探偵たちの鎮魂歌
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ミラクルランドへようこそ!是非楽しんでいってくださいね!……あれ、お客様のそのID……」
貴「何ですか??」
後ろ髪ひかれる思いを少し残しながら、快斗を置いて一足先にミラクルランドへと向かう。入場ゲートで腕につけたIDを専用のゲートに読み込ませ、入場するようだが、私はゲート付近にいるキャストに呼び止められた。
「いえ、VIPの方だったのですね。大変失礼致しました。そのIDは特別な方にしかお出ししていなかったもので……」
貴「VIP?!そうなんですか?!」
(ひ、ひえー!?そうなの?!恐れ多いよ〜……ほんとにこれ、私貰って正解だった?!)
キャストさんの言葉に対して驚きつつも、心の中ではプチパニック!そんなお高い物を私達にくれたの?!というか、この依頼……元々は快斗の同級生の探偵白馬くんが受けてたのよね?改めてこんな高待遇を受ける白馬くんが凄いと感じた。
「携帯が鳴っているのに引き止めてすみません!改めてこのミラクルランド、たっぷり楽しんでってくださいね!」
貴「は、はい……!」
(うぅ、落ち着かない〜。なるべく早く来てね……快斗……)
そう思いながら、さっきから鳴り止まない携帯を手に取った。ミラクルランドにIDを通したと同時に、鳴り始めた携帯。察するに、依頼に詰まった快斗が私に電話してきたのだろう。……ほらやっぱり二人でやった方が良いと思うんだよね。
貴「もしもし〜!どうしたの快斗?もしかして、早速詰まった?」
快「憐!!今お前、何処にいる?!」
貴「えっ?!どうしたのよ、そんな大声出して……」
快「良いから!何処にいんだよ!!」
貴「えぇっ?!何処って……」
相手はやはり快斗で間違いはなかった。ただ様子がおかしい……自分の居場所を尋ねる声色が険しくて不安になる。しかし、答えを急かされているからには直ぐに答えなくてはと思い、携帯を握りしめ、背後を振り返り恐る恐る答えた。
貴「ミラクルランドの中だけど……」
私が見上げたさきには、レッド・キャッスルがあった。
貴「大丈夫?何かあったの……?」
こういう時、快斗は巫山戯たりしない……でも、何故こんなにも切羽詰まった様子なの?何も分からない……
快「……悪りい。何でもねぇ!それより依頼の件だけど、ちょっと面倒なことになってよ〜……どうも早く終わりそうにないから、ミラクルランド、ちゃんと楽しんどけよ!」
先程の焦った様子とは打って変わって、ただ明るく楽しんでくるよう告げる快斗。……少し様子が変な気がするけど、私の考えすぎかな。というか早く終わりそうにない?!
貴「え?そうなの?お昼も難しい感じ〜?」
快「無理だろうな……」
えぇ〜?!どうしよう……私だけでVIPのID使って満喫するのは無理があるよ。でも快斗は白馬くんの依頼を代わりにこなすんだし、仕方ないよね。
心の内で今後の事を含め悩んでいると、携帯越しに少しだけど、息を吸い込む音が聞こえた。
快「正直、何時終わるか分からねぇ。でも必ずお前の元に行くから!だから……待っててくれ!」
……何故だろう。何気ない普通の言葉なはず……深い意味などないと思うのに、漠然と……
────── 快斗が、己の命を賭して、何かを守ろうとしているような気がした……
顔を見ている訳でもないのに、何故かそんな気がした。……幼馴染だから感じ取ったのか、それともよく当たる自分の勘なのか。でも結局の所、詳細は分からない上に快斗の様子から私に話す気もないのだろう……
以前アイツの親友兼相棒だと名乗る人物から聞いたことがある。
***
玲『姉さん。男の子はね……好きな女の子の前ではかっこつけたい生き物なんだよ』
貴『……そうなの?』
玲『うん。例え心の中で、出来ないな、辛いなって思ってても、好きな子の前では見栄張って出来るよとか言っちゃうんだよ』
貴『ふーん……玲於もそうなんだ』
