世紀末の魔術師【完】
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────── 難波布袋神社
……ミーンミーンミーン
真夏の醍醐味である蝉が大合唱行う五月蝿い中で、私達は難波布袋神社に行き、おみくじを引いていた。
蘭「わぁ!私、大吉!」
貴「いいな〜…」
園「どれどれ……?」
蘭が引いたおみくじの結果は大吉。縁起のいい結果が書いてあるのかな?私と園子と和葉ちゃんで、蘭の手元を覗き込む。
蘭「待ち人……恋人と再会します…。」
貴「それって……!」
園「新一君の事じゃない?」
蘭「えっ?」
蘭の頬に赤みがさす。
貴「絶対そうだよ〜!良かったね〜蘭!神様から背中押されてるじゃん〜!」
蘭「もう憐〜!」
私は蘭の姿が可愛くてつい、からかってしまったけど嬉しいのは本当だよ。蘭は工藤君が帰ってくるまで、健気に待ち続けている姿を私も見ているから……。
和「へぇ、よかったやん!今度アタシにも会わしてぇな!」
蘭「うん、そのうちきっと……。」
(良かったね……蘭。)
蘭の幸せを祝いつつも、自分も引いた御籤の中身を確認する。引いたおみくじに書かれていた内容を一つ一つ、目で読んでいた。吉凶は凶、縁起が悪いなと思いつつも、ある項目で目が止まる。そして段々自分の表情が、深刻なものに変わるのが想像出来る。私が気にしたのは〝待ち人〟の項目だ。
────── 待ち人 来るがさわりあり
(待ち人、来るがさわりあり……?さわりって〝障り〟だよね?)
待ち人の意味は、自分の人生に良い影響を与える人らしく、それは恋愛に限らない。だけど一般的に有名なのが、自分の大切な人、好きな人、運命の人と恋愛の意味が大きい。だから恋愛運を見たい時は大抵待ち人の項目を見る。
─── 私にとっての待ち人は……
(…………快斗。)
これはおみくじだ。運勢、吉凶、健康、恋愛等私達人間の生活に関わる様々な神託が書かれている。神託とは神様からのメッセージ。神様からのお告げだ。その神様からのメッセージで、待ち人は来るけど、何か問題が起こるってことかな。
でも快斗は今頃、玲於達と過ごしてるはず……危険なことなんてない……アイツの身に何かあるなんてない……ないはずなのよ。
グシャッ
おみくじを握る手に力が入る。そのおかげでおみくじに皺が入ってしまった。
蘭「憐どうしたの?!おみくじがしわくちゃになっちゃうよ!」
和「おみくじの結果が良くなかったんとちゃう?」
園「まだ起きると決まった訳じゃないから大丈夫よ!……でも、気になるからちょっと見せなさい……。 」
貴「あっ!!ちょっと園子!!」
見かねた園子に、持っていたおみくじを取られる。それを覗き込む和葉ちゃんと蘭。
蘭「待ち人 来るがさわりあり
貴方の大切な人と会えるが問題も起こります。」
和「会えるけど問題も起こるってなんやねん。」
園「なるほど……問題は起こるって書いてあるけど、会えるってことは……もしかしたらアンタの幼馴染君、大阪に来てるんじゃない?良かったじゃん〜!良い結果に目を向けなきゃ駄目よ!問題なんか小さい事かもしれないし、そこまで気にしなくてもいいと思うわよ。」
蘭「そうだよ憐。園子の言う通り、良い結果に目を向けなきゃ!」
和「せやで憐ちゃん!」
貴「蘭、園子、和葉ちゃん……。」
おみくじの結果で心配になっている私を励ましてくれる3人。蘭の結果で盛り上がっていたのに申し訳ないことをしてしまったけど、おみくじの結果と分かっていても不安だったから、3人がいてくれて良かった。
