ホワイトデー
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────────……1年後の3月14日
虎「なるほど〜じゃあ憐の腕につけてる、ハートがついたピンクのブレスレットは、乙骨先輩が去年のホワイトデーに渡したってわけね。」
乙「そうだよ……渡す前に一悶着あったけどね。」
あの日から一年……またこの季節がやってきた。僕ら含め虎杖くんや伏黒くん、狗巻くん、パンダくんは、今年のバレンタインも憐や真希さん、釘崎さんからチョコレートを貰っていた。その女性陣達に贈るホワイトデーのお返しの参考にしたいという事で、僕に聞きに来た虎杖くんと、たまたま虎杖くんと一緒にいた伏黒くんに、去年の僕が贈ったお返しについて話と、その際に一悶着あった内容を話した。
虎「それがさっき話してたホワイトデー早とちり誤解事件か〜。」
伏「変な名前を付けるな、虎杖。」
虎「だって、アイツの早とちりで起きた事だろ?……憐が乙骨先輩に、ちゃんと確認すれば良かった話じゃん。」
伏(……虎杖の言う事も分かるが、乙骨先輩の手前、下手に同意出来ねぇ。)
虎杖くんは憐と親類らしいから、憐に対して厳しい事を言っていた。伏黒くんは少し反応に困っていたけど……多分虎杖くんと同じ事を考えているだろう。
乙「……そうかもしれないね。でもそう思わせてしまった僕も責任はあるよ。下手に隠して、彼女を凄く傷つけてしまった……あの時は本当に後悔したんだ。この出来事から、憐だけには絶対隠し事や嘘はつかないって決めたんだ。」
この出来事から、僕は以前よりも強く決意した。彼女だけには絶対隠し事も嘘もつかない。
乙「僕も憐もお互い未熟だったんだ……。」
お互い未熟だった一年前のホワイトデー……。互いの事を想っていた反面、僕も彼女も互いを見えていなかった。だからこそ悲しいすれ違いが起きていたと思う。もう二度とあんな思いはしたくない、させたくないから……。
虎「そっか……。そんなきっぱり言えるなんてかっこいいじゃん、乙骨先輩!憐に聞かせてやりたかったな〜きっと憐も喜ぶよ。」
伏「俺はまだそういった事はよく分かりませんが、乙骨先輩が納得して決めた事なら、いいと思います。」
乙「ありがとう、虎杖くん、伏黒くん。」
後輩の子達に、素直に褒めて貰えるとやっぱり嬉しいものだ。
虎「今年のホワイトデーも憐にお返し渡すんだよね?何渡すの?」
伏「オマエ、とことん聞きたがるんだな。」
虎杖くんは今年のホワイトデーのお返しが気になったのか、何を渡すのか僕に尋ねた。伏黒くんは虎杖くんの発言に呆れている様子だったけど、気になるのかそれ以上口には出さなかった。
乙「……虎杖くんと伏黒くんは知ってるかな?異性にプレゼントを贈る時、贈る物によって隠された意味がある事に……。」
虎「えっ?!……プレゼントって相手に喜んでもらう為の物を贈るんじゃないの?!別の意味が込められてるとかあんの?!?!」
伏「俺も初耳です……。」
虎杖くんはともかく、伏黒くんは津美紀さんがいるから知ってそうだと思っていたけど、案外知らないみたいだった。
乙「男性、女性に関わらず異性に贈るプレゼントはその物によって隠された意味があるんだ。分かりやすいものに例えると、花言葉みたいな物だね。贈る物によって、秘められている意味が少し違うんだよ。」
虎「例えば?」
乙「そうだね……本当に色々な物、色々な意味があるんだけど、去年のホワイトデーにあげたブレスレットなら『手錠』を連想される事が多いから、『束縛』、『僕には君しかいない』っていう意味があるんだ。」
虎/伏「「!!……。」」
乙「僕の憐に対する想いにぴったりだったから贈ったんだ……。色々あったけど、今も彼女は喜んでつけてくれているから、贈って良かったよ。」
虎「そ、そんな意味があるんだ〜……乙骨先輩らしいね……。」
伏(……マジかよ。)
虎杖は軽いノリで聞いてしまった事に後悔し始め、伏黒は自分が想定した意味よりも重い意味が隠されていた事に驚いていた。
