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玲於side
AM7:00
玲「おはよう、母さん。」
母「あら、おはよう玲於。いつも通りの時間ね。」
姉と違い、目覚めが良い僕はいつも通りの時間に起き、支度をし、キッチンで朝食を作る母に挨拶をし、自分でコーヒーを入れ、出来上がる朝食を待ちながら、つけて合ったテレビを眺める。この静かなひと時が実は結構気に入ってたりもする。でもそんな静かな時間はすぐに終わるけどね……。もうすぐ……──────
ガチャン!
玄関の扉を開けた音がする。そして決まって聞こえてくるのが……──────
青「おじゃましま〜す!!きゃー!良い匂いがする〜!青子お腹ペコペコなの〜!早く行こう?快斗!」
快「おじゃまします……、おい青子。なんでいちいち俺の耳元で話してくんだよ。そんな近づかなくとも、お前のそのでけぇ声だったら余裕で聞こえてるっつーの!」
〝幼馴染〟達の声が聞こえてきた。
青「何よでけぇ声って!失礼ね!青子の声、そこまで大きくないもん!第一、朝だと快斗が眠そうだから目を覚まさせる為に、近くで話してるだけだもん!感謝して欲しいくらいだよ!」
快「オメーのが失礼だろうが!大体な、ここまで来れば眠気なんかとっくに無くなってるぜ。」
青「……バ快斗の癖に〜!」
快「なんだとアホ子!」
……とまぁ、いつもの通り〝喧嘩〟している声を響かせながら我が家の廊下を歩いている音が聞こえてくる。これもまたいつも通り……。
そう……、毎朝この時間帯になるとこの二人は、喧嘩をしながら我が家に朝ご飯を食べにやってくる。小さい頃から一緒にいて、僕と同い年の……大好きな〝幼馴染〟達だ。
青「おはよう〜玲於!」
快「おはよう、玲於。」
玲「おはよう、青ちゃん、快くん。」
我が家の廊下を抜け、ダイニングルームにやってきた男女二人は、それぞれ僕に挨拶をした。どちらとも小さい頃からの腐れ縁……基幼馴染の関係だ。女の子は中森青子事、〝青ちゃん〟……そして男の子の方は、黒羽快斗事〝快くん〟。小さい頃から仲が良く、家もご近所でずっと仲が良い幼馴染達だ。喧嘩しながらも二人は僕の母にも挨拶をし、青ちゃんはそのまま僕の隣に座った。そんな僕らを横目に快くんは、座らずに鞄だけ僕の向かい側の椅子に置き、踵をかえす。
母「快斗くん、いつもごめんね……。」
快「気にしないでください、俺が勝手にやってるだけなので……。」
玲「ありがとう、快くん。いつも助かってるよ。」
快「おう!じゃあ俺、あいつ起こしてくる。」
そう言った快くんは、ダイニングルームの扉を開け、2階へ続く階段を上がって行った。上がって行った理由は……これもいつもの事なので分かってる。
青「……ほんとに大好きだよね……快斗。」
青ちゃんは小さい声で呟き、快くんの背中を見ていた……が、すぐに僕の方を向き、今日の授業の話を話し始めた。悲しそうな瞳を一瞬だけのぞかせていたのは気の所為だろうか。
玲「……そうだね。」
きっと気の所為じゃない……だって僕はずっと君を見ていたから分かってる。君の気持ちが昔から誰に向いているのか、快くんの気持ちが誰に向いているか……。全部ちゃんと分かっているのは僕だけだろう……、だって青ちゃんは僕の気持ちなんて知らないだろうから。
でも彼女がせっかく話題を提供してくれたのだから、僕も彼女の話に乗っかる為に、青ちゃんの話に合わせ始めた。
