銀翼の奇術師
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コナンside
中森警部が言っていた今回の件の協力者、目暮警部が強く推す人物……その正体は…──────
蘭「し、新一!?」
貴「!?……」
毛「なんだ、コイツか……」
〝工藤新一〟だった…──────
嘘だろ……有り得ない……
元「だ、誰だっけか?」
光「何言ってんですか!」
歩「蘭お姉さんの恋人さんよ!!」
目の前の光景が衝撃的で、歩美達の指摘も気にならなかった。
蘭「ち、違うわよ!」
園「ダンナよ!」
蘭「園子!」
有り得ない……工藤新一が存在出来るはずがない……
コ「怪盗キッドだ!この人新一兄ちゃんじゃない!!キッドが化けてるんだ!!」
―――俺が一番よく理解している……だから必死に訴えた
中「キッドが!?」
毛「……なんでそんな事が分かるんだ?」
おっちゃんの疑問も当然だろう……確信を持ってキッドの正体が分かるのは、俺の正体を知っている者のみ。何で分かるのかだって……?
コ「だって俺がホントの……」
―――〝工藤新一〟だから……
毛「ホントの……何なんだ!」
コ「あ、いや…へへ……」
実際その言葉は音にならず、心の中で霧散する。本当の事を打ち明けたいが、隣で心配そうに見ている蘭の姿が目に入り、勢いが無くなっていった。おっちゃんに詰め寄られても、乾いた笑いしか出来なかった。
中「ははは……なるほど。その可能性もないとは言えないな……むんっ!!」
新「イタタ……ひょっほ!やめへふだはい中森警部!!」
俺の訴えを聞いて、念の為中森警部が奴の顔を引っ張るが、変装がとけない。
阿「どういう事じゃ一体……」
コ「さあな……キッドの顔立ちが元々俺に似てるか……」
哀「もしくは…貴方の方が偽物ってことか…」
コ「オイオイ…💧」
灰原の冗談を適度に答えつつも、今回の事実を奴への情報として頭の中にインプットしておく。しかし、奴の変装がとけないとなると……
中「よーし!間違いない!!本物だ!!」
警部から〝本物の工藤新一〟として認められ、現場を大手を振って歩くことが出来る……厄介なことになったな。
コ「……?!」
そう考えた所で、ふと脳裏に何かが引っかかった。
(何だ??……今、何か……俺の中で些細な引っ掛かりがあった……)
自分の中に生まれた僅かな違和感の理由を探すも、どれもしっくりこない。こうなると何も思い浮かばない……焦らず時間を置いて再度考えるのが妥当だろう。
俺が考え込んでいる間にも話が進み、おっちゃんがキッドを捕まえる秘策があると豪語した。それに対し、奴は奴で己のやり方でやるのだと、ヘラヘラした態度をとっている。
キッドの正体が分かっているのは、俺と灰原、博士だけだ。俺が奴の動きしっかりと見張らなければと目を見張らせつつも、前回と同様白鳥刑事の正体を見破った神崎の様子を確認するため、横目で見遣る。
貴「……」
その表情は予想に反して、大きな目を尖らせて奴を見つめていた。
(……??)
神崎が奴に鋭い視線を向けている理由が分からない。キザなコソ泥に悪い印象を抱いていない神崎が、もしあの工藤新一の正体に気づいたのなら、あんな顔をするだろうか。例え気づいていないとしても、もう随分と会っていない
開演時間も迫っていたので、舞台に出演する牧さん達が楽屋を出ていく。俺達も観覧席まで歩いて移動する。その間もずっと鋭い目つきで見ている神崎。小さくなった手足で彼女に追いつき、声をかけてみた。
コ「憐姉ちゃん……」
貴「!!」
声をかけられると思っていなかったのか、肩をビクッとさせて顔を下げた神崎。
貴「……コナンくん、どうしたの?」
キッドから視線を外し、先程の厳しい顔つきとは打って変わって、穏やかな表情で返答を待つ。
コ「どうして新一兄ちゃんを、怖い顔で見つめてるの?」
貴「えっ!?」
神崎は慌てふためいた様子で前を振り返る。どうやら誰にも知られたくなかったのか、「シーっ!」と指を当てて、静かにするようジェスチャーをする。その様子に尚更疑問が湧いた。
貴「別に怖い顔なんてしてないよ!ただちょっと……」
コ「??」
口を開いては閉じてを繰り返し、言葉を噤んでいた神崎だが、やがて決心したかのように真剣な眼差しで話し始める。
貴「……銀三さんがめちゃくちゃ顔を引っ張ってたから、あの工藤くんが本物なのは分かってるんだけど、何かその……自分でもよく分からないんだけど……なんか違う感じがするんだよね」
コ「えっ?!」
貴「何でそう思うのか自分でもよく分からないんだけど……コナンくんが、あの工藤くんはキッドだって言った時、腑に落ちたというか……」
コ「じゃあ憐姉ちゃんもキッドだって思ってるんだよね?!なら中森警部を説得してみてよ!」
貴「ちょ、ちょっとコナンくん?!」
ここは一人でも多くの味方を増やしたい。それに中森警部と親しい神崎の言うことなら、中森警部も聞いてくれるかもしれない。可能性があるのなら、駄々を捏ねて神崎の脚に縋るようにくっついた。例え彼女に離れろと言われても、その手を離さなかった。
貴「変装じゃないみたいだし、蘭も工藤くんを見て普通にしてるからやっぱり工藤くんなんだって納得したのよ!