玲『!!……ま、まぁね。ほら、父さんもよく言ってたでしょ?!』
貴『そうね……お母さんの前でよく言ってた』
ある時の双子の会話……この日ちょっとした事で快斗と喧嘩をした私は、玲於に相談兼愚痴を聞いてもらっていた。
貴『……馬鹿よね。余所見してた私が悪いのに……私の代わりにボールに当たりに行くなんて……』
本当にバ快斗なのよ……
貴『私を庇って、大切な指を突き指しちゃうなんてさ……手品師 にとって、指は大事な商売道具だって自分で言ってたのに……』
玲『姉さん……』
中学生の時、体育の授業中、体育館で男女別々でスポーツをしていた。どちらもバスケを行っていて、別々のコートでやっていた。試合中、チームメイトから飛んできたボールに気づかずよそ見をしていた私。その時、試合に出ていなかった快斗が、女子のコートに入り、私の前に手を伸ばしてボールを止めた。
その時、私はびっくりして彼の指を見せてもらった。でも直ぐに引っ込めてしまう……何なら、これくらい大したことないと言い放ち、男子のコートに戻ってしまったのだ。それでも心配だった私は、快斗を保健室に連れて行こうとしたが、快斗に「こんなの大した事ねぇよ。それより憐、お前ちゃんとボールを見てろよ!危ねぇだろうが!」と怒られてしまった。
全く持って正論なのだが、この時の私は本当に分かっていなくて、途中彼の態度に嫌気がさして、つい怒って言い返してしまったのだ。今考えてみても自分の態度は本当に最悪だった。その日は青子達と帰ってきた私。後から帰ってきた玲於に今日の出来事を聞いてもらった。その玲於に聞いたが、あの後結局保健室に玲於が連れて行き、突き指していた事が分かったらしい。
ほらやっぱりあの時、保健室に行けば直ぐに良くなったかもしれないのに、何であんな事言ったのか……私には分からず、玲於に疑問を投げかけた。そしたら上記回答が来たのである。
玲『……快くんは姉さんの前だと素直になれないだけなんだ。それは姉さんも一緒でしょ』
貴『そ、そんな事……!?』
玲『……分かりにくいけど、快くんは快くんなりに姉さんを想っているんだよ。だから自分の身を呈して姉さんをボールから守ったんだ。心配をかけたくなかったから、かっこ悪い所を見せたくなかったから、姉さんの前だと見栄張ってあんな事言っちゃったんだよ』
穏やかに言葉を紡ぐ弟を見て、その内容が真実だと錯覚しそうになる。……私を想っているとかそんな訳ない。だって快斗は……私の事なんか幼馴染としか見ていなくて、本当に想っているのは青子なんだから……そっか、アイツの思惑が分かった。
貴『玲於違うよ……私分かったの。あの場には応援で青子もいたの……そうよ、青子に良い所を見せたかったんだ!』
玲『……えっ????』
貴『なーんだ、そういう事か……青子は試合に出ていなかったけど、私の試合を見ていたから、私を助ける事で、青子にかっこ良い所を見せられるって訳だ。自分で助けた手前青子が見ている中で保健室に行くなんて言えなかったのね』
玲『ちょっと待って!えっ?どうしてそうなったの?』
玲於が何故か慌てている気がするが、私は玲於の言葉から閃いた自分の名推理に、自信が湧き上がりあまり耳に入ってきていなかった。
***
あの時の玲於の言葉……当時の私なら信じなかったけど、今の私なら少しだけ信じてしまう……
貴「……心配しないで!だって約束したでしょ?」
快「!!」
貴「二人でスーパースネーク乗るんでしょ?ずっと待ってるから!頑張ってね……」
快「憐……あぁ!」
何事もなく通話は切られた。きっと快斗は私の素直に従う返事に安堵した事だろう……無駄な追求がなかったから余計にね。本当に自分だけで何でもやろうとするその姿勢……好きじゃない。
貴「快斗のかっこつけ……女の子だって、時には頼られたいものなんだよ……特に好きな男の子にはね……」
不機嫌そうに呟いた言葉は空中で霧散する。気持ちを切り替えて、後から来る快斗の為に、リサーチしといてあげよう!
