1年生組と
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悠仁、伏黒くん、野薔薇ちゃん達と合流し、様々な事を話していたが、憂太が任務から帰ってくる事もあり、名残惜しいが、途中で私だけ一年生組と別れた。
姉さんから悠仁が高専に来たという情報を聞いて、いてもたっても居られず一目会いたいと思い、校門前で待っていたが、こんなに早く会えるなんて……待ってた甲斐があったな……。
あの頃とは男らしく逞しく成長した悠仁を見た時は嬉しかったが、同時に呪術師としてこちら側に来てしまったかという気持ち。憂太がこちら側に来てしまったように……悠仁も呪術師になった以上これから様々な事を経験し、どんどん強くなり、色んな人を助けるのだろう……。私にとっては弟のような存在が、一般人が送る平凡な生活から危険な生活に身を置くようになったと思うと、やはり嬉しさより心配が勝ってしまう。
ビクッ
貴「!!!」
そんな事を考えていたら急に背筋に冷たいものが走った。なんでだろ……今度野薔薇ちゃんと都内ショッピングの計画を立てたけど、次会ったら無事に済まない気がする。
乙「どうしたの?」
貴「何でもないよ、大丈夫!……そんな事より今日も怪我しなかった?」
乙「……大丈夫ならいいけど。うん、そんなに強い呪いじゃなかったからね。リカちゃんと一緒にすぐ祓ったよ」
貴「……一度は4級に落ちたのに、3ヶ月でまた特級に戻った貴方からしたら大抵の呪いは強くないでしょうね。でも良かった……。」
憂太は百鬼夜行以降、里香がいなくなった事により、呪術師としての階級が特級から4級に落ちている。その際も制服は黒になっていた。だけどあの後、彼は私に強くなると宣言した通り、また更に自分の能力に磨きをかけ、鍛錬を積み重ね、ついにたった3ヶ月で特級に返り咲いた。
里香がいた時のお飾りの特級ではない……。彼の努力で掴み取った強さの証……この世にたった四人しかいないと言われた呪術師の最高峰……〝特級呪術師〟として今は幅広く任務を請け負っている憂太。制服も前と同じ白い制服に戻った……彼のトレードマークになっている白い制服だ。
だからかここの所、憂太は私と違って任務が非常に多くなり、彼と過ごす時間が減っている。それが少し寂しくもあるが、彼はより多くの人々を救っているのだと思うと我慢出来る。
さて今日も今日とて、憂太が任務を終え帰ってきた後、二人で憂太の部屋に向かう。付き合ってから、ほぼ毎日お互いの自室を行き来する生活をしている。そこで怪我の有無の確認、お互いの今日あった出来事、任務はどうだったのかなどを話したり、ご飯を食べたりと、貴重な二人だけの時間を過ごし、夜には自室に帰るというルーティンだ。
乙「今日は何してたの?憐は任務なかったよね?……僕は任務で居なかったのに、何だかやけに嬉しそうだね……その訳を聞きたいな?」
貴「そうだな〜……可愛い後輩が増えたからかな?」
乙「可愛い後輩……伏黒くんだけじゃなくて、新しい人が増えたって事かな?」
貴「そうなの!でも詳しく話す前に、今から夕飯作っちゃうからその話はその時にね?憂太は何が食べたい……?」
今ここで話してもいいけど、憂太は任務で疲れてるだろうし、まずは温かいご飯作るのが先決!話はその時でも遅くないだろう。
乙「君の作るものなら……貴「何でもいいは禁止って言ったでしょ!」……そうだったね。」
貴「何でもいいって言うなら、脂身たっぷりのステーキはどう?もちろん、私は構わないけどね。お肉大好きだし……。」
乙「……憐が喜んでくれるなら、僕はそれで構わないよ。」
貴「嘘よ……。まったく……カッコつけちゃって。ステーキの脂身が苦手な癖に何言ってるのよ。」
