世紀末の魔術師【完】
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翌日、エッグは傷がないか調べる為…急遽展示を取りやめ鈴木家の船で東京へ持ち帰る事になった…。
蘭「凄い……豪華客船だ!」
和「ホンマやな。こんなん乗れたら素敵やな!」
園「2人とも、一緒に東京来る?」
平「行くでっ!」
和「何言うてんねん、怪我しとんのに!」
平「あっ……。」
平次の足は、昨日の事故で右足を捻挫。包帯で巻かれ、松葉杖で立っている。怪我をしても懲りていない平次に和葉が怒鳴る。そんな彼女の小言も気にせず、勝手に二人で言い合いを始めるコナンと平次。その様子を見守っていた蘭達は、二人仲の良さに感心していた。
和「蘭ちゃん、おみくじ当たるとええな。」
蘭「えっ!」
――――――恋人と再会します
蘭(新一……)
園「憐の幼馴染くんが来ること期待してたんだけどな〜…来なかったわね。」
貴「…………当たり前でしょ!」
園子の冷やかしに、呆れる憐だが…少し気が落ちていた。
(何でだろう……何だか落ち着かない。あのおみくじのせいかな。)
―――貴方の大切な人と会えるが問題も起こります
何か良くないことが起きているんじゃないかと、勘繰ってしまう。
それはきっと……昨夜アイツにメールを送っても、いまだ返信がないことが関係しているのかもしれない。
(いつもだったらメール送ったらすぐ返信をくれるのに。……一体どうしちゃったんだろ……快斗。)
おみくじの通りに、何か彼の身に問題がおこったのか……蘭達に心配かけないように、敢えて伝えずに勝手に一人でモヤモヤしていると、何故か玲於からメールが届く。
玲【姉さん、おはよう。今日こっちに戻るんだよね?本当は快くんが返信したかったらしいんだけど、携帯の調子が悪くて何故かメールが送れないんだってさ。快くんから頼まれて代わりに僕が送ったんだ。だからこっちのことは気にせず最後まで楽しんでこいってさ。】
玲於の連絡は、こちらの杞憂を払うメール内容だった。
(良かった……ただ携帯の調子が悪いだけだったのね。)
ホッと一息つく。やっと蘭達の話に集中出来そうだ。
─────────────────────
鈴木家の豪華客船に乗り、東京へ戻る途中の出来事だ。私達の他にも乗客はいて、昨日鈴木さんにエッグの事で話に来ていたあの4人に加え、今回はパリで菓子職人をしている香坂夏美さんとその執事の沢辺さんという見慣れない方も乗っていた。
何でも美術館のパンフレットに掲載されていたエッグを見て鈴木さんと話がしたいと来てくれた方だ。薄い亜麻色に、灰色の瞳を持ち、何処か異国の人を思い起こさせる綺麗な風貌をした香坂さん。どうやら鈴木さんの持つエッグと、彼女の曾お祖父さんが残したとされる絵のエッグと違うらしい。
香坂さんの曾お祖父さんは、インペリアル・イースター・エッグを作ったファベルジェの工房で細工職人として働いていた。現地でロシア人の女性と結婚して革命の翌年に、2人で日本に帰り香坂さんの曾お祖母さんは女の子の赤ちゃんを産んだ。しかし、曾お祖母さんも曾お祖父さんも早くにして亡くなり、お祖父さんとご両親も幼い頃に交通事故で亡くし、お祖母さんに育てられた香坂さん。そのお祖母さんも先月亡くなられ、帰国してお祖母さんの遺品を整理していた時に、曾お祖父さんが書いたと思われる古い図面が出てきたという。
その図面は、真ん中が破れて紛失しているが、鈴木さんの持つエッグと似たような装飾のエッグと、MEMORIESの文字……
鈴「確かにメモリーズ・エッグだ!!」
メモリーズ・エッグが記された図面だった。
鈴「しかし、これには宝石がついていたのに…」
小「元々宝石がついていたのに取れちゃったんじゃないですかね?」
図面のエッグには頂上部分に、ダイヤのような宝石が書いてある。小五郎さんの言う通り、元々宝石がついていたけど、無くなってしまったのだろうか?
