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当たり一面、見渡す限り真っ白な雪に覆われている山の大地に、私達はやって来ていた。何故そんなことになったかと言えば、何でも園子がマジックに夢中になったきっかけが、インターネットで知り合った素敵な人のおかげだと教えてくれて、オンライン上で知り合った人達と、今度直接会うことになり、会う約束をした場所がこの山にあるロッジだとか。楽しそうに話す園子を見て心配になった私は、そのオフ会に蘭と一緒に参加することとなった。
だって相手の本名も顔も知らない人達だよ??園子とやり取りしていた人は本名を聞いたら教えてくれたみたいだけど、それだって本名かどうか分からないんだし……。彼女は素敵な人達に決まっているとうっとりしていたけど、いくら相手が丁寧な言葉遣いで、ウイットに富んだジョークを使えて、キザなセリフを使う人だからって……いや、胡散臭いよそんな人。
(……どう考えても怪しすぎる。その人が危ない人だったりしたらどうするのよ……。)
園子には「心配しすぎよ〜大丈夫だって!」と言いきられてしまっている。これがまだ蘭ならここまで心配しないんだけどね。
あともうひとつ理由をあげるならば……私も純粋に興味があったからだ。同好会の名前が、奇術愛好家連盟……奇術とはマジックや手品を表す言葉。それを愛する人達が集まる会ならばみんな手品が好きな人達ってことよね。私は小さい頃から盗一さんや快斗のマジックを身近に見ていたこともあり、マジックが大好きなのだ。マジックは驚きと感動を与えてくれる。一見有り得ないような現象でも、そこには必ずタネも仕掛けもあるというのだから、不思議なのだ。快斗にマジックの仕組みを教えて貰う時もあるけど、その時は理解も納得もする。でも分かっていても見ていてとても楽しいのだ。だから私はマジックが好き……。そして私よりもマジック大好きなアイツなら、ここにいても可笑しくないのではと思ってしまう。
(もしかしたらこのオフ会に来てるかもしれないしね。……快斗。)
超個人的な理由もあったりする。凄く低い可能性でも、少し期待している自分がいる。……まぁ、まさかそんな上手いこといくわけないとは思うけどね。
……と、とにかく、そんなこんなで私達は小五郎さんが借りたレンタカーに乗せてもらい、園子が所属している同好会、【奇術愛好家連盟】のオフ会が行われる山奥のロッジに向かったのだった。
ロッジ到着後に出迎えてくれたのは、このロッジのオーナーである荒さんを始め、奇術愛好家連盟の人達だった。話してみると皆優しい人達で、突然参加だった蘭や私まで快く迎えてくれた。これなら大丈夫そうだと思った私は警戒心を解き、園子達と一緒に楽しもうと心を切り替え、足を踏み入れたのだった。
ロッジまで送ってくれた小五郎さんと、見送りでやってきた風邪気味のコナンくんを乗せた車を見送った後、私達は初の顔合わせということもあり、互いを知る為に夕食の席を設けた。そこで話題として上がったのが……尊敬する日本のマジシャンは誰か。
荒「あぁ……私は、黒羽盗一さんが好きだったな。」
土「あ、僕も同じです!」
荒さんの口から出てきた人の名前はよく知ってる人の名前だった。
(分かるよ分かる!……盗一さんは素晴らしいのよね!)
サラダを食べながら、ウンウンと頷く。それを見て蘭が可笑しそうに笑ってるのが見えた。……なんで笑ってるのよ。
そうやって次々とあげられる有名なマジシャン達。……以前園子のお母さんに雇われて、怪盗キッドに変装していたマジシャンの真田さんの名前が上がったけど、その人に関しては前の漆黒の星騒動で少し苦手意識が芽生えている。苦笑いでやり過ごしていると、黒田さんから私達に話題が振られる。すると、園子が満を持して答える。
園「そりゃーもっちろん……怪盗キッド様よ!」
蘭/貴「「え?」」
私も蘭もびっくりして一言しか出なかった。
荒「でも彼泥棒ですよ!」
土「それに日本人かどうかも分からないし…。」
園「誰が何と言おうと怪盗キッド!!」
正論である。でも園子は正論に負けなかった。自分の好きを貫き通したのである。
蘭「まさか、園子の憧れの王子様って……。」
貴「キッドだったってわけね……。」
園「そうよ悪い?」
園子は先程、憧れの人がいると言っていた。その人の詳細を聞いても「まだ会ったことのない私の王子様!」と、乙女な発言をしていたので、園子が気に入っていた土井塔さんのような丁寧な言葉遣い、キザなセリフを言い、まだ会ったことのない王子のような人となければ、なるほどと納得してしまった。
貴「ま、まぁいいんじゃない……?憧れるだけなら自由だし……!盗みとかは真似しちゃダメだけど……。」
……私なりにフォローしたつもりだったけど、なんで園子から意味深な目つきで見られてるの私。
園「そういえば憐……あんたマジックが大好きって言ってたわよね?」
貴「う、うん……。」
何この問いかけ……。園子の勢いが強くて怖い……。
園「なら尊敬するマジシャンの人、いるわよね?」
貴「いるよ!荒さんや土井塔さんと同じ黒羽盗一さんだよ。」
園「ふ〜〜〜ん……本当にそうかしら?」
貴「えっ……どういう意味よ。」
ニヤニヤしながら園子はとんでもないことを言い出す。
園「だぁ〜って憐には、マジックが得意でかっこいい幼馴染の旦那がいるじゃない〜!この前もバッチリ目撃したしね!……本当はその人なんじゃないのぉ〜〜??」
貴「えっ!?……。」
突然何を言い出すのよ園子は?!
