世紀末の魔術師【完】
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待ち合わせの場所まで送ってくれた快斗と別れ、憐は駅の中のベンチ付近で見回している蘭に声をかけた。
貴「蘭ー!!お待たせー!!」
その声に反応した蘭を含む毛利一家は、駆け寄ってきた憐達と合流、雑談しながら新幹線のホームへと移動する。
蘭「憐はここまでどうやって来たの?」
貴「歩きだよ。家から駅までそこまで遠くないからね。」
蘭「そうだったんだ……あれ?憐、顔が赤いよ?」
貴「えっ?嘘!なんで…………あっ!」
顎に手を当てて考える彼女だが、思い当たることがあったのか直ぐに表情が変わった。
蘭「どうしたの?」
貴「ううん、何でもない!ど、どうして赤いんだろうね〜?不思議だね〜……あっ!外が凄く暑かったからかも!」
憐は自身の手であおってみせた。ぎこちない様子を見て蘭は察する。
蘭「分かった〜!憐、ここまで一人で来たんじゃないんでしょ……!一緒に来てくれた人がいた?」
貴「!!」
蘭「そうね〜……憐が好きな幼馴染の男の子が送ってくれたんでしょ!」
貴「なっ!!………。」
蘭「あ〜!その顔は当たりね!なるほどね〜……だからそんなに赤いんだ〜。」
図星だった。憐の説得力のない否定は、友人である蘭には全く通じなかった。彼女の語尾は疑問ではなく断定していたのがその証拠だ。
蘭「良かったね〜憐!」
貴「も、もう違うってば〜!!!」
後ろでつまらなさそうに見ている男性陣など、放って二人の女子高校生のじゃれあいは、新幹線の中まで続いた。新幹線の中でも、言われっぱなしと思いきや、日頃の仕返しだと言わんばかりに憐は、この場にいない新一と蘭の関係性をからかったり、蘭に、新一に対してどう接したらいいかの助言をしていた。それを聞いて蘭が照れるのは分かるが、何故かコナンまで顔を赤くしていた事に首を傾げる憐。なんやかんや毛利一行は、大阪に到着するまでの間、賑やかな時を過ごしたのだった。
コ(園子も園子だが、蘭も飽きねーな……。神崎も神崎で、俺と蘭の仲を突っついてくるし……アイツ、いつも俺に「応援してるからね!」とか言いながら何かと俺にアドバイスしてきてたし……何か懐かしいぜ……。)
少年が呆れながら二人を見つめていることなど誰も気に留めずに……。
─────────────────────
蘭達と合流した後、新幹線に乗り、東京を出て大阪へ…。途中窓から見える景色は、東京の賑やかさと変わらないが通天閣や大阪城と、大阪観光名所が見えたことで、普段とは異なる場所に来ているのだと改めて実感する。新幹線の中で蘭にからかわれたことなど気にしなくなる程度には気分が良くなっていた。逆に工藤くんとの仲を色々追求したら、何故かコナンくんが照れだしたから驚いたのなんの。まぁ、そんなこんなで大阪に着いた後、私達を出迎えてくれたのは園子だ。そして園子の案内で、私達は黒いリムジンへ乗り、今日のお目当ての鈴木近代美術館へ……。
────── 鈴木近大美術館
上空には多数のヘリが飛んでいた。
蘭「凄い警戒ね……。」
小「まさにアリのはい出るスキもねぇって感じだな……。」
園「あったり前よ!相手はあの怪盗キッド様!!何たって彼は……」
?「神出鬼没で変幻自在の怪盗紳士……」
突如知らない男性の声がどこからともなく聞こえてきて、私達はその場を見回した。するとバイクに跨った男の人が、ヘルメットを取りながら話し始めたのだ。
?「硬い警備もごっつい金庫も、その奇術まがいな早業でぶち破り、オマケに顔どころか声から性格まで……完璧に模写してしまう名人ときとる!
