最終章
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夏「……里香さえあれば、せこせこ呪いを集める必要もない。次だ……次こそ手に入れる!!」
あの戦いの後、夏油は壁に持たれながら歩いていた。満身創痍で片腕が欠けているが、ちゃんと生きていた。そんな夏油に二人の人間が近づいてきた。
夏「!!……遅かったじゃないか……悟、凛。」
そんな二人の姿を目にした夏油は、笑いながら壁にもたれながら座り込む。二人の人間とは、新宿でミゲル相手に戦っていた五条と、呪いの討伐をしていた凛だった。
夏「君達で詰むとはな……。家族達は無事かい?」
五「揃いも揃って逃げ果せたよ。京都の方もオマエの指示だろ。」
夏「まぁね、君と違って私は優しいんだ。……あの二人を私にやられる前提で、乙骨の起爆剤として送りこんだな。よく、凛も許したね。」
五「そこは信用した……オマエの様な主義の人間は、若い術師を理由もなく殺さないと。」
貴2「……心苦しかったのですが、貴方ならあの子達を殺さないだろうと思っていました。」
夏「クックックッ信用か……まだ私にそんなものを残していたのか。」
夏油は、笑った。今まで築きあげたもの、仲良くしていた友人や先輩や後輩、それら全てを断ち切って、自分の意思で呪詛師になった。そして自分の理想の世界を作る為、〝家族〟と一緒に、非人道的な事を行ってきた。その事について後悔はしていない。しかし、とっくに決別していたのにも関わらず、こんな自分を信用していたとは……それが可笑しくて、夏油はつい笑ってしまったのだった。
夏「コレ返しといてくれ。」パシッ
五「!」
貴2「コレ……憂太くんの学生証じゃないですか?!」
夏油は五条に、小学校で拾っておいた乙骨の学生証を投げる。
五「小学校もオマエの仕業だったのか!!」
夏「まぁね。」
五「呆れた奴だ。」
貴2「あの呪いも夏油くんの仕業だったなんて……信じられません。」
凛は額に手を当てて、肩を落とした。もしかして夏油くんは、小学校の任務の時から憂太くんに目を付けていたのかもしれない。……やっぱり恐ろしい人ですね。
五「……何か言い残すことはあるか。」
夏「……誰がなんと言おうと
かつては非術師を守る為に術式はあるのだと語っていた温和で優しかった夏油。そんな優しかった彼がこの世界では心の底から笑えなかったという本音を聞いて、凛は悲しかった。
彼の行ってきた事は許されるべきではないが、今の自分の想いを伝えようと凛は夏油の位置までゆっくり歩いた。そして目線を合わせる為、しゃがみこみ、優しい声で言い聞かせるように話し出した。
貴2「夏油くん……。貴方がしてきた事は、どんな事情があれ許されない事です。その行動で多くの人が死にました……。でもね、私もあの子も、過去の貴方に色々なことを教えて貰い、時には助けて貰いました。だから、貴方がしてきた事全てが間違っていたとは思いません。少なくともあの
夏油くんの罪の重さはじゅうぶんに理解をしている。彼が行ってきたこと……どんな事情があれ許されるべきでは無い。でも……貴方が居なければ、私も憐も呪術師になれなかったかもしれない。
そして夏油くんはもう長くはもたない……だから彼の最期くらいお礼を言いたかったのだ……憐の分も含めて。私達姉妹は、それだけ助けて貰っていたのだから。
夏「凛……。憐と言い、君達は本当に……いや、これはやめておこう。私に言われなくても周りの連中が分かっているはずだからね。」
貴2「??」
凛は、今も夏油が言いかけてやめてしまった意味が、よくわかっていない。
五「傑……────────────。」
貴2「……。」
夏「はっ……最期くらい、呪いの言葉を吐けよ。」
バシュッ