心地良い音だから、聞いたらすぐ分かるからね!!でも聞こえないし、何年か成長して、自分一人でも探せる中学生の時ぐらいから、段々範囲を広げて遠出してみたりしたけど、それでも聞こえなくてさ!!本当に焦ったよ!!それに何度か折れそうになったけど、でもあの時君と約束したから!!俺……諦めずに、ものすっごく頑張ったんだよぉおおお!!」
貴「……えっ??ちょ、ちょっと待って……」
金髪の男の子は私の手を握り、泣きながら怒涛の言葉を並べ始めた。所謂マシンガントークっていうものだろう。与えられた情報量が多すぎて頭がパンクしそうだ。
伊「……何だよアイツ。俺達といる時の倍喋るじゃねぇか」
炭「善逸だからな!それにやっと逢えたんだ……。善逸が死にものぐるいで憐を探していたこと、伊之助だって知ってるだろう?学校帰りに夜遅くまで探し回っていたり、それこそ伊之助の言うビービー泣き喚きながらもずっと頑張っていたもんな!」
少し離れた所で、赤髪の男の子と青髪の男の子は、面倒そうに、そして微笑ましそうに私達を見守っていた。
善「ビービー泣き喚いたは余計だろぉおお!!俺の恥をわざわざ憐の前で言わないでくれる?!?!」
泣いたり、怒ったり、凄く忙しい人なんだと感じた。でも私の鼓動はいまだ大きく早いまま……何故この金髪の男の子を見ると凄く嬉しいような、切ないような気持ちになるのだろうか。自分の体と心なのに、知らないはずなのに、知っているような感覚もあって益々分からなくなってきた。
混乱していると、金髪の男の子が振り向いてじっと私の様子を伺った。
善「……混乱している音がする。もしかして、前の記憶がないの?俺が誰なのか分かる?」
貴「!!」
前の記憶……?覚えてるって何?私は貴方と……会ったことがあるの……?言葉を発せずいると、彼は悟ったように口を開いた。
善「……そっか。記憶がなかったんだね……じゃ、じゃあ、俺の事も……うっ!!ごめん!し、知らない奴に……っ……いきなりこんな事、言われても……気持ち悪いだけだよね……っ……でもっ……でも俺っ……ずっと……憐ちゃんに……会いたくて!!………っ……」
彼は嗚咽混じりに自身の想いを話してくれた。握っていた私の手を離し、許しを乞うように膝を付いて俯いて泣いていた。
……確かに、自分には分からない話をされて戸惑いはあった。でも、気持ち悪いなんて思わなかった。懐かしささえ覚えていて、彼を見た時、欠けていたピースが埋まるかのように、心が満たされた。改めて彼の姿、声を聞いて、思い出せたことがある。ひとつの可能性を信じてみようと思ったのだ。
私は泣いている彼の頬に、鞄から取り出したハンカチをあてて、流れ出ていた涙を拭った。
善「っ!!」
貴「ごめんなさい……貴方が私を想って泣いてくれてるのは分かるのに、貴方が誰なのか、どうしてそんなに泣いているのか分からないんです……」
実際目の前の彼の名前を言えるのかと聞かれれば、分からないと答えるしかない。それくらい曖昧だ……。今もこの事実を告げて、彼を余計に悲しませるだけかもしれないと思うと、胸が痛い。
貴「でも、いつも夢に見る光景で、また逢えたらあの頃と同じ自分は泣きじゃくってると思うから、涙を拭って欲しいと誰かに言われていたんです……」
善「そ、それって……!!」
彼は顔を思いっきり上げて、琥珀色の瞳を丸くした。彼に今の私の嘘偽りのない想いを聞いて欲しかった。
貴「貴方の泣いている姿を見ると放っておけなくて ……嫌でしたか?」
善「嫌じゃない!!……嫌じゃないよっ!!」
あぁ、また涙が溢れ出ている。一般人では考えられないくらい涙の量だ。心配にはなるけど、変だとは思わない。この人は最期まで、泣き虫癖は変わらなかったからと自然と思った。
