未来からの訪問者
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乙骨side
貴「あっ!みんなお疲れ様〜やっと任務終わったよ!」
乙「憐ちゃん!……おかえり!」
任務を終えた憐ちゃんと五条先生が、話をしながら帰ってきた。どうやら五条先生が七海さんと一緒の任務だった憐ちゃんをからかって、彼女が怒っているようだった。
五「それより伊地知から聞いたんだけど、何だか面白い事になってるみたいだね。」
貴「面白い事?」
貴2「悟、実はこの子の事で……」
凛先生はひなたくんの事について切り出すと、パンダくんは自分の後ろにいたひなたくんを見てもらう為に、横にずれた。
五「……なるほどね。君がひなたくんだね。」
貴「!!」
ひ「……えっと……。」
先生はひなたくんの前まで歩き、目線を合わせる為にしゃがみこんでいた。ひなたくんは先生を見て尻込みしており、目線をキョロキョロさせていた。落ち着きがなさそうに見える。
(先生が来るまでは楽しそうにしていたのに……なんでだろう?)
ひ「……!!」
ひなたくんはキョロキョロした後、憐ちゃんの顔を見て、驚いていた。そして静かに近づいていき───。
ひ「……マ。」
貴「??」
ひ「……マ、……ママぁ!!会いたかったよーーー
ー!!!!」
貴「えっ!?」
「「「「「「……!!!!!!!」」」」」」
ひなたくんは瞳に大量の涙を浮かべながら、憐ちゃんの腰に抱きついていた。……えぇええええ!!
貴「ど、どういうこと?!誰、この子!!っていうかママって……えっ?!?!?!」
初対面である憐ちゃんは、ひなたくんの存在や行動そのものに驚いていた。見知らぬ男の子に、母親と間違えられて抱きつかれるなんて、まぁあまりないよね。
ひ「ママぁ〜〜っ!!寂しかったっ……ひっく。起きたらっ……、ママもっ……、いなくて……、知らないっ場所で……!!」
貴「えっ!?えっと……?」
ひ「これからはっ……、ちゃんとっ!……、ママのっ……、いうこときくから!!だからっ!!……、どこにも行かないでっ!!ママっ!!」
ひなたくんの悲痛な叫びに憐ちゃんは───。
貴「ちょっ!!……分かった!!分かったから!!……そばに居るから……、泣かないで……。」
ひなたくんの目線に合わせてしゃがみこみ、静かに抱き締めて頭を撫でていた。
──────────────────
部屋( in 乙骨憂太の寮部屋)
貴「なるほど〜高専に迷い込んだ男の子だったんだね。」
あの後、ひなたくんは泣き疲れて眠ってしまったので、憐ちゃんが抱えるには難しいと判断し、代わりに僕が抱き抱えて、僕の部屋にみんなで移動した。ひなたくんは今、僕のベットの上で寝ておりそのまわりを囲むようにして僕達も座っている。
貴2「ひなたくんの調査は伊地知くんに調べて貰ってるのですが、今の所何も分かっておりません。この辺りに子供を探す親も居なければ、この子を知ってるご近所さんもいらっしゃらないですし……誘拐の可能性も考えたのですが、行方不明届も出されてないそうですし、手詰まりですね。」
真「どうすんだよ、こいつ。」
貴2「……このままご両親が見つからなければ、最悪ひなたくんを施設に預けることになります。」
乙「そんな!……。」
パンダくん達と楽しく話していたけど、憐ちゃんに会った事でお母さんの事を思い出し、急激に寂しさが込み上げてきたんだろう。はっきりとは分からない……でもきっと、憐ちゃんが自分のお母さんに似てるんだ。だから……楽しさで紛らわしていたけど、彼女を見て急に母親を思い出したんだ。だけど──────。
(どうしたらいいんだろう……。ひなたくんのためにも……)
乙「そんなの駄目だよ……。さっきの事でよく分かった。ひなたくんはご両親を探している……やっぱり寂しいんですよ……。それに僕は……ひなたくんと約束したんです……!必ずお父さんとお母さんを見つけるって……。」
貴「乙骨くん……。」
ひなたくんの頭を撫でながら、自分の気持ちを改めて表明する。どんなに時間がかかっても僕は……ひなたくんのお父さんとお母さんを見つけたい……会わせてあげたい。
乙「例え何年かかっても、僕は必ずひなたくんのご両親を探し出します。その間、ひなたくんの面倒もしっかりと見るので……だから、お願いです……!万が一、ご両親が見つからなかったとしても……、ひなたくんを施設に連れて行くのをやめてください!お願いします!」
僕は2人の先生に頭を下げて懇願した。
不思議な感覚だ……まだ知り合ったばっかなのに……。僕は何故だかひなたくんを放ってけない……。みんなと同じくらい、この子の事を大切に思っている。
ひ「パパ……、ママ……。」
ひなたくんは寝言でお父さんとお母さんを呼んでいる。無意識に溢れるこの庇護欲の理由は分からないけれど、何処か憐ちゃんの雰囲気に似ているこの子を守らなければならない……。ひなたくんの寝言を聞いて、より一層強く思うのだ。
貴「……まだ知り合ったばっかなのに……、私……、この子の事、何故だか放っておけないの。大切な存在なのだと……命に変えてでも守れと、私の本能が言っている。乙骨くん、私も……ひなたくんのご両親を探すの手伝うよ!もし見つからなかったとしても、私もこの子の面倒を見る!……少し不安だけど、一人より二人の方がいいと思う!」
乙「……!!」
貴「乙骨くんが迷惑じゃなければだけど……。」
心配そうに見つめていた憐ちゃんが、自分も手伝うと名乗り出てくれた。最初は知らないひなたくんの行動に戸惑っていたけど、ひなたくんの事情を知り、この子への認識を改めていた。だけど僕と同じ、そこまで大切に思っていたなんて───。
乙「ううん、全然迷惑なんかじゃないよ!ありがとう、憐ちゃん……!」
彼女の協力が何より嬉しかった───。
五「憂太……男に二言はないよね?」
乙「ありません!」
貴2「貴方達はまだ未成年の学生です。これから学ぶべき事、やるべき事が沢山あります……それでもこの子を守れると言うのですか?」
貴「出来るよ……だって私達、一人じゃないからね。
ね?……真希、パンダくん、狗巻くん。」
憐ちゃんが並んで立っている真希さんや、パンダくん、狗巻くんの方に振り返る。……あの三人はまだ何も言ってないけど、どう思っているのかな。
狗「しゃけ!」
パ「まぁ、ひなたは良い奴だしな。」
真「……しょうがねぇな。」
乙「ありがとう……真希さん、パンダくん、狗巻くん。」
彼は僕らにとって、もう大切な存在だった。
貴2「敢えて厳しい事を言いましたが、なるほど……。優しい子達に育って……私、とっても嬉しいです!」
五「まぁ、君達の覚悟は分かったよ……。その上で僕から皆に共有したい事がある。勿論内容は、この謎の少年、ひなたくんについてだ。」
「「「「「……!!」」」」」
先生がこれから話す内容は、僕達が想像つかないような突拍子もない内容だった。