銀翼の奇術師【完結】
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「スカイJ865便、函館タワーに管制を引き継ぎます!周波数を118・53に変えてください!」
キ「118・53、了解!」
函館タワーから指示が飛び、言われた通り調整する。途中で機長をしている人物に変わり、飛行機を着陸させる為に必要な手順を教わる。その手順もシンプルで、ただAPPというボタンを押すだけの指示だった。このAPPを押せば、手動でやらなくとも、飛行機は自動で滑走路まで降りてくれるというシステムだ。
キ「お前フラップや
コ「知ってるよ。ハワイで親父からセスナの操縦を教わったことがあるからな」
小学生の子どもがハワイで父親にセスナの操縦を教わることがどれだけ珍しいことか……本人は気づいていない。
キ「なるほど……人選は間違ってなかった訳だ」
コ「但しあくまで地面の上……実際に飛ばしたことはねーけどな」
──────────────────────
飛行機の揺れが激しくなる。
小「あわわ……」
光「風も強そうですね……」
歩「落ちないよね……飛行機……」
通常とは異なる状況、即席のパイロットに、荒れている天候……小さい子どもでも、この状況が良くないことだけは分かっていた。
不安そうにしている歩美達を見ていた憐は、自身も祈るように手を合わせ、目を閉じた。
(お願い……みんなが助かるように…… )
赤いミサンガの月長石は、煌々と煌めいている。しかし、彼女達の願いは天には届かず、暗雲を晴れ渡らせることは出来なかった……
いよいよ着陸に入る時に、轟音と共に飛行機の目の前に白い稲妻が落ちた。その影響で飛行機のシステムがダウン、焦るコナンを他所に管制タワーから指示のおかげで何とかシステムを再び動かすことに成功した。しかし、
飛行機が突っ込んだことにより、ビルは破壊、空港が火の海に包まれ一時騒然となったが、タワー内の人間は無事だった。だが、着陸予定だった滑走路は使えなくなり、飛行機の4つのエンジンのうち第2エンジンが脱落、飛行機の着陸がより難しい状況へとなっていった。
不安は伝染し、
歩「コナンくん大変よ!!エンジンが1つ取れちゃった!!」
コ「分かってる!心配すんな!残った3つのエンジンだけで十分安全に着陸できっから!燃料もまだ十分に………………!?」
新「どうした?」
コナンの声が不意に止まった為、
コ「燃料が殆ど無くなってる!!」
新「何っ!?」
滑走路使用不可、荒れ模様の天候、そして残り少ない燃料と更なる悪条件が重なった。
光「燃料がなくなったっ!?」
園「それってどういうことよ!?」
「もしかしてエンジンが落ちてしまったから?」
コ「いや、普通4つのエンジンにはそれぞれ別のタンクから燃料が配給されるから…………!?
クロスフィードバルプが開いてる!?」
元「何だよそのクロス……なんとかって?」
コ「クロスフィードバルプ」
新「そのスイッチを押すと燃料タンクを仕切っていたバルプが開いて、ひとつながりになってしまうんだ……」
分からない元太達の為にコナンと
コ「クソッ!!一体どうして……!?」
歩/光/元/「「「…………あ〜〜〜〜っ!!」」」
説明を聞いた歩美、光彦、元太は思い出したように叫び始め、何故そのバルプが開いているのか思い当たる理由を話した。コックピットから出る際に、よろけた伴が無意識にそのスイッチを押していたことが分かった。
新「……ったく、あのオヤジ!!こりゃ一刻の猶予もならねーぞ!!」
コ「誰かそこに地図がある筈だ。取ってくれ!」
新「函館タワー、こちら865便……緊急事態が発生した!……
操縦席に座っている2人は、早急にこの事態を何とかする為対応し始める。その間に博士がやってきて、今の状況を把握する。歩美は、コナンに言われた通り地図を探し始めた。
歩「地図、地図……」
貴「多分その赤い本じゃないかな」
地図探しの手助けに憐も一緒に探す。すると地図らしき本を発見した為、歩美に助言する。
新「クソッ!!