─────────────────────
快斗side
朝早くに青子にたたき起こされ、学校に行く準備をし、青子と一緒に神崎家に向かう。この日常はいつからだろうか……、考えてみたが、はっきりと覚えていない。いつからか、俺の母親と青子の父親があまり家に居ないのを玲於の母親が知った事をきっかけに、自分達の家で食事を取らないかと誘ってくれた頃からだろう。玲於の母親はとても親切で優しい人だ。仕事でよく家を空ける親を持つ俺や青子の面倒をよく見てくれていて、自分の息子や娘のように思ってくれているのが伝わる。俺達は、神崎夫婦から、何かあれば遠慮なく頼っていいと言われている為、俺と青子は時間が合う時はいつも神崎家にお邪魔している。
今日も青子と二人、朝食を食べに来たのだが、やはりダイニングルームにいるのは決まって玲於とその母親のみ……。本当は父親もいるのだが、関西地方に単身赴任中でたまにしか帰ってこない。しかし、人一倍子どもが好きなおじさんで、実の子どもだけじゃなく、俺や青子の事も大切に思ってくれているいい人だ。そんな優しい両親の子どもは息子の玲於だけでは無い……実は〝娘〟もちゃんと存在している。ダイニングルームに居なかったのは、あいつは昔から朝が苦手で、あまり時間通りに起きてきたことがないからだ。
(何時まで寝てんだよ……ったく憐のやつ、いい加減一人で起きられるようになれよな。)
溜息をつきながらも内心はこの事に喜んでいる自分がいる。なんせあいつとは、高校から学校が変わってしまい、そしてなぜだか……避けられている気がして、一緒にいられる時間も昔より少なくなった。だからこうした朝の何気ない時間ですら大切にしている。
(今日はどうやって起こすっかな。……また俺のマジックでド派手に起こしてやってもいいが、前みたいに鉄拳制裁食らうのはゴメンだしな……そうだ!)
ケケケッと笑いがこぼれる。これから起こることを想像すると笑いが止まらないぜ。
あいつの部屋の扉の前に立つ。あの世界的天才マジシャン……〝黒羽盗一〟を父親に持つこの俺、〝黒羽快斗〟によるマジック……じっくりと味わってくれ……──────。
────────────────────
コンコン
貴「……。」
コンコン
貴「……うるさいなぁ、もう。はいはい、今開けますよ〜。」
ガチャ
眠たい目を擦りながらも、自分の扉を開ける為に起き上がる。こんな朝早くに誰よもう……今日は日曜日だから学校は休みの筈なのに……。ぶつくさ文句を浮かべながら、よく見もせずに扉を開けてベッドに横になった。
(まぁどうせお母さんか玲於かな。……待って、あの二人だったら何かしら一声かけて入ってくるはず……じゃあ今ノックしたのは誰?)
自分の母か双子の弟が起こしに来たのだろうと思っていたが、あの二人だったらノックした後に、話しながら部屋に入ってくる。……無言で入らないはずだ。
慌てて起き上がるが、目の前には開け放たれたままの扉があり、扉の先の廊下には誰もいない……。ノックした人物はどこに消えたのか。そして誰もいないが、その扉の前には白い布がかけられた〝何か〟がある。それは少し大きめの物で、白い布がかけられているが、シルエットでその中身は恐らく箱型の物と分かる。
貴「何よこれ……?」
こんな物……私の部屋になかった。観察していてもどうしようも無いので、不審に思いながらもその白い布に近づいていく。すると扉の方から聞き慣れた声がしてきた。
────── ワン…、ツー…、スリー!
バサッ!
