第3章
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────── 12月24日 百鬼夜行 当日
夏油さんの言っていた〝宣戦布告〟から早数日……。ついに〝百鬼夜行〟当日の日になってしまった。夏油さん一派と呪術師達による全面戦争……。私は単独任務が許されている階級ではないため、自分の部屋でその時間を持て余していた。
(私は戦力になるほど、強い訳では無いから姉さん達の力にはなれない。……だけどこのまま自室で何もせず過ごしたままでいいのだろうか?)
今頃姉さん達は、学長を筆頭に夏油さんへの対処を行っているのだろう。
夏油さんの事だ……きっと何かをしかけてくる。幼い頃から分かっていた……あの頃から夏油さんは人一倍頭が良かったと思う。教え方も丁寧で、あまり出来の良くない私にも優しく教えてくれた。そんな人だからこそ、何をしてくるのか分からないから、用心しなければならない。
(と言っても私に出来ることなんてあるのかな?……ないだろうな……でも……。)
だからといって、こんな事を永遠と考えていても仕方ない。百鬼夜行当日のため、高専は今週から休講だ……時間はたっぷりあるがそうも言ってられない。不安だったりモヤモヤだったりと心が落ち着かない。
「このまま悩んでいても仕方がない!気晴らしに高専行ってみようかな。場所変えてみたら、意外と落ち着くかもしれないし。」
そう思い、私は自室を離れた。
───────────────
(高専に来てみたものの……どうしよう。教室にでも行ってみようかな。)
教室の扉を開けると先客がいた。
乙「あれ、憐ちゃん?」
貴「なんでいるの乙骨くん……今週は休講だよ。」
憂太が椅子に座っていた。しかも椅子をゆらゆらさせながら、座っていた。
乙「なんか落ち着かなくて……。寮の人達も全然いないし。」
貴「まぁそうだろうね……私も同じ感じだったからここに来たわけだし。」
乙「そうだったの?……意外だな〜憐ちゃんは自室で気を紛らわせてそうなのに。」
貴「そんな風に見られてたんだ……そんな事ないよ〜今も姉さん達は新宿で呪いと夏油さん達と対峙してるんだろうなって思ったら不安で仕方ないよ。」
憂太に一人で気分転換でもしてそうなタイプに見えたのかな私……。まぁ……皆といるのが大好きだけど、一人になることだって嫌いじゃない。
乙「そっか……。それじゃあここで、僕と少し話さない?良い気分転換になるかもしれないよ。それに僕……憐ちゃんに少し聞きたいことがあって……。」
貴「そうだね……いいよ。何が聞きたい?」
憂太が気を遣って自分と話してくれるように言ってくれたのが嬉しかった。それに、憂太が質問して、私が答えるこの時間……今までの日常と変わらなくて……心が落ち着いてきた。
乙「……夏油さんって人、憐ちゃんは知ってるの?五条先生とも知り合いだったような感じだったけど……。」
まさか夏油さんについて聞かれるとは思わなかった。あの時夏油さんは私に触れなかったが、私の反応で知己だと分かったのかな。
そうだとしたら、あの状況でよく気づけたなとも思う。でもそうか……あの場で夏油さんの名前を呼んだのは私だけ。真希やパンダくんは初対面の反応をしていたから気づくには気づくか……だけどどう話そう。私より五条先生や姉さんの方が詳しいと思うけど、せっかく憂太が知りたがってるなら教えてあげてもいいかもしれない……私が知っている夏油さんのことを……。
貴「知ってたよ……。前に話したよね?その……東京に引っ越して来た時、姉さんと一緒に住んでいたこと。呪いが見えるようになり、本格的に呪力や呪術を学び、呪術師を目指したこと。その時姉さんから教わってたけど、もう一人教えて貰ってた人がいたの……その人が夏油傑さん。」
乙「夏油……傑さん。」
貴「あの人はね、姉さん達と同期で姉さんと一緒に呪術高専に通っていた人の一人なの。いつもからかってきた五条先生と違って優しい人で頭も良くてね、教えるのが凄く上手だったの。元々私あまり出来るタイプじゃなかったから、呪術とか難しくて落ち込む日もあったけど、姉さんや夏油さんが教えてくれて、今は何とかこうして呪術師をやってるの。」
