戦慄の楽譜【完結】
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蘭とコナンと別れた怜子は目の前に続く土手道を歩いていた。すると前方に、ある人物を見つけて足を止めた。
その人物は土手道の傾斜を下り川の近くまで歩み寄る。そして深く深呼吸した後、瞼を閉じ、静かに口を開いた。
「 Amazing Grace……
how sweet the sound……
That saved a wretch like me……
I once was lost but now am found……
Was blind, but now I see……────♩ 」
……心地の良いソプラノの歌声。自分とは異なり、まだ拙く力強さはないが、代わりに儚さを感じる歌声で、神に祈るように、彼女は胸の前で手を組み〝Amazing Grace〟を歌っていた。
透明感のある歌声で歌を歌っている人物の顔を見るべく、改めて視線を向けた怜子……その人物の横顔に着目し、彼女は大きく目を見開いた。
秋(!?……あの子、この前子ども達の歌唱指導を頼まれた時に居た女の子……本来あの歌唱指導はこの子がする予定だったっていう……名前は確か……〝神崎憐〟)
怜子の目の前で歌を歌っている人物とは、歌唱指導の時に出会った少女、神崎憐だった。彼女の事はコナンの同級生である子ども達に聞いている。〝憐お姉さん〟と親しまれていた高校生の少女。子ども達に歌唱指導を頼まれた際に軽く話を聞いていた。本来この歌唱指導は、その彼女に頼んでいたと言っていた。
子ども達や蘭達曰く、彼女の歌唱能力は非常に高く、彼女の歌を聞くと苛立ちが無くなったり、癒され、時には感動して涙を流してしまう程の綺麗な歌声だと聞いていた……。
人の感情を揺さぶり動かす程の歌声の持ち主……その実力をお目にかかれたらと密かに考えていた事が思いがけない形で叶った。怜子は口元に笑みを浮かべた。
憐は怜子の存在に気づかず、無事歌いきった事に満足し、背後を振り返る。彼女の背後には、彼女と同い歳くらいの少年が生い茂っている雑草の傾斜で寝そべっていた。
貴「ふぅ……今の歌、どうだった?」
快「……悪ぃ寝てた」
貴「え?!何で寝てるのよ!!ちゃんと聞いててって言ったじゃない!!」
快「仕方ねぇだろ〜……気づいたら寝ちまってたんだから」
寝そべっていた彼は、悪びれることなく無造作に頭を掻いて答えた。盛大に欠伸をするというおまけ付きだ。これに対して彼女は彼に詰め寄り、ここで歌っている理由を話す。
貴「もう〜!!だから言ってるでしょ?!3年前のあの日にここで秋庭さんが歌っていた歌を、私が歌うからどう感じたか教えて欲しいって……!!」
3年前のあの日、不慮の事故で亡くなった婚約者を偲び、彼の好きだった歌を歌ったあの日……先程会っていた毛利蘭達とは別に、彼女もあの場にいたのかと静かに怜子は悟った。
貴「私は秋庭さんの歌に感動したの!当時避けていた快斗といつの間にか仲直り出来たのも、あの人のお陰なんだよ!!
快斗がコンサートに誘ってくれたお陰で、思い出の歌姫が秋庭さんだって分かって嬉しかったし、本当に感謝してる……でもね!この思い出はアンタしか分からないんだから、少しくらい協力してくれたっていいじゃない……」
少し悲しげに眉を下げた憐の表情を見て、快斗は慌てて起き上がり、彼女の機嫌回復につとめる。
快「わ、分かったって!……あの人のように綺麗な歌声で歌えるようになりたいんだっけ……?」
貴「そうよ!」
快「んで、いつか出会えたらお礼を言いたいんだっけか……?」
貴「うん、そう!」
快「それで?俺にお前の歌を聞いて評価して欲しいって事だよな……?」
貴「その通りっ!……ま、まぁそれだけじゃないけど……」
そう言って視線を下に向ける彼女。言われた彼はいまいち分かっておらず、不思議そうにしていた。しかし、少し離れた所で見ている怜子には分かってしまった。頬は赤く染まり、視線を右往左往するその仕草……
秋(……なるほどね。好きなのね……彼の事が……)
控えめにサインが出ているのに、残念なことに彼は気づいていない。無理もない……先程まで憧れの人物について熱弁していたのだから、それ以外の思いは含まれないと錯覚してしまう。しかし、ほんの少しだけ感じ取れた彼女の想い。きっと同じ女性同士だから分かってしまった微かな変化。
そして彼女だけでなく、先程の彼の仕草でも、彼の想いに気づいてしまった怜子は更に笑みを深くした。
─── 彼等はいつ気づくのだろうか……互いの変化に……互いの想いに……彼等の織り成す物語の結末が、気になり始めてしまった。
ふと彼女と話していた彼がこちらに気づき、瞳が合わさった。どんな反応をするのか気になって、敢えて何もせずにいると、彼は突然誇らしげに笑い、再度彼女に視線を向けた。
