未来からの訪問者
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鏡からは眩い光が放たれ、陽太は思わず目を閉じた。そして気がつくと周り一面暗闇の中で自分は立っていた。立っていてもしょうがないので、りかを持って歩き出す。出口があるのか分からないけど、でも歩かなければ両親の元には辿り着けない。そんな気がしていた。暗闇の中を歩くこと数分、数m先に1箇所……光が溢れている所があった。その場所を目指して一目散に走り出す。直感的にあれは出口だと悟る。その光に迷わず飛び込んだ陽太。
その先は──────
意識が浮上する。どうやら眠っていたらしい。そして、誰かに抱えられていることに気づく。
心地よい腕の温もり、安心する匂い……心当たりがある……自分はこの人物を知っている。
この感じは……───
帰ってこれたんだ……。
っ……!!ずっと会いたかったんだよぉ!!
?「……おはよう、陽太。そして……おかえり。」
陽「……パパっ!!パパだ〜!うわぁああああん!!あっ……会いたかったよ〜っ!……。」
陽太は自分を抱えている人物の首元に思いっきり抱きついた。
かの少年は遂に再会する……任務の為、傍を離れていた自分の父親と……──────。
?「ごめんよ……すぐに帰って来れなくて。寂しかった?」
陽「うわぁああああん!!パパっ!!パパがいる!!びぇええええん!!」
?「え?!更に声が大きくなってる……ほら、陽太。パパは傍にいるよ……!だから泣かないで……!寂しい思いをさせてごめんね、よく頑張ったね。」
少年の父親は、陽太を強く抱きしめる……。
ここ数年、呪術師として経験を積んでいるおかげか、今更遠方地の任務で、呪いを祓う事は苦ではなかった。……それより、家族と一週間も離れる方が辛かった。だからこそ早く息子と妻に会いたかったのだ。任務が終わり、高専に到着した時、早速家族に会いに行こうとした瞬間、スマホの着信音が鳴る。相手は義姉だった……義姉から自分の息子が、高専から居なくなってしまった事を告げられる。少年の父親は驚いたが、すぐに平静となり、急いで少年の捜索に当たった。探す事数分、遂に、保管庫の中で息子を見つけた。息子は、〝時限の鏡〟という呪具の傍で眠っていた。呪具の傍で寝ていたということもあり、保っていた冷静さはなくなり、慌てて抱き起こすも、目を覚まさない。その事に不安でいると、後から来た義兄にどこか異常がないか尋ねた。義兄は、アイマスクを外し、あまり見せない透き通る綺麗な青い瞳で息子を観察した。そして、一通り観察し終えた結果、疲れて眠っている事が分かり、ひとまず安堵の息をついた
何かあってはいけないと念の為に、高専にいる医師に診てもらったが、特に問題はないとの事だったので、眠っている息子を抱き上げて、今は妻の所に向かっている。義姉から聞いたが、妻は息子が居なくなり相当憔悴しているとの事だったので、早く息子の顔を見せて、安心させてあげたかった。
妻とは10年以上の付き合いになる。幼き頃からの大切な人で、学生の時に久々に再会した〝幼馴染〟の関係から念願叶って、〝恋人〟という関係になった。そして季節は流れ、自分達の関係は、〝恋人〟という関係から〝夫婦〟という関係になった。自分の大切な人は〝幼馴染〟から〝彼女〟……そして〝妻〟になり、息子を生み〝母親〟になっていったが、自分にとっては大切な女性 である事には変わらなかった。昔から想いは変わらず、日に日に深く重くなるばかり……。そんないつまで経っても、色褪せる事の無い想いを向けている妻と離れ離れになるのは、なかなかに辛い事だった。もちろんそんな最愛の人と自分の血を分けた息子とも、離れ離れになるのも辛かった。だからこそ、早く会いたいという自分本意な思いもあった。
