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コナンside
油断したつもりはなかったが、まさか神崎を眠らされるとは思わなかった。キッドは神崎を眠らせた後、崩れる身体を横抱きにし、大事そうに抱えていたのだ。予想外の出来事に、焦ったが、ある可能性が浮上する。……これに関しては正直まだ証拠が足りていない。ただ俺が感じたちょっとした違和感だ。しかし、今の行動で思い浮かんだ可能性が補強された。
神崎に聞くのが一番早かったが、眠らされた以上、あの怪盗に聞くしかないな。
コ「おい、キッド……なんで今、神崎を眠らせた。コイツが起きてちゃ何か不味いことでもあるのか?」
キ「……。」
相変わらず奴は不敵な笑みを浮かべているが、俺には見えていたぜ……神崎が気を失う直前に、口を動かしていたのを。
コ「神崎を眠らせる直前にお前の口の動きを見た。声はなかったが、意味は分かったぜ。あの時の言葉は〝ごめんな〟……。」
奥さんと真田さんの余興の際、キッドに扮した真田さんが殺されたと思い、泣き崩れていた神崎にお前は一番最初に駆け寄った。真珠の爆弾騒ぎで会場全体がパニックに陥った時も、わざわざ神崎に自分から離れないように伝えて、手まで握っていた。
これだけだったら蘭もやるかもしれないが、眠らせた神崎に謝罪までしていたお前の行動で疑惑が上がる。
コ「この言葉から察するに……
キッド……お前は、元から神崎を知っていたんじゃないのか。」
半分はったりのようなもので、奴の様子を伺った。
キ「さぁな……それを探るのがお前ら探偵の仕事なんじゃねーのか?」
俺の追求にものともせず不敵な笑みを浮かべるキッド。やはり素直に答える気はないようだ。
キ「あ、そうそう…この服を借りて救命ボードに眠らせてる女の子……早く行ってやらねーと風邪ひいちまうぜ?
俺は完璧主義者なんでね♡」
コ「なっ!!」
キッドが自身の胸元から出したのは女性物の下着。奴の言葉通りに捉えるなら、今蘭の姿は……何も身にまとっていない状態になる。
カッ!
コ「閃光弾!?」
俺が蘭の状態を想像しているその一瞬の隙をついて、キッドは閃光弾を床に打ち付ける。
コ「クソっ!逃がすか!!」
しかし、キッドの姿は何処にもなく奴が着ていた蘭のドレスが床に落ちているのみだった。神崎の姿も見えない……。
コ「あんにゃろーー!覚えてろよ!!」
キッドが抱えていた神崎を探しながら、蘭のドレスを持って奴の言っていた場所へと向かう。
「おい、女の子達がボートの中で寝てるぞ!!とにかくデッキの上に……」
コ「あーーーーっ!!ちょっと待ったあ!!」
アイツのあられもない姿を見られるわけにはいかない!!全力で声をあげて駆け寄ったが、スタッフに抱き上げられて出された女は二人いた。キッドの変装の為に入れ替わりに眠らされた蘭と、先程不自然なタイミングで眠らされた神崎だった。特に心配していた蘭だが、しっかりとドレスを身につけていた状態で眠っていた。
コ「え……あり?ん?」
キッドは眠らせた蘭をボートの中に入れて、蘭と入れ替わり、その後何食わぬ顔してパーティー会場に蘭として居座った。また機関室で俺に追い詰められて、何故か近くにいた神崎を眠らせて、閃光弾を放ち俺の目が眩んだ隙に逃げ出して、蘭が寝ているボートに神崎を入れたのだろう。よく見てみると蘭のドレスには、キッドからのメッセージカードが着いていた。
コ「ヤロォ……。」
メッセージカードを読むに、蘭がドレスをクリーニングを預けた時に受け取った店員がキッドだったんだろう。アイツに一杯食わされた……が、漆黒の星は結果戻ってきたから良しとする。
その後怪盗キッドが逃走用に用意したと思われる、ハンググライダーが発見されたが……彼本人の姿は、忽然と船内から消え失せたのだった。
─────────────────────
園「わぁ───!載ってる!載ってる!!もう大ヒーローね、コナン君!」
コ「偶然だよ偶然!」
後日蘭、園子、コナン達は、発行された新聞を見てみると、そこにはピースを決めたコナンの姿が一面大きく載っていた。
園「でもいーなー……蘭とコナン君と、あと憐もよね〜!キッドに会えちゃうなんて……。」
コ(よかねーよ……。)
園「ねぇ、彼の顔どんなだった?」
蘭「…………。」
園子が怪盗の容貌を蘭に聞くも反応がない。蘭は園子の話に乗る気にならなかった。
蘭(新一は、憐と……もしかして……)
園子が憐もパーティーに招待すると言っていた為、その時に新一との関係を聞こうと思っていた……でも聞く勇気が出なくて、結局聞けずじまい。ホームズ大好きな新一と、ミステリー小説好きな憐……仲良くなった話題も共通の好きな物からだから、自分の知らない間に距離が縮まっていてもおかしくは無い。蘭は以前見た光景について思い悩んでいたのだ。
園「蘭?」
反応のない蘭に再度呼びかける園子。二回目の呼び掛けでやっと気づいた蘭は、反応を示した。