ホンマ、面倒くさい奴を敵に回したな!工藤!」
話しかけてきた男の人は、見た目的に恐らく高校生だと思う。その男の人の後ろに乗っている女の人も恐らく高校生ぐらいの年齢だろう。パッと見目立つのは、彼の肌の色。色が黒く褐色のようだ。そして彼が話す言葉は、私達とは違い、その地域特有の方言が出ている話し方だ……関西弁ってやつ。そして、気になるのはその男の人が口に出した名の人物はこの場にいない人物。
(工藤って人間はここにいないけどな……まさか工藤新一君のこと言ってる???……まさかそんなはずないよね〜……。)
蘭「もう!何で服部君、いつもコナン君の事工藤って呼ぶの?」
平「あ、スマンスマン……コイツの目ェのどころが工藤によう似とるんでつい、そう呼んでしまうんや……。」
(この人達、蘭の知り合いか……いつもコナン君の事、工藤って呼ぶの?確かに顔つきは似ていると思うけど、背丈がどう考えても違うよね?……この人の目、大丈夫かな。)
今だ名を知らない関西弁の男の子の方を見て、勝手ながらこの人の視力の心配をしてしまった。
?「ホンマ阿呆みたい……今日も朝早よから工藤が来る工藤が来る言うて……いっぺん病院で診てもろた方がええんちゃう?」
貴「ふふふっ…………。」
女の子の言い分に思わず笑いが出てしまった私。ヤバイ、初対面の女に笑われたらいい気しないだろうと思っていたけど、二人は互いのことしか目に入っていないのか、二人で言い合いを始めてしまった。
園「ねぇ、彼が西の高校生探偵の服部平次君?結構いい男じゃない!」
蘭「ダメダメ!服部君には幼馴染の和葉ちゃんがいるんだから!あんな風に喧嘩してるけど、ホントはすっごく仲いいんだよ!」
貴「へぇ〜そうなんだ……あーでも、それは何となく分かるかな。」
蘭「え〜〜どうして?」
園「見りゃ分かるわよ……新一君と蘭にそっくりなんだもん!」
貴「うんうん!」
蘭「えっ?!……。」
彼らの名前は服部平次君と、遠山和葉ちゃんというらしい。何でも服部平次君は、西の高校生探偵だとか。そして幼なじみの和葉ちゃん。見た感じ、いつもあんな風に二人で喧嘩してるんだろうな〜……それでも仲が良いのは目に見えて分かる。園子が言った通り、やり取りが蘭と工藤君そのものだから。だから、初めて会う私達でも二人の関係が他の人達とは違うことくらい分かるのだ。
園「あ〜あ……私にも幼馴染の男の子がいたらなぁ……。」
貴「そうは言うけど、園子からしたら工藤君だって幼馴染の男の子でしょ?」
園「新一君は蘭の旦那なんだからノーカンよ!」
貴「ハァー……ソウデスカ💧」
園「憐だって旦那がいるじゃない〜!はぁ〜……やっぱり幼なじみの男の子欲しい……。」
貴「だから旦那じゃないって言ってるでしょ!……って聞いてないね💧」
蘭が服部君と遠山さんをぼーっと見てる間も私達の会話が続いた。
和「もうホンマ平次のやつ〜……あっ!蘭ちゃん〜!」
蘭「和葉ちゃん〜!和葉ちゃんも服部君と来たてたんだね。」
和「そうや!さっきも言った通り、平次が工藤が来る工藤が来る言うてうるさくてな〜。平次のお姉さん役である私も一緒についてきたったんや。」
蘭「そうだったんだね〜。」
和「なぁ、蘭ちゃん。この子達は誰なん?蘭ちゃんのお友達?」
蘭「あ〜そっか。和葉ちゃんは初めて会うもんね。私の友達、園子と憐だよ。」
蘭が遠山さんに私達を紹介する。人は、初めて会う時第一印象が大事だと言われるから緊張するけどちゃんと自己紹介する。
園「私、鈴木園子!よろしくね、和葉ちゃん。」
貴「は、初めまして!私は、神崎憐!よろしくね、遠山さん。」
園子の元気溌剌な自己紹介とは違い、少し吃ってしまった私の自己紹介。それでも遠山さんは笑って受け入れてくれた。
和「あたしは遠山和葉。蘭ちゃんとは、平次が大阪観光で蘭ちゃん達を誘った時に知り合うてな。そこから仲良くなったんや。よろしゅうな、園子ちゃんに憐ちゃん!」
遠山さんの笑顔が眩しい……ポニーテールが良く似合う女の子だな。ていうかいきなり名前呼び?!どうしよう……まだ会ったばかりだから名前呼びは馴れ馴れしいかなって思って避けてたけど、こっちが苗字呼びであっちが名前呼びなら、私が逆に失礼かな?!
