銀翼の奇術師【完結】
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蘭「む、無理です!!絶対無理!!」
コ「……」
いくら何でもそれは無理だと蘭は全力で否定する。
光「ひ、飛行機が!飛行機が下がってます!」
コ「蘭姉ちゃん、早く座って!!」
状況的にそれが許されるはずもなく、蘭は仕方なしにコナンに急かされるまま、操縦席に座った。
そして、慎重に操縦桿を握る。
新「そのままゆっくり操縦桿を手前に引くんだ……落ち着いてな……」
蘭は
新「すいません!乗客には千葉に向かうと言ってください!それと2階席の全員を下へ移してください……」
「えっ?」
新「女子高生が操縦してると知ったら、パニックになりかねないでしょ?
君達も
歩/光/元「「「え〜〜〜〜〜〜っ!!!」」」
新「ここにいても君達に出来ることは何も無い……それより君達には他の子供達が騒ぎ出さないように見張っていて欲しいんだ……」
歩/光/元「「「………………」」」
新「これはとても大事な仕事だ……無理なら他の人に頼むが……どうだ?出来るか?」
歩美、光彦、元太はそれぞれ考えて答えを出す。
光「分かりました!!」
歩「やってみる!!」
元「任せとけ!!」
胸を張って任せろと頼もしく答えた彼らを見て、
新「よし!頼んだぞ!!」
歩/光/元「「「
貴「皆、頑張ってね!(……流石ね)」
歩/光/元「「「はい!!/おう!!」」」
3人が
それから
園「私は残るわよ!!何かあった時、蘭を助けられるように!!」
新「……いいだろう。さて、君は……」
貴「私も残る!蘭と園子が頑張ってるのに、私だけ何もしないで待ってるなんて出来ない……!」
新「…………」
園子が答えた時よりも沈黙が長い。
新(……何言ったって聞きやしねーか……)
真摯な眼差しに怪盗は己の負けを悟る。いつだって憐だけには勝てない……己の心配など全く知らない彼女に歯がゆくなる。
新「……分かった、降参だ。君もいていいよ」
貴「っ!……ありがとう!」
────いつだって自分の護るべきものは変わらないからだ……
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蘭が操縦席に座った後も、飛行機は順調に航行していた。
CAは機内アナウンスを流し、飛行機は順調に新千歳空港に向かっていることを告げた。そのアナウンスに、元太が悪気なく本当の行き先を口に出していたが、歩美と光彦に咎められるハプニングもあったが、その航行も終わりを迎えようとしていた。
新「そろそろ室蘭だ……2000フィートまで高度を下げよう……」
蘭「はい!」
飛行機は徐々に高度を下げていく。先程よりも街の形があらわになって、道の形もくっきり分かるようになっていた。
園「見えた!明かりよ!」
コ「室蘭港だ……」
貴「本当だ!………っ!」
園子と憐は喜びの声をあげるが、憐はあることに気づいた。
貴(……そうだった!あの辺は周りに何も無い……だから比較的明かりも少ないし真っ暗だ。こんな暗闇で着陸なんて……)
憐は思わず蘭の方を見るが、蘭も同じ感想を抱いていたのか、不安そうな面持ちだった。
蘭「ねぇ、暗くて何にも見えないよ……」
園「ちょっと!あんな所に着陸するの!?」
コ(しまった!もう後戻りはできねーぞ!!)
それぞれに焦りの表情を見せる。
園「ねぇ、大丈夫なの?コナンくん……」
蘭「…………」
蘭は言葉を失い、園子はコナンに問う……しかし、コナンの口から言葉が出てこない。
貴「ご、ごめんなさい……他のリスクを考えず、私が埠頭だなんて……言ったから……」
そんな芳しくない空気の中、憐が涙をためながら小声で呟く。役に立てると思い案を出したが、かえって皆を危険な目に合わせてしまった事実に、申し訳なさと絶望の感情が一気に押し寄せて、彼女の視界はぼやけてしまっていた。すると、彼女の頭に優しく手を置く人物がいた。
新「大丈夫だ……俺が何とかする」
貴「……!!」
その人物は、双眼鏡で暗い地上を見下ろした後憐の頭に手を置き、憐だけに聞こえる声量で呟いた。それに気づき、憐はその人物の顔を見上げた。……彼は焦ってはいなかった。ただただ笑っていたのだ……。
パチッ!
コ「な、何を!?」
何かのスイッチを押した音が聞こえ、コナンは咄嗟に後ろを振り返る。
新「なんかヤバそうなんで、俺は先に降りるぜ!Good Luck!!」
園「ちょっと!!」
コ「おい!!待て!!」
コナン達の静止する声も聞こえていないように、彼は足を止めずに去っていく。
貴「えっ!?」
その際に隣に立っていた憐の手を掴み、一緒に連れて行った。まさか自分が連れられるとは思わなかった憐はされるがままに
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頭がこんがらがっている。何故こんなことになっているのだろうか……何故私は、この人に連れられて一緒にコックピットから出ちゃってるの?!