貴「……何で笑ってるの……?」
あどけない表情で首を傾げる彼女に、彼は優しい声色で告げる。
快「いや、グッドタイミングだと思ってよ……俺に聞くよりも本人に直接聞いてもらった方が早いんじゃねぇか……?」
貴「それはそうだけど……本人って言ったってここに秋庭さんは……」
快「良いから!後ろ振り返ってみろよ……」
快斗に言われて憐はゆっくりと背後を振り返った。
貴「!!……嘘っ……!!」
そこには自身が憧れた人物であり、ずっと会いたいと願っていた歌姫、秋庭怜子が堂々と立っていたのだ。やっと目線が合わさる……憐はあまりの衝撃に自身の手で口を覆った。
驚きが勝った憐だが、徐々に表情を変えていく。瞳が潤んでいるように見えるのは気の所為だろうか?否、気の所為なんかではない……
貴「私っ……!あの日からずっと、貴女を探していましたっ……!……あの日素敵な歌を歌ってくださり、ありがとうございましたっ!」
堪えていた涙が決壊して溢れ出る。嗚咽も混じり、彼女にちゃんと伝わったのか不安になった。会いたいと願っていたけど、こうなるならある程度心の準備が必要だったと感じる。
これでは困らせてしまうと思い、無理矢理止めようとするが止まる気配がなく焦ってしまう。
快「ほら落ち着けよ……この人は逃げねぇから」
貴「う、うん……!」
さり気なく彼女の背中を支えた快斗は穏やかに声をかけた。そのおかげかようやく憐の涙が止まった時、怜子はあの日の経緯を話し始める。
自分には大切な人がいた事、その大切な人が突然亡くなってしまった事、その人が好きだった歌がAmazing Graceである事……次々と明かされるあの日の真実に、憐は徐々に顔を歪めていく。
貴「そう……だったんですね。知らなかったとはいえ、配慮が足りずすみませんでした……」
秋「違うわ、私は貴女に謝って欲しかった訳じゃない……ただ知っていて欲しかったの……」
喜びの表情から一転して、青ざめながら謝罪の言葉を口にする憐に対して、怜子は穏やかに首を横に振った。誤った意図で伝わってしまう可能性も分かっていたが、本当の事を知っていてほしい……そんな思いで彼等に真実を伝えた。
────── 純粋に自分の歌を喜んでくれた彼女に……その彼女を自分に導いてくれた彼に……
嘘偽りなく話すことが彼等に対する敬意だと考え、怜子は全て話した。あの日の出来事だけではなく、今回のコンサートでも裏側でどういった事が起きていたのか……全てを聞いた憐は心を痛めるように目を伏せた。憐の傍で一緒に聞いていた快斗は一連の事件の全容が分かり、ようやく腑に落ちていた。
秋「さっき貴女が歌っていたAmazing Graceを聞いたわ」
貴「?!」
秋「まだまだ拙い部分はあるけれど、透明感がある歌声ね。あの子達が気にいるはずだわ」
貴「っ……ありがとうございますっ!!」
ようやく笑顔を取り戻す。怜子と憐の間には穏やかな空気が流れていた。
成り行きを静かに見守っていた快斗は、彼女の諦めなかった努力に、心の中で拍手をおくった。
───────────────────────
あれから怜子と憐、快斗は一通りお互いの素性や、過去の思い出話を共有していた。また会話だけではなく、快斗の得意な手品 を披露することにより、更に二人と怜子の仲は深まっていった。
気づけば上空で輝いている陽は落ちていき、空は茜色に染まっている。時間が経つのはあっという間だと憐はしみじみと思っていた。
……この時間帯の景色、3年前のあの日と変わらなかった。少し違うとすれば、桜は舞い散っていないことぐらいだ。
秋「それじゃあ、もう行くわ。色々話せて楽しかった……気になっていた貴女の歌も聞けたし、素敵な手品 も見れたしね」
貴「はいっ……今日は本当にありがとうございました!」
快「また今度会えた時は、もっと凄い奇跡をお見せしますよ……」
何も持ってなかった手に、早業で赤い薔薇を咲かせてみた快斗の様子に、憐は呆れたようにため息を着く。
貴「快斗ったらそんな大口叩いて……もし失敗しても、フォローしてあげないんだからね……」
快「バーロー!オメーじゃあるまいし、俺が観客の前でそんなヘマするかよ!」
貴「はぁ〜?!何よそれっ!!私がいつも失敗してるみたいじゃないっ!!」
快「だってそうだろ〜!お前、ガキの頃から肝心な時にミスって失敗して、落ち込んでること多かったじゃねぇか」
貴「うっ!……そんなことないわよ!」
快「いーや!そんな事あるね……」
貴「そんな事なーい!」
自分を置いて目の前で延々と続く二人の言い合いを怜子は眺めていた。見た目は高校生なのに、まるで小学生みたいな下らない喧嘩をしている。
