世紀末の魔術師【完】
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コ「この下に秘密の地下室があるんだよ!!」
乾「何っ!?」
「「「「!?」」」」
コ「とすると……からくり好きの喜市さんことだから、きっとどこかにスイッチがあるはず……」
そう言ってコナンくんはしゃがみこんで床を触る。
小「そんなスイッチ、どこにあるって言うんだ?第一持ち主の夏美さんが知らない入り口なんて……」
小五郎さん達含め、コナンくん以外誰もピンときてないようだ。
コ「ん……これだ!!」
「「「「「!!!」」」」」
コナンくんが見つけたフローリングは1枚だけ他のものと違い、蓋のようなひっかかりが着いていたのだ。そのひっかかりに指をかけ、そこを開けると現れたのは、文字が書かれたボタンが沢山並んだパネルだった。そして上部にはスイッチがある。
貴「この文字って……?」
白「ロシア語のアルファベット!」
ロシア語なんだ。異国の言語だから全く分からなかった。
乾「それで秘密の地下室へのドアが開くのか!?」
コ「多分パスワードがあると思うよ……セルゲイさん、ロシア語で押してみて!」
セ「あぁ……」
そこから喜市さんに連想して、ロシア語を当て嵌てみるもパネルはピクリとも反応を示さない。
でも、多分何かヒントがあるなら子孫である夏美さんが聞いているはず……
(………っ!!そういえば……)
貴「バルシェ、ニクカッタベカ……」
夏「えっ?」
貴「夏美さんが変な日本語使っちゃうって教えてくれたこの言葉、妙に耳に残って離れなかったんですよね。そもそも日本語なのかなって……夏美さんのもう1つのルーツ、ロシア語だったりしないですか?」
少しの沈黙後、コナンくんが答えてくれた。
コ「僕もそう思うよ、憐ねーちゃん……。夏美さんが言ってたあの言葉、ロシア語かもしれないよ!」
コナンくんも同じ考えなら安心出来る。
小「おい、何の話だ?」
蘭「シーッ!黙ってて!!」
セ「夏美さん、バルシェ……何ですか?」
夏「ニクカッタベカ……」
セ「バルシェ、ニクカッタベカ……」
ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…
だけど、パネルはこれでも反応しない。
貴「……すみません!私が変なこと言っちゃったから……」
コ「いや、もしかしたら切る所が違うのかも…」
セルゲイさんが何とか近いロシア語を捻り出そうとしてくれてるけど、難航していた。
浦「それ、〝ヴァルシェーブニックカンツァーベガ〟じゃないかしら?」
浦思さんが口に出した言葉は聞いたことがなかったけれど、夏美さんが言っていた変な日本語の言葉と似ている……。
セ「そうか、
コ「えっ?それってどういう意味!?」
―――少しずつ……着実に……
セ「英語だと〝The Last Wizard of the Century〟!!えーと、日本語では……」
―――謎が解けていく……
貴「世紀末の、魔術師……。」
白「!?」
コ(えっ!?世紀末の魔術師!?)
小「世紀末の魔術師?どっかで聞いたような…」
蘭「キッドの予告状よ!」
―――…〝世紀末の魔術師〟
小「そうだ!こりゃ、とんだ偶然だな…」
コ(偶然…?ホントにそうなのか!?)
貴「いいえ、偶然なんかじゃない……キッドは無意味なことなんかしません。わざわざ予告状に〝世紀末の魔術師〟 なんて書いたのはきっと重要な意味があるからだと思います……。」
(……そうだよね?キッド……。)
コ(神崎……)
セ「とにかく押してみましょう!」
ピッ!
