銀翼の奇術師【完結】
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コナンside
蘭達が、
…………俺がいるってことを忘れてないか?いや、もう隠す気ねぇだろコイツ……。
今やこのコックピットには俺とコイツの二人のみ……コイツ相手なら、小学生のコナンを演じる必要はない。そして俺相手に、新庄さんのフリをさせる必要もないだろう。
コ「お前キッドだろ……」
だから俺はこの新庄功……いや、怪盗キッドに言ってやったのだ。
新「……ん?何のことだ?」
毎度の事ながら、コイツは自分の正体を指摘されると絶対恍けるのだ。だが、しかしそんな風に惚けたって俺には誤魔化せないぜ。
コ「バーロー、惚けんじゃねぇ……どこの世界に小学生のガキを操縦席に座らせる奴がいるんだ」
そこでやっと奴は表情を崩す。……新庄功ではなく、キッド特有の軽薄な態度に変わった。
キ「ははっ……やっぱりバレたか!まぁ今頃本物の新庄は……」
コ「偽キッドになって函館の樹里さんの別荘にいる……だろ?」
キ「ほぅ……」
コ「お前が乗って来た時、樹里さん怒ってたからな……大方パーティーの余興に、偽キッドになるように樹里さんに言われてたんだろう……」
樹里さんは、
キ「流石だな!……ただ、もう一人……【キッドがこのまま引き下がるわけない】って函館に向かった奴がいるから……今頃偽キッドと追っかけっこしてるかもしれねぇな……」
コ「……で?いつ〝運命の宝石〟を頂くつもりなんだ?」
奴は予想外の考えを口にする。
キ「やめたよ……」
コ「……え?」
キ「お前も知ってるだろうが、本物のスターサファイアは、口に含むと冷たいんだ……あれは偽物だ」
そう言われ、
その行動とは、
(あれはそれを確かめる為だったのか……)
ただ単にキザな挨拶という訳ではなく、その時にスターサファイアを口に含み、温度を確認していたってことか。
キ「恐らく〝ジョゼフィーヌ〟の客寄せの為に、偽物を本物と偽って公表したってところかな。どうする?俺を捕まえるか?探偵くん……」
樹里さんのスターサファイアが偽物ならば、キッドが盗む必要もない。今回キッドは盗みを働いていないが、そんなことは関係ない。今まで散々この怪盗には苦汁を舐めさせられてきたのだ……このチャンス、逃してたまるか。
コ「あぁ……この巨大な鉄の鳥を巣に戻してからな」
そう……キッドを捕まえるのは、この飛行機を無事着陸させた後だ……。
──────────────────────
コナンは
キッドを捕まえる事は正しいことだ。そうコナンは信じて疑わない……警察を手玉にとり、幾つもの宝石を盗み出している国際指名手配犯になっている変幻自在な怪盗。彼の行っているのは窃盗行為。立派な犯罪なのだ……正しい司法の裁きを受ける必要がある。罪悪感など感じる必要がない……しかし、人間の感情は複雑で頭では分かっていても、実際感じてしまっているのだから上手くはいかないものだと考えてしまう。
怪盗キッドを警察に突き出せばきっと日本中の興味を引くセンセーショナルな話題となるだろう。キッドには熱狂的なファンもいて、悲しむ声もあがれば、やっと捕まったのかと安心する声も上がるだろう。ただ悲しむ声の理由としては、あの怪盗が織り成す摩訶不思議なマジックショーがもう見られなくなるというミーハーな思いが多いだろう。
しかし、もし怪盗キッドが逮捕された時、最も悲しみに暮れる人達が存在するとなれば、彼の友人、恋人、家族等……この男の本当の姿を知っており、尚且つ関係が深い者程悲しみが深くなるだろう。
いまだ証拠は見つかってはいないが、己の推理が正しければ、彼が捕まった時、一番悲しむ人がいるとすれば……それはきっと……──────
コナンの思案顔を見て、彼の憂いを感じ取った
キ「どうした?まだ何か俺に言いたいことがあんじゃねーのか?」
彼の態度を見て言おうか悩んでいたコナンだったが、意を決して伝える。怪盗に気を遣った訳ではなく、自分の友人に気を遣っていたからだ。その友人が悲しめば、自分の大切な幼馴染まで悲しませてしまうことが分かっていたからだ。
コ「なぁキッド……何でお前は神崎を気にかけるんだ?」
キ「……どういう意味かな?」
質問を質問で返してくる彼の態度に呆れる。聞いたら1回は惚けてくるこの態度にイライラしてしまう。
コ「予告状を樹里さんに送り付けたお前は、樹里さんが警察に依頼することは分かっていた。そこで舞台の公演中に盗もうと思ったお前は、自分の正体がバレないよう工藤新一の姿で乗り込んで来た。顔をもみくちゃにされても変装がとけなかったことから、お前の本当の素顔は、工藤新一とよく似ている……だから工藤新一に変装してきた。万が一自分が疑われてもいいように……」
キ「へぇー……それで?」
コ「工藤新一としてまんまと忍び込めたお前は、堂々と俺達と合流する。俺や灰原、博士以外はお前の変装に気づいちゃいなかったが……ただ1人、その工藤新一に違和感を持つ奴がいた」