秋「そこまでよ!全く……小学生じゃないんだから下らない喧嘩はやめなさい」
貴/快「「!!」」
あれだけ続いていた喧嘩は怜子の言葉でピタリと止まった。そしてお互い向き合っていた体を怜子に向けた。
貴「すみません秋庭さんっ……!!もう帰られるって時に、お恥ずかしい所を見せてしまってっ……!」
憐は慌てて頭を下げる。快斗は悪いとは思っておらず、ツーンと顔を背けた。対照的な二人の態度にクスクスと笑いが零れた。
秋「ったく……あっそうだ。私に会いたくなったら、またコンサートに来なさい。貴方達だったら特別に会ってあげてもいいわよ」
貴「っ!!ありがとうございます!!また秋庭さんの歌が聞けるの楽しみにしています!!」
快(何でこの人、常に上からなんだよ……うげぇ、さては紅子みたいな女王様タイプか〜……)
脳裏に過ぎったのは高笑いする同じクラスの紅き魔女。魔女と同じ匂いを感じた快斗は隠れて苦々しい表情を出した。
秋「あぁ、そうそう……さっきの貴女の歌、君は寝てて聞いてなかったって言っていたけど、それ……嘘よね?」
快「いっ!?」
貴「えっ……??」
露骨に焦りを見せる快斗。怜子が言っているのは、先程憐がAmazing Graceを歌っていた時のこと。あの時憐は、自分の歌について快斗に評価を求めていたが、彼は寝ていて聞いていなかったと答えた。しかし、それは嘘だと彼女は告げる。
秋「だって君、起きてたよね?私見てたのよ……彼女が歌い始めるところから。歌っている間、貴女は彼に背を向けていたから分からなかったかもしれないけど、彼、ちゃんと目を開けて貴女の方を見ていたのよ……とても優しい顔をしてね」
快「ちょっ?!」
秋「それなのに貴女が振り向いた瞬間、開けてた瞼を閉じて、寝てたなんて嘘ついて……幾らね、好きな女の子相手に素直になれないからって、いつまでもそんな態度だと、そのうち他の優しい男の子に取られちゃうわよ」
快「ち、ちが!俺は……」
彼女の助言は快斗の心にグサッと刺さった。正論だし、常日頃自分でも分かっていたからだ。しかし、このままでは憐に自分の想いが予期せぬ形で伝わってしまうと思い、否定しようとするも先に彼女から言葉が紡がれる。
貴「違いますよ秋庭さん!!こんな奴ですけど、他にちゃんと好きな人がいるんですから〜
……私達はただの幼馴染ですよ!」
怜子の時よりも、針のように鋭く突き刺さる。彼女が笑って告げた何気ない一言は、後に彼の心に強く残る事となる。自分だって幾度となく考え悩んでいる事である……己の欲に負けて伝えてしまおうと考えた時もあった。しかし、決意は固く胸に刻んでいる……。
快(でも、俺にはまだやるべき事がある。時には命をも狙われる危険な〝仕事〟……この仕事が終わる迄は憐に伝える事は出来ない。
────── だから、怪盗キッドの仕事が終わるまでは……まだ〝幼馴染〟で良い……)
……己の中に答えは導き出されている。今はまだ、その時ではない……。
秋「ふぅ……まぁ、頑張るのね。それじゃあ、またね……」
貴「さようなら〜!」
ただ一言、彼女の言葉に……彼の苦労が手に取るように分かってしまった怜子は何とも言えない気持ちとなった。これは彼女の鈍感さもあると思うが、彼の素直になれない性格も禍いとしている。
秋(アドバイスはしたわ……後は君次第……。頑張ってね、手品師 くん……)
今もにこやかに手を振っている憐と彼女の隣で難しい顔をして立っている快斗に背に向けて、怜子は今度こそ帰路へと着いた──────。
────────────────────────
貴「うわぁ〜緊張した!まさか秋庭さん本人がいらっしゃるなんて……!3年前からずっと探して今の今迄会えてなかったのに、こんなにも連続で会えるなんて……夢みたい……」
怜子が去った後、残された二人は雑草の上に座り込んでいた。特に憐は、憧れの歌姫にやっと出会えた嬉しさを噛み締めていた。夢心地のような気分の中、隣に座り込んでいる幼馴染の表情を伺う。
貴(何だか難しい顔をしてる。何でだろう?私間違った事言っていないと思うんだけど……)
彼はプロの手品師 を目指す者、昔から他人と比べ感情を隠すことに長けていた。それは初代怪盗キッド、父親でもある黒羽盗一の教えが生きているから。少なくとも黒羽快斗本人は、己の技術は完璧だと考えている。手品 も変装も盗みも自分に出来ない事はないのだと自負出来る。……他人に悟らせないよう不敵に笑みを浮かべ飄々と追求を逃れていた。
……それは他人から見た話で、少なくとも憐は彼に対して異なった感情を抱いている。
貴(快斗が感情を隠す時は自分の為ではなく誰かの為、誰かを守る為だって知ってる。だから今も何かを抱えているって事は分かるのよ……)
