天空の難破船【完結】
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新「……どうした?久しぶりで俺の顔も忘れちまったか?」
蘭「…………」
貴「く……どう……くん?!」
新「よう神崎……!久しぶり……」
キッド(?)疑惑がかかっているウェイターさんが実は工藤くんだった……?いくら何でもそんな事有り得る?!……でも、今目の前で起きている事実は否定出来ない。
(キッドが……工藤くんだった?!……そんな……)
どうしてこんなにも……ショックを受けているのかな。何なのこの気持ち……私よりも蘭の方がショックを受けていいはずなのに、彼女はブンブン顔を振った後、工藤くん(?)の顔をつねあげた。
蘭「キッドの正体が新一ですって?笑わせないで!どうせ得意の変装……」
新「イテテテ……」
蘭「……じゃない!」
新「ったりめーだ!!素顔なんだから!!」
得意の変装かと思ったけど変装は剥がれなかった。つまりこれが彼の素顔……
蘭「いいや……前に私が飛行機を不時着させちゃった時の新一も……警部が顔引っ張っても変装が解けなかったわ!元々、顔だけ似てるんじゃない?」
貴「!!……(あの時の工藤くん、キッドだったの?!)」
私はあの飛行機着陸させた後、数日間意識がなく、結局目覚めた後に、皆の様子がどうだったのか聞いた。でも工藤くんのことは聞いていなかった。……あの時の工藤くんが、キッド??蘭に告白みたいな事をしていたのに……?
僅かには信じ難いけど、蘭がそう言うのならそうなんだろう。となると私にとって恐ろしい事実が浮上する……
(あの時銀三さんが顔を引っ張っても、蘭が顔を引っ張っても変装がとけなかった。もしこれが本当の素顔で、本当に工藤新一くんなら……怪盗キッドは工藤くんってことになる。……それなら何度も私を助けてくれたのも、月夜の会話も、病室で話したキザな言葉も全部……工藤くんが?!……そんな事ってあるの?!蘭大好きな工藤くんが……?!)
それともう一つ別の可能性……
(それにもし仮にこの人が工藤くんじゃなくてキッドで、工藤くんとそっくりなこの顔が素顔なら……キッドの素顔は……変装でもなく……本当にアイツと似ていることになる。そしたらまた疑うことになるじゃない。
……怪盗キッドの正体が、快斗だって……)
……目を逸らしても現実は変わらない、また浮上してしまった可能性。どちらに転んでも私も蘭も絶望する事実。私は二人に反応する気力がなく、顔を下を向けていた。
中「クソッ!!俺とした事が迂闊だった……」
新「!!」
中「奴は必ず犯行前に下見に来る……宝石の前を離れちゃ……」
銀三さん達が警察の人達を連れて、宝石を守りにやってきたようだ。どんどん私達の方へと近づいてくる。
蘭「あっ!!中森警部〜〜!!」
中「ん?そこにいるのは憐ちゃんと……??」
蘭が中森警部にこの工藤(?)くんを引き渡そうとする。どうしよう……私はどうしたらいいんだろう……分からない……どうしたらいい……
蘭「こんな逃げ場のない飛行船に乗ったのが運のツキよ!観念なさい!!」
新「……(しょうがねぇな……悪ぃな憐……)」
工藤(?)くんは、ゆっくりと口を開く。
新「飛行船じゃねぇ……UFO……だろ?」
蘭「……!?」
蘭は突然掴んでいた工藤(?)くんの腕を離した。
新「確かオメー、ガキの頃そう言ってたよな……オメーにしてみれば今の俺は、突然UFOに現れた得体の知れねぇ宇宙人に見えるだろうが……怪盗キッドは、ある事件を解くために……やむなくやってんだよ!その証拠に盗んだ宝石は、後で持ち主に返してるだろ?」
私には全く分からない話……大方蘭と工藤くんの小さい頃の思い出話……ということはこの人は本当に工藤新一くんで、怪盗キッドは彼の別の顔ということだろうか……?快斗ではないという結論に救われたと同時に、それならどうして……
─── 私を何度も助けてくれたのは……
───クラスメイトだったから……?
