京都姉妹校交流会
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結果的に言うと、東京校に1点入った。2つストライクをとられたものの、憂太はアウトや三振のプレッシャーにも負けず見事ホームランを打ち出したのだ。
そんな彼はホームベースまで一周した後、ベンチ席に戻ってきた。そこで悠仁やパンダくん達に囲まれて沢山褒められたみたいで、とても嬉しそうだった。五条先生に頼まれ単独で海外へ……そこで長い間、憂太は頑張ってきた。私のせいで一時日本に戻ってきたとはいえ、普通の学生のように友人達とワイワイ楽しく遊ぶ事が出来ているこの光景は、私は見ていてとても微笑ましく思える光景だった。いつも頑張っている彼なのだから、たまにはこうしたってバチは当たらない。
それこそ一年生の時は殆ど一緒に居たのに、二年生になってからは五条先生の頼み事のおかげで、一人だけ海外に飛ばされた憂太。憂太は私含め真希やパンダくん、狗巻くんの事が大好きで、離れる時も本当に寂しがっていた。海外の方では、去年の百鬼夜行の際、五条先生と戦ったミゲル(?)さんと友好な関係を築き一緒に動いているみたいだけど、今の憂太は本当に楽しそう……。色んな事もあったけど、やっぱり今年の交流会、無事開催出来て良かった!あのくじを作ってくれた五条先生と、それに賛同してくれた姉さんにも感謝しなきゃね。
そう思いながら友人や後輩達に囲まれている憂太を見ていると、彼が私に気づいて、こちらに歩いて来てくれた。
乙「憐……。」
貴「憂太……おめでとう!あの状況で、ホームラン打っちゃうなんてさすが憂太だね……本当に凄かったよ!」
彼を労り尚且つ褒めちぎった。今の私は誰よりもテンションが高いと思う……自分の事のように嬉しいのだ。私が褒めちぎっていると、憂太は嬉しそうに私の両手を掴んでこう言った。
乙「ありがとう憐……!実は僕、あんまり野球をやった事がなくて……上手く出来るか不安だったんだけど、憐が声をかけてくれたから……、僕を信じてくれていたから……、僕も自分の事を信じて頑張れたよ!」
そういえば憂太、小さい頃は私と里香と遊んでばかりで他の男の子達と遊んでなかったもんね。私と離れていた6年間の間も、野球をやった経験はあまりない感じだった。
貴「ごめん……!私の事でプレッシャーになってたよね……本当にごめんなさい!」
よくやった事ないスポーツなのに、私のせいで彼の負担になっていたら申し訳がなかったな……でも、相手は憂太だから……世界で一番好きな人だから……信じてた。
乙「謝らないで……!皆の為……何より君の為に頑張れたんだ……嬉しかったから大丈夫だよ!それに……憐の声援が、〝あの時〟を思い出して嬉しかったんだ……。」
貴「〝あの時〟って……??」
憂太の言う〝あの時〟が分からなくて戸惑う……どの時のことを言ってるんだろう?
乙「……僕が転校した日の実習覚えてる?小学校の児童が二人攫われて、僕と憐と真希さんがその小学校に行った時の事。」
貴「うん、覚えてるよ。私は何かあった時の保険として、五条先生と一緒に待機して、憂太と真希が学校に潜入。そこで巨大な呪いに食べられちゃったけど、里香のおかげで脱出出来たやつよね?」
乙「そう……覚えててくれたんだ。」
貴「当たり前だよ!……だって凄く心配してたから。」
憂太にとっては初めての実習。初実習に呪いに食べられるという経験はなかなか出来るものじゃない。その呪いのお腹の中に、攫われた児童二人もいて、ここから全員助かる為に、真希が当時弱気だった憂太に喝を入れて、憂太が初めて自分から里香を呼び出して、里香に暴れてもらっている間、憂太が怪我した真希と児童二人を担いで脱出した。あの時、里香は呪いを倒した後すぐに引っ込み、〝帳〟があがった時には校門前に憂太や真希達が倒れていた……その時の事を言っているんだろう。
でも、あの時確か──────────
貴「私……憂太の前で言ってなかったよね?」
〝帳〟の中に入らなかった私が、真希と憂太の無事を祈り心の中で唱えた言葉……何故それを彼が知っているの……?
乙「あの時は怪我を負った真希さん、男の子二人を抱えて〝帳〟の外に出ようとしていた。情けない話だけど一般人だった僕には、非力で人を抱えて運ぶことが大変だった。だけど
乙「その時は、僕の都合の良い幻聴かもしれないと思ってた……。でも!……【頑張れ……憂太!】って……、憐と里香ちゃんの声が聞こえてきたんだ……。その様子だと本当に言ってくれてたんだね……。」
貴「っ!!……うんっ!でも、良かったっ!!私の祈りは無駄じゃなかった!!」
乙「そうだよ……あの時も今も、僕の力になってくれてありがとう憐。」
一年前の私と、それに里香の声援はしっかりと彼に届いていたんだ……あの頃からちゃんと彼の力になっていたのだと思うと、少し泣きそうになるもこらえて、少し不格好な笑みを浮かべる……涙が混じってる
かもしれないけど、この嬉しい気持ちは変わらない……。
(あの時、彼を助けてくれて本当にありがとう……里香。)
一年越しに明かされた事実……。今一度互いの存在の大きさに、二人は改めて喜びを噛み締めるのだった。
乙骨と憐が二人の世界を作っている間も試合は続いていた。
6番 セカンド 狗巻
【実は朝はパン派。好きな食べ方はハムチーズにタバスコを少々。】
乙骨の次の打席は、狗巻だった。彼もヒットを放ち一塁へ……。
虎「おおっ!間に合った!」
伏「狗巻先輩、足速いんだよ。」
狗「すじこ。」
歌「真依!!三輪!!盗塁あるわよ!!」
虎「狗巻先輩の次は……憐だな。」
虎杖は憐がいる方向に目を向ける……。
虎「乙骨先輩と一緒にいて楽しそうだから、声掛け辛ぇな。伏黒……これ俺大丈夫?」
伏「……乙骨先輩はともかく、神崎先輩なら大丈夫だろ。」
虎杖と伏黒が声をかけようか悩んでいると、憐は自ら気が付き、乙骨との会話を切り上げメットを被りながら、バットを片手に持った。
さて、お次はいよいよ憐の打席だ。