気付けば目で追っている想い人だからこそ僅かな変化に気付くことが出来る。快斗は自分に何か隠している事がある……根拠は無いが、以前に比べ考え込む様子を見ることが多くなったから、憐はそう感じていた。詳細までは分からない……だけど、自分に話す気も無さそうだった。
それは何故なのか、見栄っ張りなのかそれとも何か別の理由が……?思い切って聞いてみることにした。……でも答えは予想できる。
快「別に何も悩んでねぇよ……お前の気の所為だよ」
────── ほら、やっぱり隠されてしまう……
貴(嘘つき……でもそれを分かってて指摘できない私も嘘つきだ……)
貴「変な事聞いてごめん……そうよね」
本当はちゃんと知りたい。何故私にも隠すの?……長年そばにいる私にさえ話せないなんて……よっぽど何か重いものを抱えているんじゃないかって思ってしまう。
私じゃ彼の力になれないのかな……それでも……
貴(私には話せなくても良いから……他の人でも良いから、無理しないで……周囲を頼ってよ快斗……)
隠されていても、嘘をつかれていても変わらない……どんなことがあっても、絶対この手を離さないと決めたのだから……。
例えそれが自分がそばにいなくとも……彼の平穏が保たれるのなら、傍を離れることも厭わない……憐はそんな事を考えていた。
貴「でも何かあったら、遠慮なく頼ってきて良いんだからね……だって私達、〝幼馴染〟なんだから……!」
この言葉に嘘偽りは何ひとつ無い……憐は精一杯の笑顔で快斗に伝えた。……精一杯の〝本音〟は言わずに……。
彼女の言葉を受けた快斗は目を見開いた……自分を気遣う彼女の思いが嬉しかった。しかし、それを素直に出さずに捻くれた言葉を放つ。
快「……そうだな。俺が憐を頼る事なんて早々ないと思うけど、まぁもし何かあれば……な……?」
貴「ちょっと……私に頼る事は早々ないってどういう事よ!」
快「ドジで不器用な憐に頼るのは最終手段って事だよ……」
立ち上がる快斗に憐も眉を顰めて立ち上がる。
貴「何よそれ……せっかくアンタを思って言ったのに……別にいいわよ!後で泣きついてきても知らないんだから……!」
快「あっ、ちょっと待てよ憐!」
立ち上がった勢いで、背を向けて歩き出そうとする憐に快斗が立ち止まるように呼びかける。
快「早速出来たぜ……お前にしか頼めない事……」
貴「えっ?……」
憐の瞳が大きくなる。その瞳の中には照れ臭そうに頬をかきながらチラチラこちらを見る快斗の姿が写っている。
快「もう1回、歌ってくれよ……あの歌を……」
貴「!!」
快「……今度はちゃんと聞いてるからさ」
快斗の態度を見て、憐は可笑しそうに声を上げて笑った。そして穏やかに微笑んで答えた。
貴「……あはははっ!もう〜しょうがないな〜!特別にもう1回歌ってあげる!快斗の為にね……」
離れかけていた足を再度戻し、快斗の隣に並んだ。一瞬顔を見合せて、小さく息を吸い、二人の思い出の中で大切に仕舞われていたあの楽曲を再び奏で始めた。
〝Amazing Grace……
how sweet the sound……〟
心地の良い歌声、儚くて透き通るような高音が耳の奥を通り抜け、やがて全身に……まるで血の巡りみたいに駆け巡る。
〝That saved a wretch like me……〟
……歌姫が指摘するように本当は聞こえていた。僅かな音を聞き漏らさぬよう、全神経を耳に集中させて彼女の歌声を聴いていた。
〝I once was lost but now am found……〟
素直に言えず、意地悪言って寝ていたと嘘をついてしまったが、本当は何よりも彼女の歌声が好きで聴いている事に間違いはない。
〝Was blind, but now I see……────♪〟
叶うならいつまでも……彼女の傍で、その歌声を聞いていたい……
自分の為に奏でられる優しく心に染み入る歌声を聴きながら、快斗は密かに願ったのだった……。
この日土手道を通る人々の多くが彼女の歌声を聞いていた。見知らぬ少女が響かせる祈りのような歌声に聞き惚れ足を止めてしまうほどに……歌声だけではなく、風に吹かれ、夕陽を浴びながら優しい微笑みを浮かべて歌う少女に感銘を受けた。
まるで3年前、この場所でAmazing Graceを歌っていた秋庭怜子のように……周囲の人々を感動させ、記憶に強く刻み込まれていた──────
END
〜あとがき〜
終わりましたー!大好きな戦慄の楽譜がかけて楽しかったです!夢主ちゃんの特徴である歌の要素を活かすことが出来て満足です。夢主ちゃんの歌声のイメージとしては、某2525動画に上がっている御友人が歌っているというようなタイトル名であげられたAmazing Graceです。何年も前からずっと聞いていますが、本当に綺麗で無料で聞いていいの?と思うくらいです。良ければ探してみてください!
