最終章
夢小説設定
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貴「……。」
乙「……。」
気まずい……。何故気まずいって……??憂太が声をかけてくれたから、私も返事はしたが、その後憂太がそのまま黙ってしまったからだ。
いつの間にか姉さんや五条先生、真希、パンダくん、狗巻くんは離れてこちらを見てるし、しかもなんかワクワクした目でこちらを見てくる夫婦が二人……ちょっと何これ……ドッキリ??
憂太の顔を見たが、憂太の顔は少し赤くなっており、目をキョロキョロさせている。落ち着かない雰囲気になっていて、私も何だか憂太の顔を途中から見られなくなってしまい、視線を下に向けている。お互い向かい合っている状態なのに視線が合わず、気まずい雰囲気になってしまった。
乙「スー……、ハー……。よし!憐ちゃん!」
貴「は、はい!……。」
憂太の大きな声に呼ばれて、驚いて吃ってしまった。……やっとちゃんと顔を見れた気がする。
乙「一年の間、色々な事があったけど、僕を受け入れてくれて、色んな事を教えてくれてありがとう。僕は、憐ちゃんや皆のおかげで、里香ちゃんの事も解決出来て、再び呪術師として、新たな人生を歩むことができるようになった。」
貴「うん……。」
乙「一年前の僕がみたら、きっととても驚くと思うんだ。」
貴「うん……。」
乙「真希さんに言われた通り、皆に会うまでの僕は、暗くて気弱な性格のせいか、他の人からも虐められる事があったりもした。色んな物事に対して、ずっと受け身の姿勢で生きてきた。そんな僕が、皆と出会えて一緒に過ごす事で、過去の自分よりも身体的にも精神的にも成長出来たと思うんだ。」
貴「うん……。」
再会した時に見た最初の貴方は、特級過呪怨霊となった里香を後ろに憑け、圧倒的な雰囲気を持って入室してきた。あの時は、怖い転校生が憂太だなんても思いもしなかった。
乙「一年前の僕なら、言えなかったけど今の僕なら、君に伝えられる……僕の気持ちを。」
貴「……乙骨くん?」
何を言おうとしてるのだろうか。今まで自分と仲良くしてくれたお礼とか……?仲良くするなんて当たり前だよ……だって大切な友人で幼馴染なのだから。
乙「一年前、僕はもう誰も傷つけたくなくて、死のうとした。だけど五条先生と出会って、呪いの使い方を学べるって聞いて、この高専に行く事を決めた……でももう一つ理由もあった……。憐ちゃん……君がいるって聞いたからなんだ。」
貴「えっ……?!」
自ら命を絶つつもりだった……?自殺しようとしてたの?!里香を制御出来ず周りを傷つけてしまうから、自分もろともって事ね……追い詰められていたんだ。
だけどある理由を聞いてから、自ら命を絶つ事を辞め、高専に行こうと決意する。
その理由は、五条先生から里香を制御する方法を学べると言われた事、そして……私がいると聞いたから??
乙「6年前、里香ちゃんの交通事故の件で君はあの地を去った。僕も里香ちゃんの事はとても悲しかったけど、それと同じくらい君が居なくなったことも悲しかった。だからずっと探していたんだ。君のご両親にも聞いたけど、詳しくは教えてくれなくて……ただ凛さんの所に行ったとしか教えてくれなくて。小さい頃の僕は、ただ漠然と憐ちゃんも遠くに行っちゃったんだと思ったんだ。」
貴「嘘……。」
私は自分の事ばかりで、憂太の事を全然考えていなかった。両親からも憂太の事は聞いてない。私が聞かなかった事もあるが、両親もあの時の私の精神状態を鑑みて、言えなかったのかもしれない。
何にせよ……あの時からずっと私を探してくれていたの?
乙「まぁ、半分もう会えないのかなって諦めてたけど、でももしかしたら会えるかもしれないって、憐ちゃんの事を思い出す度に、自然と気持ちも楽になったりしたんだ。僕にとって、君は生きる為の唯一の希望だったんだ。」
貴「……。」
憂太にかける言葉が見つからない……。里香の交通事故の事は、私にも憂太にも辛い出来事だった。でも私には、姉さんや五条先生、硝子さんに……夏油さん、学長など頼れる人はいた……。でも憂太はどうだろう。……里香の事で、トラブルも多くなりご家族とは疎遠になったと聞いている。それに、他の学校では虐めのような事もされていた。私なんかより、ずっと辛い思いをしてきていた。とても辛い日々を送ってきているのに……居なくなった私にもしかしたら会えると思って……私に会うことが希望だったなんて……申し訳なさでいっぱいだ。凄く今更だけど、あの謝罪だけではとてもじゃないが、足りないのではないかと思ってしまった。
乙「この高専に来たら会えるかもしれないって……そしたら居なくなった理由とか聞けるかもしれないって……もしかしたら、また君の笑顔を見ることが出来るかもしれないって思ったら、行こうか悩んでいた迷いが消えたんだ。
ここに来て本当に良かった!真希さんやパンダくん、狗巻くんとも友達になれた!里香ちゃんの事も解決出来て、憐ちゃんとも会えた!君の事情も知ることが出来た!そしてまた仲良くなれた……昔のように……〝幼馴染〟として里香ちゃんと遊んでいた頃みたいに。
僕が望んでいた事、願っていた事が殆ど叶ったんだ。」
貴「乙骨くん……。」
辛い想いを沢山してきた憂太が、今こうして笑顔で日々を送れてるなら、本当に良かったよ。それに憂太に会えて、一番良かったのは私自身……貴方にまた会えなければ、里香の事も憂太の事もずっと引きずったまま、自分の事を許せないでいただろう。憂太のおかげで、自分の事を少しずつ好きになれるようになったのだから。