世紀末の魔術師【完】
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コナンside
エッグから出ていた光は次第にバラツキ始め、徐々に消えていった。エッグを使った大掛かりなカラクリは静かに終わった。そして元の暗い部屋へと戻ると、セルゲイさんがエッグを持って夏美さんに手渡す。
セ「このエッグは喜市さんの…いえ、日本の偉大なる財産のようだ。ロシアは、この所有権を中のエッグ共々放棄します。貴女が持ってこそ価値があるようです…!」
香「ありがとうございます…!あ…でも、中のエッグは鈴木会長の…」
小「鈴木会長には私から話してあげましょう…きっと分かってくれますよ。」
もうひとつのエッグの所有権は鈴木会長にあるため、その事について心配した夏美さんだが、おっちゃんが鈴木会長にとりなしてくれるよう話が纏まった。そこでようやくある違和感に気づく。
(あれ……そういえば乾さんはどこに行ったんだ?)
同行していた乾さんの姿が見当たらなかった。いつからだ……いつから乾さんを見ていないんだ。
哀「ラスプーチンの写真…」
コ「えっ?」
哀「出てこなかったわね…皇帝一家と親しかったのに…。」
灰原がラスプーチンの写真が出てこなかったことについて言及する。
コ「あぁ、確か喜市さんの部屋にも…………あっ!?」
灰原の言葉に同意しかけるも、その時ふと重大なことに気がつく。
コ「あの〝ゲー〟ってまさか…!!」
文字の意味がやっとわかった時、危険は突如やってくる。
小「何はともあれ、めでたしめでたしだ!」
コ「あれは!!」
小「それでは…………ん!?」
満足気なおっちゃんの片目の瞳孔に、赤い光が重なる。まずい!!あれはレーザーポインター……!おっちゃんが狙われている!!
コ「危ない!!」
小「わぁ!!」
――― ガゥン!!
咄嗟に持っている懐中電灯を、おっちゃんに向かって投げた。おっちゃんは、懐中電灯を避けたことによって、間一髪で銃弾からも逃れられた。それだけで危険は終わらない。落ちた懐中電灯を蘭が拾おうとしゃがみこむ。おっちゃんを狙ったレーザーポインターは、今度は蘭へと向かう。
コ「拾うな、蘭!!!」
蘭「えっ?!」
迷っている暇はなかった。俺は、蘭の名を叫びながら彼女に手を伸ばす……。
コ「らぁあああああああんっ!!!」
蘭「新一…?」
―――ガゥン!!
蘭の腹部目掛けて飛び込み、無理やり位置を変えさせる。蘭には倒れ込ませてしまったが、そのおかげでアイツにも当たることはなかった。
コ「みんなっ!伏せろっ!!」
おっちゃんの右目を狙った人物……キッドの右目を狙撃した人物スコーピオンに間違いない。そのスコーピオンからの狙撃を避けるべく、その場にいた全員に伏せるよう告げる。歩美達が慌てて動く中、ある人物だけが立ち尽くしたまま動かなかった。
貴「なんでっ……どうして、貴女がっ……」
(神崎!!ここからじゃ間に合わない!!)
神崎の右目に、例のレーザーポインターが重なる。まずい!!このままじゃ、神崎が撃たれちまう!!
俺が焦って立ち上がろうとした瞬間
「 憐っ!!! 」
――― ガゥン!
ドサッ
神崎の名前を叫ぶ男の声が聞こえた。すると薄い青の背中が、彼女に覆い被さるのが見えた。そのおかげで、スコーピオンが放った銃弾は、間一髪の所で彼女に当たることはなかった。
(……白鳥刑事?)
どうやら彼女を守ったのは、白鳥刑事だった。
香「あっ!エッグが……!!」
先程起こった出来事について考える暇もなく、スコーピオンの犯行は進んでいく。慌てて伏せる時に、夏美さんがエッグを落としてしまい、それをスコーピオンに盗られたのだ。エッグを盗み、走り去っていくスコーピオンの背中を追いかける為に、俺は立ち上がる。
コ「くそっ!逃がすかよ!!」
蘭「ダメッ!!」
止める蘭の声を無視し、俺は逃げ去る奴の背中を追いかけるのだった。
──────────────────────
何が起こったのか、分からなかった。コナンくんの大声が聞こえたと思ったら小五郎さん、蘭が浦思さんの銃に狙われていた。その場面を近くで見ていた私は、あまりの事態に信じられなかったのだ。
……なんで浦思さんが……銃で二人を……?!
幸運なことに、小五郎さんと蘭はコナンくんのおかげで、撃たれずにすんでいた。しかし、今度は私に銃口が向けられる。コナンくんの伏せろという声は聞こえていた。頭でも理解は出来ていた……しかし、仲良く話していた人物が、突然銃で人を殺そうとする所を見てしまい、ショックと驚きで気が動転して、正常な判断が出来ていなかったのだ。
その場に立ち尽くしていた私に、浦思さんが持っていた銃の引き金をひこうとする。その動きがスローモーションに見えていた。
その瞬間、私の耳に飛び込んできたのは聞き慣れたテノールの声……
「 憐っ!!! 」
気づいた時には、白鳥さんに体を押され、覆い被さられた状態で倒れていた。
白「無事ですね…。」
貴「は、はい……、あの……白鳥さん……」
白「貴女が無事なら良いんですよ……。」
貴「!!」
警察官は民間人を守ることも職務の一つだ……だから不思議なことなんて…………っ!!
コ「くそっ!逃がすかよっ!」
蘭「ダメッ!」
コナンくんが制止の声を振り切って、浦思さんを追いかける。
白「毛利さん、後は頼みます!!」
貴「……待って!!」
行ってしまう……そう思ったら声に出ていた。白鳥さんに手を伸ばしても、私の声を無視して彼はコナンくんを追いかけて、走り去ってしまった。
蘭(新一……。)
(……また、……助けられた……。)
白鳥さんに後を託された小五郎さんに話しかけられるまでは、私はその場に座り込んだまま動けなかった……手にはムーンストーンを握りしめて……。
その後、コナンくん、白鳥さん、浦思さん以外は小五郎さん先導のもと、城を抜け出す。地下から上へ上がる階段の所まで戻ってみたが、そこは瓦礫の山で塞がれていた。
途方に暮れた私達だが、哀ちゃんが他の道を知っているらしく、有無を言わさずについてくるようみんなを威圧する。その迫力に誰も逆らえず、哀ちゃんについて行く。ついて行った先には、地上に上がれる縄ばしごがあった。その縄ばしごを上がって地上に出た際に、とんでもない事態になっていることを知る。
光「た、大変です!!お城が燃えています!!」
私達がいたお城が、知らない間に真っ赤な炎に包まれて轟々と燃え上がっていたのだった。