天空の難破船【完結】
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(……何で快斗が私の部屋に居座ってるんだろう)
青子達を見送った後、自宅へと戻って行った私達。我が家に戻って、さぁ体を休めようと自室に戻った時、少ししてから何故かもう一人の幼馴染、快斗までが私の部屋へと入ってきたのだ。
……てっきり彼も青子達と一緒に帰ると思っていたのに、私達の後に普通に家の中に入ってきたのだ。それはまだ良い……彼や青子が家にいる事自体珍しい事じゃないから。でも私の部屋にノックしてきて、扉を開けてあげれば、無言で入ってきて地べたに座って携帯を触っているのだ。
貴「……??」
それを私はベッドに腰かけながら眺めている。彼の行動に疑問が浮かぶ。昔なら、それこそ男女の差を明確に分かってない時期の時は私の部屋によく訪れていたし、逆に私もアイツの部屋に遊びにも行っていた。異性として意識し始めてから、気軽に訪れることは出来なくて、玲於が行く時に一緒に着いていったり、青子と二人で行ったりと一人では行かなくなった。アイツもまた成長してからは玲於と一緒に来る時にしか来なくなった。
来るとしても、私を起こしに来たりと長居しない呼び掛けの時ぐらいだろう。だからこそ今のこの状況に、戸惑いを感じている。
──────どうしよう、気まずいな……
逆に快斗は普通にしている事に驚く。でもそれだけの事で気まずさを感じている訳じゃない。これは私の問題……私だけが抱えている〝疑念〟もあるから、それを確かめるまでは、心穏やかに過ごせない。一度試したことはあったけど、またその疑念が復活してしまった。その疑念を晴らしたい……だけど、確かめたらきっとギクシャクしてしまう……それも嫌だ。
どちらの可能性も残っているから、まだこのままでいたい。早く確かめたい気持ちと、このままいつもと同じように過ごしたいという気持ちが自分の心の中で、せめぎ合っていた。
快「……青子から詳しく聞いたぞ。お前まーた無茶したな」
突然快斗は携帯から画面を外し、責めるような口調で問いかける。予想だにしない言葉が飛んできた。
快「……殺人バクテリアに感染の疑いがあった奴が中森警部に近づいた時、警部を守る為に前に出たんだってな……自分の身を省みずに……」
飛行船での私の行動を責めているように聞こえた。
貴「咄嗟に体が動いちゃったの!……銀三さんを守る為にはそうするぐらいしか私には出来なかったから……」
言い訳みたいに聞こえるかもしれないけれど、私は快斗みたいに手品が上手い訳でも、機転が利く訳でもない……
玲於みたいに冷静に行動出来る訳でもない……
蘭や和葉ちゃんみたいに、武道の心得がある訳でもない……
特に何か秀でた才能を持つ訳でもない一般人の私が出来る事といったら、自分の身を使って銀三さんの前に立ちはだかることだった。これ以上近寄らせたくなかった。
快「なるほど……憐、お前は自分の行動は正しかったと言いたいんだな」
貴「それは……他にも出来たことはあったかもしれないけれど、私があの時出来た行動は最善だったって言えるよ……」
快「もし警部を守ることが出来て、代わりにお前が感染したとする……それで警部が喜ぶとでも……?」
貴「っ!……」
それは考えていなかった訳じゃない。優しい人だから、私の行動に心を痛めるだろうとは予想できた。図星だった故に快斗の言葉に何も言い返せず、黙っていると彼は続け様に言い放つ。
快「それに殴られそうになった小さな女の子を庇って、代わりに殴られたって聞いた。しかもその殴った奴は犯人の一味で銃を所持していたって……」
いつものおちゃらけた態度ではなく、鋭い目つきで私を見ていた。……間違っていなければ、怒りを滲ませていた。
貴「それは私のせいなんだから当然だよ!……あの子は、私がコナンくんに連絡取るように言ったせいで、殴られそうになったんだから!哀ちゃんは小さな女の子なんだから、本当に殴られていたら私よりも酷い怪我になってたかもしれない……私のせいで、これ以上怖い思いをさせたくなかった!だから私が守るのは当然なんだよ……!」
銀三さんの件で責められることはまだ良い……だけど哀ちゃんの代わりに殴られた行動に関しては、間違ってないと断言出来る。彼に説明した通り、私が自分の判断で哀ちゃんを巻き込んだ……だから哀ちゃんを守るのは当然よ。