貴「そうね……良い結果も出てるんだから落ち込んでちゃ良くないね。……でも、待ち人に関してはアイツは関係ないから!」
園「今更何言ってんのよ〜!誰がどう見たって幼馴染君で落ち込んでることは、分かるわよ。」
貴「違うったら違うの!待ち人ってそういう意味だけじゃないからね!」
和「憐ちゃんの言うアイツって、誰の事なん?」
私と園子が言い合いをする隣で、和葉ちゃんが首を傾げる。
蘭「和葉ちゃんには服部君がいるように、憐にも幼馴染の男の子がいるの。憐が言うにはよく喧嘩してるらしいけど、今日なんか憐を駅まで送ってくれたみたいだし、とっても仲が良いんだよ!」
和「へぇ〜……せやったら憐ちゃんも会わせてな!」
貴「ん?何の話?」
園子に反論していて全然話を聞いてなかったから、和葉ちゃんのお願いの内容がよく分からなかった。
和「憐ちゃんと仲良い男の子やって!」
蘭「新一に似てるあの男の子のことだよ。」
貴「………和葉ちゃんにならいいけど、蘭と園子にはな〜……。」
蘭「どうして〜?」
園「なんでよ!?まずアタシらに紹介しないでどうすんのよ!」
園子の気迫に気圧される。
園「心配しなくてもアンタの旦那なんだから取らないわよ。」
貴「そうじゃなくて!……いつもからかうじゃない……園子も蘭も会わせたらもっと言ってきそう……。」
和「せやったらアタシに任せといて!憐ちゃんとその男のツーショット撮って、蘭ちゃん達にも見せたる!」
貴「和葉ちゃん?!?!」
何故和葉ちゃんまで、変な方向にやる気なの?!和葉ちゃんだけは私の味方だと思っていたのに……。
園「和葉ちゃん、お願いね!憐ったら絶対隠しそうだもん……。」
蘭「まぁまぁ、そのくらいにしとこ?」
蘭の一声で、私達の盛り上がりは程々に収まっていた。
────── 一方、同じく難波布袋神社に来ていた男性陣はというと……
平「さて、問題は午前3時までどうやって時間を潰すかやな……とりあえず何かうまいモンでも…………ン?」
コ「…………。」
考え込んでるコナンの様子を見た平次は、
ある提案を和葉達に持ちかける。
平「和葉!お前、その3人案内したりや!」
和「平次は?」
平「オレは、このちっこいの案内するから!」
蘭「どうして?一緒に行こうよ!」
平「男は男同士がエエんやて……なぁ!
コ…コ…コナ…ン……君!」
コ「うん!」
呼び慣れていないコナンの名を、吃りながら呼ぶ平次。コナンの目線に合わせて平次はしゃがみ、しばらく小声で互いに言い合うも、そのまま二人で神社から去っていった。
蘭達4人組は、不思議そうに二人の背中を見つめていた。
蘭「何か妙に仲がいいのよね、あの二人……。」
貴「コナン君が、凄く大人びいてるから服部君とも気が合うのかもしれないね……。」
蘭「大人??」
貴「前から思ってたの……コナン君って本当に小学生なの?って。小学生にしては、すごく頭良いし、偶に幼い子どもの言動から、青年みたいな口調になる時もあるじゃん。まるで小さな子どもの振りをした、大人みたいだなって思ったの。
まぁでも……工藤君の親戚だからなのかもと思って納得したけど。」
蘭「……。」
憐のあげた疑問に、蘭は思い当たる節があり考え込む。そんな蘭達に気にせず園子があっけらかんな声を上げる。
園「いーじゃない!女は女同士!浪花のイケてる男を見つけてご飯を奢らせちゃおうよ!」
和「ほんなら、ひっかけ橋にでも行ってみる?」
園「うん!」
蘭「園子ったら……💧」
貴「……大阪に来てもそのスタンスは変わらないのね。」
大阪に来ても変わらないスタンスで男を探す園子を見て呆れる憐と、苦笑いがこぼれる蘭。
和葉の出した提案にのる為、蘭達も神社を後にした。