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コナンside
園「あら、まだ気づいてないの?土井塔克樹はアナグラム……文字を並び替えると…」
「「「か…怪盗キッド!?」」」
不可解な行動が多かった土井塔克樹……その正体は、巷で有名なキザなコソ泥、怪盗キッドだ。園子がもたれかかっていた木の反対側に、スピーカーをつけているため、こうして離れて行動したとしても蝶ネクタイ型変声期を通した俺の声は、スピーカーを通し、園子の声となって他の人達に届いている。
俺は園子の声で推理を披露しながら、奴がいるであろう浜野さんが泊まっていた部屋へと移動する
(……俺の推理は正しかった。やはり神崎を使えば、アイツは動いた。)
本当なら、俺は園子を探偵役として選んだ時、その補助役として蘭を指名するつもりだった。だがしかし、ある可能性に気が付き、それゆえ蘭よりも適任者がいることを思い出す……。
(特に射撃が得意でもない神崎に、ボーガンで撃つ作業を任せれば、高い確率で神崎に接触するはず……。)
思った通り、奴は俺達の隙をついて神崎の後をつけ、案の定神崎がボーガンを使用する際に自ら交代を申し出たのだ。
そしてその行動で俺は確信する。
(……やっぱりだ。やはり、奴は神崎を知っている……もしかしたら神崎と顔見知りの可能性が高い。)
もしくは神崎を一方的に慕っている人間かもしれない。いずれにせよあの怪盗は、神崎だけに対し、妙に気にかけている行動が多い。
それなら神崎にトリックを再現させて、あっちから出てきてもらおうと考えたのだが、意外にも早く食いついてきた土井塔克樹……、いや……怪盗キッド。
今宵殺人事件の犯人を捕まえて、キッドの正体を暴くつもりだ。
荒「なんで彼がここに……!?」
俺は、怪盗キッドがいる部屋へと向かった。部屋の扉を開けると奴は、仮の姿、土井塔克樹の姿を脱ぎ捨て、全身真っ白な衣装を身にまとい、バルコニーに立っている……。
キ「見事な推理だったぜ、探偵くん?」
初めて会った時のように、キッドはシルクハットの下で不敵な笑みを浮かべていた。
コ「チョロチョロ妙な動きをしやがって……
〝レッドヘリング〟
お前のハンドルどおり、惑わされるところだったぜ……。」
土井塔克樹のハンドルネームはレッドヘリング……それは昔の奇術用語。人を欺くもの、ニセの手がかりといった意味を持つ。危うくコイツの行動に惑わされるところだったのだ。
キ「別に惑わすつもりはなかったぜ?ここへ来たのは、死んだはずのイカサマ童子が通信し続けているのを不審に思ったからだ……。〝イカサマ童子〟は、春井風伝のデビュー当時のステージネームだったからな。」
キッドの今回の目的が明かされる。
キ「彼女を一目見て孫娘だと分かり、サクラのことも見抜けたがまさか殺人とは……。気づいた時にはもう手遅れ……情けねーぜ……。」
コ「感情的な性質は時には推理を妨げ、真実から遠ざける…止めたかったよ……今回の悲しい殺人は……。」
過ぎたことを後悔しても仕方がない。しかし、もしイカサマ童子が、日本の脱出王、春井風伝だと殺された二人が知っていれば、今回の殺人は行われなかったかもしれない……。止められたかも知れない殺人を止められなかった自分の不甲斐なさを悔やむ。
キ「俺は探偵じゃねーし、お前は風邪でぶっ倒れてた…仕方ないさ……。」
コ「!!」
今回の事件は、止められなくても仕方ないのだと、怪盗に慰められるとはな……。
コ「そういえばキッド……お前、神崎をどこへやった。」
トリックの為に浜野さんの部屋に行かせたが、全く姿の見えない神崎の所在について、俺はキッドに尋ねた。
キ「……隣の部屋で可愛い顔して、寝息たててるよ。どーもあの手の顔には弱くってね……。」
先程から彼女を見かけないと思っていたら、コイツに眠らされていたのか。奴が説明した理由に言及する。
コ「……本当にそれだけか?」
キ「それはどういう意味かな?……小さな探偵くん。」
一瞬雰囲気がピリッとしたが、すぐに穏やかな状態に戻る。神崎のことをつつかれるのは、コイツにとって余程避けたいことらしい。
コ「惚けんなよ……以前のセリザベス号での時から、お前の行動は妙だった。いくら仲の良い蘭に変装していたって、神崎ばかり守るような行動していたのは少し変だったぜ。あの場には園子もいたんだ……蘭なら神崎も園子も守るような行動をとるからな。