突如白い布が勝手に落ち、白い箱が現れた。
貴「??」
寝起きでまだ頭がしっかり働いていないのかもしれない……。聞き慣れた声のはずなのに、頭の中にその声の人物が浮かんで来ない。その白い箱をボーッとみていると、箱が勝手に開き出し、中から大量の鳩が出てきた。
貴「!?!?……この大量の鳩は何?!」
部屋が鳩だらけになる。私は動物は好きだけど、流石に部屋いっぱいの鳩は怖い。すぐさま窓を開け、鳩が部屋から出るようにしておく。
こんな変な事するの……絶対あいつしかいない。今やっと頭もしっかりしてきたわ。
貴「こんな事するの絶対アンタしかいないよね……快斗!!💢💢」
頭は良いのに、子どもっぽくて悪戯好きで、変態で、 マジック大好きな幼馴染の男の名を叫ぶ。今は姿は見えないけど、絶対この部屋の中にいるはず。
快「にしし、やっと起きたかよ寝坊助。あぁ……そうだよ、こんな素晴らしいマジックが出来るのはこの俺、黒羽快斗様だぜ!」キリッ
部屋の扉が急に閉まり始める。というのも私の部屋の扉は内開きだ。扉と壁の隙間に入り込んでいた快斗は、扉を閉めながら姿を現した。何処から出てきてんのよ!
貴「黒羽快斗様だぜ!っじゃないわよ!💢今何時だと思ってんの?!7時よ?!休みの日の朝早くから、何でこんな事で起こされなきゃなんないのよ!💢」
あろうことかこいつ、キメ顔で語りかけてきた。人の貴重な休みを邪魔するなんて……良い度胸してんじゃない。
貴「この前の事、もう忘れたの。私言ったわよね……せめて起こすのなら普通に起こしてって!」
快「あぁ……だから今までは普通に起こしてやってただろ?」
貴「今日は違ったじゃない!」
快「そんな毎回やってたらお前、慣れちまって驚きが少なくなるだろ。だからここ最近やってなかったんだよ。」
貴「少なくとも起こす時は、一生しなくていい!大体アンタのマジックならもう見慣れてるわよ。いつから一緒にいると思ってんのよ。」
そう、見慣れているのだ……なんせ快斗は、小さい頃から私や玲於、青子に対し様々なマジックを見せてくれていたから。……正直マジックの腕は素晴らしいと思うけど、時と場合を考えて欲しいものね。
快「でも、そういう割には前も今日も驚いてたよな。今日のは前のと違って控えめだぜ?これぐらいで驚いてるようじゃ憐……オメーもまだまだだな。」
いちいち笑いながら言ってくるの、ほんとに腹立つ。人の神経を逆撫でするのも上手いんだよね、快斗は。
快「そういえば憐、休みの日ってなんだ?」
貴「だって今日は休みでしょ?日曜日じゃない。」
そんな当たり前のことを言わせないで欲しいものだわ。
快「まだ寝ぼけてんのか、今日は月曜日だぜ?オメーの通う帝丹校も俺達の江古田校も普通に学校ある日だろ。」
快斗がやれやれとでも言いたげな表情で説明した。……月曜日?
快斗に言われて、自分のスマートフォンを確認する。スマホには、確かに時間と日付、そして曜日が記されていた……月曜日と。
………………?!
貴「待って本当に月曜日じゃん!こんな事してる場合じゃないよ!……快斗!何でもっと早く起こしてくれなかったの?!」
そう言いながら慌てて起き出し、クローゼットを開ける。快斗と話してる場合じゃなかった!遅刻する!
快「……俺が起こさなきゃ今もお前はベッドの中だった癖によ〜……それなのに、何でお前が怒ってんだ。」
貴「う、煩いわね!もう良いでしょ!ていうか早く部屋から出てってよね!制服に着替えられないじゃない。」
そう言うと快斗は不貞腐れた顔から一変して、ニヤケ顔に変わった……嫌な予感。
快「俺に気にせず、着替えてもらっても良いんだぜ。俺は気にしねぇからよ!」
このバ快斗め……。
貴「いいからさっさと出てけ、このバ快斗ー!!」
私は快斗の言ってることを無視し、彼の背中を押し出し部屋から追い出した。こんな感じで朝は忙しない感じで始まる。
──────これが私のいつもの日常の始まりだ…。