世紀末の魔術師【完】
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────… 通天閣
時刻は午後7時20分を迎える頃、大阪のシンボル、通天閣に1羽の白い鳩が飛来する。鳩の行先は、通天閣最上階。そこには白いマントを靡かせ、大阪の街を見下ろす怪盗の姿が。怪盗は待っていた……この時が来るのを。キッドが予告状で表していた時間は午前3時ではなく、午後7時20。その事にコナン達が気づいたのは、丁度その時刻になろうとしていた時だった。
キッドの元へと戻ってきた鳩の足には、小型の盗聴器がついていた。鳩に盗聴器を取り付けていたキッドは、毛利小五郎と中森警部の会話を外部から聞いていたのだ。その会話から展示室に置くエッグは偽物で、本物のエッグは中森警部とそのそばに着いていた部下二人しか知らない場所に移したということを知る。本物のエッグを隠した場所を探し当てる為、キッドは大胆な行動に出る。
キ「Ladies and Gentlemen!!」
鳩につけていた盗聴器を外し、眼下に見下ろしたキッドは静かに微笑んだ。
キ「さぁ!ショーの始まりだぜ!!」
本物のエッグの所在を炙り出す為、彼が用意した盛大な一夜のショーが、今幕を開ける…。
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──────…道頓堀
ヒュルルルルル……ドーン!!パァーン!!
蘭「綺麗……」
園「やっぱり大阪は、花火も派手だねぇ!」
私達は和葉ちゃんの案内でひっかけ橋と呼ばれる、戎橋にいた。そうしたら突然大きな音ともに、色彩豊かな花火が打ち上げられていた。
貴「本当に綺麗……写真撮っちゃお。」
その花火が、あまりにも綺麗だったので思わず携帯で写真を撮る私。
(……東京に帰ったら快斗達に、見せてあげよう)
夢中で写真を撮っていたので、気づかなかった。
和「おかしいなぁ、今日は花火の日とちゃうんやけど……。」
私達の後ろにいた和葉ちゃんが、不可解な面持ちで上がっている花火を見ていたことに……。
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キ「さて、お次は……」
キッドは、持っていたリモコンのスイッチを押す。すると変電所から爆発音が響き、辺り一帯がくらい闇に包まれた。
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戎橋に居た蘭達もようやく異変に気づく。
和「何かおかしいで、これ……。」
貴「……。」
付近の停電と和葉の一声でようやく何かおかしいと気づいた憐は、何が起きているのか分からずただただ夜空を見上げた。
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コ「奴の狙いが分かったぞ!」
平「お、おい!」
怪盗キッドの目的がようやく分かったコナンは、困惑する平次を置いて、自身のスケートボードに乗り、人通りの多い道を、豪快なスピードで駆け抜けて行った。
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キ「法円坂、ミカド病院、ホテル堂島センチュリー、天満救急医療センター、ホテルチャンネル・テン、浪花TMS病院、関西ホテルワールド………………っ!!」
キッドは停電から自家発電に切り替え復旧する建物の場所を、一つ一つ確認していた。彼のあげた建物はホテル、病院と緊急性が高く早々に復旧すると見越した建物ばかり……しかし、一つだけホテルでも病院でもない、変哲もないビルの明かりが早々に復旧していたのを確認する。
キ「ビンゴ!」
そしてその建物こそが、本物のエッグが隠されている場所だと確信する。早々に明かりが復旧したビルを確認したキッドは、通天閣から飛び降りハンググライダーでその場所に向かう。
コ「キッド!」
停電により、渋滞が起きている車道の真ん中をスケートボードで突き抜けていくコナン。その際に上空で飛んでいるキッドを発見。
コ「くそっ!」
しかし、右方向に逸れてしまったキッドを追って、コナンは方向転換し、更に狭い裏路地へとスケートボードを走らせる。狭い通路を抜けていくと行き止まりが。
コ(やべぇ!!行き止まりだ!!)