和「初めて会ってこんなこと聞くのもあれなんやけど、……憐ちゃんって大阪に親戚の子とかおったりする?」
貴「えっ?……いないよ?」
和葉ちゃんはマジマジと私の顔を見たと思ったら、大阪に親戚はいるか〜なんて聞くから驚いた。どういうことなんだろう……?
和「いきなりごめんなぁ……あたしの通ってる学校に、憐ちゃんによう似とる子がおんねん。」
貴「え??そうなの??」
和「もうホンマにそっくりやねん!……だからその子と姉妹か親戚の子やと思ったけど、ちゃうみたいやね。」
園「へぇ〜大阪にね〜?まぁ、世界には似てる人が3人いるっていうし?憐のそっくりさんが、この大阪にいてもおかしくは無いわね。」
蘭「そうね〜。」
貴「私のそっくりさんのことも気になるけど、早くしないと皆に置いてかれちゃうよ?ほら、行こうっ!」
そう言うと憐が慌てて美術館の中へと歩き出して、彼女の後に蘭、園子、和葉と続いていく。
一方、東と西の名探偵は、大人達の後ろを歩きながら互いに情報交換していた。宿敵怪盗キッドの話題から関連して神崎憐への話題となる。
平「なぁ、工藤……あのねーちゃん誰や?」
コ「誰って……?」
平「お前のねーちゃんよりも髪がごっつ長くて、ケツまであるあのねーちゃんのことや。」
コ「あー…神崎のことか。アイツは神崎憐。高校の時に知り合って、俺や蘭、園子のクラスメイト。蘭と園子は特に仲が良いんだよ。」
前を歩く蘭や和葉、園子、その先頭を走く憐を見て平次はコナンに問う。
平「ほー……そんならあのねーちゃんは、お前んとこのねーちゃん達に誘われてきたっちゅー訳か。」
コ「……まぁ、そうだな。言い出したのは園子だけど、後押ししたのは俺だよ。」
平「はぁ?なんでお前が後押しすんねん。」
コナンは平次の問いかけに、口を噤むも少しして再び話し始める。
コ「それはアイツが……キッドの弱点だからだよ。」
西の名探偵と呼ばれる平次でさえ、予想がつかなかった答えに目を見開いていた。
平「なんやと?!……それは、ホンマのことなんか工藤…。」
コ「……俺は何度か奴と対峙しているが、その殆どに神崎が関わっている。そして神崎を守るような行動が多い……不自然な程にな。まぁ、オメーも実際見てみたら分かると思うぞ。」
平「にわかには信じられへんけど、お前がそう言うんならまず間違いはないか……。
それで奴の化けの皮を剥がす為にも、あのねーちゃんが必要なんやな。」
コ「アイツは蘭の友人で俺の友人でもある。俺だって出来れば危ない目になんか合わせたくねーけど、神崎が現場にいれば、少なくともキッドの行動が不自然になる。神崎がその場にいるってことがまず大事だからな。
まぁでも、園子か蘭が誘う可能性は高いから俺が後押しする必要はないんだけどな。念には念をってやつだな……。」
コナンの思惑が理解出来た平次。
平「ほんなら、あのねーちゃんに不自然に近づいてくる奴が居たら、要注意人物ってことやな。」
コ「あぁ……だけど、神崎を不安にさせんなよ。アイツは、今日のことを楽しみにしてたみたいだから。」
平「……せやな。」
情報共有は終わった東と西の名探偵達は、先に入った彼女達の後を追って、美術館の奥へと足を踏み入れていった。