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蘭の父親である小五郎が来院するまで病院で待っていた憐と乙骨。その際にコナンと押し問答じみた会話を繰り広げていたが、小五郎が来たことでその会話はひとまず決着がついた。小五郎に蘭達を託し、その場を後にする二人。そして、数日後無事米花町での任務を終えた憐は、潜入していた帝丹高校を〝転校〟という形で抜け、後から来た乙骨と合流し、補助監督の運転する車に乗って、高専まで帰宅する道中である。
貴「やっと任務終わったー!」
乙「お疲れ様、憐。」
貴「ありがとう、憂太。それにしてもあの呪い……なんで1週間も出てこなかったんだろう。毛利さんに慿いていたなんて。」
乙「その事なんだけど、ある程度予想は出来る。」
貴「どういうこと?」
いまだ状況を把握していない憐に、乙骨は説明する。
乙「伊地知さんの情報によると、この1週間、何人かの生徒が、体調不良で休んでいる。その休んでいる生徒の親に聞いてみると、ある時生気が無くなり倒れ始めたって言っているんだ。少し奇妙なのは皆女子生徒で、始まったのは大体この1週間前から。」
貴「え??」
乙「幸い、3日〜4日休めば学校に行ける程度にはなるけど、本人も家族も何故倒れたのか詳しい原因は分からないんだって。……でも、あるとすれば、みんな倒れる直前に恋人の事を心配していた……しかも、それぞれのその恋人達は、みんな遠方にいる。」
貴「まさか……。」
乙「珍しいけど、そんな女の子達の恋人に対する思いを抜き取っていた呪いなのかもしれない。だから、次々女子生徒達が狙われて倒れた。」
憐には信じられなかった……そんな限定的な思いだけを抜き取るような呪いがいるなんて。死人が出ないだけマシだけど、でももし体の弱い子なら……どうなっていたか分からない。
(だけど、もしそうなら辻褄はあう。)
貴「毛利さんが狙われたのって……。」
乙「彼女には、恋人は居ないけど、仲の良い男の子がいる……そして今、その男の子は傍にいない……。」
貴「工藤……新一……。確か高校生探偵で、ある日急に高校に来なくなっちゃったのよね?生きてはいるみたいだけど……。」
乙「恋人ではなかったけど、その工藤くんへの思いが強かったから狙われたんじゃないかな。」
貴「そっか……多分毛利さんはその工藤くんって人の事……大好きだったんだろうな。」
他のクラスの子達から毛利さんの話を聞いた際、必ずと言っていいほど、工藤新一くんの話は出ていた。二人は幼馴染で、登下校はいつも一緒。喧嘩もするが、毛利さんの事を守るように工藤くんがいつも彼女の傍にいた。周囲の人間からしてみればそれはもう、仲の良い幼馴染だったようだ。今はどんな事情があるのか知らないけど、工藤くんは毛利さんの傍から離れている。いつも自分の傍にいた人が、ある日を境にいなくなってしまう。……ケースは違うし、私の自己責任だけど、大好きな人達が自分の傍からいなくなる事は経験済みだから、少し彼女の気持ちが分かるかもしれない。
(毎日ずっと考えてたから……)
憂太と里香の事をずっと……─────────。
憐がそっと乙骨の手を取る……少し昔を思い出しながら……。
乙「彼らの関係性は、今はまだ〝幼馴染〟のままだ 。だけど、もしかしたらこれから先、その関係性が変わるかもしれないね……僕らみたいに。」
乙骨は憐の手を握り返す。そして、今後の彼らの可能性を口にした。二人の想いはきっと同じ、〝幼馴染〟の関係の先……願わくば、互いの想いが伝われば良いと思っている。面識のない二人だが、何故だか他人事のように思えない。それは以前の自分達も、似たような関係だったから……いわゆる親近感を感じているからだと思う。
貴「それにしても、この帝丹高校ともおさらばね。」
憐は自身の着ている制服を見ながら話す。今の彼女は高専の制服ではなく、潜入先の帝丹高校のもの。高専のものとは違い、少し青みがかったブレザーの制服だった。この制服を着るのに少し慣れてしまうほどには、この高校で時を過ごした。
乙「楽しかった?」
貴「……それなりにね。呪いを見つけるのに時間かかっちゃったせいで、滞在する期間が長くなったけど……楽しかったな。」
憂太やみんなに会いたかったのも事実だけど、でも……帝丹高校の人達は転校生の私にも優しかった。だから、結構学生生活は楽しめた方だ。
乙「……そうなんだ。でも、僕は君が居なくて寂しかったよ。」
貴「うっ……それは、ごめんなさい……もっと私が早く見つけるべきだったよね。そうしたらもっと早く帰れたんだけど……。」
悲しそうな表情を見せた乙骨に、罪悪感が出てきた憐。任務中だったとはいえ、彼には悪いことをしたと反省している。
(顔が良いから余計に申し訳なさがある。……って、危うく憂太の顔の良さに流されそうになったけど……)
貴「って私の事よりも、憂太!伊地知さんから聞いたよ!この任務は他の呪術師が合流予定だったのに、その人に変わって貰ったんだよね!?前の任務を直ぐに終わらせて、そのまま米花町に来たのよね!?」
乙「そうだよ。……それがどうかしたの?」
貴「どうかしたのって……ちゃんと休んでよ!!また隈が酷くなっちゃう。」
憐は乙骨の目元に触れる……また隈が酷くなってしまったらどうしよう。彼にはちゃんと休んでもらいたいのに。憐は目尻を下げ、心配そうに乙骨を見上げていると、突如触れていた手に乙骨の手が重なる。何だか嬉しそうに見えるのは気の所為だろうか。
貴「なんで嬉しそうなの……心配してるのに。」
乙「だって僕の事心配してくれるから。さっきもそうだったけど、1週間ぶりに憐に触れられた。」
そんなの……私だってそう。
貴「……楽しかったとは言ったけど、憂太が傍にいなかったから寂しかったよ。だから今日、貴方に会えて、触れられて嬉しい……。」
彼女の本音を聞き、彼は朗らかな笑みから、満面の笑顔に変わる。
乙「おかえり、憐。」
貴「ただいま、憂太。」
今宵の彼らの睦まじい姿を知るのは、彼らの送迎の担当の補助監督のみである。補助監督は思う……自分も愛し愛されるような関係に憧れる。でもそこを目指す為には、必要不可欠なパートナーを見つけることから始めなければならないのであった。
こうして彼らはお互いが送る日常に戻っていく。探偵と呪術師、真実を追求する者と日常に潜む呪いを祓う者。普段交わらない領域同士が、ほんの少しだけ交わった日。有り得たかもしれない可能性の世界で起きた一つの出来事だった。
END
〜あとがき〜
ここまでお読み下さりありがとうございます!一度やってみたかったクロスオーバー夢小説!結局出ませんでしたが、一応快斗オチの夢主は存在しております。しかし、私の文才では会わせる事が難しかったので、いつの日か出来たら合わせてあげたいです。後コナンくんの正体についてですが、結局の所夢主は気づいておりません。大人っぽい少年ではあるけど、あくまで少年であることには変わらないと思っているから。夢主も乙骨くんも、出会った日数が差程ないことから、真実まではたどり着いていないといいなと思い、最後は触れませんでした。
毎度ことながら捏造設定、ご都合主義となりましたが、また他のクロスオーバー小説も書けたらなとは思っております!気長にお待ちください〜。