3月7日
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乙「……よし、ちょっと、待ってて。すぐ戻るから。」
貴「うん?」
憂太はネクタイを手に持ち、この場を離れ自室へ戻って行った。何で離れたんだろうって思ったけど、そういえば、彼はすぐに共有スペースに来ていた。背中に刀を背負ったままだったし、帰ってきた後自室には行かず、そのままこちらに来たのだろう。
何より彼は今までずっと任務にあたっていた。疲労感もあるだろうし、早く休ませてあげれば良かった。
私が祝ってあげたいという自分の都合を優先した結果、ただでさえ疲れている憂太に無理させていたらどうしよう。今更ながら憂太の負担になっていたのでは無いかと思い、後悔した。
(憂太が帰ってきて、もう一度戻って休むよう言うのも、憂太がこっち来てから伝えては二度手間になっちゃうだろうし、私が直接憂太の部屋に行ってその事を伝えれば大丈夫だよね。)
貴「憂太の部屋に行こう。」
私はしばらく憂太を待っていたが、直接憂太の部屋向かうべく、この場を後にし、憂太の部屋に続く廊下を歩いていった。
────── 憂太の部屋前
コンコン
貴「憂太?いるよね?私だけど、このまま聞いて欲しい。私の憂太をお祝いするという目的も達成したし、何より憂太任務終わった後すぐ共有スペースに来てくれたんだよね?任務で大変だっただろうし、疲れてると思うからそのままこちらには来ないで、ゆっくり部屋で休んでね。……改めて誕生日おめでとう!じゃあ、私は自分の部屋に戻るから、おやすみ……。」
私は憂太の部屋の前まで行った。そして扉をノックして伝えたい事を伝え、そのまま自室に戻ろうとした。
ガチャッ
貴「えっ?」
扉が開く音が聞こえた。
ガシッ
貴「えっあのちょっ……」
振り向こうとしたら肩を掴まれて、そのまま引っ張られて部屋に引きずり込まれた。
バタンッ
貴「憂太!私の話聞いてた?!もう自分の部屋に戻るから、ゆっくり休んでって言ったよね?!なのに何で私が貴方の部屋に引きずり込まれてるのよ!」
振り向きながら憂太に文句を言っていたら
乙「ごめんね!……でも憐にどうしても見てもらいたくって、つい部屋の中まで引っ張っちゃった。」
そこには黒いスーツに身を包んだ憂太が立っていた。首元には私があげた黄色のネクタイをつけて……。
貴「なっ……。」
乙「どうかな?似合ってる?」
憂太が首を傾げながら聞いてきた。……そんなの、決まってるじゃん。
貴「……めちゃくちゃ似合ってる……ありがとう憂太。」
似合いすぎてて、思わず私は顔を手で隠した。普段憂太は白い制服姿が多いから、白のイメージが強いけど、黒のスーツを着ると普段より大人っぽくなり、制服姿の憂太とはまた違った良さが出ている。……スーツ姿凄くかっこいい。
憂太は、私があげた黄色のネクタイを身につけていた。本当だったらここで着替えた後、共有スペースにいた私に見せるつもりだったんだろうけど、私がすぐ部屋に来ちゃって帰ろうとしたから、慌てて引きずり込んだ感じかな。
その証拠にネクタイがきちんと結べてないままになっている。
乙「良かった……。この前五条先生に、任務に使うかもしれないから、今のうちにスーツを買っておいた方がいいよって言われて、この前買っておいたんだけど、すぐに役に立つとは思わなかったよ。」
乙「こうして一番に君に見せることが出来て良かった。」
貴「……それなら良かったよ。でもね、憂太……言いづらいんだけど、ネクタイの形が少し変よ。」
乙「えっ?!……あっ!ほんとだ、ごめん。僕まだ着慣れてなくて……。」
貴「いいよ……私が先に来ちゃったのもあるし、結んであげるからちょっとじっとしてて。」
乙「うん……。」
そう言って憂太の首元に手を伸ばし、ネクタイを結び直す。憂太はじっとしてくれていたおかげで、すぐに直すことができた。
乙「結ぶの上手だね。」
貴「……これでも、覚えたてだよ。姉さんに予め教わっておいたの。」
姉さん曰く
貴2『憂太くんもそのうちスーツを着るかもしれないので、今のうちにネクタイを結ぶ練習しておきましょうか。憐にネクタイ結んで貰えたら、憂太くんも喜びますよ?』