キ「………」
コ「神崎だよ……お前の変装に違和感を持っていたのは」
コ『憐姉ちゃん……』
貴『!!……コナンくん、どうしたの?』
コ『どうして新一兄ちゃんを、怖い顔で見つめてるの?』
貴『えっ?!……別に怖い顔なんてしてないよ!ただちょっと…… 』
コ『??』
貴『……銀三さんがめちゃくちゃ顔を引っ張ってたから、あの工藤くんが本物なのは分かってるんだけど、何かその……自分でもよく分からないんだけど……なんか違う感じがするんだよね』
コ『えっ?!』
貴『何でそう思うのか自分でもよく分からないんだけど……コナンくんが、あの工藤くんはキッドだって言った時、腑に落ちたというか…… 』
コ「お前は蘭と話していたから気づいていなかっただろうが、お前の後ろを歩いていた神崎は、鋭い目つきで見ていた。変装がとけなかったから、工藤新一だと信じてはいたが、どうしても己の持つ違和感が拭えなくて、完全には信じきれていなかったんだよ」
彼の口は止まらない……
キ「……お前が憐にしつこく絡んでいたのは、自分が主張するよりも憐から言った方が中森警部も聞いてくれると考えたからか」
コ「お前に邪魔されたけどな……」
キ「そりゃオメーがっ!!……チッ」
荒々しい声をあげ、端正な顔が大きく歪んだ。今の言葉は新庄功の声ではなく、キッド自身の声で発していた。それは今まで悠然な態度で聞いていた
コ「元は言えばオメーが蘭を屋上に誘うからだぞ!」
キ「……探偵のお前ならそう彼女を誘って、予め現場を見ておくだろーが!」
コ「そんなこと!……しねーよ……」
互いに大声となって言い争いが続いたが、先に声が萎んでいったのはコナンの方だった。反射的に言い返してしまったが、恐らく自分でもその場面を想像し、彼と同じ行動を取るだろうと考えたから強気に言い返せなくなってしまった。
キ「そら見ろ〜……俺はお前の行動を完璧に真似ていただけだぜ?」
コ「なら何で俺が神崎に絡んだ時、無理に引き剥がしたんだ?」
キ「何でって……そりゃあお前が執拗いからだよ。彼女困ってただろう?俺はLadyが困ってるのを見過ごせないんでね……」
コ「いや違う……困っていたのが神崎だったからだ」
キ「!!」
操縦桿を持つ手が一瞬乱れた。動揺を悟られまいと直ぐに操縦桿を握り直す。
──────〝ポーカーフェイスを忘れるな〟
怪盗の頭の中には、偉大な父が残した言葉が木霊する。操縦桿を握る手が少し湿っているような気がした。
キ「教えてくれ探偵くん……俺が憐嬢だから助けたなんて何故断言出来るんだ……?」
焦りとも取れる
コ「それはオメーが、神崎のことを好きだからだろ……」
心臓が大きく脈を打つ……左胸のポケットに忍ばせた紫水晶は燦然と煌めいていた。
──────────────────────
少年の一言でコックピット内は静寂に満ちる。いつものようにさり気なく否定すれば良かったものの……長年の想いを否定したくなくて、一瞬動きが止まってしまった。
────── 彼の僅かな葛藤が……
────── 静寂な空間を生み出してしまったのだ
キ「……あっはっはっは!何を言い出すかと思えば、俺が彼女を?……有り得ないな」
ワンテンポ置いてから笑い出す
キ「どうしてそんな考えに至ったんだ?」
コ「……オメーの今までの行動を振り返ってみてやっと分かったんだよ」
コナン達がキッドを知る前から、憐は個人的にキッドに助けられたことがある。特に面識がないが、彼女は彼を命の恩人として見ており、他者に比べて比較的好意的に思っているが、キッドはその比ではない。
奇術愛好家殺人事件では、殺人事件が起きたことにより、憔悴していた憐を誰よりも気にかけていたこと。眠らせてこれ以上事件に関わらせないようにしていたこと。そしてキッドをおびき寄せる為に弱っていた彼女を利用したコナンに対して、怒りを露わにし警告していたこと。
メモリーズエッグの事件の時は、スコーピオンから狙われた憐を命懸けで守ったこと。
そして今回の事件、コナンが憐に絡んでいた時、率先して引き剥がしたり、彼女が見ていない時に、コナンを鋭い目つきで睨んでいたこと……他人の関係値からしたら、少し異常に見えるほど憐を気にかけているキッド。
コナンはこれら全ての事柄を含め推理した結果、怪盗キッドは神崎憐のことが好きなのではと考えたのだった。
コ「人が人を好きになる理由は様々だ。一緒に過ごす内に相手に好意を持ったり、時には時間の長さなど関係ないこともある。一目見た相手に好意を持ってしまうこと……一目惚れってやつだな」
だが、彼女への愛情だけでここまで理解できるものか……?高校の入学式から仲良くなった蘭達よりも短期間で?可能性としてはあるが、現実的ではない。……だけど、これがもし長年ずっと傍にいる人物だとしたら……?俺達と出会う前に、昔から一緒にいた人物だとしたら?
