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コ(男の雰囲気が変わった……殺気だ!尋常ではない殺気が溢れ出ている。この女に手を出すのは不味い。)
貴「リカ駄目!……憂太、抑えて!私は大丈夫だから。」
コ(りか?……誰の事だ?名前からして女の名前だ。でもここには、俺達以外の関係者は誰も居ない上に、女はこの弓を持った女だけ……。)
憐は、乙骨の腕を掴んだ。掴まれた腕をそのままに、乙骨は憐の頭を少し撫でた後、ゆっくりコナンの方へ顔を向ける。
乙「……ごめん、少し頭に血がのぼった。憐に手を出さなければ何もしないよ。」
貴「……危なかった。」
乙「でもこれで分かっただろ?……今の僕達のやり取りが分からなければ、残念だけど君に教えても意味が無い。」
コ「……!?」
乙「君の関わる領域じゃない……諦めた方がいい。」
胸を貫くは乙骨の冷静な言葉の数々……。彼の言う通り、コナンは彼らのやり取りの意味が分からなかった。それもそのはず……彼ら呪術師のような力のを持つものにしか見えない存在がいる。乙骨の怒りに起因されて彼の術式、「リカ」が顔と手を出しコナンに危害を加えようとしたが、憐の一声によって「リカ」は止まる。「リカ」の従う対象は憐も入るからだ。
小「坊主ー!!大丈夫かー?!」
コ「おじさん……!」
殺伐とした空気の中、第三者の声が割って入る。コナンの居候先の保護者、毛利蘭の父親でもある毛利小五郎が、伊地知の連絡を受け、迎えにやってきたのだ。彼はこの殺伐とした空気には気づかなかった。看護師に注意されながらも、娘と居候の彼を心配して廊下を走ってやってきた。
小「おぉ、君達が娘の蘭を助けてくれたのか。蘭だけじゃなくこいつの面倒まで見てくれたみたいだな。助かったよ、ありがとうな。」
コ「おじさん、実は……」
貴「いえ、私達は蘭さんが倒れていたのを見つけただけなので……」
乙「それまでコナンくんが必死に守られていましたよ。僕達は特別何もしていません。お礼なら彼に……。」
二人はあくまで呪いの事は伝えず、倒れた蘭を見つけたという体裁で話を進めるつもりらしい。
コ(本当の事は言わないつもりか?!……いや、でもそうだな。俺ですらまだ信じられていないのに、それをおっちゃんに話してどうする……混乱させちまう。)
コ「……そうだよ。蘭姉ちゃん、急に倒れちゃって……僕一人じゃ運べないから、どうしようか悩んでたら、お兄ちゃんとお姉ちゃんが助けてくれたんだ!」
二人に話を合わせるしかなかった。コナンにはあの奇妙な出来事を、小五郎に上手く伝える自信はなかったからだ。
貴「毛利さんも来てくださいましたので、私達はこの辺で失礼致しますね。」
小「もう行っちまうのか?君達には世話になったんだ。何か礼をしなきゃ気が済まねぇ。」
乙「いえ、申し訳ないのですが、僕達この後予定が立て込んでいるので……お気持ちだけで嬉しいです。お大事にしてください……。」
乙骨は簡単に事情を説明し、小五郎に頭を下げる。そして憐の方に顔を向け互いに頷く。
貴「お大事にしてください。じゃあ、元気でね……コナンくん。」
コ「うん……さようなら、お姉さん、お兄さん。」
小五郎が再度引き止める間もないまま、後ろを振り返らずに二人は去っていった。二人の背中が見えなくなると、小五郎は腑に落ちないような顔をしていたが、蘭の事を思い出し、慌てて病室に入っていった。コナンもそれに続き病室に入ると、ずっと眠っていた蘭が目を覚ましていた。
小「蘭!もう起きてて大丈夫なのか?!」
蘭「ごめんなさい、お父さん。私もよく覚えていないんだけど、目当ての物を見つけて教室から出ようとしたら、急に気が遠くなっちゃって……。」