貴『姉さんは、五条先生がスーツ着る時は結んであげてるの?』
貴2『えぇ……あの人もたまに着ますからね。それに自分で結べるのにわざわざ私に結んで欲しいと頼むのですよ?……全く困った人ですよね。』
と言いながらも嬉しそうにしていた姉さんを思い出す。五条先生は何でも出来るのに、姉さんに甘えたくてわざと頼んでる部分がある。姉さんはそれが嬉しいんだろうな。
そういう経緯があり、私も結び方を教えて貰っていた訳だけど、こうして憂太の新たな一面を見ることができたし万々歳ね。
乙「なんかこうやって君にネクタイを結んで貰っていると、僕ら新婚さんみたいだね。」
貴「突然何を言い出すの?!」
乙「だって普通のサラリーマンの人って、新婚さんは奥さんにネクタイ結んでもらってるんだよね?ネクタイ結んでる君を見てたら、その事を思い出しちゃった。」
貴「……ソウデスカ。」
憂太はこうやって、唐突に爆弾落とすんだからもう……。昔はよくあったみたいだけど、今の新婚さんもするのかな……。まぁ、するという事にしときましょう。
貴「ほら、できたよ。」
乙「ありがとう〜まだ慣れないな。」
ネクタイを触りながら頬をかく憂太。
貴「今はまだ大丈夫だと思うけど、高専を卒業したらスーツを着る機会も増えるから憂太自身も練習しないとね。」
乙「……そうかもしれないけど、僕は出来れば君にずっと結んでもらいたいな……。五条先生が言ってたんだ、凛先生に結んで貰ってて凄い嬉しいんだって。だから……僕も少し憧れてて……あはは。」
こうやって自分から要望を言ってくれるようになってくれた。それがどんな小さな事で他人からくだらない様な事でも、憂太のお願いならできる限り叶えてあげたいと思うのは私だけだろうか。
貴「しょうがないな〜。ずっと結んであげるよ……憂太のお願いだからね!」
あまり我儘を言わない彼の小さなお願い……叶えてやりますとも。
貴「もう過ぎちゃったけど、改めて誕生日おめでとう、憂太!生まれてきてくれてありがとう……!生きる事を諦めないでくれて、ありがとう……。」
これが私の素直な気持ち……。彼には沢山辛い事や苦しい事があった……そしてこれからもきっと……呪術師をやっていれば、あるかもしれない。それでも生きる事をやめないでくれて、本当にありがとう……。
でなければ、またこうして私と出会って誕生日をお祝いする事も、皆と笑って過ごせる事もなかったかもしれない。
乙「……ありがとう。生まれた日なんてあまり気にしてなかったけど、君にこうして祝って貰えて、プレゼントも貰えて……本当に僕は幸せ者だ!」
そう言って、憂太は私を抱きしめてくれた。私の勘違いでなければ、目に涙を浮かべていた。
乙「6年前も里香ちゃんと憐に祝われてとても嬉しかったけど、今も凄く嬉しい……本当にありがとう。……愛してる。」
貴「!!……。」
乙「もう少し待ってて……僕が高専を卒業したら、必ず君を迎えにいくから。」
貴「……うん!」
後日、改めて乙骨憂太のバースデーパーティーは開かれた。お馴染みのメンバー、憐、虎杖、伏黒、野薔薇、真希、狗巻、パンダ、五条、凛だけでなく、夜蛾、七海や家入と言った高専関係者達も参加して、盛大に行われた。プレゼントを上げたり、凛作の料理に舌鼓をうった。また憐作のケーキを食べた時は、乙骨は目をキラキラさせ、憐をこれでもかと褒め出した。憐が恥ずかしがり、周りが苦笑いするほどに……。
周りがどんちゃん騒ぎを起こしている時、
「誕生日おめでとう……憂太。」
乙「……!」 貴「……!」
喧騒の中でも、ふいに2人だけに聞こえた声……聞き覚えのある可愛らしい少女の声だった。その声は遠く……空の上から聞こえ、まるで彼を祝うような言葉だった。
乙「ありがとう……里香ちゃん。」
貴「里香……。」
2人は顔を見合せ、そしてそれぞれ自身の付けている指輪に触れる。誓いの指輪がある限り、彼らのそばに彼女の想いがある。例え目に見えなくとも、心で感じていた。
二人はお互いに見つめ合い、そして……また笑い合った。他の仲間達は、その光景を静かに見守っているのだった。