セルゲイさんが最後の文字を入力し終えると、部屋全体に大きな音が響き渡る。
小「な、なんだこの音!!」
コナンくんが立っていた床から、地下へと続く階段が現れた。
貴「本当にあった!秘密の地下室の入口……」
しかもキッドの予告状に使われていた〝世紀末の魔術師〟がパスワードだった。
(凄いな、キッドは……。)
白「それでは、行ってみましょう……皆さんは私の後に続いてください。」
白鳥さん先導のもと、私達は新たに現れた地下へと続く階段を降りていくことになったのだった。
─────────────────────
地下へと続く階段を降りると、暗闇が広がっていた。懐中電灯で照らすと1本の道が続いている。周囲を照らし、1列に並んで地下の奥へと進んでいく。微かな明かりを頼りに道を進む中、セルゲイさんが夏美さんに疑問を呈する。
セ「それにしても夏美さん……どうしてパスワードが〝世紀末の魔術師〟だったんでしょう?」
香「多分曾祖父がそう呼ばれていたんだと思います。曾祖父は16歳の時、1900年のパリ万博にからくり人形を出品し、そのままロシアに渡ったと聞いています。」
小「なるほど…1900年といえばまさに世紀末ですな…。」
(〝世紀末の魔術師〟と呼ばれる程の腕前だったなら、16歳の時にパリ万博にからくりを出品するだけのことはあるわね。)
どこの時代にも天才はいるものだ。
話しながらも、どんどん奥へと進んでいく。道を進めど進めど終わりが見えない。
小「ずいぶん深いんだな…」
コ「…ん?」
進んでいる途中でコナンくんが、左右にある道を見て足を止める。
蘭「どうしたの?」
コ「今、かすかに物音が!!」
小「スコーピオンか!?」
コ「僕見てくる!」
蘭「コナンくん!!」
貴「ひとりで離れちゃ駄目だよ!」
コナンくんが様子を見に行こうとひとり離れようとする。聞く耳持たずな態度に私と蘭がおいかけようとするが、白鳥さんが手で制する。
白「私が行きます!憐さんは毛利さん達とココにいてください!」
小「分かった!!」
白鳥さんはコナンくんの後を追いかけて道を逸れていく。暗闇に吸い込まれるように走っていく姿を見て、何故だか一抹の不安がある。
貴/蘭「「…………」」
コナンくんと白鳥さんに気を取られていて、私達は気づかなかった。ある人物と乾さんが列から離れたことに……。
──────────────────────
コナンくんと白鳥さんが戻ってきた。後ろに子供達を連れて……
歩/光/元「「「この世であなたの愛を〜♪手に入れるもの〜♪」」」
小「どーいうつもりなんだ、コイツら…」
香「いいじゃないですか、毛利さん…大勢の方が楽しくて…」
子ども達と引率の阿笠博士と合流して先を進む私達。それにしても、やっぱりこの子達潜り込んでたんだな。まぁでも、小さい子達からしたら、探検したくなるぐらいの大きな城だもんね。今も楽しそうに歌を歌っているし、本当に楽しそうだな。歌ってる子ども達を見てたら張り詰めていた気が緩み始めた。
歩/光/元「「「踊る〜ライト見つめて〜♪忘れない〜ah〜♪」」」
歩/光/元「「「謎がとけてゆく〜♪」」」
貴「謎がとけてゆく―――」
この歌が元々大好きなのもあった……子ども達の歌に合わせて自然と歌っていた。
歩「今の歌声、憐おねーさんでしょ?」
貴「聞こえてた……?好きな歌だったからつい……」
歩「うん!とっても綺麗な歌声だったから!憐おねーさん上手だね!」
歩美ちゃんの言葉に嬉しくなる。でも、先程まで とても歌える状態ではなかった私がみんなの歌のおかげで気が楽になって、自然と歌っていたのだ。
貴「ありがとう!でもみんなの歌を聴いてたら、元気が出て歌えたんだよ。みんなの歌は上手いだけじゃなくて人を元気にさせてくれる素晴らしい歌だね!」
そう伝えると歩美ちゃん達は顔を見合わせて、嬉しそうに笑っていた。
白「(……良かった。)……ん?!」
歩「あれ!?」
貴「行き止まり…?」
地下に下った後、初めての行き止まりにあたり、暫く私達は足を止めることになった。