それに今回もそうだ……土井塔克樹と交流していたのは園子の方だ。その園子よりも、神崎を優先している節があった。神崎は気づいてなかったが、お前はやたらと彼女を目で追いかけていたり、何かと手助けしていた。」
キ「なるほど……?」
コ「お前は分かってたんだろ?……浜野さんの遺体を発見してから、妙に神崎の元気がないことに気づいていた。だから、今回の事件のトリック再現にアイツが声をかけられた時、神崎を気にかけていたお前は、後をつけ、何食わぬ顔でボーガンは自分が撃つと代わりに申し出た……神崎をこれ以上、この事件に関わらせない為に……。」
そう簡単に自分の心情を吐露する奴とは思えないが、奴に精神的な揺さぶりを掛ける。
神崎の様子に気づいたのも俺と奴ぐらいだろう……。
コ「友人の蘭や園子にさえ気づかなかった神崎の異変を、何故赤の他人であるお前が気づいたんだ?……いや、きっと赤の他人なんかじゃない……恐らく神崎と顔見知りで、それもかなり深い関係にいる人物……。」
キ「……。」
コ「後は彼女の周辺人物を洗い出せば、時間の問題だな……。さぁ、どうする……?俺は、もうすぐお前の真実に辿り着きそうだぜ…。」
俺が優位な状況へと変わる……ここまで追い詰めれば、流石の怪盗も焦り出すだろうと考えていたが、奴の雰囲気は変わらなかった。
キ「くくくっ……なるほどな。だけど残念だが、お前の推理には確固たる証拠がない……。あくまでもお前の推測を、真実だと決めつけてもらっちゃ困るな〜。俺を追い詰めたいなら、確固たる証拠を持ってきな……。」
キッドは余裕な態度を崩さず、飄々とした様子で俺の問答をかわしていた。……やはり、これだけの情報では奴を完璧に追い詰めるのは難しいようだ。
キ「それにお前は俺を追い詰めていると考えてるのかもしれないが、俺もお前の正体に辿り着きそうだぜ……。」
コ「何?!」
俺の正体だと……まさか?!
キ「俺もずっ〜と気になってたんだぜ……姿、形、外見は小学生。しかし並外れた頭脳で事件を解決し、歳上である憐嬢を呼び捨てにしているお前の本当の正体は誰なのか……ってな?」
そういえばコイツ相手には小学生のフリではなく、工藤新一としての振る舞いをしていた…大方そこから疑問に思っていたのだろう。
お互いの切り札を出し合った。下手に動けず膠着状態……互いに言葉を発さないまま数分経った。先に動き出したのは、怪盗キッドだった。
キ「あと一つ……言わせてもらうとすれば、俺を誘き出すために、わざわざ彼女を利用するのはやめろ……アイツは関係ないからな。
次、憐を巻き込むようなら、俺は容赦しないぜ……いくら名探偵相手でもな。」
コ「……っ。」
今まで飄々とした態度を崩さなかった奴が、初めて牙を剥く。奴の眼光は鋭く、衣服の色と相まって、さながらアイツはまるで神崎を守る白い騎士のよう……どうやらキッドの弱点は、彼女らしい。俺もキッドの正体を暴く為とはいえ、元気の無い友人をわざわざ園子の助手として事件のトリック再現の為に利用したのは悪かったと反省している。奴に釘を刺されなくとも、罪悪感に苛まれている為十分、分かっている。
キ「また会おうぜ、名探偵……世紀末を告げる鐘の音が鳴り止まぬ内に……。」
ポン
コ「あっ!」
(カ───ッ…相変わらずキザな野郎…)
神崎への罪悪感で言葉を発さない俺の態度を見たキッドは、キザな言葉を残してバルコニーから飛び去っていった。
その直後警察のヘリで、おっちゃんと目暮警部が到着し…田中さんが素直に自首をして、事件は静かに幕を閉じた。静かじゃなかったのは園子……なんと俺と蘭は、事件が終わったその足でカラオケボックスに引っ張り出され…延々4時間も彼女オンステージに付き合わされた…どうやらあの泥棒に今回もまた会えなかったのが、相当悔しかったらしい……。ちなみにこの時神崎は、眠りから目覚めた後、園子のカラオケステージに誘われていたが、流石に家族が心配しているからと迎えに来たという双子の弟と、母親に連れられて車で帰って行った。ここから俺は聞くタイミングを失ってしまい、今だ神崎に聞けずにいる訳だが…………。
──────…その三日後
園「ねぇ蘭!聞いて聞いて!!また見つけちゃったのよ!インターネットでいい男♡」
蘭「へ〜…今度は何の仲間?」
園「盆栽よ盆栽♡」
(こりねー奴……。)
あの事件からそれほど日が経ってないにも関わらず、懲りずにまたインターネットの同好会で男を探す園子の行動に、俺は乾いた笑いしか出てこなかった。