蘭「え?何?」
園「キッドの顔よ!」
蘭「ゴメン、いつの間にか眠らされちゃったから……。」
コ「チラッとなら僕見たよ!」
キッドの顔を確認したコナンに、園子が詰め寄る。
園「えーー?どんなおじ様だった?」
コ「意外に若かったと思うよ。20代かもしかしたら……」
「ひ〜〜〜っくしゅん!!」
豪快なくしゃみが聞こえてきて、会話は一時中断される。
青「まーーーったく!セリザベス号を見物に行って、海に落ちるなんてバッカみたい!」
快「うっせぇーなーー……(あのガキのせいで、泳いで逃げるしかなかったんだよ……)。」
音の方向に目を向けると、前を歩いていた高校生男女4人が二列ずつに並んで登校していた。前列を歩いているセミロングの少女が、後列のくせっ毛ショートヘアの少年に怒っていた。
青「玲於と二人で見に行って、なんで快斗だけ落ちてるのよ!」
玲「そ、それはえっと……ほら!快くんは少年の心を持ってるから、大きな船を見たら興奮してはしゃいじゃっててね……!」
青「尚更バカみたい!」
快「玲於!」
玲「あははは……(ごめん、上手い言い訳が見つからなかった💧)」
怒っている少女の隣を歩いていた、もう一人のショートヘアの少年が、フォローに回り少女を宥めているが、あまり効果はないようだ。男女4人のうち、江古田の制服を着た3人は、海に落ちた少年の行動について話をしているようだが、帝丹の制服を着た少女だけは会話に参加せず、3人のやり取りをぼーっと眺めていた。その人物を見てコナン達は驚く……後ろの列で一緒に歩きながらも視線は少し俯いて歩く少女は、自分達がよく知っている人物神崎憐の姿だった。
青「ねぇ、憐!憐ってば!!」
貴「……!どうしたの青子?」
青「もう!朝から変よ?何度呼びかけても全然気づいてくれないし……何かあった?」
貴「……別に何もないよ。強いて言うなら、昨日は寝るのが遅くなっちゃって寝不足なのよ。」
憐は欠伸をしてみせる。
青子と呼ばれた少女は、その様子に呆れた様子を見せていた。しかし、玲於と呼ばれた少年が、彼女に別の話題を振り二人で話し始めていた。
快「……なぁ、憐。」
貴「……何?」
快「これ、何だか分かるか?」
貴「……チョコ??しかも快斗が好きなやつじゃん。」
快斗は思い悩む少女を見て、あることを思いつく。憐に話しかけ、自身の手に視線を向けさせてる。憐の視線は快斗の手のひらに……
快「そう、元々俺が好きで食べてた物だけど、憐も好きだろ?これ……。昔あげた時の食いつきも良かったし、どこで買ってるのか、聞いてきてたの思い出してな。」
貴「だってこれ、本当に美味しいもの。快斗には負けるけど、それなりに私も甘い物好きだしね。」
快「じゃあ、今この手のひらに何個ある?」
貴「1個。」
快「よく見てろよ!…ワン……、ツー……、スリー……!!」
彼はチョコを自分の手の中で隠すと共にカウントダウンを始めた。そしてカウントダウンを終えて、彼が手の内を見せるとそこにはたくさんのチョコが入っていた。
快「あら不思議……快斗くんの手にかかれば、オメーの好きなチョコも、魔法のように増やせるんだぜ!ほら、やるよ……。」
貴「……ふふっ!そうね!快斗の手はいつだって、私に魔法を見せてくれる……ありがとう!でも、私だけじゃこんなに食べられないから。はい……半分こね。」
快斗の手から零れそうなチョコを、必要な分だけ大事そうに貰う憐。二人の微笑ましいやり取りを影ながら見守っていた青子と玲於は、快斗と憐に気づかれないよう快斗の行動を褒め、ガッツポーズを決める。今この場で茶化したら、絶対に憐は素直な態度から一変して怒り出すことを分かっていたからだ。
そして、一連の流れをコナン達も後方から見ていた。その中でも園子は、快斗の顔を見てポツリと呟く。
園「ねぇ……ちょっと憐と話してる高校生、なんか新一くんに似てない?」
コ「そーぉ?」
園「もしかして蘭が渋谷で見た憐と新一くんって……。」
園子の言葉を耳に入れつつも、蘭は少し前の憐との会話を思い出していた。
貴『た、確かに幼馴染の男の子はいるし、そいつと工藤くんがそっくりだったから、驚いて叫んじゃったのは合ってるけど……でも、別に快斗は旦那じゃないしましてや好きじゃないから!ただの幼馴染ってだけよ!そうそう……。』
蘭(そういえば憐には、新一に似てる幼馴染がいるって言ってたっけ……。そっか……あの男の子がそうなんだ。)
今も青い春を思わせる甘酸っぱい二人の様子を見て納得すると共に、少しでも友人を疑ってしまった自分を恥じた。
蘭「……良かった!」
コ「へっ?」
蘭「そっかそっか!」
蘭の顔にやっと笑顔が戻る。コナンには何故急に、蘭の機嫌が良くなったのか分からないが、元気の無い姿よりも、こうして笑っている方が良いと静かに思ったのだった。
憐は、この後学校で、蘭と園子に今朝の光景を弄られることを知らない……。