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乙骨side
貴2「なるほど……事情は分かりました。ひなたくんのご両親の捜索と、ひなたくんが高専に迷い込んだ原因の調査ですね。」
伊「凛さん、それは私の方で調査致します。念の為五条さんや他の方にも、連絡しておきますね。また凛さんが本来行う任務も、別の呪術師を派遣致しますので、ご安心ください。凛さんは乙骨くん達の方を……。」
貴2「伊地知くん、ありがとうございます!本当に貴方は頼りになりますね。」
伊「いえ、そんな……あ、ありがとうございます!それでは失礼します!」
伊(凛さんに褒められた!……五条さんとは大違いだ。)
真希さんから連絡を受けた凛先生が、伊地知さんと一緒に、グラウンドにやって来た。何でも次の任務の事を相談していたのだが、ひなたくんの方が重要事項と判断したのか、凛先生が残ってくれることになった。伊地知さんは凛先生に褒められて嬉しかったのか、先生の仕事を殆ど引き受けて、笑顔になりながら高専の方へ戻って行った。……スキップしそうな勢いだったな。
貴2「まずは憂太くん、ひなたくんの保護、ありがとうございます。」
乙「いえ、そんな……!僕はただ保護しただけで……。」
貴2「そんな事はありません。見たところ3〜4歳ぐらいの子ですよね?外に比べ、高専内は比較的安全とはいえ、子ども1人では何かあってもおかしくはなかったです。無事保護出来て、本当に良かった。」
凛先生は、ひなたくんを保護した僕の事も褒めてくれた。大した事をした訳では無いのに、先生は些細な事を気づき、いつも褒めてくれる。有難いけど、褒めなれてない僕は少し気恥ずかしい。
貴2「真希ちゃんも、迅速に私に報告してくれてありがとうございます!二人とも偉いです!」
真「……ガキじゃねーんだから、それくらいで褒めるのやめろよ。」
先生は僕だけじゃなく、先生に連絡した真希さんも褒めていた。真希さんも恥ずかしかったのか、返事が素っ気なかったけど……。
貴2「それにしてもあの子……似てますね。」
真「そうだな……。」
先生と真希さんが、パンダくんと戯れているひなたくんを見て、ボソッと呟いた。
乙「えっ?!誰にですか?」
その内容に心当たりがあったので、思わず僕は大袈裟に反応してしまった。
貴2「真希ちゃんは分かりますか?」
真「雰囲気や瞳の色がアイツを思い出す……憐に。」
乙「!!……良かった!僕だけじゃなかったんだ!僕も、ひなたくんを最初見た時に、憐ちゃんを思い出したんだ。」
真希さんは僕と同じような事を言っていた。彼女もひなたくんを見て憐ちゃんを思い出しているようだった。
貴2「う〜ん、それも分かりますけど、私が最初に思い浮かんだ人物は憐ではないですね。」
ただ1人、凛先生は違う人を思い浮かべていたようだ。
乙「??」
真「じゃあ、誰だよ。」
僕と真希さんは分からなかったので、凛先生の答えを待っていると、凛先生は何故か、僕の方を見ながら笑っていた。
貴2「ふふふっ……分かりませんか?貴方ですよ、憂太くん。」
乙「えっ?!?!……僕ですか?!」
ひなたくんを見て、凛先生が最初に思い浮かんだ人物は……この僕、乙骨憂太だった。
貴2「ツンツンした黒い髪や、目や鼻の形など……ひなたくん、小さい頃の憂太くんにそっくりですよ?」
真「ガキの頃の憂太ってあんな感じだったのか……そういや言われてみればそうだな。」
凛先生に言われて、改めてひなたくんを観察してみたけど──────。
ひ「あははっ!ぶらんぶらんできる〜!パンダさん、ちからもちだね!」
パ「よぉ〜し、パンダさん頑張っちゃうぞ!」
狗「おかか!」
乙「確かに……似てる、小さい頃の僕に……。」
自分でも何故今まで気づかなかったのだろうと思うくらいには、ひなたくんは小さい頃の僕にそっくりだった。
貴2「この中で小さい頃の憂太くんを知ってるのは私だけなので、私だけが分かったり、真希ちゃんが分からないのは仕方ないと思います。案外自分だけでは気づかない事もあるので、憂太くんが分からなかったのも分かります。
でも、もしあの子がこの場にいたら、一番最初に気づくのは憐だったと思いますよ───。」
─────────『憂太!』─────────
───────『憐ちゃん!』──────
乙「……。」
過去の思い出が蘇る。あの頃はまだ里香ちゃんもいて、憐ちゃんもいて、3人で仲良く遊んでいた。楽しい思い出──────。
あの頃の僕を一番知ってるのは……憐ちゃんだ。
貴2「それに憐だけじゃなくて、きっと里香ちゃんも、ひなたくんを見たら気づくでしょうね……。」
乙「……そうですね、きっと里香ちゃんも……気づいて僕に教えてくれますよね。」
里香ちゃんが出てくることはなかったけど、でも、もし普通に里香ちゃんが生きていて、ここに居てくれたら教えてくれたかもしれない。
少し感傷に浸っていると、ひなたくんがこちらに気づいて、ある言葉に反応して声をあげた。
ひ「りかちゃん!?今りかちゃんって言った?」
乙「えっ……うん、言ったよ。僕の大切な……友達に里香ちゃんっていう子がいるんだ。それが、どうかしたの?」
ひなたくんは僕の返答を聞くと、目をキラキラさせて自分の持っているぬいぐるみを上に掲げた。
ひ「この子もね、りかちゃんって言うんだ!僕のおともだち!」
貴2/真/パ/狗/乙「「「「「……!?」」」」」
ひなたくんが掲げたぬいぐるみは、一般的なぬいぐるみではなく変わった形のぬいぐるみ……少し形容しがたいのだが、敢えて口で説明するのなら……呪いとなった〝里香ちゃん〟のような形をしていた。