─── 病室で放った告白みたいなセリフも
─── 全部全部……私を揶揄って反応を楽しむ為……?
キッドが工藤くんならそういうことよね?蘭という本命がいるのだから、あれもただ揶揄っただけ。新庄さんの時も、私の反応を見て楽しんでただけ……キッドは恩人だから他人より少し好ましいと思っているだけで、恋愛対象としての感情は彼には持っていない……だって私が好きなのは今も昔もアイツだけ……キッドはあくまで友達……そうしないと、今までの私の気持ちはどうなるの??だから、周りから何と言われようとも否定してきた。
……でも人間って厄介で、ただ似ているというだけでだいぶ印象が良くなる。私の場合、キッドはどれだけ目を逸らしても似ているのだ……
────── 大切な快斗に……
一度は疑った……怪盗キッドの正体は、実は幼馴染の黒羽快斗じゃないかって……。顔、出で立ちがとても似ていて、手品が上手くて、頭も良くて、優しくて……違うとすれば、キザな台詞を平気で言えることと、丁寧な口調……あまりにも似ている要素が多すぎる。だから疑った!……でも素顔が似ているなら、快斗とそっくりな工藤くんの存在もある。それだけで絶対とは言えないし、キッドは変幻自在の怪盗。お得意の変装で、銀三さん達の追跡を何年も掻い潜っていた。それならたまたま快斗に似た変装をしているんだなと思っていた。
変装だけじゃなくても、他の面でこんなにもアイツに似た要素があるから……私は他の人よりはキッドを良く思っていた……しかし、何故か裏切られた気分。大切な人に似ていることと、助けて貰った事があるから、私は怪盗を信頼していた。
でも怪盗キッドが工藤くんなら、話は別……蘭という大切な人がいながら、どうして私に必要以上に絡んできたの……!!飛行機から連れ去ろうして助けようとしたのよ……!!どうして青蘭さんから命を懸けて守ってくれたの……!!
もう私の心はぐちゃぐちゃだ……何故私が傷ついているの……私が好きなのは快斗であって、あの怪盗じゃない!心乱されるのはもうやめよう……!確かに優しい所もある……だけど、蘭を大切にせず、人を揶揄って楽しむような人だったなんて!!
もうあの怪盗……工藤くんは信用出来ない……私って馬鹿だな。青子の言う通り、人を馬鹿にする最低な人じゃない……!蘭には悪いけど、私はもう工藤くんも怪盗キッドも嫌いになりそうだった。
新「オメーに捕まるならしゃーねぇ……観念するぜ……」
蘭「新……一……」
中「どうした?何かあったのか??」
蘭「あ、いえ……」
中「何か気づいた事があれば……」
蘭「何でもありません!」
どうやら蘭はこの怪盗を突き出すことはやめたらしい。それはそうよね……だって自分の好きな人が怪盗キッドだったんだもの、突き出せる訳ない。私も快斗が怪盗キッドだったらきっと……突き出せない……。
中「そうか…………?憐ちゃん、大丈夫かい?元気がないように見えるが……」
銀三さんが先程から一言喋らない私に気づいて、声を掛けてくれた。こんな時でも私に優しい銀三さん……私は蘭と違ってこの怪盗を、銀三さんに突き出したいと思っていた。でも……
貴「いえ、大丈夫です……ありがとうございます銀三さん……お先に失礼します」
そんな事出来ない……だってあんな怪盗でも、大切な友達の大好きな人なのだから……私は軽く頭を下げて、足早にこの場を去った。ごめんなさい銀三さん……力になれなくて……
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快斗side
俺はさっきまで絶体絶命のピンチを迎えていた。名探偵の彼女に貰った絆創膏が、
今もとんでもない馬鹿力で抑え込まれている。
そんな俺を心配してか、力を緩めるよう憐が駆け寄って名探偵の彼女に頼む。
憐に余計な心配をかけさせたくなかった俺は、このピンチを切り抜ける為、咄嗟に思い付いた方法を実行する。まさかまたコイツに変装するとはな……!
