最終章
夢小説設定
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貴「でもさ……その夏油さんと戦った時、里香と一緒にあの世に逝く約束をして、力を貸してもらったんだよね?」
憂太は自分自身を代償に、里香の力を貸してもらった。己の心も身体も、過去も未来も全て捧げていたと。それは紛れもない事実……。
こう言いたくは無いけど、人の気持ちって移り変わりやすいもの……だから、小さい頃からの想い人が変わったとしても不思議じゃない。
(信じたいけど……やっぱり里香の事が好きなんじゃないかなとは思っちゃうよね……。)
乙「確かに、五体満足で夏油さんに勝てたら良かったと思うけど、現実はそう上手くいかなかった。あの人は、全力で僕を殺そうとしていた……。それが分かったからこそ、僕も覚悟を決めて、全力を出さないと倒せないと思った。何より皆や憐ちゃんを守れないと思ったからだ。例え、それで里香ちゃんと一緒に逝っても後悔はなかったよ。」
乙「僕は君も、里香ちゃんも〝愛している〟。里香ちゃんにもそう告げた……それは否定しないよ……。でも愛の〝種類〟は違う……。」
貴「……愛の種類って……。」
憂太が〝愛〟を語るだなんて……本当にびっくりしている。愛も恋も知らなかった少年が、6年も経てばここまでになる?!今の高校生ってこんな感じなの?!
乙「知ってた?愛にもちゃんと種類があるんだよ……愛は、色々あるんだ。里香ちゃんへの愛は、〝親愛〟。親愛の意味はね、人に親しみと愛情を持っていること。でも、その対象は身近な人や家族、友人に対する愛なんだ。
でも君に対しての愛は違う……。憐ちゃん……君は僕にとって〝特別〟……君の代わりなんて存在しない……唯一無二の存在なんだ……。君のいない世界なんて考えられない……。僕の〝最愛〟だよ……。」
貴「うぅ……ちょっと待って!!色々待って!!最愛って……。」
とてつもない告白を受けている気がする……。というか、いつからそんな言葉を言えるようになったの?!?!
(最愛って……一番愛している人とかそんな意味じゃなかった??……恥ずかしいけど嬉しい……。)
私の顔は、羞恥心の限界を超えて、真っ赤な林檎のようになっているだろう。でも、嬉しい……。ここまで想って貰えて……。
(私の独りよがりの想いじゃなかったんだ……。)
貴「ありがとう、憂太!もう分かった!分かったから……もうやめて……。」
乙「分かって貰えたなら嬉しいよ……。」
憂太は、吹っ切れたのか最初の紅い顔はどこへいったのやら、ニコニコしながら話している。……メンタル面でも強くなったのね……。
乙「憐ちゃんにも分かって貰えたことだし、改めて言うね……。
憐ちゃん、僕はずっと前から君のことが好きでした……結婚を前提に付き合ってください。」
憂太から再度の告白……勿論私の答えは決まっているが……。
貴「……もし、私が断ったらどうするの?」
なんて意地悪な質問だろう……私の答えは決まっているのに……。あれだけ想いを伝えてくれた憂太に、返す言葉じゃない。でも気になってしまったのだから仕方ない……性格悪いな……私。
乙「さっきも言った通り、僕には君しか考えられないから、振り向いて貰えるよう頑張るよ!」
力こぶしを作って、憂太は話す。……諦める気はないんだ。彼の純粋な想いは、傍から見たら〝重い〟愛なのかもしれない……。結婚を前提にって……学生の恋愛ってこれが普通なのかな……?でも……たとえこれが〝普通〟じゃなくても構わない……。だって私達含め、呪術師は皆、何かしら〝イカれてる〟んだから。
貴「……私も、貴方の事が小さい頃からずっと好きでした。こんな私でよければ……結婚を前提に付き合ってください。」
私は、溢れた涙を流しながら、憂太の告白に答えた。
私の答えは決まっている……。幼い頃から秘めていた想い……一度は諦めていたけど、結局忘れられなかった……捨てられなかった恋心。楽しい時や苦しい時もあったけど……
でも今は、この〝想い〟を捨てずに良かったと思っている。
乙「……。」
憂太の反応がない……。目を開いたまま固まっている。やっぱり意地悪な質問が良くなかったんだ……。すぐ謝らなくては……。
貴「ごめんね!憂太……最初に試すような事言って……!!ちょっと気になっ……」ギュッ
涙を拭きながら、憂太に謝ろうとしたら、私の視界は黒一色になった。この展開……既視感を覚える……前は白一色だったのにな。