憂太は真顔で黙るも、すぐに何もなかったかのような笑顔で返した。カッコつけて言ってるけど、最初に間があるあたり、やっぱり苦手な食べ物なのよね。
貴「う〜ん、今日も憂太さんは任務を頑張ってくれた訳ですし……?そんな貴方の好きなゴマ油で和えた塩キャベツをメインに、和食で作ろっかな。そうと決まれば、早速作っちゃうから、憂太はテレビでも見てて。」
乙「君は僕を喜ばす天才だね、僕も手伝うよ。」
貴「ダメ!任務で疲れてるんだからゆっくりしてて!あっ……お風呂湧いてるから、先にお風呂でもいいよ?」
乙「お風呂もいいけど……料理してる君を見てたいから、ここで見ててもいいかな?」
私も何気ない感じで、和食作るとか言っちゃったけど、正直苦手だからあんまり見て欲しくない……けど、まぁいっか。どうせ私が不器用で料理苦手なのバレてるし……。(*前回のバレンタイン参照)
貴「憂太が楽しいなら別にいいよ。さ〜て、まずはお米炊かなくちゃ!」
今日の夕飯についてあらかた決まった憐は、エプロンをつけ台所で忙しなく動き始めた。
乙骨は自室にあるテレビには目もくれず、笑顔で憐を観察し始めた。何度か彼女が料理をしている所は見ているが、最近は任務で忙しく、彼女との時間も前より減っているせいで、久々に彼女の料理をしている姿を見ることが出来て、とてつもない幸福感を味わっていた。その度合いは、連日の任務による疲労など蓄積されていたが、それらが全て吹き飛びそうなぐらい満ち足りていた。
憐が以前に比べて怪我をする事が減っていたり、包丁に対する覚束なさが減っている事に気づく。それはきっと彼女が凛先生から、苦手な料理について教えて貰っている事、練習の為自炊していると言っていた事から、その成果が出ていると言えるだろう……。
何より彼女は以前言っていた……。
貴「将来的に憂太と一緒に暮らしていくんだから、生きていく上で料理ってとても大切でしょ?まずは苦手な料理を克服しないとね。それに憂太の方が、私より任務に駆り出されるだろうし、すっごく大変だと思うの。任務で疲れて帰ってきた貴方に、少しでも喜んで欲しいから……私、頑張るね!」
僕との将来を考えて、そして何より僕の為に苦手なものを克服しようと彼女は頑張っていた。そんな健気な彼女の想いを聞いた僕の気持ちとしては……
乙「リカちゃん……僕は少しでも長く憐の傍にいたい……。その為にも、今日も早く終わらせて帰ろうね。」
最短の時間で無傷で帰る……これがいつも乙骨が任務をこなす際に目標にしている事だった。遠い地方に出向いての任務だと難しいのだが、近場であれば造作もない。彼の最優先は何時だって憐である。憐の為の努力なら惜しまない……何だってやってみせる覚悟だ。
里香が遺してくれた指輪を左手の薬指に付けて、リカを完全な状態で顕現させる。
僕が指輪を通してリカちゃんと接続できる時間は約5分……しかし、それくらいあればじゅうぶんこなせる任務内容だった。
乙「よし、やろうか……。」
そうして任務を終え、高専に戻ってきたのだが、彼女は出迎えてくれた。しかし、様子が少しおかしいような気もした。いつも愛らしいけれど、今日はいつにも増して……
乙(機嫌がいい……。何か嬉しい事でもあったのかな?)
そう思い、彼女に機嫌がいい理由について聞いてみた。彼女は嬉しそうに、可愛い後輩が増えたからだと答えていた。今まで僕らの後輩に当たる人は伏黒くんだけだったが、新しい後輩が増えたとなると仲間になる人が増えて、彼女は嬉しいのだろう……。でも、彼女は人見知りな筈なのに、会ったばかりでこの反応という事は……
乙(とても仲良くなれたんだね。君が嬉しいなら僕も嬉しいよ……。でもその後輩は……女の子だけだよね?)
その事も含めて、今日は聞くことがいっぱいあるな……と考えつつも、今日も彼女と楽しく平穏なひと時を過ごせたならと思いながら、彼女の料理する姿を眺めるのだった。
END