京都姉妹校交流会
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死んだと思っていた人が実は生きてました……そんな経験をしたことがありますか?……私はあります……というか今まさに経験しています。
五条先生が荷台に乗せていた箱の中身……蓋を開けてみれば、亡くなったと聞かされていた悠仁が、よく分からないギャグを発しながら出てきた。
驚きすぎて、正直何が起きたのか分からなかった……なんで??姉さんから緊急派遣された任務で亡くなったって聞いてたのに、なんで生きてるの?……なんでそんな普通にしてられるの?
悠仁合流後、交流会での作戦をたてる為悠仁を入れて話し合いになったけど、私は会話に参加出来なかった……たまに会話を振られては、ほとんど頷いているだけだった。
きっと皆私の異変に気づいていると思う。気を遣わせてしまっただろう……本当に申し訳ないと思っている。……でもすぐに受け入れられなかった。あっさり流せるほど私は強くなかった。
嬉しくないわけじゃない……むしろ凄く嬉しいに決まってる。……私はまた傍に居られず、他人伝いに大切な人の死亡報告を聞いていたから……里香の時のように……。
なのにその悠仁が実は生きていた……なんと喜ばしい事だろう……そう、嬉しいはずなんだ……。
なのに──────
(なんて話しかければいいのかな……なんでだろう……嬉しいはずなのに分からない……。)
自分でも自覚してるが、本当に面倒な性格だと思っている……憂太や皆が好いてくれているのが奇跡だよ。
(こんな時、憂太だったらどうするのかな……。)
私が悩んだり困ってたりすると、いつも助けてくれた憂太の事を思い出してしまう……。優しい彼だったらきっと……生きていた事を泣いて喜んでくれるかもしれない。
馬鹿みたい……、憂太は今いないのに……考えたってしょうがないのに──────
そう悩んでいるといつの間にか作戦の話し合いは終わり、皆居なくなっていた。
貴「(もう外に出たのかな……)??」
辺りを探してみると───
虎「俺ら以外残ってねーよ。」
貴「!!……悠仁。」
私の後ろに悠仁が堂々と立っていた。
虎「おっ?やっと目が合ったな……憐。ちょうどいいからさ、少し話そうぜ。」
貴「……。」
私達は互いに向かい合う。こうして2人になるのも随分久しぶりだった。懐かしい感覚……、まるで子供の時みたいだ……。でも少し違うのは、私も悠仁もあの頃とは違い成長した事……私も彼も呪術師になっている事。まだ子供だけど子供じゃないのだ……。
悠仁は話そうと言いながらも、それ以上口に出さなかった……私も私で気持ちが追いついておらず、お互い無言の時間が続いた。
虎「……憐、怒ってる?」
悠仁は話さない私を見て、少し困ったように笑って問いかけた。
貴「……。」
虎「俺さ……昔から運動も喧嘩も人並み以上に出来たから、呪いを祓う事だってそう難しい事じゃないと思ってた。だから、前の任務で特級と値する呪いに遭遇しても、伏黒達が逃げる時間を稼げるぐらいの強さはあるって思ってんだ……。
貴「……。」
虎「でも俺全然ダメだった……弱くて誰も助けられなかった。それどころか伏黒も殺しかけたんだ。このままじゃ駄目だと思った……伏黒や釘崎にも顔向けできねぇ……だから、俺は俺で特訓してた。五条先生から呪術師としての強さを学んだり、ナナミンからも教えて貰ったり、その間も色々あってさ……。」
貴「……。」
虎「だから……えーとつまりその……生きてた事黙っててごめんな……。」
悠仁は私に頭を下げて謝った。悠仁は悠仁なりの事情があった……自身の弱さに気づき、五条先生を筆頭に七海さんにも教えて貰ったりとこの2ヶ月、悠仁は悠仁で頑張って特訓してたんだね……。きっと五条先生や姉さんにも事情があって悠仁の生存を黙ってたんだ……その事情はきっと並々ならぬものだと思う。