END
3月7日 Happy Birthday 乙骨憂太
貴「うん?」
憂太はネクタイを手に持ち、この場を離れ自室へ戻って行った。何で離れたんだろうって思ったけど、そういえば、彼はすぐに共有スペースに来ていた。背中に刀を背負ったままだったし、帰ってきた後自室には行かず、そのままこちらに来たのだろう。
何より彼は今までずっと任務にあたっていた。疲労感もあるだろうし、早く休ませてあげれば良かった。
私が祝ってあげたいという自分の都合を優先した結果、ただでさえ疲れている憂太に無理させていたらどうしよう。今更ながら憂太の負担になっていたのでは無いかと思い、後悔した。
(憂太が帰ってきて、もう一度戻って休むよう言うのも、憂太がこっち来てから伝えては二度手間になっちゃうだろうし、私が直接憂太の部屋に行ってその事を伝えれば大丈夫だよね。)
貴「憂太の部屋に行こう。」
私はしばらく憂太を待っていたが、直接憂太の部屋向かうべく、この場を後にし、憂太の部屋に続く廊下を歩いていった。
────── 憂太の部屋前
コンコン
貴「憂太?いるよね?私だけど、このまま聞いて欲しい。私の憂太をお祝いするという目的も達成したし、何より憂太任務終わった後すぐ共有スペースに来てくれたんだよね?任務で大変だっただろうし、疲れてると思うからそのままこちらには来ないで、ゆっくり部屋で休んでね。……改めて誕生日おめでとう!じゃあ、私は自分の部屋に戻るから、おやすみ……。」
私は憂太の部屋の前まで行った。そして扉をノックして伝えたい事を伝え、そのまま自室に戻ろうとした。
ガチャッ
貴「えっ?」
扉が開く音が聞こえた。
ガシッ
貴「えっあのちょっ……」
振り向こうとしたら肩を掴まれて、そのまま引っ張られて部屋に引きずり込まれた。
バタンッ
貴「憂太!私の話聞いてた?!もう自分の部屋に戻るから、ゆっくり休んでって言ったよね?!なのに何で私が貴方の部屋に引きずり込まれてるのよ!」
振り向きながら憂太に文句を言っていたら
乙「ごめんね!……でも憐にどうしても見てもらいたくって、つい部屋の中まで引っ張っちゃった。」
そこには黒いスーツに身を包んだ憂太が立っていた。首元には私があげた黄色のネクタイをつけて……。
貴「なっ……。」
乙「どうかな?似合ってる?」
憂太が首を傾げながら聞いてきた。……そんなの、決まってるじゃん。
貴「……めちゃくちゃ似合ってる……ありがとう憂太。」
似合いすぎてて、思わず私は顔を手で隠した。普段憂太は白い制服姿が多いから、白のイメージが強いけど、黒のスーツを着ると普段より大人っぽくなり、制服姿の憂太とはまた違った良さが出ている。……スーツ姿凄くかっこいい。
憂太は、私があげた黄色のネクタイを身につけていた。本当だったらここで着替えた後、共有スペースにいた私に見せるつもりだったんだろうけど、私がすぐ部屋に来ちゃって帰ろうとしたから、慌てて引きずり込んだ感じかな。
その証拠にネクタイがきちんと結べてないままになっている。
乙「良かった……。この前五条先生に、任務に使うかもしれないから、今のうちにスーツを買っておいた方がいいよって言われて、この前買っておいたんだけど、すぐに役に立つとは思わなかったよ。」
乙「こうして一番に君に見せることが出来て良かった。」
貴「……それなら良かったよ。でもね、憂太……言いづらいんだけど、ネクタイの形が少し変よ。」
乙「えっ?!……あっ!ほんとだ、ごめん。僕まだ着慣れてなくて……。」
貴「いいよ……私が先に来ちゃったのもあるし、結んであげるからちょっとじっとしてて。」
乙「うん……。」
そう言って憂太の首元に手を伸ばし、ネクタイを結び直す。憂太はじっとしてくれていたおかげで、すぐに直すことができた。
乙「結ぶの上手だね。」
貴「……これでも、覚えたてだよ。姉さんに予め教わっておいたの。」
姉さん曰く
貴2『憂太くんもそのうちスーツを着るかもしれないので、今のうちにネクタイを結ぶ練習しておきましょうか。憐にネクタイ結んで貰えたら、憂太くんも喜びますよ?』
