銀翼の奇術師【完結】
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コナンside
コ「ったく蘭の奴……」
俺は時間を見計らって蘭に電話をかけた。蘭が無事なのは、先程自分の目で確認していた為、何の心配もなく電話をかけたのだが、蘭にしては珍しくなかなか電話に出なかった。何かあったのかと心配したが、その後蘭から折り返し電話があった。
俺がコイツに電話をかけた理由……それはあの時、俺に告げた好きだという蘭の言葉の真意を聞きたかったからだ。しかし、どういった経緯でそう思ったのか分からないが、蘭の中で先程電話をかけた工藤新一は、怪盗キッドだと結論づけられてしまい、上手くはぐらかされてしまった。
(……何が私とキッドだけのヒ・ミ・ツ☆……だよ!結局有耶無耶になっちまったぜ……)
まぁでも、俺がアイツに想いを伝えるのは黒ずくめの奴らを全員牢屋にぶち込んで、元の体に戻れた時。〝工藤新一〟の姿として、アイツの前に立てた時……その時まではお預けだな。そう思うとこれで正解だったのかと、自分を納得させて、蘭がいる場所へと向かう。
蘭は近づいてくる俺に気が付き、大きく手を振る。俺も答えるように振りながら近寄った。そして少しの談笑後、蘭が気になることを言い始めた。
蘭「それでね……さっきの新一からの電話の前に、救急隊員の人が声をかけてきたんだけど、その人がキッドだったんだよ……!」
コ「えっ?本当?!というか何で蘭姉ちゃんは、その人がキッドだって分かったの?」
キッドの奴……蘭に話しかけてたのか。だが何故……俺達の生存確認の為?
蘭「それはキッドが変装してた新庄さんと同じようなことを言ってたからよ!」
コ「それってどんなこと?」
俺が追求すると、蘭は言いにくそうに口を開ける。
蘭「そ、それは
コ「え……」
そう言って無理やり終わらせてしまった蘭。こっちは良くねーのに……無理に聞き出そうとするも、蘭は素直に話そうとはしなかった。変わりに話題を変えて再度話し出した。
蘭「そういえばあの時、キッドが不思議なこと言ってたのよね……」
コ「不思議なこと??」
再度俺の追求にも、今度は素直に答える蘭。
蘭「うん、確か……
〝ありがとうな……アイツを助けてくれて……〟
……だったよ。私が助けたってどういうこと?それに〝アイツ〟って誰の事なのかな……?」
コ「……」
蘭はキッドの発した言葉の意味が分からず、首を傾げていたが、俺には奴の真意が分かった。
────── ありがとうな……アイツを助けてくれて……
これはそのまま素直に解釈すればいい。キッドの大切な人が俺達と同じ飛行機に乗っていた……だから、飛行機を無事着陸させた蘭にお礼を言ったんだ……。
飛行機に置いていきたくなくて、飛び降りる時、一緒に連れ去ろうとするぐらいだ。きっと奴は彼女だけでも助けたくて、彼女に自分と一緒に飛び降りて欲しいことを伝えた。一人くらいなら抱えられる、助けることが出来ると言って……しかし、彼女自身がキッドのその提案を断った。きっと彼女の意思を尊重して、キッドは一人で飛び降りた。
そして彼女が乗っている飛行機が無事着陸出来るように、操縦している蘭が着陸しやすいように、自分が囮となり大量のパトカーを引き連れさせて、滑走路を作り上げたんだ。
(そして奴の言う〝アイツ〟とは……恐らく神崎の事……)
奴は認めなかったが、今迄の神崎に対しての行動、そして今回の神崎とのやり取りから容易に推測が出来る。ただそれも奴と神崎の本当の関係を知らないと分からない。蘭が分からないのも無理は無い。
そういえば蘭、園子の姿は先程確認出来たが、救助された神崎の姿は確認出来ていない。あれからどうだったのだろうか?俺は簡単な目視だけでしっかりとは確認していない。俺が考え込んでいると、蘭が反応のない俺を心配して何度も「コナンくん?コナンくん!」と呼びかけていた。それにすぐさま「何でもないよ!」と返事をすると、蘭は安心したように笑い、何故かポケットをまさぐり始めある物を取り出した。
蘭「それとね……はいこれ」
コ「蘭姉ちゃんこれどうしたの?」
蘭がポケットから出した物……それは、紫の宝石がついたストラップだった。見目、色合いからこの宝石はアメジストだと分かった。だがこんな物、蘭は持っていなかったはず……どんな経緯でこれを所持しているのか。俺は蘭に訳を問うた。
蘭「私の足元に落ちてたのを拾ったんだ……きっとこれ、キッドの落し物ね」
コ「どうしてこの宝石がキッドの物だったって分かるの?」
蘭は確信めいた表情で言い放つ。自分の考えに余程自信があるようだった。
蘭「だって、キッドが来るまでは落ちてなかったもの!キッドが立ち去った後、電話をかけようと携帯を見た時に、足元に光る物を見つけて拾ったんだもの。こんな綺麗な輝きのある宝石……キッドが来る前に落ちてたら、その時にすぐ分かるよ!