こうしてミラクルランドを満喫する事数時間……
貴「ミラクルランド凄い!一人でも楽しい……だけどやっぱり……物足りない」
色んな景色を見られて、小腹を満たす美味しい物を食べられて、楽しんでる人達を横目に自分もその輪に加わる感じ……でも、今自分が最大限に楽しんでいるかと言えば、答えはNOだ。
貴「……やっぱり一人じゃ物足りないよ……快斗……」
……周囲の楽しそうな雰囲気とは反対にどんどん落ちていく自分の気分。その落下を止めたのは、聞いたことある声が聞こえてきた時だった。
?「んもう何なん!?すぐ終わるから適当に遊んで待っとけって言うたくせに……ホンマに工藤くん待ってる蘭ちゃんになった気分やわ……」
背後から聞こえたその声に、振り返りその声の主に思わず声をかける。
貴「和葉ちゃん!?」
その声の主は、大阪に住んでいる遠山和葉ちゃんだった。和葉ちゃんに驚いて声をかけた私だけど、和葉ちゃんも私の存在に驚いていた。
和「憐ちゃん!?な、何でここにおんの?!」
貴「それはこっちのセリフだよ!和葉ちゃんこそ何で??」
和「実はな!……」
?「憐と和葉ちゃん!?」
和葉ちゃんから事情を聞けると思ったその時……別の第三者の声が聞こえてきた。しかもその声の主は普段から聞き慣れている声で、私と和葉ちゃんの名前を言い当てた。
二人揃って声がした方向を見ると、そこには友達の蘭が立っていた。
和「蘭ちゃんやないの!!」
貴「蘭までここにいるの?!……どういうこと??」
3人女が揃えば始まるのは、果てしない会話の応酬……私達はそれぞれ何故このミラクルランドにいるのか、理由を話し始めた。
蘭「和葉ちゃんは久しぶりだね〜!二人で遊びに来てたの??」
貴「私達も驚いてるんだけど、さっき偶然出会ってね。ここにいるその訳を話そうとしてくれた時に、蘭が声をかけてくれたってこと!」
蘭「じゃあ二人は一緒に来た訳じゃないんだ!?」
貴「そうよ!びっくりするでしょ?」
蘭「そうだねっ……じゃあ和葉ちゃんの相手は服部くんね……服部くんは?」
蘭が辺りを見回すが、該当の人物はいない。やっぱり服部くんと来てたんだ。でもその姿が見えない。
和「仕事やシ・ゴ・ト!!」
蘭「そっか……つまんないね……」
貴「仕事って……探偵の?」
もしかして、私と同じ感じで来たのかなと思い、詳細を尋ねようとした瞬間、また違う声が入ってきた。
?「あれ?憐に和葉ちゃん!?」
貴「園子?!」/和「園子ちゃんやん!」
声をかけてきたのは、前から歩いてきた園子。園子までいたとは……まぁ、でも蘭が一人で来る訳ないと思うし……工藤くんがいない今、同行者の確率が高いのは園子だ。
貴「蘭は園子と来てたのね」
蘭「違うよ。私と園子もさっきここで会ったの」
貴「えっ?!じゃあ偶然ってこと?!」
蘭「私はお父さんの仕事の依頼で子ども達連れて来てて……園子は、今夜レッド・キャッスルの十万人突破のパーティーに参加するからその間の暇潰しだって」
貴「ふーん……じゃあ本当にみんな偶然なんだ……」
誰も約束してないのに、同じ日に同じ時間同じ場所にいるなんて……誰かが計画してそれぞれ私達を呼んだ可能性とかない?そう思ったら腕に鳥肌がたった。
蘭「園子と和葉ちゃんと私がこのミラクルランドにいた訳は分かったよね?じゃあ憐は?何でミラクルランドに?」
和「そうや!憐ちゃんは何でや?」
園「アンタ一人で来た訳じゃないんでしょ〜?」
貴「っ!……そ、それは……」
出た!絶対くると思った!私がここにいる訳……しかもいつもと違って今日は蘭と園子の二人じゃない……和葉ちゃん含めた3人なのだ。
貴(強敵すぎる……駄目だ!逃げられない!)