だから私の足から離れて!このままだと歩きにくいし、蹴っちゃうかもしれないから!」
蘭が〝この工藤新一〟を疑っていないから、神崎の疑いは晴れたのか……なら何だったんだ?……あの厳しい表情をしていた彼女は……
だがここで諦める訳にはいかない。
コ「お願いだよ〜憐姉ちゃ…おわっ!!」
神崎に脚に縋り着いていた状態から、突如高くなる目線。気づけば自分の体は彼女の体から離されて宙に浮いていた。
新「こ〜ら坊主!神崎を困らせたら駄目だろ?」
前で歩いていた
コ「離せっ!おいキッ…もがぁ!!」
新「おぉ〜俺に会えてそんな嬉しいのか〜!よしよし!!」
コ「はぁっ?!んなわけねーだろ!!」
新「おーっといいのかな〜そんな態度で……。憐嬢だけじゃなくお前の彼女にまで怪しまれちまうぜ?(小声)」
蘭「コナンくん駄目でしょ?憐を困らせちゃ……」
貴「大丈夫だよ!いつも大人っぽいコナンくんが、何だか年相応に見えて可愛かったから…!」
蘭も神崎もどうやら俺の言動に疑いはないらしい。しかし、神崎の発言を受けてほんの一瞬、奴の表情が曇った気がする。今の表情の変化からある可能性が浮かび上がる。
(コイツもしかして……神崎が俺と絡むことが嫌なのか??……いやいや、俺の見た目はどう見ても小学生。小学生のガキが絡むだけでそんな嫌な顔するのか普通……でも、そうであれば俺を神崎から引き剥がしたのも納得がいく……)
――― あぁ、そうか……
――― キッドの奴……神崎の事が……
新「……??」
コ「……」
やけに神崎を気にかけるところも、スコーピオンの事件の時も、撃たれそうになった彼女を命懸けで守ったことも……想い人を護る為の行動だったとなれば、説明がつく。
奴の表情、態度は過去の自分を思い出させる。
……俺も目の離せない幼馴染に対して、似たような言動をしていたことがあるからだ。
己と似た所は風貌だけでなく、こんな所でも共通していたとは……しかし、それとこれとは別である。
蘭「ちょっと!!こっちに帰ってたんなら連絡ぐらいしてよね!!」
新「悪ぃ悪ぃ!オメーの驚いたキュートな顔が見たくてな!」
蘭「キュ…!?」
園「おーおーのっけから言うねぇ……」
貴「暫く会わない間に、そんな言葉を蘭に言えるようになったんだね……」
コ「…………」
神崎と引き剥がされたとしても、俺の
俺にとって今、蘭にちょっかい出しているこの男は敵だ……視線もより鋭くなるに決まっている。
新「さて、俺はちょっと屋上を見てくっかな…蘭も一緒にどうだ?最上階は展望フロアみてーだぞ?」
蘭「!!……」
園「行っといでよ蘭!」
コ「僕も行く!!!!」
園「アンタはいいの!」
コ「行く行く!!僕も行く!!」
蘭と2人っきりにさせてたまるか!!俺はここでも駄々をこねて何とか蘭について行きたいことを伝えても、園子に邪魔される。……それならこっちにも考えがある。
コ「憐姉ちゃんも行きたいよね…?!僕と一緒に行こうよー!!」
貴「えっ?!ちょっとコナンくん!?何で私なの……!?」
引っ張っていた蘭の服から手を離して、神崎の服を引っ張る。神崎に対して甘えたことは無いが、背に腹はかえられない。
貴「あっ!そんなに行きたいなら、後で行こう?蘭達はほら……色々事情があるのよ!!蘭達の後でなら一緒に着いてってあげるからさっ!?だから……ね?」
コ「だって優しい憐姉ちゃんなら一緒に行ってくれるでしょ??蘭姉ちゃん達が連れてってくれないなら、憐姉ちゃん行こうよ!!僕待てない!!行きたい行きたい行きたいーー!!」
貴「え、えっと……💧(いつもは聞き分けがいい子なのに、今に限ってどうして〜?!)」
新(コイツ…!俺への当て付けで態と憐に絡んでるな…!名探偵の行動として彼女を誘っただけでこれかよ!俺が気に食わねーのは分かるけど、俺だってな……オメーのことで気に食わねーことがあんだよ…!)
蘭「分かったわ…じゃあみんなで行きましょう…」
この事態を収拾をする為に、渦中の蘭が皆で行くことを提案した。その提案に俺が勝手に巻き込んだ神崎も大きく安堵した。
よし……!神崎に絡むことによって、あの怪盗にもダメージを与えられて、優しい蘭ならコナンを優先して、連れていってくれるだろうと考えての行動だったが、上手くいったな。
貴「良かったねコナンくん…!」
コ「うん!ヤッター!!」
平和に事が落ち着き神崎は安心したように俺に笑いかける。子供らしい笑みを返すが、神崎の後ろに立っている奴の姿を見る。蘭達には、ヘラヘラ笑っていたが、その笑みは消えていて、鋭い視線を俺に向けていたのだ。俺と視線が合った時には〝工藤新一〟に戻っていた。
(お前の思い通りにはさせないからな、キッド!!)
俺も奴へ同様の視線を向けてやった。とにかく俺達は、この場にいる全員で屋上へと向かうのだった……。
元「なぁコナンって……」
光「蘭さんや憐さんの前じゃ人格が変わりますね……」
歩「きっと甘えたい年頃なのよ……」
元「ガキだな、アイツ……」
園(アンタらもでしょ…💧)
普段の様子を知っている今の少年の同級生達が、少年の珍しい行動を見てどう評価していたのか、知りもしなかった……。
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