だから私、この宝石はキッドが持ってた物なんじゃないかなって思うの!コナンくんは、どう思う……?」
コ「……確かに。それならキッドの持ち物の可能性は高いね。ちょっと貸して……!」
蘭「はい!どうぞ……」
蘭から手渡されたキッドの所有物であろうその石を貸してもらい、注意深く観察した。
(至って普通の宝石だな……ストラップの形状にして持ち歩いてるってことは、恐らくこれはパワーストーン……ん?!このアメジスト、よく見たら何か彫ってあるぞ?!)
アメジストの側面に小さく何かが刻まれていることに気づいた。蘭が再び俺の名を呼ぶが、それも気にならないほどに俺は見入っていた。
(小さな文字が彫られている。これはアルファベット……なるほどイニシャルが彫られてるのか!イニシャルはR.K.……R.K.??)
落ちていたパワーストーンのアメジストには、小さくアルファベットでR.K.と彫られていた。恐らくこれは持ち主のイニシャル……即ちキッドのイニシャルってことになるが、奴の本当の名前のイニシャルがR.K.って事なのか?……それにしては何故か違和感がある。それに何故アメジストなんだ??何か深い意味があるのか……
蘭「コナンくん!コナンくんってば!」
コ「っ!!……何?蘭姉ちゃん」
蘭「何?……じゃないでしょ!全然返事しないから心配したのよ?」
コ「ごめんなさい!この宝石にイニシャルが彫られてるから気になっちゃって……」
蘭「えっ??……ちょっと見せて」
コ「はい!」
蘭にアメジストを手渡す。蘭はアメジストを頭上に掲げ、彫られている文字を確認していた。そしておもむろに呟く。
蘭「これ……憐が買ってたのと似てる気がする」
コ「えっ?!」
怪盗キッドと神崎の関係性を知らない蘭の口から神崎の名前が出るとは思わず、全力で驚いてしまった。そんな俺に、蘭は懇切丁寧に説明してくれた。
蘭「ほら〜前に大阪にある美術館で、園子のお父さんがメモリーズ・エッグを見せてくれた時があったでしょ?その時に憐が大阪のお土産でパワーストーン買ってたんだよ。確か……幼馴染の子達と自分の分を買ってたんだよね」
(なるほどな……)
聞けば大阪観光の時に、俺は服部とそして蘭達は蘭達で、大阪を回った時があった。その時に神崎はそのパワーストーンを買っていたらしい。
コ「じゃあさ!憐姉ちゃんが、誰にどの石を買ってたか分かる?」
蘭「うーん、確か4つ買ってたんだよね〜。何だったかな……?」
コ「蘭姉ちゃん!!頑張って思い出してよ!!」
上手くいけばキッドと神崎の幼馴染の男を繋ぐ鍵になるかもしれない……それぐらい重要な証拠になると考えていた俺は柄にもなく蘭を急かしてしまっていた。
蘭「うぅ〜ん……あっ!そうだ思い出したわ!憐が買ってた宝石は、青のサファイア、黄色のキャッツアイ、白のムーンストーン、紫のアメジストよ!それぞれ贈る人の誕生石で選んだって言ってたよ!」
唸りながら顎に手を当てて考え込む蘭。しかし、思い出したようで詳細を俺に教えてくれた。誕生石のパワーストーンをそれぞれの人物に贈った……か。
コ「ねぇ蘭姉ちゃん……憐姉ちゃんの誕生日っていつ?」
蘭「憐は2月よ……バレンタインがある月が誕生月って言ってたから」
コ「ふーん……(2月の誕生石はアメジストとキャッツアイ……もう一人、2月生まれの奴がいるってことだな)」
蘭「そういえばあの時憐、自分用にアメジスト買うって言ってたから、てっきりアメジストを持ってると思ってたのに、アメジスト持ってなかったんだよね……」
コ「え??」
一体どういう事だろうか。
蘭「憐は手首にミサンガ巻いてるんだけど、そのミサンガに白い石が付いてるじゃない?聞いたらあの時買ったムーンストーンだって言ってんだよ。あれ?アメジストじゃなかった?って聞いたら、憐口ごもっちゃって、結局理由は分からずじまいなんだけどね……」
コ「口ごもった……?」
何故蘭から質問された神崎は口ごもったのだろうか?聞かれたくなかったのか?