覚悟を決めて話そうとした瞬間、園子が私の返事を聞く前に再度口を開いた。
園「まぁ、良いわ……あのね。あたし達レッド・キャッスルでやってるケーキバイキングに行くんだけど、和葉ちゃん一緒にくる?」
和「あたし、ケーキめっちゃ好き!」
凄く魅力的なお誘いを受けて、和葉ちゃん見事に園子に陥落している。……ていうか!
貴「何で和葉ちゃんは普通に誘ってるのに、私にはないの?!」
園「だってアンタは強制参加だもん!誘う必要ないし、それにスイーツ大好きな憐ちゃんは、この誘いを断るのかしら〜?」
貴「うっ!……」
和「憐ちゃんもケーキ好きなん?一緒に行こうや〜!」
蘭「そうね……憐、ケーキ大好きだもんね〜……」
和葉ちゃんのキラキラした笑顔と誘いに私は負けた……。蘭なんか分かりきったように笑ってるし……良いよ別に!いっぱい食べちゃうんだから!
園「よし決まり!じゃあ行こ行こ〜!ケーキ食べながら、憐の事、詳しく聞くわよ!」
和「うん!」
そう言って園子は、和葉ちゃんの腕を引っ張って歩いていく。
蘭「諦めた方が良いよ〜……こういう時の園子って追求したら止まらないから」
貴「そうよね……まぁ、一人で遊ぶにも限界だったから、別に良いよ」
園「ホラ、蘭、憐!行くよ!!」
蘭「待って!!」
前を行く園子に急かされ、蘭と私は駆け寄って行った。
────── 背後に険しい表情の哀ちゃんがいるとも知らずに……
貴「何ですか??」
後ろ髪ひかれる思いを少し残しながら、快斗を置いて一足先にミラクルランドへと向かう。入場ゲートで腕につけたIDを専用のゲートに読み込ませ、入場するようだが、私はゲート付近にいるキャストに呼び止められた。
「いえ、VIPの方だったのですね。大変失礼致しました。そのIDは特別な方にしかお出ししていなかったもので……」
貴「VIP?!そうなんですか?!」
(ひ、ひえー!?そうなの?!恐れ多いよ〜……ほんとにこれ、私貰って正解だった?!)
キャストさんの言葉に対して驚きつつも、心の中ではプチパニック!そんなお高い物を私達にくれたの?!というか、この依頼……元々は快斗の同級生の探偵白馬くんが受けてたのよね?改めてこんな高待遇を受ける白馬くんが凄いと感じた。
「携帯が鳴っているのに引き止めてすみません!改めてこのミラクルランド、たっぷり楽しんでってくださいね!」
貴「は、はい……!」
(うぅ、落ち着かない〜。なるべく早く来てね……快斗……)
そう思いながら、さっきから鳴り止まない携帯を手に取った。ミラクルランドにIDを通したと同時に、鳴り始めた携帯。察するに、依頼に詰まった快斗が私に電話してきたのだろう。……ほらやっぱり二人でやった方が良いと思うんだよね。
貴「もしもし〜!どうしたの快斗?もしかして、早速詰まった?」
快「憐!!今お前、何処にいる?!」
貴「えっ?!どうしたのよ、そんな大声出して……」
快「良いから!何処にいんだよ!!」
貴「えぇっ?!何処って……」
相手はやはり快斗で間違いはなかった。ただ様子がおかしい……自分の居場所を尋ねる声色が険しくて不安になる。しかし、答えを急かされているからには直ぐに答えなくてはと思い、携帯を握りしめ、背後を振り返り恐る恐る答えた。
貴「ミラクルランドの中だけど……」
私が見上げたさきには、レッド・キャッスルがあった。
貴「大丈夫?何かあったの……?」
こういう時、快斗は巫山戯たりしない……でも、何故こんなにも切羽詰まった様子なの?何も分からない……
快「……悪りい。何でもねぇ!それより依頼の件だけど、ちょっと面倒なことになってよ〜……どうも早く終わりそうにないから、ミラクルランド、ちゃんと楽しんどけよ!」
先程の焦った様子とは打って変わって、ただ明るく楽しんでくるよう告げる快斗。……少し様子が変な気がするけど、私の考えすぎかな。というか早く終わりそうにない?!