小「きっと日頃の疲れが出たんだろうな。今日と明日は、念の為休んだ方が良さそうだ。」
蘭「うん。」
コ「蘭姉ちゃんが目を覚まして良かった。」
蘭「コナンくん!……ごめんね、心配かけちゃって。」
コ「僕は大丈夫だよ!」
蘭「良かった〜。」
蘭は一通り話すと、ふと思い出したように声をあげる。
蘭「ねぇ、コナンくん。私を助けてくれた人達っている?」
コ「えっ?」
蘭「多分同い歳くらいの男の子と女の子が居たと思うんだけど。」
コ「どうして?」
蘭「実は私、少しだけ意識が戻っていた時があって……その時見えたのが私を抱えてる白い服の男の子と、その近くにうちの制服を着た女の子とコナンくんが一緒に歩いてる所だったの。でも、その後すぐまた気を失っちゃったんだけど、きっとその人達が、私を助けてくれた人なのかな〜ってね……。」
コ「……それは……うん、居たよ。」
あの時に意識があった事に驚くも、その後のやり取りを思い出し言葉が詰まる。あの二人の情報を何も持っていなかったからだ。あの二人組は、名前を名乗っていなかった。それなのに、こちらの名前は把握していた。女の方は帝丹高校の制服を着ていたというのに……自分は見たことがない人物だったので、自分が小さくなった後に学校に転入していた生徒なのかもしれない。何故自分達の名前を知っていたのか……
コ(……あの化け物を殺した事を、「私たちの仕事」って言った事からも考えて、日常的に化け物を処理する仕事をしていて、今回帝丹高校に出現する情報を得た際に、周辺の俺達の情報も調べていたんだろう。それでなきゃ同学年の蘭ならともかく、居候の俺の名前まで知っている理由が分からない。)
結局あの二人が居なければ、確実に俺と蘭は殺されていた。小さい俺は何一つ役に立たなかった……。
情けなくなり、自分の手を強く握り込む。その様子を見ていた蘭がコナンに声をかける。
蘭「コナンくん、ありがとう。」
コ「!?……僕は何もしてないよ?」
蘭「何で?コナンくんが私の事をその人達に伝えてくれたんだよね?コナンくんが、伝えてくれたから大事にならずに済んだんだもん。だからね、ありがとう。」
コ「……どういたしまして。」
事情を知らない彼女のお礼と笑顔は、今の自分には少し眩しいと感じるが、それでも……コナンは素直にその感謝の言葉を受け取ろうと思った。そして、いつの日か、彼らの言った意味が分かるまで真実を探し続けようと思った。
(いつか必ず見つけ出してやる……憐と呼ばれた女と、憂太と呼ばれていた男を。)
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あれから数日後
園「そんな事になってたの?」
蘭「うん。」
園「でも良かったわ、蘭に何ともなくて。」
蘭「ありがとう、園子。」
念の為一日休みを取った蘭は、次の日学校に登校した。出迎えたのは仲の良い親友の園子。彼女は蘭の事を心配しており、今回の休みについて何があったのか詳細を一通り聞いた後、息を吐いて安堵した。そして蘭が話していた助けてくれた人について、心当たりはないのか尋ねた。
蘭「男の子の方は分からなかったけど、女の子は多分……。」
関わりのない子だったので合ってるか分からないが、事前に見ていたので、少し見ただけでその人物の名前が思い当たったのだ。蘭は言いにくそうにその人物の名前をあげる。園子はその人物の名前を聞いて目を丸くして、大きな声で驚いた。何故ならその人物は……もうこの学校には居なかったからだった。
園「そっか……でももう居ないのよね、神崎さん。」
蘭「うん……でも、いつかまた会えると思う。根拠は無いけど……会えたらこの時のお礼を言いたいな。」
いつかまた再会出来ると信じて─────────。