そんな事を考えていると、突如自身の腕の中で眠っていた息子が目を覚ました。自分を見るなり大きな瞳から涙を零し、大声で泣き始めた。ある意味泣く事は想定済みだったのだが、更に声のボリュームが大きくなるのは予想外。慌てふためいてしまったが、あの鏡の傍にいたということはつまり、そういうことである。今までぼんやりとしたある記憶が、急にハッキリと思い出せた。恐らく、先程時間を遡ったのだろう。その事も含め、妻と話し合いたい。
少年の父親は、泣き始めた息子をあやしつつも、その足で、妻の待つ場所へ歩いていった。
──────────────────────
?「……っ!!陽太!!」
夫と息子を待つこと数分後、遂に私の部屋の扉が開かれ、待ち望んでいた光景が広がった。
扉を開けた人物は長期の任務に出ていた愛する夫と、その夫に抱かれていたのは、居なくなってしまっていた愛する息子だった。二人の元に慌てて駆け寄る。駆け寄るというよりは抱き着くといった表現が正しい。急に抱きついた私に対しても、特別慌てることなく受け止めてくれる夫に感謝し、息子と夫を抱きしめる。
陽「ママっ!!あのね……、ママ……!!勝手にママの傍をはなれちゃって……、……。」
息子は私を見て怒られると思っているのか、泣きながらも言葉を詰まらせていた。前だったら、叱っていた
かもしれないけど、今回は違う。悪いのは陽太じゃない……貴方を蔑ろにしていた私が悪いのだ。
?「いいの、貴方のせいじゃない……ママが悪いの。ごめんなさい、陽太……。パパが居なかったのに……、体調が悪い事を言い訳にして、貴方に構ってあげられなくて……。寂しかったよね……、本当にごめんなさい……ごめんね、陽太……。」
私の瞳からも大量の涙が出ている。息子を追い詰めるなんて……、最低だ。私が呪術師が出来なくなった代わりに、任務に出る回数も増えていった夫にも申し訳なくなる。
陽「ママっ……、違うんだよ!!ママは悪くない!!僕が……勝手に離れちゃったから!ママの傍から離れれば、心配してくれると思って……。ママっ!!ごめんなさい!!」
息子も私を抱きしめてくれた。そして見ていた夫も私と息子を抱きしめながら呟く。
?「どちらも悪くないよ。二人に寂しい思いをさせてしまった僕が悪い。二人とも、ごめんね……。」
夫は昔から優しい人で、結婚する前もした後も変わらず、私を愛してくれていた。息子が生まれた今は私だけじゃなく、息子の事も愛してくれていて家族の事を一番に考えてくれていた。夫は、ほんとだったらこの長期任務も断るつもりだったらしいけど、この任務は義兄か夫ぐらいしかできる人がいなかった。いつまでも、私の為にそばに居てくれるのも申し訳なかったので、頑張って送り出したのだが、結局夫や息子、義兄や姉、その他色々な人に迷惑を掛けてしまった。
自分が情けない……学生の時から変わらないわね、私は。
?「でも、陽太……君が無事で本当に良かったよ。」
?「えぇ、本当に良かったわ。でも、今までどこで何をしていたの?」
?「あぁ……それはね……」
陽「あのね!僕……、優しいお兄ちゃん達とお姉ちゃん達に会って、遊んでもらってたんだ!」
息子の言葉に、疑問符が浮かび上がる。
?「ここじゃないどこかで遊んでいたの?」
陽「ううん、学校だよ!パンダさんの腕にぶら下がったり、とげお兄ちゃんと一緒にシャボン玉したり!」
?「ちょっと待って……どういうこと?!」
そんな……その二人は別々の場所での任務中だ。それなのに、学校で陽太と遊んでいた?……どういう事なの?