快「……ガキども守る為に体張って、自分が気絶してたら世話ないぜ」
飛行船が傾いた時の私の事を言ってる事も容易に分かった。
貴「さっきから何なの?!やけに突っかかるじゃない!私の行動が間違ってると言いたいのよね?でも私は、自分が出来る限りの最善の行動をしたと思っている!例え小さな事でも大切な人達を守れるのなら、私はやるよ!やらないで後悔はしたくないから……」
彼の嫌味な言い方に痺れを切らした私は、立ち上がって強く言い放つ。私なりに行動した訳、私の真剣な思いは彼に伝わって欲しい。自分の行動に間違いはなかったと自信があった私は、決して下を向かなかった。……でもそれは快斗も同じ。彼は私の言葉に尚視線は鋭いままだった。
快「バーロー!!自分の身を大切に出来ねぇやつに他人を守ることなんて出来ねぇよ!」
貴「なっ!……」
突如予想出来なかった怒号、私と向き合う形で快斗も立ち上がる。
快「相手は傭兵集団で、人を殺すことに躊躇しない連中だったんだ!そんな奴ら相手に誰一人死ななかったのは!…………本当に運が良かったんだよ。アイツらは刃向かったお前を最悪銃で殺すことも出来たんだぞ……」
……自分の行動は正しかったはず。……でも大切な人に、こんな辛そうな顔をさせてしまうのなら、私の選択は本当に正しかったのか……気持ちが揺らいだ。
快「それにな、守られた奴が喜ぶとでも思ったのか!?……捨て身で守られても嬉しくともなんともない!自分の代わりに危ない目に合わせてしまったという罪悪感が強くなるだけだ!現にお前が助けた人達の様子はどうだったんだよ……?」
快斗の言葉を受けて、脳内に飛行船での出来事を思い返す。確かに銀三さんを守った時も、哀ちゃんの代わりに殴られた時も、二人は喜ばしい様子ではなかった。銀三さんには叱られ、哀ちゃんには静かに謝られた。私の意識が戻った時、ベッドの傍で見守っていたであろう子供達が泣きながら謝られた。……誰も喜んでなんかいない。銀三さんの時だって私が出なくても、もう少し待ってたら蘭が助けてくれてたかな。哀ちゃんの時、私じゃなくそばにいたのが蘭だったら……あの人に殴られる前に止められたのかもしれない。
貴(……やっぱり私のした事って意味がなかったのか……馬鹿みたい)
……本当は快斗に指摘されなくても分かっていた。自分の行動は正義感に酔いしれた無意味な行動だったってこと。
あれだけあった自信はすっかり落ちてしまい、足に力が入らなくなりベッドに腰掛ける。誰より指摘されたくない人に正論を指摘されて、心が折れそうだ。
情けない、恥ずかしい……色んな感情が錯綜し、とてもじゃないが快斗の顔をまともに見られなくなった。鼻もツーンとして痛くなり、1度でも瞬きをすれば膜を貼っていた水が決壊しそうだった。伏せてしまった顔を上げられそうになくて、俯いていると頭にそっと触れられた感触がある。それは左右にゆっくりと動いた。……頭を撫でられている。アイツにしては珍しく優しい手つきで撫でられていることが分かる。
貴「……どういうつもり?私を言い負かせて満足したでしょ」
快「んな訳ねぇだろ!……寧ろ自己嫌悪で気分最悪だぜ」
何で自己嫌悪なんかする必要があるのよ。彼が正しいと、今更認めた私。それでも顔を上げられないのは、ちっぽけなプライドが残っているからだろう。彼は私の顔を覗き込むようにしゃがむ。……幼い頃から知っている青い瞳と目が合った。
快「……悪い、少し言い過ぎた。憐の行動も正しくない訳じゃない……でも俺はどうしても許せなかったんだよ!自分の命は二の次で、誰かを守ろうとするお前の行動にな……」
自分の身を蔑ろにしているつもりはなかった。死んでもいいからあの子達を守りたい!って気持ちではなく、単純に自分よりもか弱き存在なのだから守らなきゃという使命感で体が動いていた。
貴「そ、そんなつもりはなかったけど……」
快「……少なくとも俺にはそう見えたぜ」
貴「見えたって、どういう事……アンタあの飛行船にいなかったよね」
ギクッ
快「!!……み、見えたというか、話を聞いて想像出来たんだよ!と、とにかく今後自分の身を危険に晒すような行動は一切とんじゃねぇぞ!」
そう言うと快斗は、立ち上がって背を向けた。何だか誤魔化されたように見えたのは気のせいだろうか?