貴「ありがとうございます。もし良ければ、貴方の事をもっと教えてくれますか?あともう少しで……貴方の事を思い出せそうな気がするの……」
朧気ながらも思い出せた僅かな夢の内容、そして何より私自身が彼の事を思い出したいのだと、強く思っているから……彼の為にも、私の為にも思い出したい。
返答を待っている最中、彼もそっと私の頬に手を伸ばす。
善「……記憶が無くても、やっぱり憐ちゃんは憐ちゃんだね」
指で目元を拭われる。そこでハッとして自覚する……私もいつの間にか涙を流していたことに。駄目だよ、私……だって彼がよく涙を流すのだから、私はしっかりしないといけないの……
貴「な、何で……」
善「俺は知ってたよ……俺と同じくらい君も泣き虫だってね……」
彼はようやく嬉しそうに笑い、また私の手をそっと握った。
善「初めまして、俺は我妻善逸です!昔もそして将来……憐ちゃんの夫になる男です!なので今世も俺と結婚してください!!」
貴「……え??」
先程の悲しみに暮れていた姿から一変して元気になった彼は、自分の名を告げる。……あぁ、とても懐かしく愛おしい名前だと思った。一目見たとき、名前を聞いた時、とても親近感が湧いた。ずっとこの人を探していたような気がする……。でも後半の内容に突っ込まざるをえなかった。私の聞き間違いではなかろうかと自分の耳を疑った。
善「あのね憐ちゃん……俺のことを無理に思い出さなくても良いからね!そりゃ思い出してくれた方が俺は嬉しいよ?もうめちゃくちゃ泣いて飛び回る程嬉しいよ?でも、君に無理して欲しい訳じゃないし、俺にとっては同じ時代に生まれて、君に出逢えただけでじゅうぶん嬉しかったから!」
貴「……その割には変な言葉が聞こえてきたんですけど……」
普通初めて会った者同士、まずは知り合いから関係が始まり、そこから仲良くなって友人やはたまた恋人といった段階的に深い関係になっていき、所謂プロポーズの言葉を伝えるのでは……?だけどそんな一般的な常識も彼の前では無意味なのかもしれない。
善「だってだって!!今言っておかないと、憐ちゃんを他の野郎に取られちゃうかもしれないじゃん!!……ハッ!待って憐ちゃん!も、もしかして、もう既に男が居たりする……?い、嫌ぁああああ!!嫌だよぉおおおお!!聞きたくないーーー!!」
収まりかけてた涙を流し、地面に転がりながらジタバタ暴れ始める我妻くん。聞きたいのか聞きたくないのかどっちなんだろう。何だか同い年に思えない……小さな子どものよう。
善「そりゃあいるよな!?だってこんなに可愛いし、俺の奥さんだった人だもん!!いるに決まってるよな!?クソぉおおお!!俺が目を離していた隙に憐ちゃんを誑かした奴がいる!!絶対許せねぇええええ!!俺が粛清してやるーー!!」
……もう少し人の話を聞く態度を示して欲しい。架空の人物に恨み辛みを吐いても意味が無いと思います。
貴「落ち着きなさい!全く……存在しない者に恨み言を言ってどうするんですか」
刀を持っていれば振り回しそうな勢いで怒っていたのに、私の言葉にピタッと止まった我妻くん。そして、恐る恐る私に尋ねてきた。
善「じゃ、じゃあ……居ないの……?君を誑かした男とか、か、彼氏とか……」
貴「生まれてこの方いた事ありません!家族と友達が居れば、彼氏なんて必要なかったですから」
善「ぐわぁっほぅ!!嬉しいような悲しいような複雑な気持ちぃ!!……でも憐ちゃんに男が居なくて良かった〜〜〜〜!!!やったーーー!!!バンザーイ!!バンザーイ!!」
貴「何か無性に腹が立つのは気の所為……?」