陽「あとね、パパに似ているゆうたお兄ちゃんとしりとりしたり……、ママに似ていた憐お姉ちゃんに頭撫でてもらったり!ほんとに楽しかったんだぁ!」
?「待って……それってもしかして……。」
?「憐の思っている通り、陽太は過去の高専に行っていたんだ。」
貴「じゃあ……、陽太は……、あの……」
?「そう……、僕らが出会った謎の少年……【おっこつひなた】くんだったんだよ。」
貴「?!?!」
今まで曖昧だった記憶が、急に鮮明になる。あの夏の日、妙に記憶が曖昧な部分があった。曖昧すぎたが、一つだけ覚えていたのは、謎の少年が高専にいたこと。顔や名前、何故その少年と会っていたのか、そして何をしたのか忘れてしまっていたけど、謎の少年が居た事実だけは覚えていた。
だけど、今話を聞いた瞬間……なぜだかその記憶をハッキリと思い出せたのだ。
?「僕が見つけた時、陽太は時限の鏡のそばで眠っていた。その時に僕もハッキリと思い出せた。恐らく陽太が居なくなった時に、陽太は過去に戻り、過去の僕らと会っていた。その日が今日だったんだ。だから、帰ってきた時に僕らの記憶も鮮明になったってことかな。」
貴「……あの時、義兄 さんは、未来から来た私達の子どもだったりして〜!とか言っていたけど、まさか本当にそうだったなんてね……。憂太……こんな未来、想像出来ていた?」
乙「あの時の僕は想像出来ていなかったよ……。でも、願ってはいたかな……。僕の夢は君と笑ってずっと一緒にいる事だったから。そして、もちろん結婚もして、ゆくゆくはって考えてたのに、憐が真っ向から否定していたから、かなりショックだったよ。」
貴「あれは……!!だってしょうがないでしょ……?私の叶わない片想いだと思ってたんだから。」
陽「パパ?ママ?どういう事?」
私と憂太のやり取りを見て、陽太だけ分からないのか、顔をキョロキョロさせていた。……ふふ、可愛いな。瞳の色だけは私の色を受け継いでいるけど、全体的に、小さい頃の憂太にそっくり……。
貴「……何でもないよ!お兄さん達やお姉さん達に遊んで貰えて良かったね。さて、陽太も見つかったことだし、帰ろっか。憂太も任務終わったばっかだし、陽太も遊び疲れたでしょ?……二人とも、お腹空いてるんじゃない?」
陽「うん、お腹すいた!ペコペコだよ!ねっパパ?」
乙「そうだね、僕もペコペコだよ。久々に愛しい奥さんの手料理が食べたいな?」
貴「一週間食べてないだけで、久々ではないでしょ?!……でもまぁ、そうね……それなら作りがいがあるってもんよ!」
私達はこうして高専を出て、我が家への道を歩いていく。今日は何を作ろう……陽太の大好きなシチューにしようかな。だって今日は、憂太と陽太と……家族4人で食べられる日だから。
乙「憐の手料理が食べられるのは嬉しいけど、あんまり無理しないでね。君一人の身体じゃないんだから。……やっぱり心配だから、僕だけで作ろうかな。」
貴「駄目よ!!もう体調も良くなってきたし、それに憂太だって疲れてるんだから、無理せず休んで欲しいの!!」
乙「……でも、」
貴「分かったわ!!じゃあ手伝ってね?」
乙「うん!……僕、頑張るから。君と陽太とこの子が安心して、この世界で幸せに暮らしていけるように……強くなって守り続ける。」
陽太を抱いている反対の手で私のお腹を摩っていた。
陽「僕もパパとママと……いもうとを守る!」
貴「ふふっ……頼りにしてるね?パパとお兄ちゃん!」
だから、安心して産まれておいでね?パパもママもお兄ちゃんも……貴女が元気に産まれてくるのを、楽しみに待っているから。
こうして謎の少年、【おっこつひなた】は、無事両親の元へと帰ることが出来た。また結果的に言うと、五条が言った少年への考察は当たっていた。
彼の父親は、現代の異能と呼ばれた類まれなる才能と実力を持つ特級呪術師、乙骨憂太だ。
彼の母親は、神崎憐……尚、神崎は旧姓となり、今は苗字が変わり、乙骨の性を名乗っている。つまり、幼馴染兼婚約者でもあった乙骨と結婚し、乙骨憐になった。
二人は高専卒業と共に、結婚し、晴れて夫婦となった。そして乙骨夫婦の愛の結晶が、この少年である。
少年の名は、乙骨陽太 ……。今回のお話のもう1人の主人公だ。
そしてこれは余談だが、実は乙骨夫妻にはもうひとつ新たな命が宿っている……。だが、そのお話は語ると非常に長い為、また別の機会に語るとしよう……。
END
〜あとがき〜
無事終わりました〜!!今回もお付き合い下さりありがとうございます!設定ガバガバでごめんなさい!でも1回やってみたかった子どもネタ、無事終了です!次のページからは軽く未来の設定を書いておこうと思います!興味無い方はスルーしてください😊
その先は──────
意識が浮上する。どうやら眠っていたらしい。そして、誰かに抱えられていることに気づく。
心地よい腕の温もり、安心する匂い……心当たりがある……自分はこの人物を知っている。
この感じは……───
帰ってこれたんだ……。
っ……!!ずっと会いたかったんだよぉ!!