蘭「そうだよ!憐にはもう王子様がいるもんね!」
さっきまで私と同じ陣営だったのに、ここに来て何故園子陣営に行くのですか?!蘭の目がイキイキしてる。
黒「へぇ〜……貴方の彼もマジックが出来るの?」
他の女性陣も何故か食い付きが良い……なんで黒田さんや田中さんまで興味津々なの?!
貴「あ、あの…違います!その人は私の彼氏とか旦那じゃなくて……ただの幼馴染です!!その幼馴染が、マジックが上手で小さい頃からよく見せてもらってたので……その影響で私もマジックが好きなんです。」
なんか恥ずかしいな……別に本人がいる訳でもないのに……。自分の表情がどんな風になっているのか、分からないけど録な顔をしてないってことは分かる……だって蘭も園子も嬉しそうにこちらを見てるから!
田「あらあら…何だか甘酸っぱくていいわね。」
浜「ガキの頃からマジック出来るのかよ……そらすげーボウズだな。」
土「ほんとですよね〜!ねぇ、憐ちゃん。
その彼はさ……君にとって、どんな人なんだい?」
心做しか嬉しそうな土井塔さんの質問に少し詰まってしまう。……私にとって快斗がどんな人……か。……色々あるけど答えは昔から変わらない。
貴「……そうですね。お調子者で、今だに女の子のスカート捲って楽しんでるスケベな所とかあったり、私をからかってきたりもして、よく喧嘩したりするんですけど……」
園「えっ……(そんなことしてたの?!。)」
蘭「……💧(新一とそっくりな見た目なのに、中身は結構違うのね……。)」
土(おいおい…俺の悪口じゃねーか…💧)
貴「……でも、昔からとても優しくて……困ってたら助けてくれたり、落ち込んでたらマジックで笑わせてくれたりと良い所も沢山あるんです。
それに……彼のお父さんがとても素敵なマジシャンで、そのお父さんを凄く尊敬していて、小さい頃からお父さんを超えようと必死に努力して、マジックを習得していたんです。凄く努力家なのに、その努力をひけらかさず、様々なマジックを見せてくれました……。」
土「!!」
貴「色々言いましたけど……私にとって彼は……私の人生においてなくてはならない人……ですかね。」
こんな大勢の前で改めて彼への想いを語るのはとんでもない羞恥プレイだけど、これは本心だから……。流石に恋愛として〝好き〟って気持ちは恥ずかしすぎて言えなかったけど、私の人生においてアイツが関わらないなんてこと、想像出来ないくらい、快斗が好きなのかもね…………
って改めて見回してみると、聞いていた人殆どの顔に笑みが浮かんでいた。……うぅ……やっぱり恥ずかしい!!何で私だけ公開処刑されてるんだろう…!!
園「もうほんとご馳走様〜〜!」
蘭「ふふっ!憐可愛い〜。」
やっぱり素直に答えるんじゃなかったなぁ!!
貴「あのね〜……元はと言えば園子が振ってきたんでしょーが!蘭もなんでいつの間にか園子側にいるのよ!」
ケラケラ笑う園子とクスクス笑う蘭に怒りをぶつけても、二人ともあっけらかんとしている。覚えてなさいよ二人とも……!
黒「さすが花の女子高校生……青春してるわね〜〜……って土井塔くん、どうしたの?」
土「……っ!何がですか?」
私は、蘭と園子の方に体を向けて怒っていたから気づかなかったのだ……。
黒「何で俯いているのって聞こうと思ったのだけど、……少し顔が赤いような気がするわ。暖房効きすぎてるのかしら?」
土「そ、そうですね〜!ちょっと僕には暑く感じられますね〜……あはははっ……。」
話題を振ってくれた土井塔さんが、ほんのり赤く染まった顔を隠すように俯いていたこと。黒田さんに声をかけ、顔を上げるも頬の色を指摘されて、困ったように笑っていたことに……。
しかし、そんな賑やかで楽しい時間は突如終わりを迎える……。帰宅したはずのコナンくんが、ロッジ前で意識不明の高熱状態で倒れていたり、オフ会のメンバーの一人、浜野さんが遺体となって
発見されたりと……楽しいオフ会の筈が、殺意渦巻く危険な会となってしまったのだった。