貴「……」
快「おーい憐ちゃん〜立派な返事が聞こえないぞー……」
貴「何よ憐ちゃんって!普通に呼びなさいよ……気持ち悪い」
快「ほぅ〜〜?減らず口を叩くのはこの口だなぁ!!」
グイッ
貴「ちょっほ!!ふぁにすんのほ!!」
私の返事が気に入らなかった快斗は、再度しゃがみ始め、いきなり私の両頬を思いっきり引っ張った。
快「おぉ!久々の感覚だな〜……憐の頬って昔からよく伸びるよな」
貴「いふぁい!!はなひて!!」
快「ったり前だろ〜痛くしてんだからな」
痛いからやめてと言っているのに、快斗は痛みを与える為にわざと私の頬を離さなかった。それどころか縮めたり引っ張ったりと頬の感触を楽しんでいるようにも見える。
快「今後自分の身を危険に晒すような行動はしないって約束出来るなら、今すぐやめてもいいぜ」
貴「ふぉ、ふぉれは……」
彼の出された条件は私を身を案じてのもの。分かってはいるけれど、また同じような状況になった時、私はどう動くのか……約束を守れる自信が無くて、視線を逸らし返答もまごついた。
快「……何でそこで渋るんだよオメーは!言っておくが、ここで約束出来なかったらもっと力は強まるからな」
貴「!?……ふぁかった!!やくほくするから!!だからふぁなして……!!」
私が素直に頷かなかったから、快斗は強行手段をとる。これより力を強くされたら、頬が元に戻らなくなっちゃう!未来の自分より今の自分の体優先。私は快斗の腕を叩きながら、快斗の出す条件を受け入れた。私の返事に納得した快斗はようやく両頬を掴んでいた手を離した。
貴「うぅ、痛いよ〜……絶対これ赤くなってる……」
自分の頬を労わるようにその部分をさする。すぐそばに鏡がないため、見ていないけれど絶対自分の頬は赤くなっていると分かる。
快「すっげー痛かっただろ……それがオメーを失いそうになる度に感じる俺の痛みだよ」
貴「!?」
快「これに懲りたら、今後無茶な行動はすんなよ」
貴「……うん」
どれだけ意地悪されたって、私の為に怒ってくれている事が分かるから素直に頷くしかない……。
それに私も快斗が同じようなことをしてたら、きっと口を酸っぱくして快斗に伝えるだろうな。どれだけ心配していたのか、そして今後はもうこんな無茶な行動はしないでと約束させる。
貴「……ならさ!私も守るから、快斗も守ってね」
快「はぁ〜?守るって何をだよ」
私はこの目で幾度となく目撃している。彼が無茶をして大変な目に合ったり、時には殺されそうになったこと。私を守る為に、自分の命を懸けて守ってくれた……もしかして、あれは幼馴染の私が狙われたから守ってくれたのではと有り得なさそうで有り得る考えまで浮かんできた。
あの時は危ない所を助けてくれた人だから、例え犯罪を犯している泥棒だとしても生きていて欲しいと願っていた。でももし今の私があの場にいたら、きっとその時の心境はあの時の私と違うものになっているだろう。……本当に生きていて良かったと心の底から思う。
(だからこうでも言わないとまたきっと無茶をする。疑惑の段階だけど、今のうちにちゃんと言っておかないとね)
何故自分の身を危険に晒してまで宝石を盗む怪盗なんてやってるのか、分からないけれど……
とにかく私に約束させるなら、快斗にだって守ってもらわないと公正じゃないよね。
貴「これから先、自分の身に危険が及ぶようなことはしないって……」
快「!?……何で俺にそんな事……」
貴「良いから!約束ね……快斗」
彼の顔色が変わり、何かを察したような眼差しに変わる。
────── 備えあれば憂いなし……今もまだ信じられない。どんな理由で、私達に隠してあんな危険な事をしているのか分からないけれど……もし快斗があの〝怪盗キッド〟なら……
────── 私はどうしたらいいの……?
憐は見上げた先にある快斗に対して、違和感を与えぬよう、いつものように微笑んだ……。
END
〜あとがき〜
お待たせしてしまい申し訳ございません💦 めちゃめちゃスランプでした!でもやっと終わりました……天空の難破船完結です!原作の名探偵コナンでは蘭がコナンくんに対して何度も工藤新一疑惑をかけては晴らしてってことをやっていたと思いますが、当サイトの夢主ちゃんと快斗もそんな感じになります。すみませんが、これは私の好きポイントなので外せません。初期の工藤新一と毛利蘭の関係性がドツボなので、似たような展開が続きますが、皆様何卒当サイトの二人をよろしくお願いいたします🙇♀️
さてお次はまじっく快斗原作のお話です。次のお話ですが、時間軸を思いっきり変更させて頂きます。そのお話は名探偵コナンよりも前のお話、工藤新一がまだコナンになってない時間軸だったと後で明かされたあのお話です。内容も少し変わるかもです。更新ペースが遅くなり申し訳ございません💦 皆様のいいねが管理人のモチベになっていますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします🙇♀️