?「……おはよう、陽太。そして……おかえり。」
陽「……パパっ!!パパだ〜!うわぁああああん!!あっ……会いたかったよ〜っ!……。」
陽太は自分を抱えている人物の首元に思いっきり抱きついた。
かの少年は遂に再会する……任務の為、傍を離れていた自分の父親と……──────。
?「ごめんよ……すぐに帰って来れなくて。寂しかった?」
陽「うわぁああああん!!パパっ!!パパがいる!!びぇええええん!!」
?「え?!更に声が大きくなってる……ほら、陽太。パパは傍にいるよ……!だから泣かないで……!寂しい思いをさせてごめんね、よく頑張ったね。」
少年の父親は、陽太を強く抱きしめる……。
ここ数年、呪術師として経験を積んでいるおかげか、今更遠方地の任務で、呪いを祓う事は苦ではなかった。……それより、家族と一週間も離れる方が辛かった。だからこそ早く息子と妻に会いたかったのだ。任務が終わり、高専に到着した時、早速家族に会いに行こうとした瞬間、スマホの着信音が鳴る。相手は義姉だった……義姉から自分の息子が、高専から居なくなってしまった事を告げられる。少年の父親は驚いたが、すぐに平静となり、急いで少年の捜索に当たった。探す事数分、遂に、保管庫の中で息子を見つけた。息子は、〝時限の鏡〟という呪具の傍で眠っていた。呪具の傍で寝ていたということもあり、保っていた冷静さはなくなり、慌てて抱き起こすも、目を覚まさない。その事に不安でいると、後から来た義兄にどこか異常がないか尋ねた。義兄は、アイマスクを外し、あまり見せない透き通る綺麗な青い瞳で息子を観察した。そして、一通り観察し終えた結果、疲れて眠っている事が分かり、ひとまず安堵の息をついた
何かあってはいけないと念の為に、高専にいる医師に診てもらったが、特に問題はないとの事だったので、眠っている息子を抱き上げて、今は妻の所に向かっている。義姉から聞いたが、妻は息子が居なくなり相当憔悴しているとの事だったので、早く息子の顔を見せて、安心させてあげたかった。
妻とは10年以上の付き合いになる。幼き頃からの大切な人で、学生の時に久々に再会した〝幼馴染〟の関係から念願叶って、〝恋人〟という関係になった。そして季節は流れ、自分達の関係は、〝恋人〟という関係から〝夫婦〟という関係になった。自分の大切な人は〝幼馴染〟から〝彼女〟……そして〝妻〟になり、息子を生み〝母親〟になっていったが、自分にとっては大切な
そんな事を考えていると、突如自身の腕の中で眠っていた息子が目を覚ました。自分を見るなり大きな瞳から涙を零し、大声で泣き始めた。ある意味泣く事は想定済みだったのだが、更に声のボリュームが大きくなるのは予想外。慌てふためいてしまったが、あの鏡の傍にいたということはつまり、そういうことである。今までぼんやりとしたある記憶が、急にハッキリと思い出せた。恐らく、先程時間を遡ったのだろう。その事も含め、妻と話し合いたい。
少年の父親は、泣き始めた息子をあやしつつも、その足で、妻の待つ場所へ歩いていった。
