未来からの訪問者
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乙骨 side
乙「パッ?!……パ、パ?!?!」
いきなり抱きつかれて、更に自分の事を父親と勘違いしている突如現れた見知らぬ少年に、言葉が上手く出ない。
(パパ?!?!え、なんで?!僕をお父さんと間違えてる……のかな?小さな男の子が高専にいるのも謎だけど、とりあえず訂正しておかなくちゃ。)
乙「えっと……💧ごめんね、僕は君のお父さんじゃないんだ。」
「!!」
乙「僕は乙骨憂太……よろしくね。それでね、もし良かったら君の名前、教えてくれないかな?」
僕は少年の父親では無い事を説明し、自身の名を告げた。相手の名を尋ねる時はまずは自分から名乗る……、それは相手が小さい子でも変わらない。
「……パパじゃないの?」
乙「う、うん……。」
男の子は僕の言葉を聞いてやっと父親でないことを分かったのか、一瞬固まったあと瞳が潤み出した……まさか───
「ぐすっ……パパぁ……!!ママぁ……!!うわぁああああん!!」
父親や母親が居ない状況に悲しくなった男の子は、ぬいぐるみを抱きながら、大声で泣き始めてしまった。
乙「えっ?!?!ど、どうしよう……💦 何か方法は……、あっ!…… だ、大丈夫だよ!僕が君のお父さんとお母さんを見つけるから!だから、泣かないで。」
泣き出してしまった事に対し、凄く焦って僕自身も慌ててしまった。この子の為に提案した策も、苦肉の策だった……宛がある訳でもなく、何も手がかりはないのに、名前も知らない初めて会った男の子の両親を見つけるなんて大きく出てしまった。難しい人探し……男の子に泣き止んで欲しくてつい言ってしまったけど───
「……ほんと?」
乙「うん!ほんとだよ……一緒に君のお父さんとお母さんを探しに行こう。」
「……うん。ありがとう!」
瞳にまだ雫は残っているけど、少年は笑ってくれた。だから、これで良かったと思うんだ……。
この子のためにも早くご両親を見つけださなければ……。それにこの子……何だか───
(瞳の色や雰囲気が……、何となくだけど……憐ちゃんに似てる。……だから余計ほっとけないのかもしれない……。)
今この場には居ない幼馴染を思い浮かべた。少年に彼女の面影が少し重なる───。
乙「それじゃあ改めて……僕は乙骨憂太、よろしくね!君の名前は?」
乙骨は再度少年に問いかける……少年の名は───
ひ「僕の名前は、ひなただよ。よろしくね……ゆうたお兄ちゃん!」
少年の名前はひなた……。乙骨はひなたの両親を探す為、一緒に行動していくのである。
──────────────────
乙骨side
真「オマエの話を整理するとあのガキの名前は、ひなた。本人曰く、気づいたらこの高専内にある森の中で眠っていた。んで、起きて親を探して歩き回っていたら憂太と遭遇。憂太を父親と勘違いするも、憂太が説明して勘違いを解き、両親を見つける事を約束する。そこで、とりあえずオマエは私らに相談する為に、グラウンドに戻ってきた。その間にひなたから色々聞いたって事か……。」
乙「そうだよ!」
(真希さん、纏めるの上手だな……。)
僕は、ひなたくんと手を繋いでグラウンドの方へ歩いていった。何故なら僕達は先程までグラウンドの方で組手をしていたからだ。そこには真希さん達がいる……とにかく真希さん達に相談して、ひなたくんの事を話そう。
また移動中にひなたくんのことを色々聞いたからその事も含めて、グラウンドの方で休憩していた真希さん、パンダくん、狗巻くんの所に行き、ひなたくんの事情を説明した。
真「オマエの話じゃ、すげぇ泣かれたらしいが……。」チラッ
乙「うん、そうなんだけど……。」チラッ
僕は今真希さん〝だけ〟に話していた。何故真希さんだけかと言うと───
ひ「うわぁ〜〜〜パンダさんだ!!かわいい〜〜!!」
パ「坊主、パンダは好きか?」
ひ「大好き〜〜!!」
パ「話の分かるやつだな!」
僕と真希さんから少し離れた場所で、ひなたくんがパンダくんに嬉しそうに抱きついていた。パンダくんも自分を受け入れらて凄く嬉しそうだった。
狗「めんたいこ。」
乙「あっ狗巻くん……どうしたの?」
真「普通パンダが喋れば驚くだろ?パンダはひなたから見たら普通のパンダにしか見えねぇはずだからな。だけど、アイツ……パンダがペラペラ喋ってんのに全然驚いてねーな。棘はそれを言いたいんだよ。」
乙「確かに……ひなたくん、なんで驚いてないんだろう?」
僕達からしたら当たり前になってきたので、普通の光景なのだけど、事情を知らない一般人が見たら動物のパンダが言葉を話しているという衝撃の光景なのだが、ひなたくんは全く驚いていない。むしろ受け入れている気がする……動物が好きな子にしても、そんなに早く受け入れられるだろうか……?
真「高専には天元様の結界がはられている。事情を知らない一般人が入れる筈はない……ましてや子どもが迷い込んだなんて、聞いた事ねぇ。」
狗「しゃけ。」
乙「へぇ〜……。」
前に憐ちゃんが言ってたっけ。高専には天元様って言う凄い呪術師の人が結界を張ってて、この結界は守るというより隠す方に重きを置いていて、一般の人は滅多に入れないって……。
(なのにひなたくんは、気づけば森の中で眠っていたって……。)
改めて整理してみると、あの子には色々と謎が多い。何故高専の敷地の森の中で眠っていたのか、どうやって高専の中に入ったのか……分からない事だらけで頭が混乱しそうだ……。
(でも、ひなたくんの為にも、絶対ご両親を見つけて、会わせてあげたい。)
あれくらいの小さな子どもが居なくなったら、ご両親もさぞ心配しているだろう。それに多分あの子はきっと、愛されていただろうから……。
真「とりあえず、凛に連絡しとくか。アイツ、子どもの世話がうまいからな。」
狗「しゃけ。」
真希さんはスマホで凛先生に連絡を取って、事情を説明し、僕達の所に来て貰える様頼んでいた。
凛先生が来るまでの間、僕達はパンダくんと嬉しそうに話すひなたくんを、遠くから見守っていた。