それに自身の誕生石をしっかりと把握し、アメジストを最初に購入していたのにも関わらず、自分の誕生石とは異なるムーンストーンをつけていたのは何故なのか……?ムーンストーンは6月の誕生石だが、間違えて購入している訳ではなさそうだ……となると神崎は、意図的にムーンストーンを所持していたことになる……。
────── 自身の誕生石のアメジストを買うと言っていたのにも関わらず、何故かムーンストーンを所持していた神崎
────── 神崎の購入したパワーストーンと似た、イニシャル入りのアメジストを持っていたキッド
────── ムーンストーンを持っていた経緯を聞かれて口ごもる神崎
……………っ!!!
コ「なるほどな……そういうことか」
蘭「コナンくん??」
今まで点と点で存在していたものが、一気に繋がり線となる。まだ不確かだが、これは上手くいけば奴と神崎の繋がりを示す大事な証拠となる。
(やっとお前の正体が分かったぜ…… 怪盗キッド!!)
コ「蘭姉ちゃん、これ貰うね……」
蘭「えっ??でもこれ一応警察に届けようかなって思ってたんだけど……」
コ「大丈夫!僕が代わりに届けておくからさ」
結局最初は心配そうにしていた蘭だったが、代わりに警察には俺が届けてくることを伝えたら、納得して俺にこのアメジストを渡してくれた。
蘭には悪いが、警察に持っていくつもりは無い。然るべき時に、直接本人に突きつけて逃げられなくさせる為に使うとしよう。俺はキッドが所有していたとされるアメジストを落とさぬよう、丁寧に自分の懐に入れた。
その後蘭の様子も兼ねて、俺達は救急車で病院にかかることになった。
この一連の出来事をきっかけに、少年は思考を重ね怪盗の真実を探っていた頃、その怪盗は救急隊員の変装を使い、ある人物を探し回っていた。
乗客、他の救急隊員、警察その他様々な人で現場はごった返しになっている。なかなか該当の人物を見つけられずにいたのだ。
快(何処にいんだよ……憐……!)
怪盗は焦っていた……お目当ての憐が見つからない。憐の近くに座っていた園子や蘭はすぐ側で見つかったと言うのに、誰よりも無事を祈っていた彼女だけが見つからないのだ。飛行機を飛び降りる直前のことを思い返す……絶対生きて帰ると、不安を隠し力強く宣言した彼女の意思を尊重して、飛行機に取り残し自分一人で飛び降りた事を後悔しそうになる。
先程何度か憐宛に電話をかけていたが、電源が入っていないのか繋がる気配がない。だからこうして必死になって探し回っているが見当たらない……。
「おい誰か!こっち来て手伝ってくれ!!」
「どうした?」
「高校生くらいの女の子が倒れてたんだが、よく見たら後頭部から血を流しているんだ!」
途方に暮れていた怪盗の耳に飛び込んできたのは、助けを呼ぶ声。〝高校生くらいの女の子が血を流して倒れている〟……その言葉に嫌な汗が流れる。落ち着いて、その会話の方へと顔を向ける。
快「!!!」
怪盗キッド基黒羽快斗は、大きく目を見開いた。全身が凍りついたように、暫くその場から動けなかった。
────── あれだけ無事を望んでいた彼女は
────── 生気のない顔で横たわっている
多くの人が生還出来た奇跡を喜ぶ中、ただ一人……優しくないその現実に打ちのめされていた。
「大丈夫かよその子……」
「まだ息はある!だから早く病院に運ぶぞ!」
「分かった!おい誰か!担架を持ってきてくれ!!女の子が血を流して倒れてるんだ!!」
救急隊員の一人が大声で周りに呼びかける。すると事態を察知した他の救急隊員が続々と現れた。担架に憐をのせ、救急車に運ぶ大人達。救急車のバックドアが閉められそうな時、我に返った快斗は、自分も乗り込もうと慌てて飛び乗った。
「うわ!危ないじゃないか!」
快「っ……すみません、それより早く病院へ!」
「(……こんな奴、うちの隊員にいたか?)
あぁ、分かってる!出してくれ!」
同乗していた他の隊員達に指摘を受けるも、憐の事で気が気じゃない快斗は、対応もそれなりにし、早く発進するよう急かしていた。隊員も変装した快斗の姿を見て、疑問に思いつつも今は人命救助優先し、彼女の命を救う為、ドライバーに発進させるよう呼びかけた。
こうして外傷を負った憐は近くの病院へ、救急搬送されることになった。