──────────────────────
?「……っ!!陽太!!」
夫と息子を待つこと数分後、遂に私の部屋の扉が開かれ、待ち望んでいた光景が広がった。
扉を開けた人物は長期の任務に出ていた愛する夫と、その夫に抱かれていたのは、居なくなってしまっていた愛する息子だった。二人の元に慌てて駆け寄る。駆け寄るというよりは抱き着くといった表現が正しい。急に抱きついた私に対しても、特別慌てることなく受け止めてくれる夫に感謝し、息子と夫を抱きしめる。
陽「ママっ!!あのね……、ママ……!!勝手にママの傍をはなれちゃって……、……。」
息子は私を見て怒られると思っているのか、泣きながらも言葉を詰まらせていた。前だったら、叱っていた
かもしれないけど、今回は違う。悪いのは陽太じゃない……貴方を蔑ろにしていた私が悪いのだ。
?「いいの、貴方のせいじゃない……ママが悪いの。ごめんなさい、陽太……。パパが居なかったのに……、体調が悪い事を言い訳にして、貴方に構ってあげられなくて……。寂しかったよね……、本当にごめんなさい……ごめんね、陽太……。」
私の瞳からも大量の涙が出ている。息子を追い詰めるなんて……、最低だ。私が呪術師が出来なくなった代わりに、任務に出る回数も増えていった夫にも申し訳なくなる。
陽「ママっ……、違うんだよ!!ママは悪くない!!僕が……勝手に離れちゃったから!ママの傍から離れれば、心配してくれると思って……。ママっ!!ごめんなさい!!」
息子も私を抱きしめてくれた。そして見ていた夫も私と息子を抱きしめながら呟く。
?「どちらも悪くないよ。二人に寂しい思いをさせてしまった僕が悪い。二人とも、ごめんね……。」
夫は昔から優しい人で、結婚する前もした後も変わらず、私を愛してくれていた。息子が生まれた今は私だけじゃなく、息子の事も愛してくれていて家族の事を一番に考えてくれていた。夫は、ほんとだったらこの長期任務も断るつもりだったらしいけど、この任務は義兄か夫ぐらいしかできる人がいなかった。いつまでも、私の為にそばに居てくれるのも申し訳なかったので、頑張って送り出したのだが、結局夫や息子、義兄や姉、その他色々な人に迷惑を掛けてしまった。
自分が情けない……学生の時から変わらないわね、私は。
?「でも、陽太……君が無事で本当に良かったよ。」
?「えぇ、本当に良かったわ。でも、今までどこで何をしていたの?」
?「あぁ……それはね……」
陽「あのね!僕……、優しいお兄ちゃん達とお姉ちゃん達に会って、遊んでもらってたんだ!」
息子の言葉に、疑問符が浮かび上がる。
?「ここじゃないどこかで遊んでいたの?」
陽「ううん、学校だよ!パンダさんの腕にぶら下がったり、とげお兄ちゃんと一緒にシャボン玉したり!」
?「ちょっと待って……どういうこと?!」
そんな……その二人は別々の場所での任務中だ。それなのに、学校で陽太と遊んでいた?……どういう事なの?
