第3章
夢小説設定
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僕の気になっている事の二つ目……それは憐ちゃんが時々僕の事を《乙骨くん》ではなく、《憂太》と名前で呼ぶことだ。
最初に気づいたのは、真希さんが僕を昼練に誘っていた時……真希さんに呪力の込め方を聞いた時、憐ちゃんは僕の事を《憂太》と呼んでいた。あの時咄嗟に出てしまったんだろう。その後は普通に苗字に戻っていたから。あの時どうしてそう呼んだのか聞こうと思ったが、思い留まった。彼女は無意識に呼んでいたから、今聞いてもきっと困らせてしまうと薄々感じていたからだ。彼女を困らせるのは本意ではない……だけど……──────。
(また会えた時とは違って、今はだいぶ仲良くなったと思うから……今なら聞いてもいいかな?)
だって本当はずっと彼女に……憐ちゃんに《憂太》って呼んで欲しかったから……。五条先生も、凛先生も、真希さんも、パンダくんも、狗巻くんも皆呼んでくれてるのに……一番呼んで欲しい彼女にだけ、今だに呼ばれていない。
(憐ちゃんに呼んで欲しい……そうしたら僕は……──────。)
彼女への想いが溢れ出てしまうかもしれない……。幼少の頃から積もりに積もった僕の好意に、彼女が気づくかもしれないけど……こんな僕だって少しくらい……彼女の事くらい……我儘になってもいいんじゃないかなって思う。だから……二人っきりなこのタイミングを狙って僕は……──────
乙「───普段は苗字だけど、たまに僕の事名前で……《憂太》って呼ぶよね?なんでなのかなって……。」
憐ちゃんは驚いていたけど、すぐに青ざめて申し訳なさそうな表情をしていた……。
貴「ごめん馴れ馴れしかったよね……。今度からは出ないように気をつけ……乙「違うよ!!……ごめんね、急に大声出したりして。違うんだ……。」
僕は思わず大きな声を出し、立ち上がって彼女が言いかけていた事を否定した。違うんだ……僕は責めるつもりでそんな事を言った訳じゃない。理由を知りたかっただけなんだ……。それにただ……前みたいに……名前で呼んで欲しかっただけなんだよ……憐ちゃん……。
僕は必死に彼女に説明した……名前で呼ばれて嬉しかったことを。久々に会えた時、名前ではなく、苗字だった事に少しショックを覚えたが、勝手に期待して勝手に落ち込んでる僕が悪い。彼女に一切の非はない。そのような事を伝えると憐ちゃんは、少し安心したような表情になり、納得してくれた。
そして彼女が理由を教えてくれた……無意識で呼んでいたこと、本当は名前で呼びたかったこと、でも本人 の前だと恥ずかしくなって呼べなかったこと。彼女は顔を赤くして一生懸命に、僕に教えてくれた。良かった……嫌われてなくて……。そこは一安心……でもそんな理由だったなんて……。それに彼女は気づいていないだろうけど……───。
(その表情……ずるいな憐ちゃん。僕の気持ちなんて全然分かってないんだろうな……。僕のこの心臓の音が彼女に聞こえてませんように……───。)
僕も彼女に負け劣らず、顔は赤いだろう。あの頃から日に日に想いは増していく……。里香ちゃん……僕やっぱり憐ちゃんが好きだよ……大好きだ。僕の傍にずっと居てくれた彼女 なら分かってくれるかもしれない。
少し前の僕なら、それだけで満足したかもしれないけれど、今の僕は理由を聞くだけでは終わりたくない……!