図面をじっと見つめていたコナンくんが、新たな疑問を提示する。
コ「ねぇ、もしかしたら卵は2つあったんじゃない?」
香「えっ!?」
コ「1つの卵にしちゃ、輪郭が微妙に合わないじゃない?本当はもっと大きな紙に2個描いてあったのが、真ん中の絵がゴッソリ無くなってるんだよ。」
小「なるほど……。」
(……細かい所に気づくな〜……本当に凄いなコナンくんは。)
コナンくんの鋭い指摘に感心していると、彼はエッグの底を触りだして、底についてた鏡を落としてしまっていた。
コ「か、鏡がついてたけど取れちゃった……💧」
小「何ィ!?」
蘭「コ、コナン君!」
子どものやった事とはいえ、億の価値がついてるほどの高級品を壊してしまったとなれば、小五郎さんも蘭も心中穏やかではないだろう。
園「あ、大丈夫!あの鏡簡単に外れるようになってんの!どうやら後からはめ込んだみたいなの。」
蘭「良かった〜…。」
貴「本当にね……ちょっ、ちょっとコナンくん?!」
私達の肝を冷やした本人は、なんて事ない様子で鏡を触りだして、何かに気づいた様子で西野さんに、部屋の明かりを消すように指示を出す。
戸惑いながもコナン君の指示で、明かりを消す西野さん。部屋が暗くなると、腕時計の光を鏡に当てると、光は反射して壁に映し出される。壁に映し出された絵は、立派なお城だった。そのお城は、沢辺さんによると横須賀にあるお城らしい。
蘭「えっ?横須賀のお城って、あのCM撮影とかによく使われる?」
香「はい、元々は曽祖父が建てたもので、祖母がずっと管理をしてたんです。」
貴「じゃあ、あのお城は香坂さん家のお城だったんですね。」
そこで消えていた明かりが付けられる。そして小五郎さんが今までのことを踏まえ、自身の考えを話し出す。
小「夏美さん…2つのエッグは、貴女の曾お祖父さんが作ったものじゃないでしょうか?」
「「「「「!?!?」」」」」
小「貴女の曾お祖父さんは、ロシア革命の後で、夫人と共に自分が作った2個のエッグを日本に持ち帰ったんです。恐らくこの2個目のエッグに付いてた宝石のいくつかを売って…横須賀に城を建て、このエッグを城の何処かに隠したんです!
そして、城に隠したというメッセージを魔鏡の形で……別のエッグに残したんですよ!」
小五郎さんの推理が、冴え渡っているように聞こえる。
香「図面と一緒にこの古い鍵もあったんですが、これも何か…?」
小「それこそ!2個目のエッグを隠してある所のカギに違いありません!」
途端に空気が変わった。セルゲイさんや乾さん、浦思さん、寒川さんとエッグを狙っている人達の喉がなる。
(まさか、鈴木さんのエッグだけじゃなく、香坂さんのエッグまで欲しいんじゃ……)
香「毛利さん、東京へ戻ったら一緒にお城へ行っていただけませんか?」
小「いいですとも!!」
セ「私も同行させてください!」
乾「俺もだ!」
浦「私も是非!」
寒「頼む!ビデオに撮らせてくれ!!」
(やっぱり……この人達、2個目のエッグも欲しいのね。)
理由はどうあれ、ここまで色んな人を惹き寄せるエッグは本当に凄いなと感心してしまった。
香「はい、一緒に行きましょう!!」
そして、そんな人達を疑わず、どこまでも優しい対応をする香坂さんの人の良さにも感心した。こうして蘭達は、東京に戻ったら香坂さんが管理する横須賀のお城に向かうことが決まった。