彼女の歌が上手い理由はちゃんと設定を考えていますが、いつどこで出すかは決まっておらず、そのうち出したいです……。
とりあえず本編は完結です!まだちょっと後日談というか捕捉的な部分を書くかもしれないです……曖昧ですみません💦
次回はまだ未定ですが、いい加減白馬くんを出したいと思っているので白馬くん関連のお話になるかもです!引き続きよろしくお願いいたします🙇♀️
その人物は土手道の傾斜を下り川の近くまで歩み寄る。そして深く深呼吸した後、瞼を閉じ、静かに口を開いた。
「 Amazing Grace……
how sweet the sound……
That saved a wretch like me……
I once was lost but now am found……
Was blind, but now I see……────♩ 」
……心地の良いソプラノの歌声。自分とは異なり、まだ拙く力強さはないが、代わりに儚さを感じる歌声で、神に祈るように、彼女は胸の前で手を組み〝Amazing Grace〟を歌っていた。
透明感のある歌声で歌を歌っている人物の顔を見るべく、改めて視線を向けた怜子……その人物の横顔に着目し、彼女は大きく目を見開いた。
秋(!?……あの子、この前子ども達の歌唱指導を頼まれた時に居た女の子……本来あの歌唱指導はこの子がする予定だったっていう……名前は確か……〝神崎憐〟)
怜子の目の前で歌を歌っている人物とは、歌唱指導の時に出会った少女、神崎憐だった。彼女の事はコナンの同級生である子ども達に聞いている。〝憐お姉さん〟と親しまれていた高校生の少女。子ども達に歌唱指導を頼まれた際に軽く話を聞いていた。本来この歌唱指導は、その彼女に頼んでいたと言っていた。
子ども達や蘭達曰く、彼女の歌唱能力は非常に高く、彼女の歌を聞くと苛立ちが無くなったり、癒され、時には感動して涙を流してしまう程の綺麗な歌声だと聞いていた……。
人の感情を揺さぶり動かす程の歌声の持ち主……その実力をお目にかかれたらと密かに考えていた事が思いがけない形で叶った。怜子は口元に笑みを浮かべた。
憐は怜子の存在に気づかず、無事歌いきった事に満足し、背後を振り返る。彼女の背後には、彼女と同い歳くらいの少年が生い茂っている雑草の傾斜で寝そべっていた。
貴「ふぅ……今の歌、どうだった?」
快「……悪ぃ寝てた」
貴「え?!何で寝てるのよ!!ちゃんと聞いててって言ったじゃない!!」
快「仕方ねぇだろ〜……気づいたら寝ちまってたんだから」
寝そべっていた彼は、悪びれることなく無造作に頭を掻いて答えた。盛大に欠伸をするというおまけ付きだ。これに対して彼女は彼に詰め寄り、ここで歌っている理由を話す。
貴「もう〜!!だから言ってるでしょ?!3年前のあの日にここで秋庭さんが歌っていた歌を、私が歌うからどう感じたか教えて欲しいって……!!」
3年前のあの日、不慮の事故で亡くなった婚約者を偲び、彼の好きだった歌を歌ったあの日……先程会っていた毛利蘭達とは別に、彼女もあの場にいたのかと静かに怜子は悟った。
貴「私は秋庭さんの歌に感動したの!当時避けていた快斗といつの間にか仲直り出来たのも、あの人のお陰なんだよ!!
快斗がコンサートに誘ってくれたお陰で、思い出の歌姫が秋庭さんだって分かって嬉しかったし、本当に感謝してる……でもね!この思い出はアンタしか分からないんだから、少しくらい協力してくれたっていいじゃない……」
少し悲しげに眉を下げた憐の表情を見て、快斗は慌てて起き上がり、彼女の機嫌回復につとめる。
快「わ、分かったって!……あの人のように綺麗な歌声で歌えるようになりたいんだっけ……?」
貴「そうよ!」
快「んで、いつか出会えたらお礼を言いたいんだっけか……?」
貴「うん、そう!」
快「それで?俺にお前の歌を聞いて評価して欲しいって事だよな……?」
貴「その通りっ!……ま、まぁそれだけじゃないけど……」
そう言って視線を下に向ける彼女。言われた彼はいまいち分かっておらず、不思議そうにしていた。しかし、少し離れた所で見ている怜子には分かってしまった。頬は赤く染まり、視線を右往左往するその仕草……
秋(……なるほどね。好きなのね……彼の事が……)
控えめにサインが出ているのに、残念なことに彼は気づいていない。無理もない……先程まで憧れの人物について熱弁していたのだから、それ以外の思いは含まれないと錯覚してしまう。しかし、ほんの少しだけ感じ取れた彼女の想い。きっと同じ女性同士だから分かってしまった微かな変化。
そして彼女だけでなく、先程の彼の仕草でも、彼の想いに気づいてしまった怜子は更に笑みを深くした。
─── 彼等はいつ気づくのだろうか……互いの変化に……互いの想いに……彼等の織り成す物語の結末が、気になり始めてしまった。