乙「へぇ〜そうだったんだ。」
憂太は不思議そうな顔で聞いていた。それはそうだろう……初対面であの対応……良い第一印象は抱かない。
貴「でもある任務を受けた辺りからしばらく元気が無くなっちゃって、ある日突然高専から居なくなったの。その理由は今でも分からない……それでずっと会っていなくてあの時が久しぶりの再会だったの。」
夏油さんは私に何も言ってこなかった。……きっと覚えてなかったんだろうな。こんな形で出会いたくなかったけど。
貴「〝呪術は弱者《非術師》を守るためにある〟ってよく教えてくれててね……本当に優しい人だったの……なのにいつの間にか居なくなって呪詛師になってて……当時の私はよく分かんなかったけど、もう会えないんだって思ったら悲しくなって泣いてたな。……あんな事言う人じゃなかったのに……。」
乙「……憐ちゃん、僕……あの人の言っている事に賛同できなくて思わず腕払っちゃったけど……。」
貴「それは大丈夫!……真希の事だよね??それはそうだよ!怒って当然だよ!いくら夏油さんとはいえ、あんな酷い事言うなんて許せない……だから私もあの時怒ってたんだけど、憂太が否定してくれて嬉しかった!……ありがとう憂太。」
乙「っ!!……そんなこっちこそ……教えてくれてありがとう憐ちゃん。」
安心したように憂太は笑う……。最初はあんなにおどおどしていた憂太が、今では真希達とも仲良くなって前よりはおどおどせずに、自然と話せるようになっている。武術も以前とは見違えるほど上達しており、里香も暴走させるようなことは無くなってきた。
(強くなったね……憂太。なんか安心しちゃったな。親じゃないけど、〝幼馴染〟として……ちょっと誇らしい。)
大事な〝幼馴染〟が少しずつ変化していく様を私は見てきた。決して楽だったとは言わないけど、それでも憂太は弱音を吐かずに今まで頑張ってきていた。……里香の解呪後、どうなるか分からないけど、少しでも彼の人生が幸せになりますように……──────。
夏油さんの言っていた〝宣戦布告〟から早数日……。ついに〝百鬼夜行〟当日の日になってしまった。夏油さん一派と呪術師達による全面戦争……。私は単独任務が許されている階級ではないため、自分の部屋でその時間を持て余していた。
(私は戦力になるほど、強い訳では無いから姉さん達の力にはなれない。……だけどこのまま自室で何もせず過ごしたままでいいのだろうか?)
今頃姉さん達は、学長を筆頭に夏油さんへの対処を行っているのだろう。
夏油さんの事だ……きっと何かをしかけてくる。幼い頃から分かっていた……あの頃から夏油さんは人一倍頭が良かったと思う。教え方も丁寧で、あまり出来の良くない私にも優しく教えてくれた。そんな人だからこそ、何をしてくるのか分からないから、用心しなければならない。
(と言っても私に出来ることなんてあるのかな?……ないだろうな……でも……。)
だからといって、こんな事を永遠と考えていても仕方ない。百鬼夜行当日のため、高専は今週から休講だ……時間はたっぷりあるがそうも言ってられない。不安だったりモヤモヤだったりと心が落ち着かない。
「このまま悩んでいても仕方がない!気晴らしに高専行ってみようかな。場所変えてみたら、意外と落ち着くかもしれないし。」
そう思い、私は自室を離れた。
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(高専に来てみたものの……どうしよう。教室にでも行ってみようかな。)
教室の扉を開けると先客がいた。
乙「あれ、憐ちゃん?」
貴「なんでいるの乙骨くん……今週は休講だよ。」
憂太が椅子に座っていた。しかも椅子をゆらゆらさせながら、座っていた。
乙「なんか落ち着かなくて……。寮の人達も全然いないし。」
貴「まぁそうだろうね……私も同じ感じだったからここに来たわけだし。」
乙「そうだったの?……意外だな〜憐ちゃんは自室で気を紛らわせてそうなのに。」