貴「え?そうなの?お昼も難しい感じ〜?」
快「無理だろうな……」
えぇ〜?!どうしよう……私だけでVIPのID使って満喫するのは無理があるよ。でも快斗は白馬くんの依頼を代わりにこなすんだし、仕方ないよね。
心の内で今後の事を含め悩んでいると、携帯越しに少しだけど、息を吸い込む音が聞こえた。
快「正直、何時終わるか分からねぇ。でも必ずお前の元に行くから!だから……待っててくれ!」
……何故だろう。何気ない普通の言葉なはず……深い意味などないと思うのに、漠然と……
────── 快斗が、己の命を賭して、何かを守ろうとしているような気がした……
顔を見ている訳でもないのに、何故かそんな気がした。……幼馴染だから感じ取ったのか、それともよく当たる自分の勘なのか。でも結局の所、詳細は分からない上に快斗の様子から私に話す気もないのだろう……
以前アイツの親友兼相棒だと名乗る人物から聞いたことがある。
***
玲『姉さん。男の子はね……好きな女の子の前ではかっこつけたい生き物なんだよ』
貴『……そうなの?』
玲『うん。例え心の中で、出来ないな、辛いなって思ってても、好きな子の前では見栄張って出来るよとか言っちゃうんだよ』
貴『ふーん……玲於もそうなんだ』
玲『!!……ま、まぁね。ほら、父さんもよく言ってたでしょ?!』
貴『そうね……お母さんの前でよく言ってた』
ある時の双子の会話……この日ちょっとした事で快斗と喧嘩をした私は、玲於に相談兼愚痴を聞いてもらっていた。
貴『……馬鹿よね。余所見してた私が悪いのに……私の代わりにボールに当たりに行くなんて……』
本当にバ快斗なのよ……
貴『私を庇って、大切な指を突き指しちゃうなんてさ……
玲『姉さん……』
中学生の時、体育の授業中、体育館で男女別々でスポーツをしていた。どちらもバスケを行っていて、別々のコートでやっていた。試合中、チームメイトから飛んできたボールに気づかずよそ見をしていた私。その時、試合に出ていなかった快斗が、女子のコートに入り、私の前に手を伸ばしてボールを止めた。
その時、私はびっくりして彼の指を見せてもらった。でも直ぐに引っ込めてしまう……何なら、これくらい大したことないと言い放ち、男子のコートに戻ってしまったのだ。それでも心配だった私は、快斗を保健室に連れて行こうとしたが、快斗に「こんなの大した事ねぇよ。それより憐、お前ちゃんとボールを見てろよ!危ねぇだろうが!」と怒られてしまった。
全く持って正論なのだが、この時の私は本当に分かっていなくて、途中彼の態度に嫌気がさして、つい怒って言い返してしまったのだ。今考えてみても自分の態度は本当に最悪だった。その日は青子達と帰ってきた私。後から帰ってきた玲於に今日の出来事を聞いてもらった。その玲於に聞いたが、あの後結局保健室に玲於が連れて行き、突き指していた事が分かったらしい。
ほらやっぱりあの時、保健室に行けば直ぐに良くなったかもしれないのに、何であんな事言ったのか……私には分からず、玲於に疑問を投げかけた。そしたら上記回答が来たのである。
玲『……快くんは姉さんの前だと素直になれないだけなんだ。それは姉さんも一緒でしょ』
貴『そ、そんな事……!?』
玲『……分かりにくいけど、快くんは快くんなりに姉さんを想っているんだよ。だから自分の身を呈して姉さんをボールから守ったんだ。心配をかけたくなかったから、かっこ悪い所を見せたくなかったから、姉さんの前だと見栄張ってあんな事言っちゃったんだよ』
