世紀末の魔術師【完】
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コ「警部さん、スコーピオンって知ってる?」
その言葉に聞いていた大人達は首を傾げる。その様子を見たコナンは、丁寧に解説する。スコーピオンとは、主にロマノフ王朝の財宝を盗み、右目を射抜いて殺す凄腕のスナイパー……国際的に有名な強盗だ。
目「それじゃ、今回の犯人も……?」
コ「そのスコーピオンだと思うよ!多分キッドを撃ったのも……」
小「何だって!?」
寒川を殺害した犯人は西野であると疑いをかけられていたが、現場に残された大量の羽毛が、西野の犯行は不可能であることを証明した。なぜなら西野は、極度の羽毛アレルギーだからだ。そんな大量の羽毛だらけで殺人なんてとてもじゃないが行えない。そこで、先程のコナンの発言……今回の殺人もキッドを撃った人間も恐らくそのスコーピオンではないかと、新たな容疑者が浮かび上がる。
コ「キッドの
インペリアル・イースター・エッグもロマノフ王朝の時代の財宝……スコーピオンの目的とも一致する。
小「何でお前、スコーピオンなんて知ってんだよ……」
コ「あっ……いや、でも……あれが……つまり……、」
しかし、何故小さな子どもが国際的に指名手配されている強盗の名前を知っていたのか、小五郎は訝しげにコナンを見る。普通の小学生が知らないことを平然と知っているコナンの態度に疑問を持つ。指摘され焦るコナンに意外な人物が助け舟を出した。
白「阿笠博士から聞いた……」
コ「!?」
白「そうだよね……コナンくん?」
コ「あっ!うん、そう!」
コ(やべぇ……博士と電話してる時、感じた視線は白鳥刑事だったのか……)
阿笠博士にスコーピオンの情報を電話で教えて貰っていたコナン。その時に感じた視線が、誰のものだったのか、当時は分からなかったが、ようやくその視線が白鳥だったと判明する。そして、大阪の神社で引いた御籤に〝秘密が明るみにでます。やめましょう。〟と書かれていたことを思い出す。迂闊に動けば、白鳥刑事に疑念を抱かせてしまう……慎重に動くことを決意するコナン。その姿を鋭い目つきで観察している蘭。その二人の動向を心配そうに見守る憐。
殺人事件とは裏腹に各々の思惑が交差する。コナンの数々の発言で、今回の事件は二つの事件が重なっている複雑なものだと、目暮達も認識する。
1つ目の事件は、過去の事で恨みがある西野に、寒川は持っていた指輪を西野の部屋に置くことで指輪泥棒の罪を擦り付けようとしたこと。
2つ目の事件は、その矢先に寒川が何者かによって射殺されたこと。寒川がスコーピオンの正体を示す重要な証拠をカメラで写してしまい、手にかけられた。右目を撃ち抜かれ、ニコライ2世の三女、マリアの指輪も盗まれていた。
小五郎の推理に拍車がかかる。この船の中にスコーピオンが潜んでいると思いきや、白鳥の発言により、救命艇が1艘無くなっていることが発覚する。スコーピオンが、その救命艇を使い船から脱出した可能性も考えられる。
しかし、ここで白鳥がスコーピオンがこの船から脱出しても、もうひとつのエッグを求め香坂家の城に現れる可能性を提言。その為、明日東京に着き次第自分も香坂夏美達と一緒に白に向かうことを目暮に伝えた。
小「オイ、聞いた通りだ……今度ばかりは、絶対に連れて行く訳にはいかんからな!」
流石の小五郎も、今回ばかりは自分のみ同行しようと考えていた。
白「いえ、コナンくんも連れていきましょう!」
小「何っ!?」
白「彼のユニークな発想が役に立つかもしれませんから……。」
小「コイツの!?」
白「えぇ……」
コ(白鳥刑事……)
白鳥の後押しにより、コナンを連れていくことに。話が纏まりかけた時、ひとつの声が割って入る。
貴「あの……私も皆さんと一緒に行きたいです。」
今迄口を挟まなかった憐が、自分も香坂家の城に皆とついて行きたいと申し出た。小五郎がため息をついて、再び断ろうと口を開いた瞬間
白「いけません、憐さん……。もしかしたら、明日香坂さんの城にスコーピオンが現れるかもしれない……そんな危険だと分かっている場所に、貴女を連れて行く訳にはいきません。」
憐の前まで移動した白鳥が、厳しい顔つきで拒否の意を示した。
貴「難しいことは分かっています……でも、私はどうしても行きたいんです!……行って確かめたいことがあるんです……。」
小「確かめたいことって何だ?」
コ(神崎……?)
いつにもなく真剣な表情の憐の訴えに、話を聞く小五郎達。皆の視線を一同に集めた憐は、胸の前で手を組み恐る恐る切り出す。
貴「……最初は気にならなかったけど、鈴木さんや香坂さんのお話を聞くうちに、エッグについて気になり始めました。何でメモリーズ・エッグなんて呼ばれているのか。
それに小五郎さんの推理通りなら、2個目のエッグが香坂さんの城にある。それはスコーピオンだけじゃない……多分キッドも狙うはず。スコーピオンに撃たれ海に落ちて、生死不明だけど……もしかしたら……生きていて、今も何処かで機会を伺ってるのかもしれない……。
私は、このエッグの謎と怪盗キッドが生きているのかどうかこの目で確かめたいんです!」
この場にいた人間の誰もが、彼女から並々ならぬ強い意志を感じ取った。それだけ必死なことがうかがえた。
白「……生きているのかも、来るかさえも分からない怪盗の為に……自分の命を危険に晒してまで行きたいのですか?」
彼女の必死な訴えを聞いても尚、厳しい顔つきを変えない白鳥。その対応に落ち込みそうになるも、それでも憐は諦めなかった。
貴「少しでも生きている可能性があるなら、諦めたくないんです!それに、きっと彼は死んでいない……、今も何処かで生きている……。
私は、彼が生きていると信じています!はっきりとした根拠はないけど、そんな気がするんです……勘ですけどね。」
少し目を伏せて話す憐。しかし、視線をあげて再度堂々と白鳥を見つめ返す。他の者たちの視線も気にせず、自分の意志を曲げない強い姿勢を見せる彼女の姿に友人達は、本当に憐なのかと驚いていた。
貴「巫山戯てると思われるかもしれませんが、私は本気です……こういう時の私の勘は当たるから。だから、私は自分を信じて彼は生きていると考えています……。
お願いです……私の事は気にかけなくていいです、自分の身は自分で守ります、だから……私も一緒に同行させてください!」
先程よりも大きな声で、自らの頭を下げてまで同行を希望する憐。反対しようとしていた小五郎でさえも、あまりの憐の真剣さに絆されようとしていた。その時憐の両脇に人が並んだ。
蘭「あの、私からもお願いします!」
園「憐は、普段穏やかな子なんだけど、ここまで声を大きくして言うことなんて滅多にないんです……私からもお願いします!」
憐の両隣に立ったのは、友人である蘭と園子。彼女らも憐の両肩に手をのせて、憐の同行許可を懇願した。
貴「蘭、園子……。」
憐は、力になってくれる友人達の存在に改めて感謝した。
白「…………分かりました。そこまで言うのなら、明日憐さんも一緒に行きましょう。但し条件として、危なくなったらすぐ逃げること、そして私の指示には絶対に従ってもらいます……いいですか?」
白鳥は苦渋の決断の末、自分に従うことを絶対条件として憐の同行を許可したのだ。
貴「はい、勿論です……!ありがとうございます……!」
彼女はやっと喜びの笑みを浮かべたのだった。