乙骨side


あれから呪術高専に通うことを決意した僕は、御札だらけの部屋を抜け、五条先生が用意してくれた寮に泊まって朝を迎えた。


正直これからの事を思うと憂鬱ではあるが、起きなければ始まらない。鳴り響く目覚まし時計を止めてベットから起き上がる。


歯を磨き、住職さんが用意してくれた精進料理を食べる。広い御堂の中で、ただ1人真ん中で食べる姿はどうなのだろう。少し疑問に思うが、五条先生との待ち合わせの為、制服に着替え、五条先生のいる所に向かう。


林の中にある道を歩いていると、遠くの方に五条先生を見つけたが、隣に誰か人がいることに気づく。


(誰だろう？？……女の人？？)


よく見ると、五条先生の隣にはとても綺麗な女性が立っていた。他の教師の人だろうか。


五「あっ！憂太おはよう〜！こっちこっち〜。」


貴2「おはようございます、憂太くん。そして久しぶりですね、私の事を覚えていますか？？」


乙「……あっ！貴女は……凛さん……。お久しぶりです。」


昔、まだ里香ちゃんが生きていた頃よく僕達の面倒を見てくれた凛さん。憐ちゃんの実のお姉さんで、大和撫子という言葉がよく似合う人だった。とても綺麗な人だったが、東京の学校に通うことを理由に、離れてしまいそれから会わなくなってしまっていたが、昔からの美しさは健在みたいだ。憐ちゃんもよくお姉ちゃんは凄いんだ！って言っていたっけ。


貴2「その感じ……思い出すのに少し時間がかかったようですね。悟から聞いていると思いますが、改めまして私は五条凛です。私もこの高専で教鞭を執っていますので、これからよろしくお願いしますね。」


乙「はい！これからよろしくお願いします……って……え？！？！五条？？苗字は神崎じゃないんですか？！？！」


貴2「あら、悟から聞いてないのですか？？はい、旧姓は神崎ですが、五条先生と結婚していますので今の姓は五条です。……まさか説明していなかったのですか、悟。」


五「あれ……言ってなかったっけ？？メンゴメンゴ〜！でも今説明出来たんだからいいじゃない。そう〜何を隠そう憐のお姉さんの凛は、僕の奥さんで〜す！！」


貴2「ごめんなさいね、憂太くん。こんな人だけど、色々な意味で頼れる人だから不安がらないでね。」


五「ちょっと凛、それは酷くない〜？」


貴2「酷くありません！まぁそれはともかく、とりあえず中に入りましょう。憂太くんも色々聞きたいことがあるとは思いますが、追々説明していきますね。この高専には憐だけじゃなく、憂太くんと同じように呪いを学ぶ子達がいます。きっとその子達と仲良くなれますよ。」


五「それもそうだね〜。じゃあ行こっか。教室まで案内するから付いといで。」


乙「……はい、分かりました。」


憐ちゃんだけじゃなく、凛さんにまで会えるなんて、予想外の幸運だ。聞きたいこともあるが、今は教室に向かわないといけないらしい。先に行く五条先生や凛さんに置いていかれないように、僕も後を付いていった。