蘭「
園「じゃあ今、手動で操縦してるの!?」
貴「!?(新庄さんが1人で操縦を……)」
歩「コナンくん、これ!地図!!」
コ「サンキュ!」
地図を探し当てられた歩美は、コナンに地図を手渡した。
コ「残りの燃料は約3000ポンド……1分300ポンドとして、飛んでいられる時間は10分しかない!その間にどこか着陸出来る場所を探さねーと……」
園「どこかってどういうことよ!」
新「10分で滑走路が元に戻るとは思えねーだろ?」
ここから安全に着陸する為の条件、場所を決める為、コナン達は様々な案を出しながら話し合った。
「千歳は?新千歳空港に行けば……」
新「ギリギリだな。途中で燃料切れになる可能性が高い……」
園「他の空港は?この空港の近くにないの?!」
哀「ないわ……農場の離着陸場や自衛隊の基地ならあるのかもしれないけど、滑走路の長さが足りないわ……」
光「でしたらいっそのこと道路に着陸させたらどうでしょう?北海道は広くて真っ直ぐの道が多いから……」
コ「無理だ……この飛行機の両輪の幅は11m。12m以上の幅の道路には必ず中央分離帯と看板の設置が義務付けられているし、周りに民家や電柱だってあるだろう?」
元「じゃあ牧場は?」
哀「駄目ね……地盤が柔らかすぎるわ。それより近くの海に着水させた方が……」
コ「いや、かえって波に機体をとられてひっくり返っちまう!!」
歩/哀/光「「「……」」」
大人よりも子ども達が次々とアイデアをあげていくが、どれも条件が足りず決めかねていた。
コ(何処だ……何処だ……何処かに必ず着陸出来る場所があるはずだ……)
阿「長くて真っ直ぐで周りに何も無い場所か……」
貴(……長くて、真っ直ぐで、周りに何も無い場所……どこかで……)
子ども達の議論が活発に行われる中、蘭達は口を挟めずにいたが、挟めないなりに、彼女達も考えていた。そんな中憐の脳裏にはある光景が流れる……。
清涼な風に、波打ち際の潮騒の音と香りを一身に浴びている。遥か彼方の水平線に沈む夕陽を彼と一緒に見た……あれは何処だったかな。
────── 回想
『おい憐!あそこ見てみろよ!』
彼の指さす方には赤く輝いている太陽が、水平線に沈みかけていた。ギリギリ間に合った……
『綺麗……』
私達は海を見渡せる広い場所にやってきていた……何故こんな場所にいるのかと言えば、海が見たいと言った私の願いを叶えてくれた彼のおかげ。
『……ったく感謝しろよ〜?こんな寒い中、海が見たいって言ってたお前に着いてきてやったんだからな』
『べ、別に頼んでないわよ!私ひとりでも良かったのに、アンタが勝手に着いてきただけでしょ!』
彼が得意げに言うので、私はすかさず言い返した。彼の言うこんな寒い日だからこそ、もっと寒い場所である海に行こうだなんて言えなかった。でも諦めきれなくて、ポロッと溢れ出た願いを噤み、弟と幼馴染達に内緒で一人で行こうとしたのだ。しかし、彼に気づかれて一緒に行くことになったのだ。
『あのなぁ……ここは北海道だぞ。行き慣れてない場所で、オメーだけで行かせたら絶対に迷うのが目に見えてんだよ。だから俺は着いてきたんだ!それに最初は地図見ながら行けてたけどな、途中反対方向に行って、案の定迷って、結局最後は俺に道案内させてたじゃねーか!』
正論である……私の頭に見えない矢印がグサグサ刺さっている。そんなこと分かってる……分かってるからこそ申し訳ないなと思っていたのに、やっぱり彼の前では素直に謝れなかった。
『うっ……う、うるさいなもうー!そこまで言わなくてもいいじゃない!』
何で素直にありがとうって言えないのよ私……寒い中着いてきてくれたのに……彼の言うとおり迷っていたから、私一人じゃ暗くなって景色所ではなかったかもしれないのに……相変わらずこんな自分が嫌になる。
……だけど、確かに彼の言う通りだ。少し腹の立つ言い方だけど、きっと私一人じゃたどり着かなかっただろうから……ちゃんとお礼を伝えないとね。
『ま、まぁでも……アンタが居なかったら、ここに着いてる頃には真っ暗でこんな景色見られなかったかもしれないから……あ、ありがとう……快斗』
真っ直ぐに彼の目を見られない。私のたどたどしいお礼に、快斗は小さく『……あぁ、別にどうってことねーよ……』と返事をした。もう夕陽は殆ど沈んでいるのに、何故だろう……快斗の顔が少し赤くなっている気がした。
暫く無言で景色を見ていた私達。夕陽はしっかり沈み、今度は遠くの方に大きな橋が見えて、白い光に照らされて、綺麗な夜景を見ることが出来た。
貴『……夜景も綺麗ね』
快『そうだな……』
貴『ここは長くて真っ直ぐな道だし、周りには何も無いから綺麗に景色を見渡せる。ここはどういう場所なの?』
途中から快斗に地図を渡し、快斗先導の元ここにたどり着いたから、この場所がどういう場所なのか知らなかった。