悠仁から事情を聞けて少し納得した。悠仁ばかりに話させる訳には行かない……頑張って話してくれたのだから、だから今度は私の番だ。
貴「……姉さんから悠仁は亡くなったって聞いた時、止める間もなく涙が出てきて辛かったの……。一日中泣いてた……助けてあげられなかった自分を責めてた……でもそんな事したって死んだ人は帰ってこないのにね……。」
虎「憐が自分を責める必要ないだろ!!これは俺の弱さが招いたことだ……!」
貴「そうかもね……私がそばに居たってどうにもならなかったかもしれないのにね。でもそうは思えなくてね……頭の中で考えちゃうの。もし私がそばにいたら……とかね?でも死んで欲しくなかった……だって悠仁は私の家族だもの……。」
虎「!!」
貴「縁は遠いけど身内には変わりないよ……きっとそれは姉さんも思ってる……。だから今、悠仁がこうして生きていた事……凄く嬉しい。でもなかなか感情が追いつかなくてね……皆みたいにさらりと流せなかった。……結構引きずるタイプなんだ……私。」
里香の事、6年ずっと引きずってたから本当にそうなんだと思う。
虎「憐……泣かせてほんとごめん。あと俺も憐と凛姉の事、大切な家族だと思ってるから。」
貴「ありがとう……ならさ、家族として言うけど、これからは約束して……例え宿儺の器として死刑が決まっていたとしても、自分の命を大事にして……。自分を犠牲にして他人を助けようとしないで……必ず生きて帰ってきて……。」
虎「……。」
悠仁が生きていた事……嬉しいに決まっている。でもまた同じような事があった時、悠仁はどうするんだろう……悠仁は弱いと言っていたけど、そこらの呪術師よりは下手に強い分、今度も自分を犠牲にするかもしれない。……それだけは許せない。
……夏油さんを倒す為に、自ら犠牲にしようとした憂太を思い出す……。残される方だって辛いのだから。
虎「……俺も経験したから分かるんだけど、呪術師やってるとそれってかなり難しいよな。憐だって分かってんだろ?なのにそれを俺に約束させるのかー……。先に言っとくごめん!それは約束出来ない!俺またこういう事があったら、きっとまた同じ事をする。でもそれは死にたいって訳じゃない……!俺も理不尽な呪いから人を守れるよう呪術師になったんだ。でもオマエの気持ちも分かるよ……俺だってオマエがそんな事したら同じ事言うだろうな。
だから考えたんだけど、今度こそ殺されないよう強くなるし、なるべく生きて帰るようにする!……じゃ駄目か?」
悠仁は私の思いを聞いて、少し困っていたけどなるべく私の意向に沿おうと頑張ってくれた。……まぁ、予想出来てたんだけどね……私も言ってて自分が実践出来るかと言ったら難しいだろうし。でもそう意識してくれるだけでも違うから、悠仁の答えが聞けて嬉しい。やっと……普通に話せそうだ。
貴「……そこは嘘でも約束するって言いなさいよ。まぁでも、いいや!悠仁がそんな風に言うだろうなって分かってたからね。」
虎「なんだよそれ〜!!俺結構悩んだのによ〜。……でも憐、やっといつもの感じに戻ったな。」
貴「誰のせいだと思ってるのかな?」
虎「すみません!俺ですよね!」
貴「ふふっ……そうです、貴方のせいです!まぁそれはさておき、早く行こっか。もうすぐ交流会始まるからね。京都校も強い人いっぱい、いるからね!負けないでよ〜?」
虎「ちょっと待てよ憐!やるからには勝つに決まってんだろ!」
私は悠仁を置いて皆の元へ歩き出した。先程よりも清々しい気持ちで……。その後悠仁が小走りで着いてくる……またこんな話せるのが嬉しいな。
でも油断は出来ない……京都校には楽巌寺学長がいる。頭の固い上層部の中の一人があの人だから、きっと何かしかけてくる。
(貴方達の思い通りにはさせないからね……楽巌寺学長。)