貴「そんな風に見られてたんだ……そんな事ないよ〜今も姉さん達は新宿で呪いと夏油さん達と対峙してるんだろうなって思ったら不安で仕方ないよ。」
憂太に一人で気分転換でもしてそうなタイプに見えたのかな私……。まぁ……皆といるのが大好きだけど、一人になることだって嫌いじゃない。
乙「そっか……。それじゃあここで、僕と少し話さない?良い気分転換になるかもしれないよ。それに僕……憐ちゃんに少し聞きたいことがあって……。」
貴「そうだね……いいよ。何が聞きたい?」
憂太が気を遣って自分と話してくれるように言ってくれたのが嬉しかった。それに、憂太が質問して、私が答えるこの時間……今までの日常と変わらなくて……心が落ち着いてきた。
乙「……夏油さんって人、憐ちゃんは知ってるの?五条先生とも知り合いだったような感じだったけど……。」
まさか夏油さんについて聞かれるとは思わなかった。あの時夏油さんは私に触れなかったが、私の反応で知己だと分かったのかな。
そうだとしたら、あの状況でよく気づけたなとも思う。でもそうか……あの場で夏油さんの名前を呼んだのは私だけ。真希やパンダくんは初対面の反応をしていたから気づくには気づくか……だけどどう話そう。私より五条先生や姉さんの方が詳しいと思うけど、せっかく憂太が知りたがってるなら教えてあげてもいいかもしれない……私が知っている夏油さんのことを……。
貴「知ってたよ……。前に話したよね?その……東京に引っ越して来た時、姉さんと一緒に住んでいたこと。呪いが見えるようになり、本格的に呪力や呪術を学び、呪術師を目指したこと。その時姉さんから教わってたけど、もう一人教えて貰ってた人がいたの……その人が夏油傑さん。」
乙「夏油……傑さん。」
貴「あの人はね、姉さん達と同期で姉さんと一緒に呪術高専に通っていた人の一人なの。いつもからかってきた五条先生と違って優しい人で頭も良くてね、教えるのが凄く上手だったの。元々私あまり出来るタイプじゃなかったから、呪術とか難しくて落ち込む日もあったけど、姉さんや夏油さんが教えてくれて、今は何とかこうして呪術師をやってるの。」
乙「へぇ〜そうだったんだ。」
憂太は不思議そうな顔で聞いていた。それはそうだろう……初対面であの対応……良い第一印象は抱かない。
貴「でもある任務を受けた辺りからしばらく元気が無くなっちゃって、ある日突然高専から居なくなったの。その理由は今でも分からない……それでずっと会っていなくてあの時が久しぶりの再会だったの。」
夏油さんは私に何も言ってこなかった。……きっと覚えてなかったんだろうな。こんな形で出会いたくなかったけど。
貴「〝呪術は弱者《非術師》を守るためにある〟ってよく教えてくれててね……本当に優しい人だったの……なのにいつの間にか居なくなって呪詛師になってて……当時の私はよく分かんなかったけど、もう会えないんだって思ったら悲しくなって泣いてたな。……あんな事言う人じゃなかったのに……。」
乙「……憐ちゃん、僕……あの人の言っている事に賛同できなくて思わず腕払っちゃったけど……。」
貴「それは大丈夫!……真希の事だよね??それはそうだよ!怒って当然だよ!いくら夏油さんとはいえ、あんな酷い事言うなんて許せない……だから私もあの時怒ってたんだけど、憂太が否定してくれて嬉しかった!……ありがとう憂太。」
乙「っ!!……そんなこっちこそ……教えてくれてありがとう憐ちゃん。」
安心したように憂太は笑う……。最初はあんなにおどおどしていた憂太が、今では真希達とも仲良くなって前よりはおどおどせずに、自然と話せるようになっている。武術も以前とは見違えるほど上達しており、里香も暴走させるようなことは無くなってきた。
(強くなったね……憂太。なんか安心しちゃったな。親じゃないけど、〝幼馴染〟として……ちょっと誇らしい。)
大事な〝幼馴染〟が少しずつ変化していく様を私は見てきた。決して楽だったとは言わないけど、それでも憂太は弱音を吐かずに今まで頑張ってきていた。……里香の解呪後、どうなるか分からないけど、少しでも彼の人生が幸せになりますように……──────。