────── 俺と蘭のように……
────── 幼い頃からずっと一緒にいた関係であれば……
コ「お前は、神崎を前から知っていた……俺達と知り合うよりも前から……幼い頃から一緒に居たんだ」
キ「!!」
大きく目を見開く
コ「そう考えれば、お前の神崎に対する今までの行動に納得が出来る。……昔から想いを寄せていた神崎を危険から護る為、どんな人物に変装していても、彼女を気にかけていたんだろ?」
キ「っ……何言ってんだ……」
何とか涼しい表情で答えようとしているが、内心の動揺が伺える。あともう少しだと考えたコナンは更なる追撃を試みる。
コ「神崎への周辺人物を探るべく、先ずは蘭や園子から聞いた。神崎の傍に、お前のようなマジックが得意で、昔から神崎の事をよく知っている人物はいないかって……。
神崎に知られると身近な存在のお前にバレる可能性があったから神崎抜きで聞いた……」
────── ある日の回想
ポアロ
蘭『それって……憐に幼馴染がいないかってこと?』
園『何で急にそんなこと聞くのよ』
コ『えっ?!え〜と……憐姉ちゃんのこともっと知りたいな〜って思って……えへへ』
園『まさかこのガキンチョ……蘭だけじゃなくて憐も狙ってるわけ?』
蘭『まっさか〜!』
コ(んな訳ねーだろ……)
園『ふ〜ん、まぁいいわ。それがね〜……いるのよ!しかもピンポイントで!』
コ『えっ?!本当に……?!』
蘭『そうそう!憐には幼馴染で同い年の男の子がいるんだよ!しかもその男の子、手品がすっごく上手なんだって〜!』
園『前の奇術愛好家同好会の時に話してたわよ!何でもお父さんが凄く有名なマジシャンで、そのお父さんを超えるために頑張ってるんだって……』
蘭『そうなの!それに私も園子もコナンくんも、その男の子の事、前に見てるよね』
コ『えっ?!それっていつ!?』
机から身を乗り出して聞き出すコナンに、蘭と園子は顔を見合わせて答えた。
蘭『園子のお母さんが身につけていた
園『あ〜!うちの創立記念パーティーの時ね』
蘭『その次の日くらいだったかな……?私達が登校している時に、目の前で歩いてた高校生達の中に憐がいたんだけど、何だか元気なさそうだったんだよね……』
蘭『それに気づいた幼馴染の男の子が、マジックで憐を元気づけてたんだよ……!』
当時の様子を語る蘭はとても嬉しそうな表情だった。
蘭『しかもその男の子、顔が新一とそっくりみたいだし……』
園『そういえば蘭が見間違えてたわね。憐と新一くんがデートしてると思ったから、落ち込んでたもんね』
蘭『べ、別に落ち込んでないわよ!……それで、あの時も励ましてたり、大阪旅行に行く時も憐を待ち合わせの駅まで送ってたりと、憐を大切にしてるのが分かったんだよね……多分その男の子は憐の事、好きなんだと思うな……憐は信じてないけど……』
コ(なるほど……アイツか!)
コ『ありがとう蘭姉ちゃん、園子姉ちゃん』
二人から話を得られたコナンは静かに笑った。
コ(俺に顔立ちがよく似ていて、プロにも劣らない手品の使い手。幼い頃から一緒にいて、神崎の事を大事に想っている幼馴染の男……)
〝江戸川コナン〟として生きながら毛利蘭を護る
────── 認めたかねぇが、俺とコイツは
────── 似た者同士かもしれない……
キ「……何度も言っているが、お前のはただの推測だ。証拠がなければ机上の空論だぜ」
コナンが根拠を話しても怪盗の答えは相変わらず否……というかそう突き通すしかないのだ。
コ(そうか……奴が工藤新一に変装して乗り込んで来た時、俺が違和感を持ったのは前に蘭達から聞いていた神崎の幼馴染の特徴を聞いていたからか。
だが確かに奴の言う通り、幾ら共通点が多くあったとしても、確固たる証拠がなければ神崎の幼馴染とキッドが同一人物であることの証明にはならない……
クソ!……あと少しだってのに……!)
キ(参ったな。俺の正体に辿り着く所か、俺のトップシークレットまで言い当てるとは……
さすがは平成のシャーロック・ホームズ……工藤新一……厄介な探偵だぜ)
コナンは悔しそうに握り拳を作る。
コ「確かにお前の言う通り、証拠はねぇからこれは俺の推論だ。だけど、俺は諦めない……絶対お前の正体を暴いてやるからな」
証拠がないなら見つけ出せば良い。
必ずある……怪盗キッドと神崎の幼馴染の男を結ぶ隠された何かを、必ず探し出す。
コナンが密かに心の中で決意をあらわにしていると、耳につけていた航空機用ヘッドセットから、無線が入った為、二人は互いに腹の探り合いは一旦終了した。そして飛行機を着陸させることに集中する為、管制タワーから入る指示通りに操縦するのだった……。