貴「ねぇ、どうしてこんなことを……!!」
2階席は、先程この人がCAさんに全員1階席に集まるよう伝えたから、私達以外誰もいない。大声で私は、彼に何故なのか問うた。
新「……」
彼は答えなかった……私の手を掴んだまま、ハッチの方へと向かう。離して貰いたくても彼の力が強くて逆らえない。細身の体の何処にそんな力が……いや、この体型も顔も全て偽りの姿だ。
私はこの人の正体が分かっていた……彼が自分の命欲しさに、他の乗客を見捨てるなんてことするはずがない。だったらもっと前に飛び降りてるはず……自ら操縦するなんてことしない。
それに今までに何度か接する機会があり、何となくだが彼の人となりは分かっている。あの日自分のせいで私が殺されそうになったことを、悔いているような優しい人だから……。
貴「黙ってないで答えてよ…………キッド!!」
神出鬼没な怪盗だけど……人を見捨てるようなことはしない……でも、それなら何故あんな誤解されるようなことをしたのか……。
私には聞こえていた。彼が言ったこの言葉……
───「俺が何とかする」
これが真実なら、彼はきっと何かをする為に、先に降りるなんて言い出した。何のためなのか私には分からないから……なら、もう直接本人に問いただすしかない!
キ「やはり気づいてたんですね……いつからですか?」
彼は自分が怪盗キッドであることを認めた。そして声も……新庄さんの声ではなく、快斗によく似た声……いつもの怪盗キッドの口調で話し始めた。
貴「……牧さんが亡くなった時、貴方は凄く親身になってくれて、私が不安にならないよう気を遣ってくれてたから。私自身酷く取り乱さなかった。寧ろ落ち着いてたというか……前に貴方が白鳥刑事に変装してた時もそうだった……だから、少し疑ってはいたけど確信が持てなかった……」
キ「……なるほど」
貴「あと蘭にスリーサイズ、聞いてたよね?蘭の緊張をほぐそうとしてたのかもだけど、女の子に聞くのは失礼なんだからね!……前にも言ったけど、貴方は私の大切な人に似てるから……アイツも女の子にそういうこと聞いてたから、なんか思い出しちゃってね……そしたらやっぱりこの新庄さんはキッドなんじゃないかって気づいたんだよ……」
キ(ゲッ……そんなことで気づいたのかよ……変な所で鋭いよなコイツ……)
なんか雰囲気的に、私の事面倒くさそうって思ってるな……まぁ、でもキッドの質問に答えたんだから、私の問いに答えてもらわないと割に合わない。
貴「さぁ、私は答えたよ!今度は貴方の番……ねぇどうして……?!急に降りるだなんて言ったの?!」
キ「……」
貴「貴方が自分の命欲しさに、乗客を見捨てるような人じゃないことは分かってる!だったらもっと前に飛び降りてるはずだもの……それに何とかするって言ってたよね?何をするの?」
キ「……」
キッドは俯いている……影になっていてどんな表情をしているのか見られない。
貴「それにどうして……私まで連れてきたの……?」
私の最大の疑問……それは自分だけ先に飛行機から降りるといったキッドが、何故私まで連れてきたのか……私は彼の返答を待った。キッドは掴んでいた私の手を離し、自分の服に手をかける。バサっと脱ぎ捨てた瞬間に見えたのは、白いマントにシルクハット……月下の奇術師、怪盗キッドの姿に戻った。
そして彼は静かに言い放つ……
キ「残念ですが、時間も無いので全てには答えられません……ただひとつ、これにはお答えしましょう……何故私が、貴女だけを連れてきたのか……
それは……貴女自身で、この私を選んで貰うためですよ!」
貴「え?!」
キ「何かに掴まれ!」
そう言ってキッドはハッチの開閉ボタンを押した。するとキッドの背後にあったハッチを大きな音を立てて開いた。今まさに飛んでいる飛行機の外は、凄まじい風が吹いている。彼の指示のおかげで、ハッチが開く直前に近くにあった座席に掴んでいたから外に投げ出されず済んだけど、掴んでいなかったと思うと恐ろしい……。
貴「……もう、危ないじゃん!落ちたらどうするのよ!!」
さっきのシリアスな雰囲気は何処へやら……私はハッチ近くの壁を掴んで立っているキッドに怒った。しかし、彼は私の怒りなんか気にせず再度話し始める。
キ「バーロー!!……オメーだけは絶対落とさねーよ……」
貴「なっ?!?!……」
いつもの紳士的な怪盗ではなかった……
今の言い方があまりにも……快斗に似ていたせいで、用意していた言葉が出てこなかった。
キ「さぁ私の手を取ってください!貴女一人なら、抱えて飛び降りることが出来ます……!
憐嬢、私は貴女を助けたいのです……!」
貴「な、何を……」
何を言ってるの……キッド?
キ「頼む!……俺と一緒に来てくれっ……!」
キッドは覇気迫る表情で、私へと手を伸ばしていた……
彼の言う通り時間もない……彼の申し出は有難くもあり、腹立たしくもあるというのが正直な感想だ。
だけど、私の答えは決まっている。ちゃんと伝えよう……
必死な表情の彼に、私は笑顔でこう答えた……