乙「次に憐がつけているあのピアス……あれは彼女がそろそろピアスを付けたいと悩んでいたから、誕生日プレゼントで僕が贈ったんだ。ピアスを贈る意味は、『どこに居ても自分の存在を感じていて欲しい』。」
虎「へ、へぇー……。」伏「……。」
穏やかな顔して普通のトーンで話す割に、とんでもない意味が隠された物を贈っていた乙骨に、驚きのあまり二人は気の利いたセリフが言えなかった。……それでも乙骨は語る事を止めない。
乙「それで今年のホワイトデーのプレゼントだけど、これもまた悩んだよ。次は何を贈ろうかなって……。指輪は里香ちゃんから貰ったお揃いの婚約指輪を僕も憐も持っているから、贈るとしたら結婚指輪だろうけど……でもまだ早いからね。
それで考えついたんだ……憐は里香ちゃんから貰った大切な指輪を、ネックレスに通してかけている。あの指輪に、似合うネックレスを贈りたいなって……。」
虎/伏「「!……。」」
乙「ネックレスを贈る意味……それは『君とずっと一緒にいたい』、『君は僕のもの』……。探してみたんだけど、彼女に似合って指輪にも似合うネックレスがあったんだよ!可愛らしいハートの付いたネックレスがね……。だから今年はこれを渡すつもりなんだ。」
乙骨は嬉々として後輩二人にホワイトデーのプレゼントの物を教えていた。そう……乙骨が憐にこの後渡そうとしている物はネックレス……。大切な指輪を通す為のネックレス……これなら彼女も喜んで使ってくれるはずだと信じて……。
虎「ソ、ソウナンダー……。ガ、ガンバッテクダサイ!オウエンシテマス!」
伏「……頑張ってください、乙骨先輩。」
虎(ヤベーー!!軽いノリで聞くんじゃなかった!!いや……色んな人から聞いてたし、ある程度は予想してたけど、予想以上に凄かった!!……さすが乙骨先輩……。)
伏(乙骨先輩が贈った物は全部アクセサリー……。俺はイベント事に詳しい訳じゃないが、ホワイトデーという物は、バレンタインで貰ったチョコレートのお返しに菓子を渡す事が一般的だと認識している。そんな日にお菓子じゃなく、どれも独占欲を意味する物ばかり贈っている……。
要は、周りに神崎先輩を自分の物だとアピールする為の牽制として贈ってたってわけか……。まぁ、神崎先輩を喜ばせたいって気持ちもあるだろうが……。それにしても相変わらず神崎先輩が絡むと、おっかなくなるなこの人。)
後輩二人は改めて思った……この人の憐/神崎先輩に対する想いがとてつもなく重いと……。
乙「他にも沢山色んな意味があるから、二人もいずれ大切な人が出来た時、贈り物をする時、しっかりと調べた方がいいと思うよ。……それと、僕のが少しでも参考になったのなら嬉しいな。」
乙骨は満足気な笑顔を浮かべながら、話終わると二人から離れるように歩き出す。
乙「それじゃあ、この後憐と会う約束があるから、ここで失礼するね。」
虎「……そっか。またな、乙骨先輩!」
伏「はい……色々とありがとうございました。」
乙骨は二人の言葉に立ち止まって振り返りながら笑うと、軽い足取りで、憐への部屋がある方向に向き直りそのまま歩いていった。
虎「伏黒……乙骨先輩、凄かったな。」
伏「そうだな……でも、あれが乙骨先輩の通常運転だ。」
乙骨が去った後残された後輩二人、虎杖と伏黒は驚きながらも感心していた。幼少の頃から憐と幼馴染で、その時から彼女を想っていた乙骨……。彼の愛
の深さは常人以上だと……二人は改めて思い知らされた。
乙骨先輩は、この世に四人しかいない特級呪術師の資格を有しており、自分達呪術師を含めて多くの人間から頼りにされている素晴らしい先輩だ。そんな先輩から死ぬほど愛されている、憐/神崎先輩って……実は凄いんじゃないか?っと思う二人なのであった。
この後、乙骨からホワイトデーのプレゼントとしてネックレスを贈られた憐は、とても幸せそうな表情で首元を触っていたのを、多くの高専関係者から目撃される事となった。
END
遅くなり、すみません💦
!Happy White Day!