今度こそ、もう一度あの頃みたいに……─────
──────── 「憂太っ!!」───────
思い出の中の小さな彼女が微笑みながら振り返り、僕の名前を呼ぶ……。とても澄んでいて、聞いていて心地の良い声で、名前を呼んでくれていた……。君が呼んでくれるおかげで、僕は自分の名前が好きになった。
そして今、目の前には……あの頃から可憐な女性に成長した憐ちゃんがいる……。
────── 大好きな君に……
(《憂太》って呼んで欲しい……。)
乙「ならさ……その……憐ちゃんさえ良ければなんだけど……また小さい頃みたいに……《憂太》って呼んでくれないかな?」
僕は意を決して彼女に、名前を呼んで欲しいことを伝えると、憐ちゃんは驚いていた。
無理もない、彼女はその事について、先程恥ずかしいと伝えたばかりなのに僕がお願いしてしまったから……。でも彼女はこうも言っていた。
〝本当はずっと《憂太》って呼びたかったの!〟
(僕だってずっと呼んで欲しかったから、少しくらい期待してもいいよね?)
乙「忘れてないよ……恥ずかしい事は分かってる……。でも、さっき本当は呼びたかったって言ってたよね?……ならやっぱり呼んで欲しいな……ダメ……かな?」
少し期待しつつも、ダメ元でもう一度憐ちゃんにお願いしてみる。これで駄目だったら流石に諦めるけど、彼女の返答は……──────
貴「ゆ……乙骨くん。駄目だ!やっぱり無理!恥ずかしいよぉ…。」
言葉に詰まりながらも、憐ちゃんは僕の名前を呼ぼうとしたけど、やはりまだ羞恥心が勝ってしまい、呼べないらしい。……少し残念だけれど、必死で真っ赤な顔して呼ぼうとする彼女がとてつもなく……可愛らしかったから、それだけで僕は満足してしまった。
乙「ふふっ……。ありがとう……僕の為に頑張ってくれて……。今はまだ意識したばかりだと思うから大丈夫だよ。でもこれからはなるべく名前で呼んで欲しいな。」
貴「分かりました!……頑張るね。」
でもいつかはきっと名前で呼んでくれるはずだ。それに僕も……憐ちゃんの事……呼び捨てで呼べるようになりたいから。そんな間柄になれるように頑張るから……。
(里香ちゃん……僕、頑張るからね。)
僕はそっと心の中で、里香ちゃんに宣言していた。姿形は変わっても里香ちゃんならきっと……あの頃のように応援してくれると、不思議と確信していた。
真希さんが訪ねてくる数分間、僕らの間には暖かく甘酸っぱい空気が流れていた。
最初に気づいたのは、真希さんが僕を昼練に誘っていた時……真希さんに呪力の込め方を聞いた時、憐ちゃんは僕の事を《憂太》と呼んでいた。あの時咄嗟に出てしまったんだろう。その後は普通に苗字に戻っていたから。あの時どうしてそう呼んだのか聞こうと思ったが、思い留まった。彼女は無意識に呼んでいたから、今聞いてもきっと困らせてしまうと薄々感じていたからだ。彼女を困らせるのは本意ではない……だけど……──────。
(また会えた時とは違って、今はだいぶ仲良くなったと思うから……今なら聞いてもいいかな?)