別に気にしないけど、そんな両手上げて喜ばれるのは何か心外。まぁでも、泣いているよりは、笑ってる方が嬉しいかな。気を取り直して私も自己紹介を始める。
貴「……初めまして、我妻くん。私の名前は如月憐です。最近この土地に引っ越してきたばかりなので、まだこの辺りの事もよく知らないんです……なので貴方の事を含め、色々教えてくださいね。今後ともよろしくお願いします」
ペコっと頭を下げる。どんな相手であれ、敬意を持って相手に接する。厳格な父から教えられた事を実践して、我妻くんに伝えると、我妻くんも背筋を正して頭を下げた。
善「こ、こちらこそ……これから俺が色んな事を教えるし、沢山綺麗な場所も連れて行ってあげるから……末永くよろしくね!」
我妻くんは目尻を提げて、朗らかに笑った。その時、今の彼とそっくりな姿だけど、黄色い羽織を身にまとった彼が同じように笑っている姿が薄く重なって見えた。もしかしたら彼の事を思い出せる日が意外とすぐそばまで来ているのかもしれない。面と向かって〝善逸〟と呼べる日が、すぐにやってくるかもしれないと思った。
私達は互いに見つめ笑いあった後、横に並んで歩き始める。どうやら私がこれから転校する高校に彼は通っているらしい。学校に着くまでの間、私達の間に会話は絶えず、終始穏やかな時間が流れたのだった……──────。
伊「アイツら俺達の事置いて、歩き始めたぞ!」
炭「いいじゃないか……あのまま行かせてあげよう。伊之助、俺達は俺達で少し離れて別の道から行こう。やっと逢えた二人だからな……」
少し離れた所で見守っていた伊之助と炭治郎は、善逸達の和やかな様子に安心して、彼らとは異なる道から学校へと向かい始めた──────。
END
〜あとがき〜
まずはお読み頂きありがとうございます!映画を見たら、つい最推しとの内容を書きたくなって書いちゃいました!鬼滅はずっと読み専でいこうと思っていたのに、恐るべし映画効果……。これからも書けていけたら書いていきます!下記にざっくり夢主ちゃんの設定載せておきます。今後書くとしたらこんな設定の夢主ちゃんになりますので、もし次の話も読んで下さる方いらっしゃいましたら、是非ご参考までにお読み頂ければ幸いです。改めまして鬼滅の刃、映画化おめでとう!
名前:如月憐
年齢:16歳
呼吸:恋の呼吸
前世(所謂原作軸)では、善逸達と同期の鬼殺隊。幼い頃に家族を鬼に殺され、自身も鬼に殺されそうになった際、恋柱甘露寺蜜璃に助けられた。鬼への憎悪は深く、自身を助けてくれた甘露寺蜜璃への恩もあったことから、地獄の修行を耐え抜き最終選別へと向かう。その時に善逸を助け、善逸に惚れられて以降アプローチを受け続ける事になる。
甘露寺蜜璃の継子で、恋の呼吸を使っていた。鬼への憎悪と恐怖で、最初鬼の禰豆子にも冷たい態度を取っていたが、自身が守れなかった妹と重ねるようになり、炭治郎達の人柄にも触れた事により、禰󠄀豆子の事も受け入れられるようになる。
また甘露寺蜜璃とは別で、蟲柱胡蝶しのぶも尊敬しており、その影響で口調を真似して敬語にした。しかし、仲が深まると本来の口調で話すようになる。カナヲ、アオイとも仲が良い。
原作沿いに進み、最後は善逸と結婚。その後転生しキメ学時代へ。なかなか善逸達が逢えなかったのは、転生した憐は両親の仕事の都合上、幼い頃から色んな場所を転々としていたから。
長編を書く際はもっとしっかりした設定で書きます!再三にはなりますが、改めてお読み頂きありがとうございました🙇♀️
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