快『ここは室蘭にある崎守埠頭だ』
貴『埠頭って何だったっけ?』
快『埠頭ってのは船舶が接岸して、旅行客の乗降
や貨物を積み降ろす区域の事だ。大きな船から乗客や荷物を降ろす時、狭くて建物や物がいっぱいあったら安全に降ろせないだろ?だから憐の言った長くて真っ直ぐで、周りに何も無い場所になるんだよ』
彼は腕を組みながら言った。なるほどね〜……私一人で良いと思ったけど、やっぱり快斗が着いてきてくれて正解だったな。
貴『ふ〜ん、そうなんだ……快斗、私ここに来られて良かった!』
快『おう!良かったな〜……
なぁ、憐……ここよりもっと凄い夜景見たくないか?』
快斗はワクワクした表情で私に問いかける。
貴『ここでも十分綺麗だし、海も見えるから大満足なんだけど……ここよりもっと凄いの?』
快斗と見ているっていうポイントも大きくて、私はこの景色に満足していた。しかし、彼が言うにはここよりもっと凄いらしい……。
快『あぁ……!暗い海と沢山の街の灯りがあって、すっげー綺麗な夜景が見える場所だよ!』
貴『へぇ〜自信あるのね……うん、行きたい!その場所は何処にあるの?』
いつにも増して興奮して話す快斗の姿に、私も嬉しくなって笑顔で答える。
快『そこは函館にあるんだ!ただ今回は明日には帰るから難しいが、そうだな……次に北海道に行く時は、俺が連れて行ってやるよ!』
貴『快斗!……約束よ!絶対ね!』
快『あぁ!約束だ……!』
────── この日の約束を今だに私は覚えている……
──────────────────────
歩「ねぇ、コナンくん!私、知ってる!長くて真っ直ぐで、周りに何も無い場所!!」
貴「私も分かったよ!」
コ「……えっ!?」
歩美の声に、現実に引き戻される憐。彼女は以前この地に訪れた時の事を思い出していた……そしてその記憶から、長くて真っ直ぐで周りに何も無いという条件に当てはまる場所を思い出したのだ。
歩「この前テレビでイルカクジラウォッチングっていうのやってた時映ってたよ!」
コ(イルカクジラウォッチングって言えば室蘭か……)
貴「長くて真っ直ぐで周りに何も無い場所……それは埠頭だよ!」
コ「っ!!……埠頭か!」
コナンは急いで地図にある埠頭を探し出す。
コ「新日鉄埠頭、中卯埠頭、本輪西埠頭、室蘭埠頭……崎守埠頭!!」
その中でも現在地に一番近い埠頭は、崎守埠頭だった。
貴(快斗と行った崎守埠頭……!)
貴「そこなら広かったし、長くて真っ直ぐだから、飛行機を着陸させるのに良いと思う……!」
コ「そうか!ここはおよそ1400m、幅は恐らく30mくらいだろう……」
光「でもこの飛行機の幅は……」
コナンと子ども達が再度議論を重ねる中、憐の言い方に疑問を抱いた蘭と園子が憐に尋ねた。
園「ねぇ、憐……今の言い方って……」
蘭「行ったことあるの?崎守埠頭に……」
蘭達に尋ねられた憐は、照れくさそうに笑って答える。
貴「……前にね、海を見たくて行ったことがあるんだ……アイツと一緒にね……」
その答え方に蘭と園子は、例の幼馴染の男と訪れた場所だと分かった。
新(憐……そうだったな)
傍で聞いていた
コ「あぁ、60m弱ある……しかし、片方の翼を海の方に出せば何とか……」
哀「無理ね……」
コ/貴「「!!」」
哀「距離が足りないわ……この飛行機は着陸滑走距離は2000mを超えてる筈……それに地盤の強度にも問題が……」
貴(そんな……!)
コ「幸か不幸か燃料は残り少ねーし、乗客も少ない……重量が少なければそれだけ着陸距離が短くて済む。風向きによってはもっと短くなるかも……」
光「羽田で見た天気予報だと一晩中、強い西風が吹くって言ってました!」
コ「本当か!?光彦!!この埠頭は大体東西に向かって伸びている……西風に向かって東から着陸すれば、ギリギリ着陸できるかも……」
何とか崎守埠頭に着陸出来そうな流れに一息つく憐だが、思わぬ所で否定の言葉が入る。
新「無理だ……」
コ「……え?」
新「さっき管制塔にぶつかった時、左腕を強打してな……今は殆ど右手だけで操縦しているんだ……」
貴「大丈夫ですかっ……!」
新「大丈夫だよ……そんな泣きそうな顔をするな……」
貴「っ!!」
新「でも手動で着陸させるとなると両手で操縦桿を握らなきゃならねぇ……」
彼は再度見上げ、ある少女と視線が合う。
新「……!」
蘭「……えっ?」
新「……君、視力は?」
蘭「両眼とも1.5です……」
新「持病は?」
蘭「あ、ありませんけど……」
新「
蘭「えーと、
貴(女の子に何聞いてんのよ!心配して損した……っ!!……この感じ……もしかして……!!)
蘭に巫山戯た問いかけをした
新「よーし、合格だ!俺の代わりにここに座ってくれ!!」
コックピット内にいた全ての者が瞠目した。