行き止まりに出くわし、大幅なタイムロスになるかと思いきや
平「工藤!!乗れ!!」
コ「服部!」
コナンと別れた後、平次は自身の愛車であるバイクに跨り、物凄いスピード走り抜けていくコナンを見つけ、追いかけていたのだ。平次は、コナンにヘルメットを投げて自身の後ろに乗るよう促す。
平「なるほど!その明かりがつくんを見渡すのに通天閣は絶好の位置取り!奴は予告状を出す前からこうなる事を……読んどったっちゅうワケか!」
コ「しかもその場所は、外部からそれと気づかれない為に……」
平「警備は手薄!!」
平次が運転するバイクに乗り、二人はキッドが目指した場所に向かう。その時、遥か前方の上空に白いハンググライダーが飛んでいるのを確認。
コ「キッド!!」
平「こら、早よ行かな…取られてまうぞ!」
平次は外で待機し、コナンのみキッドの後に続いて、建物に入る。しかし、コナンが辿り着いた時には、警察の人間を眠らせ、エッグを手に持ち窓から脱出しようとするキッドの姿があった。
キッドは部屋中に煙幕を放ち、即座に窓から飛び降りた。自身の持つハンググライダーにて夜空を飛び、エッグを見事に盗み出した。その後をバイクで追跡するコナンと平次。
コ「ハンググライダーが飛ぶには、軽い向かい風が理想的だ!」
平「風上に向かって飛んでるっちゅうワケやな!」
コ(どこだ…どこに向かってるんだ!必ず降りる筈だ……その時がチャンスだ……。)
キッドを追い続けて数分経った頃、キッドが橋の上空辺りで急に高度を下げ始めたのだ。
コ「高度を下げ始めたぞ!」
平「この先は大阪湾や!キッドの奴降りよるで!」
飛んでいるキッドに気をとられすぎて、横から走行するトラックに気づかなかったコナンと平次。気づいた時には手遅れ、平次達の乗るバイクと走行中のトラックが衝突。コナンはスケボーに乗りながら、吹っ飛ばされた。平次は怪我を負い、道端に倒れることとなり、心配になったコナンは、キッドの追跡を一時止めたが、平次に背中を押され、周囲にいた人に警察と救急車を呼ぶよう伝え、コナンのみキッドを追跡することとなった。
コナンがスケボーに乗りながらキッドを追跡する中、嫌な予感が頭の中によぎる。
コ(何だろう、嫌な予感がする…急げ、急ぐんだ!)
コナンの予感は的中する。
明かりが全くない倉庫街から、上空で飛んでいるキッドに照準を合わせる者がいた。キッドもその照準に気がついたのは、撃たれる直前だった。その人物は自身の持つ拳銃で、飛行している彼の
キ「!!」
放たれた銃弾は見事彼の
突然の銃声に驚くコナン。音のする方へと顔を向けると、そこには誰かが上空に、拳銃を向けて撃ち終えた所だった。
コ(あ、あれは!!……はっ!)
銃声が聞こえた場所の近くに、スケボーを止める。辺りには、キッドが持っていた箱が、落ちた衝撃で中身のエッグが剥き出しの状態で落ちていた。それと傷を負った鳩が1羽倒れており、更にその隣にはキッドが付けていた
コ「ま、まさか…撃たれて海に……!?」
現場に落ちていたエッグ、傷を負った鳩、キッドの所持していたモノクルが割れていることから、コナンはキッドが誰かに撃たれて、海に落ちたことを悟った。
コ(すると、さっきの男は一体……。)
暗がりで見かけた拳銃を持った男。その男は上空に向けて銃口を向けていた。つまりその男が上空にいたキッドの右目を狙って発砲したことになる。撃たれた衝撃でエッグを落としたキッドは、そのまま海へと落ちていったのだろう。そうなると、何故この男は飛んでいるキッドを狙って発砲したのか……新たな謎が出てきた瞬間だった。
その後中森警部筆頭に、警察はヘリと船を使い、海に落ちたキッドの捜索を続けたが……彼の生死は確認出来なかった。