だって本当はずっと彼女に……憐ちゃんに《憂太》って呼んで欲しかったから……。五条先生も、凛先生も、真希さんも、パンダくんも、狗巻くんも皆呼んでくれてるのに……一番呼んで欲しい彼女にだけ、今だに呼ばれていない。
(憐ちゃんに呼んで欲しい……そうしたら僕は……──────。)
彼女への想いが溢れ出てしまうかもしれない……。幼少の頃から積もりに積もった僕の好意に、彼女が気づくかもしれないけど……こんな僕だって少しくらい……彼女の事くらい……我儘になってもいいんじゃないかなって思う。だから……二人っきりなこのタイミングを狙って僕は……──────
乙「───普段は苗字だけど、たまに僕の事名前で……《憂太》って呼ぶよね?なんでなのかなって……。」
憐ちゃんは驚いていたけど、すぐに青ざめて申し訳なさそうな表情をしていた……。
貴「ごめん馴れ馴れしかったよね……。今度からは出ないように気をつけ……乙「違うよ!!……ごめんね、急に大声出したりして。違うんだ……。」
僕は思わず大きな声を出し、立ち上がって彼女が言いかけていた事を否定した。違うんだ……僕は責めるつもりでそんな事を言った訳じゃない。理由を知りたかっただけなんだ……。それにただ……前みたいに……名前で呼んで欲しかっただけなんだよ……憐ちゃん……。
僕は必死に彼女に説明した……名前で呼ばれて嬉しかったことを。久々に会えた時、名前ではなく、苗字だった事に少しショックを覚えたが、勝手に期待して勝手に落ち込んでる僕が悪い。彼女に一切の非はない。そのような事を伝えると憐ちゃんは、少し安心したような表情になり、納得してくれた。
そして彼女が理由を教えてくれた……無意識で呼んでいたこと、本当は名前で呼びたかったこと、でも
(その表情……ずるいな憐ちゃん。僕の気持ちなんて全然分かってないんだろうな……。僕のこの心臓の音が彼女に聞こえてませんように……───。)
僕も彼女に負け劣らず、顔は赤いだろう。あの頃から日に日に想いは増していく……。里香ちゃん……僕やっぱり憐ちゃんが好きだよ……大好きだ。僕の傍にずっと居てくれた
少し前の僕なら、それだけで満足したかもしれないけれど、今の僕は理由を聞くだけでは終わりたくない……!
今度こそ、もう一度あの頃みたいに……─────
──────── 「憂太っ!!」───────
思い出の中の小さな彼女が微笑みながら振り返り、僕の名前を呼ぶ……。とても澄んでいて、聞いていて心地の良い声で、名前を呼んでくれていた……。君が呼んでくれるおかげで、僕は自分の名前が好きになった。
そして今、目の前には……あの頃から可憐な女性に成長した憐ちゃんがいる……。
────── 大好きな君に……
(《憂太》って呼んで欲しい……。)
乙「ならさ……その……憐ちゃんさえ良ければなんだけど……また小さい頃みたいに……《憂太》って呼んでくれないかな?」
僕は意を決して彼女に、名前を呼んで欲しいことを伝えると、憐ちゃんは驚いていた。
無理もない、彼女はその事について、先程恥ずかしいと伝えたばかりなのに僕がお願いしてしまったから……。でも彼女はこうも言っていた。
〝本当はずっと《憂太》って呼びたかったの!〟
(僕だってずっと呼んで欲しかったから、少しくらい期待してもいいよね?)
乙「忘れてないよ……恥ずかしい事は分かってる……。でも、さっき本当は呼びたかったって言ってたよね?……ならやっぱり呼んで欲しいな……ダメ……かな?」
少し期待しつつも、ダメ元でもう一度憐ちゃんにお願いしてみる。これで駄目だったら流石に諦めるけど、彼女の返答は……──────
貴「ゆ……乙骨くん。駄目だ!やっぱり無理!恥ずかしいよぉ…。」
言葉に詰まりながらも、憐ちゃんは僕の名前を呼ぼうとしたけど、やはりまだ羞恥心が勝ってしまい、呼べないらしい。……少し残念だけれど、必死で真っ赤な顔して呼ぼうとする彼女がとてつもなく……可愛らしかったから、それだけで僕は満足してしまった。
乙「ふふっ……。ありがとう……僕の為に頑張ってくれて……。今はまだ意識したばかりだと思うから大丈夫だよ。でもこれからはなるべく名前で呼んで欲しいな。」
貴「分かりました!……頑張るね。」
でもいつかはきっと名前で呼んでくれるはずだ。それに僕も……憐ちゃんの事……呼び捨てで呼べるようになりたいから。そんな間柄になれるように頑張るから……。
(里香ちゃん……僕、頑張るからね。)
僕はそっと心の中で、里香ちゃんに宣言していた。姿形は変わっても里香ちゃんならきっと……あの頃のように応援してくれると、不思議と確信していた。
真希さんが訪ねてくる数分間、僕らの間には暖かく甘酸っぱい空気が流れていた。