穏やかに言葉を紡ぐ弟を見て、その内容が真実だと錯覚しそうになる。……私を想っているとかそんな訳ない。だって快斗は……私の事なんか幼馴染としか見ていなくて、本当に想っているのは青子なんだから……そっか、アイツの思惑が分かった。
貴『玲於違うよ……私分かったの。あの場には応援で青子もいたの……そうよ、青子に良い所を見せたかったんだ!』
玲『……えっ????』
貴『なーんだ、そういう事か……青子は試合に出ていなかったけど、私の試合を見ていたから、私を助ける事で、青子にかっこ良い所を見せられるって訳だ。自分で助けた手前青子が見ている中で保健室に行くなんて言えなかったのね』
玲『ちょっと待って!えっ?どうしてそうなったの?』
玲於が何故か慌てている気がするが、私は玲於の言葉から閃いた自分の名推理に、自信が湧き上がりあまり耳に入ってきていなかった。
***
あの時の玲於の言葉……当時の私なら信じなかったけど、今の私なら少しだけ信じてしまう……
貴「……心配しないで!だって約束したでしょ?」
快「!!」
貴「二人でスーパースネーク乗るんでしょ?ずっと待ってるから!頑張ってね……」
快「憐……あぁ!」
何事もなく通話は切られた。きっと快斗は私の素直に従う返事に安堵した事だろう……無駄な追求がなかったから余計にね。本当に自分だけで何でもやろうとするその姿勢……好きじゃない。
貴「快斗のかっこつけ……女の子だって、時には頼られたいものなんだよ……特に好きな男の子にはね……」
不機嫌そうに呟いた言葉は空中で霧散する。気持ちを切り替えて、後から来る快斗の為に、リサーチしといてあげよう!
こうしてミラクルランドを満喫する事数時間……
貴「ミラクルランド凄い!一人でも楽しい……だけどやっぱり……物足りない」
色んな景色を見られて、小腹を満たす美味しい物を食べられて、楽しんでる人達を横目に自分もその輪に加わる感じ……でも、今自分が最大限に楽しんでいるかと言えば、答えはNOだ。
貴「……やっぱり一人じゃ物足りないよ……快斗……」
……周囲の楽しそうな雰囲気とは反対にどんどん落ちていく自分の気分。その落下を止めたのは、聞いたことある声が聞こえてきた時だった。
?「んもう何なん!?すぐ終わるから適当に遊んで待っとけって言うたくせに……ホンマに工藤くん待ってる蘭ちゃんになった気分やわ……」
背後から聞こえたその声に、振り返りその声の主に思わず声をかける。
貴「和葉ちゃん!?」
その声の主は、大阪に住んでいる遠山和葉ちゃんだった。和葉ちゃんに驚いて声をかけた私だけど、和葉ちゃんも私の存在に驚いていた。
和「憐ちゃん!?な、何でここにおんの?!」
貴「それはこっちのセリフだよ!和葉ちゃんこそ何で??」
和「実はな!……」
?「憐と和葉ちゃん!?」
和葉ちゃんから事情を聞けると思ったその時……別の第三者の声が聞こえてきた。しかもその声の主は普段から聞き慣れている声で、私と和葉ちゃんの名前を言い当てた。
二人揃って声がした方向を見ると、そこには友達の蘭が立っていた。
和「蘭ちゃんやないの!!」
貴「蘭までここにいるの?!……どういうこと??」
3人女が揃えば始まるのは、果てしない会話の応酬……私達はそれぞれ何故このミラクルランドにいるのか、理由を話し始めた。
蘭「和葉ちゃんは久しぶりだね〜!二人で遊びに来てたの??」
