最終章
夢小説設定
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乙「でもあと一つだけ……まだ叶えてない事があるんだ……!小さい頃からの夢で、里香ちゃんとも約束した事……僕が最も望んでいる事!」
貴「……。」
いつも穏やかなブラックな瞳が、今は真剣味を帯びていて鋭さを感じる。声も穏やかな優しい声ではなく、気迫が伝わる凛とした声だった。憂太は私に、大切な事を伝えようとしている……。
乙「里香ちゃんとお別れした日……僕は君に大切な幼馴染の女の子で友人だと伝えたけど、本当は違うんだ!あれは……あの場では言うつもりなかったのに、勢い余って自分の気持ちが零れそうだったから、怖気付いて少し言い方を変えて言っちゃっただけで、本当に僕が言いたかった事は違う……。」
貴「乙骨くん?」
乙「君にとって僕は、幼馴染で学校の友達かもしれないけど……僕は憐ちゃんと〝友達〟や〝幼馴染〟の関係だけじゃ嫌だ……。君の〝特別〟になりたい。だってあの日からずっと……小さい頃からずっと……僕は憐ちゃんのことが大好きだから!」
貴「………………えっ?!?!」
憂太が顔を真っ赤にしながら、私に伝えてくれた想い……それは、私への好意だった……。
ちょっと待って!一旦整理させて………………………整理できないどういうこと?!?!
貴「ちょっと待って憂太……えっと……どういうこと?私の事がスキ??友達とか幼馴染の意味じゃなく?」
乙「えっ!?違うよ……!憐ちゃんが、女の子として……恋愛の意味として好きなんだ。」
万が一勘違いしていたというオチは、私も流石に悲しくなるので確認の為もう一度聞いたのだけど、憂太の返答は恋愛的な意味のスキ……好意だった。
貴「待ってよ……だってじゃあ里香は?!?!里香の事……好きだったでしょう?!?!昔も今も……ずっと好きだったから全てを捧げたんだよね?!?!」
昔も今も憂太は里香の事を好きなはずだ……。じゃなきゃ昔の私に素っ気ない態度とか、自分の全てを捧げるなんて事出来ないと思うし……何より里香をこの世に縛り付けるほどの想い……これを好意と言わずなんと言うのか。
乙「ごめん、混乱させちゃったよね……。でも本当の事なんだ……、一つずつ説明するから聞いて欲しいな。」
貴「……うん。」
私は疑うような目を向けながら聞く……だって今までずっと、里香の事を好きだと思っていたんだから、急に私の事が好きだったなんて言われても信じられない……。でも憂太が嘘をつかないことは知ってるから……今は黙ってちゃんと憂太の話を聞く。
乙「まず昔って言うと、里香ちゃんとよく公園で遊んでいた時だよね?あの頃の僕はね、恋愛の意味を理解していなかった。人に対して〝好き〟という気持ちに違いがあるなんて思ってなかったんだ。ある時、里香ちゃんに聞いたんだ……里香ちゃんの事を好きな気持ちと、憐ちゃんの事を好きな気持ちが、違う気がするって……。
そしたら里香ちゃんは、教えてくれたんだ……。」
それは過去の話に遡る。これは彼女が知らない、僕と里香ちゃんのある話の出来事……それは、僕が『恋』というものを知るきっかけのお話だ。