ふと彼女と話していた彼がこちらに気づき、瞳が合わさった。どんな反応をするのか気になって、敢えて何もせずにいると、彼は突然誇らしげに笑い、再度彼女に視線を向けた。
貴「……何で笑ってるの……?」
あどけない表情で首を傾げる彼女に、彼は優しい声色で告げる。
快「いや、グッドタイミングだと思ってよ……俺に聞くよりも本人に直接聞いてもらった方が早いんじゃねぇか……?」
貴「それはそうだけど……本人って言ったってここに秋庭さんは……」
快「良いから!後ろ振り返ってみろよ……」
快斗に言われて憐はゆっくりと背後を振り返った。
貴「!!……嘘っ……!!」
そこには自身が憧れた人物であり、ずっと会いたいと願っていた歌姫、秋庭怜子が堂々と立っていたのだ。やっと目線が合わさる……憐はあまりの衝撃に自身の手で口を覆った。
驚きが勝った憐だが、徐々に表情を変えていく。瞳が潤んでいるように見えるのは気の所為だろうか?否、気の所為なんかではない……
貴「私っ……!あの日からずっと、貴女を探していましたっ……!……あの日素敵な歌を歌ってくださり、ありがとうございましたっ!」
堪えていた涙が決壊して溢れ出る。嗚咽も混じり、彼女にちゃんと伝わったのか不安になった。会いたいと願っていたけど、こうなるならある程度心の準備が必要だったと感じる。
これでは困らせてしまうと思い、無理矢理止めようとするが止まる気配がなく焦ってしまう。
快「ほら落ち着けよ……この人は逃げねぇから」
貴「う、うん……!」
さり気なく彼女の背中を支えた快斗は穏やかに声をかけた。そのおかげかようやく憐の涙が止まった時、怜子はあの日の経緯を話し始める。
自分には大切な人がいた事、その大切な人が突然亡くなってしまった事、その人が好きだった歌がAmazing Graceである事……次々と明かされるあの日の真実に、憐は徐々に顔を歪めていく。
貴「そう……だったんですね。知らなかったとはいえ、配慮が足りずすみませんでした……」
秋「違うわ、私は貴女に謝って欲しかった訳じゃない……ただ知っていて欲しかったの……」
喜びの表情から一転して、青ざめながら謝罪の言葉を口にする憐に対して、怜子は穏やかに首を横に振った。誤った意図で伝わってしまう可能性も分かっていたが、本当の事を知っていてほしい……そんな思いで彼等に真実を伝えた。
────── 純粋に自分の歌を喜んでくれた彼女に……その彼女を自分に導いてくれた彼に……
嘘偽りなく話すことが彼等に対する敬意だと考え、怜子は全て話した。あの日の出来事だけではなく、今回のコンサートでも裏側でどういった事が起きていたのか……全てを聞いた憐は心を痛めるように目を伏せた。憐の傍で一緒に聞いていた快斗は一連の事件の全容が分かり、ようやく腑に落ちていた。
秋「さっき貴女が歌っていたAmazing Graceを聞いたわ」
貴「?!」
秋「まだまだ拙い部分はあるけれど、透明感がある歌声ね。あの子達が気にいるはずだわ」
貴「っ……ありがとうございますっ!!」
ようやく笑顔を取り戻す。怜子と憐の間には穏やかな空気が流れていた。
成り行きを静かに見守っていた快斗は、彼女の諦めなかった努力に、心の中で拍手をおくった。
───────────────────────
あれから怜子と憐、快斗は一通りお互いの素性や、過去の思い出話を共有していた。また会話だけではなく、快斗の得意な
気づけば上空で輝いている陽は落ちていき、空は茜色に染まっている。時間が経つのはあっという間だと憐はしみじみと思っていた。
……この時間帯の景色、3年前のあの日と変わらなかった。少し違うとすれば、桜は舞い散っていないことぐらいだ。
秋「それじゃあ、もう行くわ。色々話せて楽しかった……気になっていた貴女の歌も聞けたし、素敵な
貴「はいっ……今日は本当にありがとうございました!」
快「また今度会えた時は、もっと凄い奇跡をお見せしますよ……」
何も持ってなかった手に、早業で赤い薔薇を咲かせてみた快斗の様子に、憐は呆れたようにため息を着く。
貴「快斗ったらそんな大口叩いて……もし失敗しても、フォローしてあげないんだからね……」
快「バーロー!オメーじゃあるまいし、俺が観客の前でそんなヘマするかよ!」
貴「はぁ〜?!何よそれっ!!私がいつも失敗してるみたいじゃないっ!!」
快「だってそうだろ〜!お前、ガキの頃から肝心な時にミスって失敗して、落ち込んでること多かったじゃねぇか」
貴「うっ!……そんなことないわよ!」
快「いーや!そんな事あるね……」
貴「そんな事なーい!」
自分を置いて目の前で延々と続く二人の言い合いを怜子は眺めていた。見た目は高校生なのに、まるで小学生みたいな下らない喧嘩をしている。