貴「私達も驚いてるんだけど、さっき偶然出会ってね。ここにいるその訳を話そうとしてくれた時に、蘭が声をかけてくれたってこと!」
蘭「じゃあ二人は一緒に来た訳じゃないんだ!?」
貴「そうよ!びっくりするでしょ?」
蘭「そうだねっ……じゃあ和葉ちゃんの相手は服部くんね……服部くんは?」
蘭が辺りを見回すが、該当の人物はいない。やっぱり服部くんと来てたんだ。でもその姿が見えない。
和「仕事やシ・ゴ・ト!!」
蘭「そっか……つまんないね……」
貴「仕事って……探偵の?」
もしかして、私と同じ感じで来たのかなと思い、詳細を尋ねようとした瞬間、また違う声が入ってきた。
?「あれ?憐に和葉ちゃん!?」
貴「園子?!」/和「園子ちゃんやん!」
声をかけてきたのは、前から歩いてきた園子。園子までいたとは……まぁ、でも蘭が一人で来る訳ないと思うし……工藤くんがいない今、同行者の確率が高いのは園子だ。
貴「蘭は園子と来てたのね」
蘭「違うよ。私と園子もさっきここで会ったの」
貴「えっ?!じゃあ偶然ってこと?!」
蘭「私はお父さんの仕事の依頼で子ども達連れて来てて……園子は、今夜レッド・キャッスルの十万人突破のパーティーに参加するからその間の暇潰しだって」
貴「ふーん……じゃあ本当にみんな偶然なんだ……」
誰も約束してないのに、同じ日に同じ時間同じ場所にいるなんて……誰かが計画してそれぞれ私達を呼んだ可能性とかない?そう思ったら腕に鳥肌がたった。
蘭「園子と和葉ちゃんと私がこのミラクルランドにいた訳は分かったよね?じゃあ憐は?何でミラクルランドに?」
和「そうや!憐ちゃんは何でや?」
園「アンタ一人で来た訳じゃないんでしょ〜?」
貴「っ!……そ、それは……」
出た!絶対くると思った!私がここにいる訳……しかもいつもと違って今日は蘭と園子の二人じゃない……和葉ちゃん含めた3人なのだ。
貴(強敵すぎる……駄目だ!逃げられない!)
覚悟を決めて話そうとした瞬間、園子が私の返事を聞く前に再度口を開いた。
園「まぁ、良いわ……あのね。あたし達レッド・キャッスルでやってるケーキバイキングに行くんだけど、和葉ちゃん一緒にくる?」
和「あたし、ケーキめっちゃ好き!」
凄く魅力的なお誘いを受けて、和葉ちゃん見事に園子に陥落している。……ていうか!
貴「何で和葉ちゃんは普通に誘ってるのに、私にはないの?!」
園「だってアンタは強制参加だもん!誘う必要ないし、それにスイーツ大好きな憐ちゃんは、この誘いを断るのかしら〜?」
貴「うっ!……」
和「憐ちゃんもケーキ好きなん?一緒に行こうや〜!」
蘭「そうね……憐、ケーキ大好きだもんね〜……」
和葉ちゃんのキラキラした笑顔と誘いに私は負けた……。蘭なんか分かりきったように笑ってるし……良いよ別に!いっぱい食べちゃうんだから!
園「よし決まり!じゃあ行こ行こ〜!ケーキ食べながら、憐の事、詳しく聞くわよ!」
和「うん!」
そう言って園子は、和葉ちゃんの腕を引っ張って歩いていく。
蘭「諦めた方が良いよ〜……こういう時の園子って追求したら止まらないから」
貴「そうよね……まぁ、一人で遊ぶにも限界だったから、別に良いよ」
園「ホラ、蘭、憐!行くよ!!」
蘭「待って!!」
前を行く園子に急かされ、蘭と私は駆け寄って行った。
────── 背後に険しい表情の哀ちゃんがいるとも知らずに……
6/6ページ