貴『姉さんは、五条先生がスーツ着る時は結んであげてるの?』
貴2『えぇ……あの人もたまに着ますからね。それに自分で結べるのにわざわざ私に結んで欲しいと頼むのですよ?……全く困った人ですよね。』
と言いながらも嬉しそうにしていた姉さんを思い出す。五条先生は何でも出来るのに、姉さんに甘えたくてわざと頼んでる部分がある。姉さんはそれが嬉しいんだろうな。
そういう経緯があり、私も結び方を教えて貰っていた訳だけど、こうして憂太の新たな一面を見ることができたし万々歳ね。
乙「なんかこうやって君にネクタイを結んで貰っていると、僕ら新婚さんみたいだね。」
貴「突然何を言い出すの?!」
乙「だって普通のサラリーマンの人って、新婚さんは奥さんにネクタイ結んでもらってるんだよね?ネクタイ結んでる君を見てたら、その事を思い出しちゃった。」
貴「……ソウデスカ。」
憂太はこうやって、唐突に爆弾落とすんだからもう……。昔はよくあったみたいだけど、今の新婚さんもするのかな……。まぁ、するという事にしときましょう。
貴「ほら、できたよ。」
乙「ありがとう〜まだ慣れないな。」
ネクタイを触りながら頬をかく憂太。
貴「今はまだ大丈夫だと思うけど、高専を卒業したらスーツを着る機会も増えるから憂太自身も練習しないとね。」
乙「……そうかもしれないけど、僕は出来れば君にずっと結んでもらいたいな……。五条先生が言ってたんだ、凛先生に結んで貰ってて凄い嬉しいんだって。だから……僕も少し憧れてて……あはは。」
こうやって自分から要望を言ってくれるようになってくれた。それがどんな小さな事で他人からくだらない様な事でも、憂太のお願いならできる限り叶えてあげたいと思うのは私だけだろうか。
貴「しょうがないな〜。ずっと結んであげるよ……憂太のお願いだからね!」
あまり我儘を言わない彼の小さなお願い……叶えてやりますとも。
貴「もう過ぎちゃったけど、改めて誕生日おめでとう、憂太!生まれてきてくれてありがとう……!生きる事を諦めないでくれて、ありがとう……。」
これが私の素直な気持ち……。彼には沢山辛い事や苦しい事があった……そしてこれからもきっと……呪術師をやっていれば、あるかもしれない。それでも生きる事をやめないでくれて、本当にありがとう……。
でなければ、またこうして私と出会って誕生日をお祝いする事も、皆と笑って過ごせる事もなかったかもしれない。
乙「……ありがとう。生まれた日なんてあまり気にしてなかったけど、君にこうして祝って貰えて、プレゼントも貰えて……本当に僕は幸せ者だ!」
そう言って、憂太は私を抱きしめてくれた。私の勘違いでなければ、目に涙を浮かべていた。
乙「6年前も里香ちゃんと憐に祝われてとても嬉しかったけど、今も凄く嬉しい……本当にありがとう。……愛してる。」
貴「!!……。」
乙「もう少し待ってて……僕が高専を卒業したら、必ず君を迎えにいくから。」
貴「……うん!」
後日、改めて乙骨憂太のバースデーパーティーは開かれた。お馴染みのメンバー、憐、虎杖、伏黒、野薔薇、真希、狗巻、パンダ、五条、凛だけでなく、夜蛾、七海や家入と言った高専関係者達も参加して、盛大に行われた。プレゼントを上げたり、凛作の料理に舌鼓をうった。また憐作のケーキを食べた時は、乙骨は目をキラキラさせ、憐をこれでもかと褒め出した。憐が恥ずかしがり、周りが苦笑いするほどに……。
周りがどんちゃん騒ぎを起こしている時、
「誕生日おめでとう……憂太。」
乙「……!」 貴「……!」
喧騒の中でも、ふいに2人だけに聞こえた声……聞き覚えのある可愛らしい少女の声だった。その声は遠く……空の上から聞こえ、まるで彼を祝うような言葉だった。
乙「ありがとう……里香ちゃん。」
貴「里香……。」
2人は顔を見合せ、そしてそれぞれ自身の付けている指輪に触れる。誓いの指輪がある限り、彼らのそばに彼女の想いがある。例え目に見えなくとも、心で感じていた。
二人はお互いに見つめ合い、そして……また笑い合った。他の仲間達は、その光景を静かに見守っているのだった。
END
3月7日 Happy Birthday 乙骨憂太