秋「そこまでよ!全く……小学生じゃないんだから下らない喧嘩はやめなさい」
貴/快「「!!」」
あれだけ続いていた喧嘩は怜子の言葉でピタリと止まった。そしてお互い向き合っていた体を怜子に向けた。
貴「すみません秋庭さんっ……!!もう帰られるって時に、お恥ずかしい所を見せてしまってっ……!」
憐は慌てて頭を下げる。快斗は悪いとは思っておらず、ツーンと顔を背けた。対照的な二人の態度にクスクスと笑いが零れた。
秋「ったく……あっそうだ。私に会いたくなったら、またコンサートに来なさい。貴方達だったら特別に会ってあげてもいいわよ」
貴「っ!!ありがとうございます!!また秋庭さんの歌が聞けるの楽しみにしています!!」
快(何でこの人、常に上からなんだよ……うげぇ、さては紅子みたいな女王様タイプか〜……)
脳裏に過ぎったのは高笑いする同じクラスの紅き魔女。魔女と同じ匂いを感じた快斗は隠れて苦々しい表情を出した。
秋「あぁ、そうそう……さっきの貴女の歌、君は寝てて聞いてなかったって言っていたけど、それ……嘘よね?」
快「いっ!?」
貴「えっ……??」
露骨に焦りを見せる快斗。怜子が言っているのは、先程憐がAmazing Graceを歌っていた時のこと。あの時憐は、自分の歌について快斗に評価を求めていたが、彼は寝ていて聞いていなかったと答えた。しかし、それは嘘だと彼女は告げる。
秋「だって君、起きてたよね?私見てたのよ……彼女が歌い始めるところから。歌っている間、貴女は彼に背を向けていたから分からなかったかもしれないけど、彼、ちゃんと目を開けて貴女の方を見ていたのよ……とても優しい顔をしてね」
快「ちょっ?!」
秋「それなのに貴女が振り向いた瞬間、開けてた瞼を閉じて、寝てたなんて嘘ついて……幾らね、好きな女の子相手に素直になれないからって、いつまでもそんな態度だと、そのうち他の優しい男の子に取られちゃうわよ」
快「ち、ちが!俺は……」
彼女の助言は快斗の心にグサッと刺さった。正論だし、常日頃自分でも分かっていたからだ。しかし、このままでは憐に自分の想いが予期せぬ形で伝わってしまうと思い、否定しようとするも先に彼女から言葉が紡がれる。
貴「違いますよ秋庭さん!!こんな奴ですけど、他にちゃんと好きな人がいるんですから〜
……私達はただの幼馴染ですよ!」
怜子の時よりも、針のように鋭く突き刺さる。彼女が笑って告げた何気ない一言は、後に彼の心に強く残る事となる。自分だって幾度となく考え悩んでいる事である……己の欲に負けて伝えてしまおうと考えた時もあった。しかし、決意は固く胸に刻んでいる……。
快(でも、俺にはまだやるべき事がある。時には命をも狙われる危険な〝仕事〟……この仕事が終わる迄は憐に伝える事は出来ない。
────── だから、怪盗キッドの仕事が終わるまでは……まだ〝幼馴染〟で良い……)
……己の中に答えは導き出されている。今はまだ、その時ではない……。
秋「ふぅ……まぁ、頑張るのね。それじゃあ、またね……」
貴「さようなら〜!」
ただ一言、彼女の言葉に……彼の苦労が手に取るように分かってしまった怜子は何とも言えない気持ちとなった。これは彼女の鈍感さもあると思うが、彼の素直になれない性格も禍いとしている。
秋(アドバイスはしたわ……後は君次第……。頑張ってね、
今もにこやかに手を振っている憐と彼女の隣で難しい顔をして立っている快斗に背に向けて、怜子は今度こそ帰路へと着いた──────。
────────────────────────
貴「うわぁ〜緊張した!まさか秋庭さん本人がいらっしゃるなんて……!3年前からずっと探して今の今迄会えてなかったのに、こんなにも連続で会えるなんて……夢みたい……」
怜子が去った後、残された二人は雑草の上に座り込んでいた。特に憐は、憧れの歌姫にやっと出会えた嬉しさを噛み締めていた。夢心地のような気分の中、隣に座り込んでいる幼馴染の表情を伺う。
貴(何だか難しい顔をしてる。何でだろう?私間違った事言っていないと思うんだけど……)
彼はプロの
……それは他人から見た話で、少なくとも憐は彼に対して異なった感情を抱いている。
貴(快斗が感情を隠す時は自分の為ではなく誰かの為、誰かを守る為だって知ってる。だから今も何かを抱えているって事は分かるのよ……)
気付けば目で追っている想い人だからこそ僅かな変化に気付くことが出来る。快斗は自分に何か隠している事がある……根拠は無いが、以前に比べ考え込む様子を見ることが多くなったから、憐はそう感じていた。詳細までは分からない……だけど、自分に話す気も無さそうだった。
それは何故なのか、見栄っ張りなのかそれとも何か別の理由が……?思い切って聞いてみることにした。……でも答えは予想できる。
快「別に何も悩んでねぇよ……お前の気の所為だよ」