陽「あとね、パパに似ているゆうたお兄ちゃんとしりとりしたり……、ママに似ていた憐お姉ちゃんに頭撫でてもらったり!ほんとに楽しかったんだぁ!」
?「待って……それってもしかして……。」
?「憐の思っている通り、陽太は過去の高専に行っていたんだ。」
貴「じゃあ……、陽太は……、あの……」
?「そう……、僕らが出会った謎の少年……【おっこつひなた】くんだったんだよ。」
貴「?!?!」
今まで曖昧だった記憶が、急に鮮明になる。あの夏の日、妙に記憶が曖昧な部分があった。曖昧すぎたが、一つだけ覚えていたのは、謎の少年が高専にいたこと。顔や名前、何故その少年と会っていたのか、そして何をしたのか忘れてしまっていたけど、謎の少年が居た事実だけは覚えていた。
だけど、今話を聞いた瞬間……なぜだかその記憶をハッキリと思い出せたのだ。
?「僕が見つけた時、陽太は時限の鏡のそばで眠っていた。その時に僕もハッキリと思い出せた。恐らく陽太が居なくなった時に、陽太は過去に戻り、過去の僕らと会っていた。その日が今日だったんだ。だから、帰ってきた時に僕らの記憶も鮮明になったってことかな。」
貴「……あの時、
乙「あの時の僕は想像出来ていなかったよ……。でも、願ってはいたかな……。僕の夢は君と笑ってずっと一緒にいる事だったから。そして、もちろん結婚もして、ゆくゆくはって考えてたのに、憐が真っ向から否定していたから、かなりショックだったよ。」
貴「あれは……!!だってしょうがないでしょ……?私の叶わない片想いだと思ってたんだから。」
陽「パパ?ママ?どういう事?」
私と憂太のやり取りを見て、陽太だけ分からないのか、顔をキョロキョロさせていた。……ふふ、可愛いな。瞳の色だけは私の色を受け継いでいるけど、全体的に、小さい頃の憂太にそっくり……。
貴「……何でもないよ!お兄さん達やお姉さん達に遊んで貰えて良かったね。さて、陽太も見つかったことだし、帰ろっか。憂太も任務終わったばっかだし、陽太も遊び疲れたでしょ?……二人とも、お腹空いてるんじゃない?」
陽「うん、お腹すいた!ペコペコだよ!ねっパパ?」
乙「そうだね、僕もペコペコだよ。久々に愛しい奥さんの手料理が食べたいな?」
貴「一週間食べてないだけで、久々ではないでしょ?!……でもまぁ、そうね……それなら作りがいがあるってもんよ!」
私達はこうして高専を出て、我が家への道を歩いていく。今日は何を作ろう……陽太の大好きなシチューにしようかな。だって今日は、憂太と陽太と……家族4人で食べられる日だから。
乙「憐の手料理が食べられるのは嬉しいけど、あんまり無理しないでね。君一人の身体じゃないんだから。……やっぱり心配だから、僕だけで作ろうかな。」
貴「駄目よ!!もう体調も良くなってきたし、それに憂太だって疲れてるんだから、無理せず休んで欲しいの!!」
乙「……でも、」
貴「分かったわ!!じゃあ手伝ってね?」
乙「うん!……僕、頑張るから。君と陽太とこの子が安心して、この世界で幸せに暮らしていけるように……強くなって守り続ける。」
陽太を抱いている反対の手で私のお腹を摩っていた。
陽「僕もパパとママと……いもうとを守る!」
貴「ふふっ……頼りにしてるね?パパとお兄ちゃん!」
だから、安心して産まれておいでね?パパもママもお兄ちゃんも……貴女が元気に産まれてくるのを、楽しみに待っているから。
こうして謎の少年、【おっこつひなた】は、無事両親の元へと帰ることが出来た。また結果的に言うと、五条が言った少年への考察は当たっていた。
彼の父親は、現代の異能と呼ばれた類まれなる才能と実力を持つ特級呪術師、乙骨憂太だ。
彼の母親は、神崎憐……尚、神崎は旧姓となり、今は苗字が変わり、乙骨の性を名乗っている。つまり、幼馴染兼婚約者でもあった乙骨と結婚し、乙骨憐になった。
二人は高専卒業と共に、結婚し、晴れて夫婦となった。そして乙骨夫婦の愛の結晶が、この少年である。
少年の名は、乙骨
そしてこれは余談だが、実は乙骨夫妻にはもうひとつ新たな命が宿っている……。だが、そのお話は語ると非常に長い為、また別の機会に語るとしよう……。
END
〜あとがき〜
無事終わりました〜!!今回もお付き合い下さりありがとうございます!設定ガバガバでごめんなさい!でも1回やってみたかった子どもネタ、無事終了です!次のページからは軽く未来の設定を書いておこうと思います!興味無い方はスルーしてください😊