それは……変装していたマスクを剥がし、〝工藤新一〟に変装すること!
俺と素顔がそっくりな名探偵に変装して絶体絶命な状況をのりきる方法にした。これなら、変装だとバレない……と考えていたが、現実はそう上手くはいかない。
あの飛行機事件の事から、彼女は
どうする……?!またもや絶体絶命の状況で、ある話を思い出した。
蘭『新一〜〜〜〜!!大変大変〜〜〜〜!!
UFOだよ!!UFOが飛んでる!!』
新『UFOォ……?』
蘭『ほらアレ〜〜!!』
名探偵と彼女の幼い頃の記憶……二人しか知らない秘密の思い出。名探偵が阿笠博士と連れの小さな彼女に話していたのをこっそり盗み聞きしていた。これを使うしかない……二人しか知らない思い出の話を使えば、流石の彼女も信じ込むだろう。案の定、名探偵の彼女はその話をしたことによって、俺を工藤新一だと信じたようだ。
(ラッキー!!どうにかなったぜ……)
寸前の所で、中森警部に突き出されずに済んだ。九死に一生得た気分だ……やっと落ち着けると思った時、ようやくアイツの存在を思い出す。
(そういえば、憐が静かだな……)
先程から全然会話に入ってこない憐……名探偵を演じ切る為、名探偵と親密な彼女の方を優先してしまったが、憐だって友人なのだから少しくらい会話に入ってきて良いはずなのに、全く会話に入ってこない憐。そっと彼女の方を見やった……。
(憐……?)
ようやく見た彼女の表情は瞳に涙を浮かべて、唇をギュッと噛み締めていた……
でも直ぐに拭いさって普通の表情に戻す。周りに心配かけまいとする昔からする仕草……少し視線を下にして彼女の拳を見る。その拳は固く閉ざされていて、震えていた。……これも昔から憐がする仕草……本当は怒りたいのに必死に我慢している証拠だ。
───昔から泣き虫で、意地っ張りで、とんでもなく優しいアイツが見せた幼い頃からの仕草……
それによって俺は、憐がとてつもなく傷ついているということが分かったのだ。そして昔からアイツを知る中森警部も憐の異変に気づき、声をかけるが憐は、痛々しい笑みを浮かべて一人去って行った……。
(何でだ?!今のやり取りで憐が悲しむ要素なんて何処にもなかったはず……でも状況的に見て俺のせいだ……俺の行動で憐を傷つけてしまった……とにかく、アイツの様子を見に行くしかねぇ……)
新「じゃっ、俺はこれで……」
蘭「私の勘違いでした……すみません。じゃあ……」
新「うわぁ!」
俺の意思と関係なく、名探偵の彼女に引っ張られて、中森警部を残して俺達もスカイデッキから去った……。
彼女に引っ張られてエレベーターに乗り、通常フロアへと辿り着く。今すぐにでも憐を追いかけたかったが、今の俺は〝ウェイターに変装している工藤新一〟というややこしい設定のせいで、彼女を放っておくことは出来なかった。
(ピンチからのりきったとはいえ、これじゃ憐に何も出来ない!早まったか……?でもあぁでもしないと、彼女を騙すのは無理だっただろうし……ヤベェ、何とかしねぇと……)
とりあえず一旦は名探偵の彼女とも離れた方がいいだろう……それにここまで仕事をサボっていると、目立ってしまう。目立つと動きにくいし、仕事所ではなくなる。ウェイターの仕事しつつ、憐の様子を探るか。
俺は名探偵の彼女に「じゃあな」と言い、自然に離れようとするも、彼女から「ねぇ……」と呼び止められる。
蘭「私……信じてないから」
「……では失礼します」
憐だけじゃなく、名探偵の彼女まで傷つけている。これはバレたら名探偵に仕返し喰らいそうだ……。彼女は憐の大切な友人……俺だって傷つけたくはないが、これは仕方ないのだと自分に言い聞かし、彼女を残して俺も立ち去った。