────── ほら、やっぱり隠されてしまう……
貴(嘘つき……でもそれを分かってて指摘できない私も嘘つきだ……)
貴「変な事聞いてごめん……そうよね」
本当はちゃんと知りたい。何故私にも隠すの?……長年そばにいる私にさえ話せないなんて……よっぽど何か重いものを抱えているんじゃないかって思ってしまう。
私じゃ彼の力になれないのかな……それでも……
貴(私には話せなくても良いから……他の人でも良いから、無理しないで……周囲を頼ってよ快斗……)
隠されていても、嘘をつかれていても変わらない……どんなことがあっても、絶対この手を離さないと決めたのだから……。
例えそれが自分がそばにいなくとも……彼の平穏が保たれるのなら、傍を離れることも厭わない……憐はそんな事を考えていた。
貴「でも何かあったら、遠慮なく頼ってきて良いんだからね……だって私達、〝幼馴染〟なんだから……!」
この言葉に嘘偽りは何ひとつ無い……憐は精一杯の笑顔で快斗に伝えた。……精一杯の〝本音〟は言わずに……。
彼女の言葉を受けた快斗は目を見開いた……自分を気遣う彼女の思いが嬉しかった。しかし、それを素直に出さずに捻くれた言葉を放つ。
快「……そうだな。俺が憐を頼る事なんて早々ないと思うけど、まぁもし何かあれば……な……?」
貴「ちょっと……私に頼る事は早々ないってどういう事よ!」
快「ドジで不器用な憐に頼るのは最終手段って事だよ……」
立ち上がる快斗に憐も眉を顰めて立ち上がる。
貴「何よそれ……せっかくアンタを思って言ったのに……別にいいわよ!後で泣きついてきても知らないんだから……!」
快「あっ、ちょっと待てよ憐!」
立ち上がった勢いで、背を向けて歩き出そうとする憐に快斗が立ち止まるように呼びかける。
快「早速出来たぜ……お前にしか頼めない事……」
貴「えっ?……」
憐の瞳が大きくなる。その瞳の中には照れ臭そうに頬をかきながらチラチラこちらを見る快斗の姿が写っている。
快「もう1回、歌ってくれよ……あの歌を……」
貴「!!」
快「……今度はちゃんと聞いてるからさ」
快斗の態度を見て、憐は可笑しそうに声を上げて笑った。そして穏やかに微笑んで答えた。
貴「……あはははっ!もう〜しょうがないな〜!特別にもう1回歌ってあげる!快斗の為にね……」
離れかけていた足を再度戻し、快斗の隣に並んだ。一瞬顔を見合せて、小さく息を吸い、二人の思い出の中で大切に仕舞われていたあの楽曲を再び奏で始めた。
〝Amazing Grace……
how sweet the sound……〟
心地の良い歌声、儚くて透き通るような高音が耳の奥を通り抜け、やがて全身に……まるで血の巡りみたいに駆け巡る。
〝That saved a wretch like me……〟
……歌姫が指摘するように本当は聞こえていた。僅かな音を聞き漏らさぬよう、全神経を耳に集中させて彼女の歌声を聴いていた。
〝I once was lost but now am found……〟
素直に言えず、意地悪言って寝ていたと嘘をついてしまったが、本当は何よりも彼女の歌声が好きで聴いている事に間違いはない。
〝Was blind, but now I see……────♪〟
叶うならいつまでも……彼女の傍で、その歌声を聞いていたい……
自分の為に奏でられる優しく心に染み入る歌声を聴きながら、快斗は密かに願ったのだった……。
この日土手道を通る人々の多くが彼女の歌声を聞いていた。見知らぬ少女が響かせる祈りのような歌声に聞き惚れ足を止めてしまうほどに……歌声だけではなく、風に吹かれ、夕陽を浴びながら優しい微笑みを浮かべて歌う少女に感銘を受けた。
まるで3年前、この場所でAmazing Graceを歌っていた秋庭怜子のように……周囲の人々を感動させ、記憶に強く刻み込まれていた──────
END
〜あとがき〜
終わりましたー!大好きな戦慄の楽譜がかけて楽しかったです!夢主ちゃんの特徴である歌の要素を活かすことが出来て満足です。夢主ちゃんの歌声のイメージとしては、某2525動画に上がっている御友人が歌っているというようなタイトル名であげられたAmazing Graceです。何年も前からずっと聞いていますが、本当に綺麗で無料で聞いていいの?と思うくらいです。良ければ探してみてください!
彼女の歌が上手い理由はちゃんと設定を考えていますが、いつどこで出すかは決まっておらず、そのうち出したいです……。
とりあえず本編は完結です!まだちょっと後日談というか捕捉的な部分を書くかもしれないです……曖昧ですみません💦
次回はまだ未定ですが、いい加減白馬くんを出したいと思っているので白馬くん関連のお話になるかもです!引き続きよろしくお願いいたします🙇♀️
