最終章
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乙骨は6年前の交通事故を思い出していた……。幼き頃、目の前で里香が車に轢かれた。自分が気がついた時には、彼女は地に伏し身体中は傷だらけで出血量も多く、即死だった。そんな彼女を見て彼が思ったことは……─────────
乙(里香ちゃん!どうしよう!!死んじゃうの!?ダメだ!!里香ちゃんがいなくなったら、憐ちゃんも泣いちゃう!!助けなきゃ!!死んじゃダメだ!!死んじゃダメだ!!死んじゃダメだ!!)
里香の死の拒絶……。彼女が亡くなったら、自分も悲しいが何より彼女の親友である憐も、悲しみ涙を流すだろう……そんな姿を乙骨は見たくなかった。幼いなりに、里香を助ける方法を模索したが、彼女は既に息を引き取っていたため、助ける事は叶わなかった。
乙(そうだ僕はあの時……里香ちゃんの死を拒んだ。里香ちゃんがいなくなったら、僕だけじゃない……憐ちゃんまで悲しんでしまう……。そう思って、僕は里香ちゃんの死を拒んだ。)
五「呪いをかけた側が、主従制約を破棄したんだ。かけられた側が
五「それにね……里香を見ていて思ったんだけど、憂太の他に少し違った呪力が見えるんだよね。憂太よりは割合は少ないけど、確かに憂太とは違う呪いが見えた。憂太の他に里香を呪いにかけられるのって誰だろうと思ったけど……凛の話を聞いて分かった……君だよ……憐。」
衝撃の事実に、憐は目を大きく見開いた。
貴「えっ……??私も里香に呪いを??」
貴2「……里香ちゃんの交通事故の件を知った貴女は、一日中部屋から出てきませんでしたね。私が部屋に駆けつけた時、扉は空いていなかったけど、泣き声がずっと聞こえてました。そしてずっと貴女は言ってましたよ……「里香がいなくなったなんて嘘……。」「信じない……里香は死んでない……いなくなったりしない。」って。」
貴「!!……。」
そうだ……あの時の私は……里香が死んでしまった事実に耐えられなかった。今までずっと仲良く遊んでいたのに……いつもそばにいてくれた里香が、もうこの世に居ないなんて信じられなかった。
貴2「それで間もなくして、憐は私達の元にやってきた。貴女は成長するにつれて、塞ぎ込むのはやめて元気になった。里香ちゃんの死も受け入れていたと思っていたけど、心の底では認めてなかったのではないですか?」
貴「そんな……私まで里香に……。」
貴2「あまり信じてはいなかったんですけどね……そんなこと有り得るのかって……でも人の心が目に見えないように、人の想いも目には見えませんから、そのような不思議な現象が起きてもおかしくは無いと思います。」
五条先生の言葉に、姉さんの言葉……亡くなった人を、この世に縛り付ける程の呪い……憂太の想いの割合が大きいとはいえ、まさか私まで呪っていたなんて……でも、そうかもしれない。
里香の姿は、あの頃のまま……可愛らしい少女の姿。改めて里香の姿を見て思い出した事がある……あの日の事を。
憂太の誕生日の日……里香は私と憂太の結婚の約束を話した。私は、恥ずかしくなったのと、私との仲を応援されている事を憂太の想い人である里香に言わせてしまった申し訳なさがいっぱいになり、酷いことを言って先に帰ってしまった。……その後、里香は事故に遭いこの世を去った。
私は里香が亡くなった姿を直接見ていない……葬儀にも参加出来なかった。最期のお別れをせず、あの地を離れてしまった。だからこそ余計受け入れられなかった。だって私は、あの後里香に謝って仲直りをして、またいつものように、三人で遊ぼうと思っていたから……。
里香の死を受け入れられず、6年も里香をあのような姿にし、現世に留まらせてしまった……。私はなんて事を……。
すると憂太が座り込みはじめた。その目には溢れんばかりの涙を流しながら、彼は叫ぶ。
乙「……全部僕のせいじゃないか。里香ちゃんをあんな姿にして、たくさんの人を傷つけて……僕が夏油に狙われたせいで皆が死にかけた……全部っ……全部僕が…!!」
憂太は自分を責め続けながら泣いていた。違うよ……憂太だけの責任じゃない……。私にも、里香をあのような姿にして、憂太に迷惑をかけた責任がある。彼に6年間もその責任を負わせてしまった。
私はゆっくりと憂太に歩み寄り、隣にしゃがみこむ。